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尿失禁や骨盤臓器脱の治療の「経膣メッシュ手術」を受けた後、慢性的な痛みに苦しむ人がおり、問題になっています。英BBCによると、英イングランドで、この手術によって痛みや合併症を経験した女性100人以上が集団訴訟を起こし、メッシュを製造した3社から解決金を受け取ったそうです。
経膣メッシュ手術は何年ものあいだ、女性の尿失禁や骨盤臓器脱の代表的な治療法と考えられてきました。しかしメッシュが硬化して組織を傷つけ、一部の女性は永続的な痛みに悩まされたといいます。歩けなくなったり、働けなくなったり、性行為ができなくなったりした人もいるとのことです。
この手術によって約1万人が負傷したといわれていますが、手術を受けた人の10~20%に当たる約4万人が合併症に悩んでいるとの推計もあるそうです。
イングランドでの訴訟は、「メッシュの製造日から10年」が解決金の請求期限で、訴訟の機会を奪われた人が多数いるとの指摘もあるとのことです。
米疾病対策センター(CDC)は27日、キューバから帰国した21人が「オロプーシェ熱」を発症したと発表しました。また、医師らに対し、中南米への渡航歴がある人については、感染の可能性を考慮するよう注意を呼びかけています。
オロプーシェ熱の原因となるオロプーシェウイルスは、ヌカカ(ハエ目の微小昆虫)や蚊を介してヒトに感染します。中南米では今年に入り、既知の流行地だけでなく新たな地域でも感染者が見つかり、ボリビア、ブラジル、コロンビア、キューバ、ペルーで8000人以上の患者が報告されています。
主な症状は発熱や頭痛、筋肉痛で、下痢や嘔吐、発疹がみられることもあるそうです。命にかかわることはまれですが、ブラジルでは最近、健康な若者2人が死亡したといいます。妊婦から胎児に感染したとみられるケースも確認されています。
ワクチンや治療薬はありません。CDCはキューバを訪れる全旅行者に対し、虫除け対策を講じることを推奨しています。
喫煙や太り過ぎなどの「修正可能な危険因子」に注意して健康な生活を送るだけで、がんリスクが半減するかもしれません。
米国の研究チームが、米国における2019年の30歳以上のがん症例178万件を分析しました。その結果、30種類のがんのうち19種類について、死亡や発症の半数以上が修正可能な危険因子に起因することが分かったそうです。
全症例のうち19.3%が喫煙、7.6%が太り過ぎ、5.4%が飲酒、4.6%が紫外線の暴露、3.1%が運動不足に関連していたといいます。また、子宮頸がんについては、症例の100%がワクチンを接種していれば予防でき、修正可能な危険因子に起因することが明らかになったそうです。症例数が最も多かったのは肺がんで、男性は10万4410件、女性は9万7250件が、それぞれ修正可能な危険因子が原因である可能性が示されたとのことです。
チームは、この研究成果を医学誌CA: A Cancer Journal for Cliniciansに発表しました。
健康や寿命、組織再生を改善するといわれる「断食」について、米国の研究チームが腸幹細胞に着目した研究で、メリットとデメリットを明らかにしたそうです。英科学誌Natureに研究成果を発表しました。
チームがマウスを使って調査したところ、腸の損傷や炎症からの回復を助ける腸幹細胞の再生能力が、断食中にいったん低下し、断食明けに食事を好きなだけ取り始めてから24時間経過した時点で最も高いレベルまで上がることが分かったそうです。これは、細胞の成長や分裂に関わる細胞内の物質「ポリアミン」の産生が増大するためだといいます。
一方、断食によって幹細胞の再生能力が高まることによるデメリットも示されました。腸幹細胞について、断食明けに食事を再開したマウスの発がん遺伝子をオンにして調べたところ、断食中または断食を行わなかったマウスの発がん遺伝子をオンにした場合に比べて、前がん状態のポリープが作られるリスクが高くなったとのことです。
人とのつながりが希薄で孤独を感じると、ひどい悪夢を見たり、悪夢を見る頻度が増えたりするそうです。米国の研究チームが学術誌The Journal of Psychologyに論文を発表。認知機能、気分の調節、代謝、その他の健康と深い関係がある睡眠の質に、孤独が悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。
チームは18~81歳の成人1600人以上を調査したそうです。参加者は、孤独感に関するさまざまな感情や悪夢の体験、ストレスに関わる感情などの質問について答えたといいます。分析の結果、孤独が悪夢の頻度や強度に関連していることが明らかになったとのことです。孤独によるストレス、心配や不安がぐるぐる頭の中を巡る「反すう思考」、過度に用心深くなったり集中したりする「過覚醒」が、悪夢の要因として考えられるといいます。
