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血管収縮作用や抗炎症作用によって片頭痛の痛みを和らげる「トリプタン系薬」は、最新の高価な片頭痛治療薬(ラスミジタンやリメゲパント、ユブロゲパント)より効果が高い可能性があるそうです。英国などの研究チームが医学誌BMJに発表しました。
研究チームは、17種類の片頭痛向け経口薬やプラセボの効果を比較した137の臨床試験から、平均年齢40歳の成人8万9445人分(86%が女性)のデータを分析したそうです。その結果、服用から2時間の時点で、痛みの緩和に最も効果があるのはトリプタン系の「エレトリプタン」で、続いて同じくトリプタン系のリザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタンが有効なことが分かったといいます。
また、痛みを24時間にわたって和らげるのに最も有効なのは、エレトリプタンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のイブプロフェンだったとのことです。
チームは、この研究結果から、トリプタン系薬の使用を世界的に促進し、国際的なガイドラインを見直す必要があると指摘しています。
アルツハイマー病(AD)患者は大腸がんを発症する人が少なく、反対に大腸がん患者はADを発症する人が少ないといわれているそうです。中国の研究チームが、マウスの実験で大腸がんとADに逆相関の関係が生じることを明らかにしたとして、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表しました。
チームはまず、大腸がんを誘発する薬剤をマウスに投与して調査。元々ADの症状があったマウスは、そうでないマウスに比べてがんを発生する可能性が低いことが分かったそうです。次に、ADマウスに健康なマウスの便を移植したうえで大腸がんを誘発したところ、がんが発生する可能性が健康なマウスと同程度になったといいます。
マウスの腸内細菌叢を調べたところ、ADマウスには「プレボテラ属細菌」が多いことが判明。同じことが軽度認知障害と診断された患者でも確認されたといいます。
プレボテラ属細菌の細胞壁の成分であるリポ多糖を健康なマウスに投与したところ、認知機能が低下する一方、大腸がんを発生する可能性は低かったとのことです。
慢性的なストレスは記憶力や社会性を損なう原因になるといいます。モロッコの研究チームが、モロッコ原産の植物「ユーフォルビア・レシニフェラ(白角キリン)」の樹脂から作られた「プロポリス」でそれを改善できる可能性があると、科学誌Neuroscience and Behavioral Physiologyに発表しました。
プロポリスはミツバチが樹脂と唾液を混ぜて作る粘り気のある物質で、ミツバチの巣の材料として使われます。
チームは、雄の成体ラット18匹を3群に分け、このうち二つの群のラットに対し1日2回、6週間にわたって軽度のストレスを与えたといいます。次に、この2群のうち片方の群のラット対し、ユーフォルビア・レシニフェラから抽出したプロポリスを毎日2週間経口投与したそうです。
その結果、マウスの海馬が保護され、記憶力が改善することが明らかになったといいます。さらに、この群のラットは、ストレスを受けた後にプロポリスを投与されなかったラットに比べて、面識のないラットと交流する傾向が強くなったとのことです。
近視の子どもが世界中で増加しているそうです。中国の研究チームが、世界50カ国の子ども540万人以上のデータを分析した結果を医学誌British Journal of Ophthalmologyに発表しました。
チームの調査で、1990年に24.32%だった世界の子どもの近視有病率は、2023年には35.81%に上昇したことが明らかになったといいます。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に子どもたちが長期間外に出られなかったことが関連している可能性があり、50年までに世界の子どもの近視有病率は39.8%に達すると予測されています。
子どもの近視の割合が最も高いのはアジアで、なかでも日本の85.95%は世界1位だといいます。一方、南米のパラグアイや東アフリカのウガンダでは約1%と最も低いとのことです。英国や米国では約15%でした。
英国の専門家によると、近視リスクを抑制するには、7~9歳の間は毎日少なくとも2時間外で過ごすべきだといいます。また、近視は遺伝する可能性が高く、親が近視の場合、子どもの近視リスクは3倍になるとのことです。
肝臓や腎臓は他の臓器に比べて急速に老化するそうです。スイスの研究チームがその理由を解明したと、科学誌Cellに論文を発表しました。