チームは、孤独と睡眠障害はいずれも健康に深刻な影響をもたらす問題であり、心臓病や脳卒中、早死になどのリスク上昇に関連する可能性があるとしています。
アルツハイマー病(AD)の新たな治療薬の候補となる化合物が見つかったそうです。「レカネマブ」などのようにAD関連のタンパク質であるアミロイドβを標的とするのではなく、全く違った経路で作用するといいます。米国の研究チームが、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に研究成果を発表しました。
チームは、認知処理やワーキングメモリーの基礎となる脳回路の調整をする「ガンマ振動」という脳波に着目。軽度認知障害がある初期AD患者は、このガンマ振動が減少することが知られています。そしてチームは、このガンマ振動をニューロン(神経細胞)で持続的に発生させる化合物「DDL-920」を発見したそうです。
ADマウスにDDL-920を1日2回、2週間にわたって経口投与したところ、健康なマウスと同程度の認知力と記憶力を取り戻したといいます。DDL-920を投与したマウスに、異常行動や多動をはじめとする目に見える副作用は認められなかったとのことです。
低カロリーでありながら栄養価の高い食事をスープやシェイクの形で取ると、2型糖尿病の寛解につながる可能性があるそうです。
英国民保健サービス(NHS)は、2型糖尿病の寛解を目指す1年間の国民向けプログラムを実施しています。そして今回、2022年1月以前にプログラムに参加した太り過ぎの2型糖尿病患者1740人のデータを分析し、調査結果を公表しました。患者は最初の3カ月間は1日の総摂取カロリーが800~900kcalになるよう全ての食事をスープやシェイクに置き換え、その後の9カ月間で徐々に固形の食事を再開するよう指導を受けたといいます。
プログラムの完遂と2回のヘモグロビンA1c(HbA1c)検査という条件を満たした450人のうち、145人(32%)が血糖降下薬なしで糖尿病が寛解したそうです。寛解を達成した患者は、プログラム期間中に体重が平均15.9kg減少したとのことです。
論文は医学誌Lancet Diabetes and Endocrinologyに掲載されました。
子どもの新型コロナウイルス感染症後の後遺症は、年齢によって主に見られる症状が異なる可能性があるそうです。米国の研究チームが医学誌JAMAに論文を発表しました。
チームはコロナ感染歴のある子ども3800人以上の保護者に対し、感染から90日以上経過した時点の症状について聞き取り調査を実施。そして、コロナ感染歴のない子ども約1500人の保護者へも聞き取り調査を行い、それぞれの結果を比較したところ、子どものコロナ後遺症に関連するとみられる症状が14種類特定されたそうです。
6~11歳の子どもではコロナ後遺症として、頭痛、記憶力や集中力の低下、睡眠障害、腹痛が最も一般的であることが分かったといいます。また、12~17歳の子どもは、大人と同様に倦怠(けんたい)感や頭にもやがかかったようになるブレインフォグなどの症状が多く見られ、幼い子どもに比べて日中の眠気や活力低下、筋肉や関節の痛みが生じる可能性が高かいことが明らかになったとのことです。
ストレスは有益な腸内細菌を減らしてしまうそうです。米国、中国、ドイツの研究チームが米科学誌Cellに論文を発表しました。
チームは十二指腸の「ブルンネル腺」に着目。腸内の物質の移動を助ける粘液を分泌する役割を持つのですが、神経細胞が多くあることから、それ以外の働きがあると考えたそうです。マウスのブルンネル腺を切除したところ、腸壁から血液に有害物質が漏れ出すのを防ぐ乳酸菌の一種「ラクトバチルス菌」が減少し、炎症や異常な免疫応答が起きることが分かったといいます。
さらにチームは、ブルンネル腺の神経細胞が迷走神経を介してストレス処理に関与する脳の扁桃体につながっていることを発見。健康なマウスにストレスを与えたところ、ブルンネル腺を切除したマウスと同様の状態に陥ることが確認されたそうです。ストレスを受けた扁桃体の影響がブルンネル腺にも波及し、ラクトバチルス菌が減少して炎症や異常な免疫応答につながる可能性が示されました。
パーキンソン病(PD)治療薬「レボドパ」で、アルツハイマー病(AD)に関連するタンパク質「アミロイドβ」の蓄積を減らせる可能性があるようです。理化学研究所などの国際チームが、研究成果を科学誌Science Signalingに発表し、Science Alertが概要を紹介しました。