外部との接触が多い皮膚や腸は1週間に1~2回、DNAの複製によって細胞が入れ替わるそうですが、肝臓や腎臓は1年間に数回とその頻度が非常に低いといいます。チームは、若いマウスと高齢マウスの肝臓の3分の2を切除して幹細胞を調査。切除による損傷から回復するためのDNA複製が「非コード領域(ゲノムの中でタンパク質を生成する情報を持たない領域)」で開始することが分かったそうです。
「コード領域」では、遺伝子が活性化している時にDNAの損傷を検出して修復します。一方で、「非コード領域」ではDNAを複製する時にだけそれが行われます。そのため、DNA複製頻度が低い肝細胞では、時間の経過とともにさまざまなDNA損傷が蓄積してしまうそうです。DNA損傷が蓄積すると「警報システム」が作動して、DNAの複製自体が妨げられます。細胞は増殖できなくなり、細胞機能の低下や組織の老化につながるといいます。
抗菌薬は2種類のメカニズムを介して腸管粘膜のバリア機能にダメージを与える可能性があるようです。スウェーデンなどの研究チームが科学誌Science Advancesに論文を発表しました。
チームは6カ月以上前に抗菌薬治療を少なくとも5クール受けたことがある人と10年以上抗菌薬を使用していない人の便のサンプルを比較しました。その結果、度重なる抗菌薬の使用により腸内細菌叢(腸内フローラ)の組成が変化し、さらにその変化が最後の治療から少なくとも6カ月にわたって持続することが明らかになりました。そして、過去に抗菌薬を繰り返し使った人の腸内細菌叢をマウスに移植すると、腸粘液層の機能が損なわれ、細菌の侵入が容易になることも示されたといいます。
一方、無菌マウスに抗菌薬「バンコマイシン」を投与した別の研究では、抗菌薬が腸内細菌叢とは無関係に、粘液層に直接作用することも分かったそうです。抗菌薬の投与からわずか数分以内に腸管を保護する粘液の分泌が阻害されることが確認されたとのことです。
米疾病対策センター(CDC)は20日、中西部のミズーリ州で動物との接触歴がない成人1人に鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が感染したことに関連して、この感染者に接触した医療従事者の1人が呼吸器症状を呈したことが新たに分かったと発表しました。
CDCはこの前週、感染者の同居家族1人にインフルエンザに関連する可能性のある胃腸症状が出て、今回とは別の医療従事者1人に呼吸器症状が出たと報告していました。家族は検査を受けることなく回復し、1人目の医療従事者はインフルエンザの検査で陰性だったといいます。
今回新たに判明した2人目の医療従事者も詳しい調査が始まる前に回復したため、検査は受けておらず、これから鳥インフルの抗体の有無を調べる血液検査が行われる予定とのことです。
CDCによると、発端となった感染者の感染経路についてはまだ明らかになっていないそうです。
新型コロナウイルス感染症の起源を知るための重要な手がかりが見つかったようです。米国などの研究チームが、科学誌Cellに研究成果を発表しました。
チームは、中国武漢市の海鮮市場で採取した遺伝物質を解析しました。武漢市は新型コロナの集団感染が最初に確認された都市です。その結果、この市場で売られていたタヌキ、ジャコウネコ、タケネズミがパンデミックの引き金になった可能性が高いことが判明したそうです。
チームは、新型コロナに感染した動物が2019年11月下旬に初めて市場に持ち込まれ、そこからヒトへの感染拡大につながったと考えているといいます。また、市場にいたタヌキは、中国南部に多く生息する種類であることも分かったといいます。
こうした発見は、新型コロナの自然宿主がどの地域に存在するのかを特定するのに役立つとのことです。
がん細胞が持つ「体内時計(概日リズム)」に合わせて化学療法を行うと、治療効果が大幅に向上する可能性があるそうです。
ドイツとルクセンブルクの研究チームが、細胞の概日リズムや薬剤への反応をモデル化して観察する新たなスクリーニング法を開発。増殖や広がりが早く、治療が難しいとされるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞の解析をしたところ、一日の中でいつ化学療法薬を投与するかによって治療の効果が最大30%異なることが明らかになりました。
ある特定の細胞株(HCC1937)については、約24時間の概日リズムの中で「10~12時間」または「18~20時間」の時点で治療をすると、全体的な恩恵が最も高まることが分かったといいます。化学療法薬「フルオロウラシル(5-FU)」は、「8~10時間」の時点での投与が有効であることが、明確に示されたとのことです。
チームは研究成果を科学誌Nature Communicationsに発表しました。