チームは、脳内神経伝達物質の一つである「ドーパミン」がアミロイドβの分解酵素「ネプリライシン」の産生を増加させることを発見したそうです。レボドパは脳内に入るとドーパミンに変化する薬で、これをADモデルマウスに投与したところ、ネプリライシンの発現が高まり、アミロイドβの蓄積が減少したといいます。さらに、マウスの認知機能が改善することも示されたとのことです。
また、高齢マウスにおいてドーパミンとネプリライシンが減少していることも確認されたといいます。この発見は、加齢が主原因とされるADの発症機序に関する重要な手掛かりになる可能性があるとのことです。
ニュージーランド特産の蜂蜜「マヌカハニー」で、乳がんの70~80%を占める「エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん」の増殖を抑制できるかもしれません。
米国の研究チームがER陽性乳がんマウスにマヌカハニーを経口投与したところ、腫瘍の増殖が84%抑制されることが明らかになりました。正常な乳房細胞が影響を受けたり、重大な副作用が起きたりすることはなかったといいます。ヒトの細胞を使った実験でも、マヌカハニーが正常な細胞に影響を与えることなく、ER陽性乳がん細胞の増殖を抑制することが示されました。
マヌカハニーによって、腫瘍の増殖に関与する情報シグナル伝達が阻害され、乳がんの細胞死が誘導されることも分かったそうです。ER陽性乳がん治療に一般的に使われる「タモキシフェン」などの抗エストロゲン薬の効果は、マヌカハニーと併用することで高まる可能性があるとのことです。
チームは科学誌Nutrientsに論文を発表しました。
プラスチックの原料「ビスフェノールA(BPA)」に母親が多く暴露していると、お腹にいる男児の自閉症リスクが高くなる可能性があるそうです。
オーストラリアの研究チームが、母子1074組のデータから、男の胎児の脳発達に特に重要な役割を果たす酵素「アロマターゼ(芳香化酵素)」のレベルが低い男児に着目。妊娠後期に尿中BPAレベルが高かった母親から生まれた低アロマターゼレベル男児は、2歳までに自閉症の症状が出るリスクが3.5倍、11歳までに自閉症と診断されるリスクが6倍になったといいます。
またBPAが、DNAの塩基配列を変えずに遺伝子の働きを制御する「エピジェネティック」な経路を介してアロマターゼの発現を抑制することも示されたそうです。マウス実験では脂肪酸の一種「10-ヒドロキシ-2-デセン酸(10HDA)」でBPAによるこうした有害作用を軽減できる可能性が示されました。
チームは科学誌Nature Communicationsに研究成果を発表しました。
免疫細胞のマクロファージは、呼吸器感染症で肺に損傷を与える可能性があることが指摘されていました。しかし、ベルギーの研究チームが、肺修復に重要な役割を果たすマクロファージが存在することを発見したと、科学誌Science Immunologyに発表しました。
チームはインフルエンザAに感染させたマウスを使って調査。感染による肺損傷からの回復初期に、「単球由来Ly6G発現マクロファージ」が出現することが明らかになりました。このマクロファージは非典型的で短命であり、食作用が強く、再生中の肺胞に動員されるといいます。
Ly6Gマクロファージを欠損したマウスを調べたところ、インフル感染後の上皮再生がうまくいかないことが分かったそうです。また、 Ly6Gマクロファージは、肺の構造維持に必要な成分を出す細胞「2型肺胞上皮細胞」が肺胞を再生する際に不可欠であることも明らかになったといいます。呼吸器感染症の新たな治療標的になる可能性が示されました。
舌の色からさまざまな病気を即時に検出できるAI(画像処理システム)が開発されたそうです。
イラクとオーストラリアの研究チームが5260枚の画像を使い、舌の色から病気を検出できるよう機械学習アルゴリズムを訓練したといいます。そして、このアルゴリズムを組み込んだ画像処理システムでさまざまな健康状態の患者60人の舌の画像を分析したそうです。その結果、96.6%の精度で病気を診断することができたといいます。
このシステムは、患者から20cm離れた所に置いたカメラで舌を写すことで、糖尿病、脳卒中、貧血、ぜんそく、肝臓や胆のうの疾患、新型コロナウイルス感染症、血管や胃腸の問題を予測することができるといいます。将来的には、スマートフォンを使って同様の診断ができるようになる可能性もあるとのことです。
チームは科学誌Technologiesに研究成果を発表しました。
無反応に見える脳損傷患者の中には、頭の中で呼びかけに反応しようしている人が思ったより多くいる可能性があるそうです。米国の研究チームが米医学誌New England Journal of Medicineに論文を発表しました。
チームは、外からは意識がないようにみえる脳損傷患者353人を調査。このうち241人が、「昏睡状態」「植物状態」「最小意識状態」のいずれかであると診断されました。こうした患者に、「手を閉じたり開いたりして」などと口頭で指示をしたところ、241人中60人が頭の中でこの指示を実行しようとしていることが脳波やfMRI(機能的磁気共鳴画像)から立証されたといいます。
脳は反応しているけれど体の反応はみられない状態は、「認知と運動の解離」や「隠れた意識」と呼ばれています。特に若者や事故による外傷性脳損傷患者は、この状態の可能性が高かったとのことです。
視覚処理速度を評価する検査が、認知症リスクの予測に役立つ可能性があるそうです。
英国の研究チームが、48~92歳の健康な8623人を長期にわたり追跡調査しました。このうち537人が調査終了時までに認知症と診断されたといいます。そして、認知症を発症した人は、そうでない人に比べて調査開始時に実施した視覚処理速度の検査のスコアが低いことが明らかになったとのことです。検査は、画面上をドットが動き、そこに三角形ができたらすぐにボタンを押すというテストが用いられました。
研究の結果、視覚処理速度の遅さを調べると、診断の12年も前から認知症を予測できる可能性があることが示されたそうです。視覚に関与する脳領域は、アルツハイマー病に関連する有害な「アミロイドプラーク」の影響を最初に受ける可能性があると考えられています。そのため、記憶より先に視覚の問題が認知機能低下の初期指標になり得るとのことです。
チームは2024年2月、科学誌Scientific Reportsにこの研究成果を発表しました。
スウェーデンの保健当局は15日、アフリカで感染が拡大している「エムポックス(サル痘)」について、国内で感染者が確認されたと発表しました。アフリカ以外では初めての感染例で、WHO(世界保健機関)が14日に「緊急事態宣言」を出したばかりです。
AP通信によると、欧州各国の保健当局は「輸入例」について警戒しているものの、世界的なパンデミックにつながる可能性は非常に低いとみているようです。理由について専門家は、エムポックスは主に肌と肌との接触で感染し新型コロナウイルスのような空気中のエアロゾルによって感染が広がることはない▽エムポックスは目に見える皮膚病変が起こることが多いため感染者との接触を避けやすい▽有効なワクチンや治療薬が存在する――ことなどを挙げています。
また、新型コロナは3カ月で感染者12.6万人、死者4600人を記録したのに対し、エムポックスは2022年以降の世界の感染者が10万人、死者が200人と拡大のスピードが遅いことも明らかになっています。
お酢を毎日取ると、心の健康に意外な効果をもたらす可能性があるそうです。米国の研究チームが、科学誌Nutrientsに研究成果を発表しました。
チームは、太り過ぎていること以外は健康に問題がない成人28人を2群に分けて4週間の調査を実施したそうです。その結果、メンタルヘルスを評価するアンケート調査で得られたうつ症状のスコアが、大さじ2杯の「赤ワインビネガー」を1日2回摂取した群が平均42%、少量のお酢を含有する錠剤を1日1錠摂取した群が平均18%、それぞれ低下したことが分かったといいます。
さらに、赤ワインビネガー群では、抗炎症作用に関連するとされる「ビタミンB3(ニコチン酸アミド)」の血中濃度が86%上昇することも明らかになったといいます。毎日お酢を摂取することでビタミンB3の代謝が変化し、うつ症状が軽減する可能性があるとのことです。
WHO(世界保健機関)は14日、アフリカで感染が急拡大している「エムポックス(サル痘)」について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。今回の宣言は、致死率の高い「クレード1b」と呼ばれる型がコンゴ民主共和国やその近隣諸国で急速に広がっていることを受けたものです。
エムポックスに関する緊急事態が宣言されるのは2022年7月に続いて2回目。アフリカ疾病対策センター(CDC)によると、アフリカでは今年、13カ国で計1万7千件以上の症例が報告されています。WHOによると、最も症例数が多いのはコンゴ民主共和国で、感染者は1万5600人以上、死者は537人に上るといいます。
エムポックスは、性行為やキスなどの密接な接触だけでなく、汚染されたシーツや衣類などを介しても広がる可能性があります。発熱やリンパ節の腫れ、痛みを伴う発疹が主な症状です。
米食品医薬品局(FDA)は9日、重篤なアレルギー反応「アナフィラキシー」に対処するためのエピネフリン点鼻スプレーを承認したそうです。