「顔面移植」の結果は長期的に良好であることが明らかになったそうです。フィンランドの研究チームが、世界でこれまでに実施された全ての顔面移植に関するデータを分析し、医学誌JAMA Surgeryに発表しました。
顔面移植は2005年に初めて実施され、それ以降、世界11カ国(北米、欧州、中国、ロシア)で患者48人対して計50件が行われました。このうち52%が顔全体の移植で、48%は部分的な移植だったといいます。
顔面移植を受けた患者の5年生存率は85%、10年生存率は74%だそうです。移植そのものに関連する死亡に限ると、5年生存率は96%、10年生存率は83%に上がるといいます。
肝臓移植の10年生存率が61%、心臓移植の10年生存率が65%であるといい、チームは顔面移植の生存率の高さが浮き彫りになったとしています。失敗したとみられる顔面移植6件のうち4件は、拒絶反応が原因だったとのことです。
遺伝子の異常によって視力低下や視野欠損が起こる「レーベル先天黒内障(GUCY2D遺伝子の変異に起因するレーベル先天黒内障:LCA1)」に対する遺伝子治療が行われ、初期の治験で有望な結果を示したそうです。米国の研究チームが英医学誌The Lancetに論文を発表しました。
チームは、深刻な視力障害があるLCA1患者15人(3人が小児)の網膜下に、遺伝子治療薬「ATSN-101」を三つの異なる用量で投与することで、安全性と有効性を確認する治験を実施しました。その結果、高用量のATSN-101を投与された患者9人の光に対する感度が、平均で100倍向上することが明らかになったそうです。さらにこのうち2人については、光感度が1万倍になったといいます。
こうした効果は、ほとんどの患者で薬の投与から1カ月以内に現れ、少なくとも12カ月は継続しているそうです。なお、重篤な副作用は認められなかったとのことです。
数杯のコーヒーを毎日飲むことで、2型糖尿病、冠状動脈性心疾患、脳卒中のうち二つ以上を持つ「心代謝性疾患の多疾患併存(CM)」のリスクを抑えることができるそうです。中国とスウェーデンの研究チームが、医学誌Journal of Clinical Endocrinology & Metabolismに研究成果を発表しました。
チームは、英国バイオバンクから抽出したCMではない37~73歳の成人36万人のデータを分析しました。12年間追跡したデータを調べたところ、カフェインを1日200~300mg取る人は、カフェイン摂取量が100mg未満の人に比べてCM発症のリスクが低くなることが分かったといいます。
特に、カフェインを1日3杯のコーヒーから取る人はCMリスクが最も低く、CM発症リスクが約50%抑制されたそうです。また、200~300mgのカフェインを紅茶や緑茶から取る人や、コーヒーと紅茶や緑茶の両方から取る人は、リスクが約40%低くなったといいます。
抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」の脅威は、今後25年で一段と増していくようです。米国などの研究チームが、5億2000万件のデータを基に世界204の国と地域における薬剤耐性菌による健康への影響を分析し、英医学誌The Lancetに論文を発表しました。
チームの分析によると、2050年までの25年間で3900万人以上が薬剤耐性菌により死亡すると推計されます。また、薬剤耐性菌が原因の死亡者は50年に191万人となり、22年と比べた年間の死者数は約70%増加すると考えられるそうです。
ワクチンの予防接種や感染症対策が進んだことにより、1990~2021年で薬剤耐性菌による5歳未満の子どもの死者数は50%以上減少したといいます。しかし、感染した時には治療が難しくなっているとのことです。また、70歳以上の死者数は同期間に80%以上増加しており、これらの傾向は今後も続く見通しだといいます。
チームは、不適切な抗菌薬の使用を最小化することや新しい抗菌薬の開発、感染症の予防対策などで、2025~50年で合計9200万人の命を救うことができるとしています。
新生児の腸に最初に定着する「先駆細菌」は3種類に分類され、そのうちの一つが乳幼児の健康を守るために非常に重要な役割を持つことが明らかになったそうです。英国の研究チームが研究成果を科学誌Nature Microbiologyに発表しました。
チームは、英国内で生まれた生後1カ月未満の健康な乳児1288人とその母親の一部から提供された計2387の便のサンプルについて、全ゲノム解析を行いました。その結果、全ての乳児が、有益なビフィズス菌の一種であるB. longumかB. breve、感染症を引き起こすリスクのあるE. faecalisの三つのうちのいずれかを腸内先駆細菌として保有していることが明らかになったそうです。