米CNNによると、承認されたのは米ARS Pharmaceuticals社が開発した「Neffy」という薬です。体重30kg以上の成人及び子どもが対象で、片方の鼻孔からスプレーを噴霧して投与するといいます。アナフィラキシーの一般的な補助治療剤である「エピペン(エピネフリン自己注射薬)」などと同じく、必要に応じて2回目の投与もできるそうです。
健康な成人175人を対象とした臨床試験では、Neffyを使用した場合とエピネフリンを注射で投与した場合で、血中のエピネフリン濃度が同等であることが示されたといいます。
注射針を使わずにエピネフリンを投与できるため、注射を怖がる子どもにとって使用のハードルが下がることが期待されます。ARS社は、9月末までに体重15~30kgの小児用Neffyの承認も申請する予定とのことです。
米食品医薬品局(FDA)は9日、米Lykos Therapeutics社による合成麻薬「MDMA」の「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」治療薬としての使用について、承認申請を却下したそうです。
AP通信によると、FDAは安全性や有効性を示すデータが不十分であるとして、追加の試験を求めたといいます。今年6月に開かれたFDAの諮問委員会でも、同様の理由で承認は推奨されませんでした。
Lykos社が実施した二つの小規模治験では、MDMAとトークセラピーの併用でPTSDの症状が緩和することが示されていました。しかし、FDAがデータを精査したところ、治験参加者の多くがMDMAとプラセボのどちらを投与されたかを推測できてしまっており、医学研究に不可欠な「盲検化」が維持されていないことが判明したそうです。
さらに、治験にかかわった一部の研究者が、否定的な結果を隠したり肯定的な結果を誇張したりしていたなどの不正疑惑も浮上しているといいます。
蜂蜜はヨーグルトに含まれるプロバイオティクス(人体に有益な生きた微生物)の働きを助けるそうです。
米国の研究チームがビフィズス菌の一種「ビフィドバクテリウム・アニマリス(B.アニマリス)」を含むヨーグルトに4種類の蜂蜜を加え、唾液、胃液、胆汁などを模倣した溶液を混ぜて微生物を培養したといいます。その結果、特に「クローバー蜂蜜」に、B.アニマリスの腸での生存を促進する効果がある可能性が示されたそうです。
また、健康な成人66人に対する調査で、クローバー蜂蜜入りのヨーグルトを2週間食べた上で便を調べると、B.アニマリスの腸内での生存能力が高まることが分かったといいます。さらに、36人を対象にした調査を行い、ヨーグルトに砂糖を加えても蜂蜜のような効果は得られないことを確認したそうです。
チームはこの研究成果を科学誌Journal of Nutritionに発表しました。
人工甘味料の「エリスリトール」は、心臓発作や脳卒中の一因となる血栓のリスクを高めるそうです。米国の研究チームが、研究成果を医学誌Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biologyに発表しました。
エリスリトールはトウモロコシを原料とする糖アルコールで、「ゼロカロリー」や「糖質ゼロ」の商品に使われています。チームは、健康な中年男女20人を対象に調査を実施。参加者は一晩の絶食後、30gのエリスリトールまたは砂糖(グルコース)が入った甘い水を飲んだといいます。
甘い水を飲む前と飲んだ30分後の血液を比較したところ、グルコース入りの水を飲んでも血中グルコースレベル(血糖値)の上昇はわずかだったのに対し、エリスリトール入りの水を飲むと血中エリスリトールレベルが1000倍に上昇したといいます。そして、エリスリトール群でのみ、血栓につながる「血小板凝集」が増加することが分かったそうです。
砂糖の代わりに人工甘味料を使った「ダイエット飲料」は、健康にどのような影響を与えるのでしょうか。長期的なリスクについて懸念を持つ豪州の栄養学などの研究者による記事が、The Conversationに掲載されました。
米国や豪州の当局は、人工甘味料は安全であるとの考えを示しています。しかし、ダイエット飲料を定期的かつ頻繁に飲む人は、糖尿病や心臓病のリスクが高くなることが分かっているといいます。
WHO(世界保健機関)は2023年、多くのダイエット飲料に添加されている人工甘味料「アスパルテーム」について「発がん性の可能性がある」との見解を公表。さらに、人工甘味料が長期的な体重管理に直接的な効果をもたらさない可能性があるとの研究結果も発表しています。
その上、ダイエット飲料の過度な摂取は消化器系や肝臓の炎症、歯が溶けてしまう「酸蝕」につながる恐れもあるといいます。
臓器移植後の免疫抑制剤として広く使用されている「ラパマイシン」で、卵巣の老化を遅らせることができる可能性があるそうです。英大学の生殖生物学の専門家による記事がThe Conversationに掲載されました。
記事では、米国の研究チームによる調査結果を紹介しています。チームは、閉経周辺期に入った35~45歳の女性50人を対象に3カ月間の調査(治験)を実施しました。
その結果、週1回ラパマイシンを投与された人は、卵巣の老化が20%抑制することが示されたそうです。副作用はなかったとのことです。
これは、妊娠可能な期間が5年延長されることを意味する可能性があるといいます。月経周期に合わせて卵巣で育つ卵胞の数をラパマイシンが制限することで、この効果がもたらされると考えられるとのことです。
なお、この結果を受け、治験を1000人規模に拡大して実施する見込みだそうです。
インフルエンザウイルスの感染の広がりを防ぐために換気をしても、環境によってはあまり効果が得られないそうです。米国の研究チームが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に論文を発表しました。
チームは、人の子どもと似た動きをするとされるフェレットを使って、保育所を再現した環境で実験を行ったそうです。おもちゃがあるベビーサークル内で、インフルエンザにかかっているフェレット1匹と非感染フェレット4匹を数時間遊ばせ、ウイルスの広がりを調査したといいます。その結果、きちんと換気をしたとしても、ウイルスが感染するフェレットの数はほとんど変わらないことが分かったそうです。
換気をすると空気中のウイルス量がわずかに減るものの、サークル内の物に付着したウイルス量は、換気レベルが低い場合と同程度だったといいます。また、感染リスクに重要な影響を及ぼすのは、一緒に過ごした時間の長さではなく、お互いの距離の近さや物を介した間接的な接触である可能性も示されたとのことです。
植物由来の成分を配合するサプリメントは、過剰に摂取すると肝障害につながる可能性があるそうです。米国の成人の約5%がそういった危険性のあるサプリを使用していることが分かったと、米国の研究チームが医学誌JAMA Network Open に発表しました。
ウコン、緑茶、アシュワガンダ、ガルシニア・カンボジア、紅麹、ブラックコホシュの6種類のサプリが肝臓に負担をかける可能性があるといいます。チームが、米国の成人9685人のデータを分析したところ、4.7%がこのうち一つ以上を摂取していることが判明。
最も多かったのはウコンのサプリで、関節痛などを和らげるために推定1100万人以上が定期的に摂取しているとみられるそうです。同じ目的で非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を使用しているのは1480万人おり、あまり変わらない数だといいます。
薬物性肝障害のうち、こうしたサプリの過剰摂取などによる症例の割合は、2004~05年の7%から13~14年は3倍近い20%に増加しているとのことです。
2型糖尿病や肥満の治療に使われるGLP-1受容体作動薬の一種「リラグルチド」が、アルツハイマー病(AD)に有効な可能性があるそうです。英国の研究チームが米国で開かれたアルツハイマー病協会国際会議(AAIC2024)で発表し、Medical Xpressが報じました。
チームは、軽度AD患者204人を対象に調査を実施。最大1.8mgのリラグルチドを1年間毎日投与した群は、プラセボ群に比べてADの特徴である脳萎縮が50%近く減少したそうです。リラグルチド群は、認知機能の低下が18%遅くなることも分かったといいます。
リラグルチドがどのように脳に作用するかは明らかになっていませんが、炎症やインスリン抵抗性、AD関連のタンパク質であるアミロイドβやタウの毒性などを低減する可能性があるそうです。現在二つの治験が行われており、結果は2025年末に明らかになる予定とのことです。
WHO(世界保健機関)のアメリカ地域事務局である汎米保健機構(PAHO)は2日、ブラジルで「オロプーシェ熱」によって若い女性2人が死亡したとみられることなどを受けて、疫学的警告を出しました。
オロプーシェ熱は、ヌカカ(ハエ目の微小昆虫)や蚊に刺されることで「オロプーシェウイルス」に感染して発症する熱性疾患です。米疾病対策センター(CDC)によると、症状はデング熱に似ており、発熱、頭痛、筋肉痛などが生じます。妊婦が感染すると、ジカウイルス感染症でもみられる胎児の「小頭症」や死産につながる可能性もあるそうです。ワクチンや特効薬はありません。
NBC Newsによると、中南米では今年に入り、少なくとも8078件のオロプーシェ症例が報告されています。このうち約90%(7284件)はブラジルで確認されており、昨年1年間の832件から急増しているそうです。
アルツハイマー病(AD)の遺伝的な危険因子である「APOE4遺伝子」を持つ人は、積極的に魚油を摂取するといいかもしれません。
米国の研究チームが、魚油に多く含まれる「オメガ3脂肪酸」の血中濃度が低い75歳以上の102人を対象に調査を実施しました。参加者は、脳深部の神経線維が集まる大脳白質に、白質病変と呼ばれる虚血状態の部分が比較的高いレベルで見られ、認知症リスクが高めだったそうです。
3年間にわたる調査を行い、魚油を毎日摂取した群とプラセボ群を比較したところ、白質病変の進行抑制については統計的な有意差は認められなかったといいます。しかし、APOE4遺伝子を持つ高齢者だけを調べてみると、魚油の摂取開始からわずか1年で、脳細胞の破壊が劇的に抑制されることが分かったそうです。
チームは医学誌JAMA Network Openに論文を発表しました。
既存の抗菌薬の治療だけでは効果がない「人食いバクテリア」などに広く効果が期待できる化合物を発見したと、米国の研究チームが科学誌Science Advancesに発表しました。
チームは、細菌感染と戦う能力を持つ化合物を使い、「GmPcides」と名付けた新たな抗菌薬を開発したそうです。そして、劇症型溶血性レンサ球菌感染症を引き起こすA群溶血性レンサ球菌をマウスに感染させて軟部組織壊死を発生させ、GmPcidesで治療したといいます。
すると、皮膚潰瘍は小さく、感染からの回復も早かったとのことです。GmPcidesは細菌の病原性を抑え、感染による皮膚損傷の治癒を早めることが示されました。
また、チームは、病気を引き起こすことのある腸球菌やブドウ球菌などにもGmPcidesが効果を発揮することを確認。さらに、GmPcidesに対する薬剤耐性菌は出現しにくいことも分かったそうです。
細胞の核を未分化の状態にリセットする「リプログラミング」の技術で、加齢に関連するアルツハイマー病(AD)をモデル化することに成功したそうです。米国の研究チームが米科学誌Scienceに成果を発表しました。
チームは、患者の皮膚から採取した線維芽細胞を神経細胞(ニューロン)に転換し、脳の環境を模倣した塊(スフェロイド)を作製。AD患者由来のスフェロイドでは、ADに関連するタンパク質であるアミロイドβやタウの蓄積、ニューロン死が確認できたそうです。
一方、健康な高齢者由来のスフェロイドでも少量のアミロイドβ沈着が確認され、この技術が患者自身の加齢の影響を反映できることが明らかになりました。
AD患者由来のスフェロイドを使った実験では、アミロイドβプラークの形成を阻害する薬剤の早期投与や、B型肝炎やエイズの抗ウイルス薬「ラミブジン(3TC)」の投与が治療に有効である可能性が示されたそうです。
大腸がんの発症リスクが高いとされる生活習慣を持つ人は、「アスピリン」を服用するとその発症を予防できるかもしれません。米国の研究チームが研究成果を医学誌JAMA Oncologyに発表しました。
チームは、調査開始時に平均年齢49.4歳だった男女10万7655人を30年以上にわたり追跡。大腸がんの10年累積罹患率は、アスピリンを定期的に服用した人が1.98%だったのに対し、定期的に服用しなかった人は2.95%だったそうです。
特に、BMIや喫煙の有無などから算出した生活習慣スコアが最も低い(不健康な)群においては、アスピリンを服用しなかった人で3.4%だった大腸がん罹患率が、アスピリンを服用した人では2.12%に抑制されたといいます。一方、最も健康な群がアスピリンを服用しても、罹患率は1.6%から1.5%とわずかな低下にとどまりました。
過去の研究によると、アスピリンは毎日低用量(81mg)を服用するといいそうです。
アルツハイマー病(AD)と間違われやすい認知症があるそうです。米国などの研究チームが、この認知症を「LANS(辺縁系優位型健忘性神経変性症候群)」と名付け、ADと区別するための基準を科学誌Brain Communicationsに発表しました。
LANSは、ADと似た記憶障害があるにも関わらず、脳画像やバイオマーカーからは明らかにADではないこと分かるそうです。チームは、ゆっくりとした進行▽高齢(主に80歳以上)であること▽症状が軽度▽海馬の萎縮――などの項目を含む基準を設定しました。
そして、この基準を使って遺体の解剖(剖検)で診断が付いたADまたはLANS患者について、生前のデータを基に分類を行ったといいます。その結果、ADとLANSの患者を70%以上の精度で分類できることが分かったそうです。
血液検査でアルツハイマー病(AD)を高い精度で検出できることを実証したと、スウェーデンの研究チームが医学誌JAMAに成果を発表しました。
「APS2」と呼ばれるこの検査は、ADに関係するタンパク質「アミロイドβ」と「タウ」について、血漿(けっしょう)に含まれる正常なタンパク質と異常なタンパク質の比率の組み合わせを用いて調べるそうです。
チームは、認知症状のためにプライマリケア医や専門の医師の診察を受けた患者1213人を対象に調査を実施しました。その結果、APS2を使うと、プライマリケア医も専門の医師も91%の精度でADを特定できることが分かったそうです。一方で、認知検査や臨床検査を使った標準的な評価方法によるADの検出精度は、プライマリケア医で61%、専門の医師で73%だったといいます。
低用量アスピリンは、インフルエンザの妊婦の血管炎症を治療し、胎盤への血流を改善させる可能性があるそうです。豪州などの研究チームが医学誌Frontiers in Immunologyに、マウスを使った研究の成果を発表しました。
妊娠中にインフルエンザにかかると、大動脈や血管に炎症を引き起こす「妊娠高血圧腎症」に似た状態に陥るリスクがあります。そこでチームは、妊娠高血圧腎症の予防に使われる「低用量アスピリン」に着目し、妊娠マウスを使って調査を行いました。
A型のインフルエンザウイルスに感染したマウスは、そうでないマウスに比べて胎児の血液に供給される酸素が少なく、血管の発達も悪かったそうです。しかし、低用量アスピリンを毎日投与したマウスは炎症が少なく、胎児の発達や生まれた子どもの生存率が向上したといいます。
ヒトでの臨床試験はまだ行われていませんが、妊娠中の低用量アスピリンの服用は安全であるとの認識が一般的です。
ビタミンB2(リボフラビン)とビタミンB7(ビオチン)がパーキンソン病(PD)の治療に役立つ可能性があることを腸内細菌叢(腸内フローラ)の解析から発見したと、名古屋大学の研究チームが医学誌npj Parkinson’s Diseaseに発表しました。
チームは、全ての遺伝物質を解析するショットガンメタゲノムという手法を用いて、日本や米国を含む5カ国のPD患者から採取した便を分析。PDと診断された患者は、ビタミンB2とB7の合成に関与する腸内細菌の遺伝子が減少していたそうです。
ビタミンB2とB7には、PDなどでみられる神経炎症を抑制する抗炎症作用があります。さらにこの二つのビタミンは、炎症を引き起こす毒素が血流に入るのを防ぐ腸管バリア機能を維持する「短鎖脂肪酸(SCFA)」と「ポリアミン」の産生や働きにも関与するといいます。
PD患者の便中代謝産物を調べたところ、SCFAとポリアミンが減少していることも示されたとのことです。
パーキンソン病は、神経伝達物質「ドパミン」を産生するドパミン神経細胞が失われる病気です。米国の研究チームが、ヒト人工多能性幹細胞(ヒトiPS細胞)由来の、ドパミン神経細胞に分化する手前の前駆細胞を使った新たな細胞治療について、サルの実験で安全性と実行可能性を確かめたと、医学誌Journal of Neurosurgeryに発表しました。
チームはカニクイザル6匹の脳に、ヒトiPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を注入したそうです。MRI技術を活用して、特定の領域に正確に細胞を移植したといいます。
Medical Xpressによると、移植から7日後と30日後に組織を採取して分析したところ、5匹の脳で移植細胞が生き続けていたとのこと。さらに、周囲の細胞と接続するために若い神経細胞が放出するタンパク質の存在も確認されたといいます。
この結果を受け、4月から臨床試験が行われているそうです。
米食品医薬品局(FDA)が7月29日、ガーダントヘルス社が開発した血液による大腸がん検査「Shield」を承認したそうです。米NBC Newsなどが報じました。Shieldは腫瘍から血液中に放出される特有のDNAを測定することで大腸がんを検出します。
米国の研究チームが今年3月、米医学誌New England Journal of Medicineに、約8000人を対象に行ったShieldの研究結果を発表しています。それによると、Shieldの大腸がん検出の感度は約83%だそうです。
ただ、腫瘍由来のDNAは進行した大腸がんから多く放出されるため、Shieldが最も効果を発揮するのはその段階のがんの検出だといいます。実際、3月に発表された研究結果でも、初期ポリープは13%しか検出されなかったとのこと。
なお、Shieldの結果だけでは大腸がんの診断はできず、陽性が出た場合は内視鏡による精密検査が推奨されるそうです。