また、B. longumは分娩(ぶんべん)時に母親から受け継がれるのですが、B. breveはそうでないことも分かったといいます。そして、B. breveは母乳の栄養を最大限に活用する働きを持っており、病原菌が腸に定着するのを防ぐ役割も果たすそうです。
チームは、B. breveが乳児向けの新たなプロバイオティクスの開発に役立つ可能性があるとしています。
米国の研究チームが、近年アルツハイマー病(AD)の治療薬として開発された複数の「抗アミロイドβ(Aβ)モノクローナル抗体」について、その効果に関する新たな説を科学誌Brainに発表しました。チームは、この薬が認知機能低下の進行を遅らせるのは、ADとの関連が指摘されている脳内のタンパク質Aβを除去するためではなく、あるタンパク質を増加させることが理由だとしています。
チームが発見したのは、脳脊髄中の「アミロイドβ42(Aβ42)」というタンパク質を増加させる作用だといいます。Aβ42はアミロイドβの一種で、構成するアミノ酸の数が通常のAβより多いタンパク質です。
チームは、ADを引き起こすのはAβの蓄積ではなく、可溶性Aβ42の減少であるとの仮説を基に、抗Aβ抗体に関する24の治験に登録されたAD患者2万5966人のデータを分析したそうです。
その結果、抗Aβ抗体の投与後に起こる脳脊髄液中のAβ42レベルの上昇が、認知障害の進行を遅れさせることに単独で関連していることが明らかになったといいます。
米中西部のミズーリ州で8月末、動物との接触歴がない鳥インフルエンザ感染者が確認されました。米疾病対策センター(CDC)は13日、この感染者から検出したウイルスについて、米国内の乳牛の間で流行している株と密接な関係があることが明らかになったと発表しました。
遺伝子解析の結果、ウイルスはH5N1型であることが判明し、感染力や重症化リスクが高まっていることを示す変異は確認されなかったそうです。感染経路は不明です。この感染者は胸の痛みや嘔吐、下痢などの症状で病院を受診。基礎疾患を有していたため入院し、検査で鳥インフル感染が判明したといいます。
感染者の家庭内濃厚接触者の1人が同じ日に同様の症状を呈したものの、回復したそうです。家族は検査を行っていないとのことです。CDCは、2人が同時に発症していることから、ヒトからヒトへの感染を裏付けるものではないとしています。
また、濃厚接触者である医療従事者も軽度の症状が出ましたが、インフルエンザの検査では陰性だったとのことです。
小児向け抗てんかん薬として一般的な「スルチアム」が、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」の治療に有効な可能性があるようです。スウェーデンの研究チームが、オーストリア・ウイーンで9月7~11日に開かれた欧州呼吸器学会(ERS)で発表し、科学技術メディアNew Atlasが報じました。
チームは、OSA患者298人を対象に12週間の調査を実施。睡眠中の呼吸障害を評価する無呼吸低呼吸指数を調べたところ、呼吸停止の頻度が、スルチアムを毎日300mg服用した群で39.9%、200mg服用した群で34.8%、100mg服用した群で17.8%、それぞれ低くなることが明らかになったそうです。さらに、血中酸素飽和度の改善や日中の倦怠(けんたい)感の軽減も確認されたといいます。
副作用としてしびれや頭痛などがみられたものの、軽~中等度だったそうです。マウスピースやCPAP(持続陽圧呼吸療法)が合わないOSA患者にとって、スルチアムが治療の選択肢になる可能性が示されました。
ゴリラは自己治療のために植物を食べるそうです。その植物から将来の創薬の手がかりが見つかる可能性があるとして、アフリカ中部ガボンの研究チームが国内の国立公園で調査を行い、成果を科学誌PLOS ONEに発表しました。
チームはまず、ニシローランドゴリラが食べる植物を記録しました。そして、地元の伝統治療師への聞き取りを基に、現地の人々のさまざまな症状の治療に使うという「パンヤノキ」「ジャイアントイエロー・マルベリー」「アフリカンチーク」「イチジクの木」の4種類に着目したそうです。詳しく調査した結果、これらの木の樹皮には抗菌・抗酸化作用のある「フェノール類」や「フラボノイド」など薬効のある物質が含まれていることが分かったといいます。
また、これらの樹皮が少なくとも1種類の大腸菌の多剤耐性株に抗菌活性を示すことが確認されたそうです。特にパンヤノキは、調査した全ての多剤耐性株に対して著しい抗菌活性を発揮したとのことです。
自分の体を攻撃する抗体ができてしまう自己免疫疾患「全身性エリテマトーデス(SLE)」の重症患者が、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬「teclistamab(テクリスタマブ)」で寛解したそうです。ドイツの研究チームが、医学誌New England Journal of Medicineに発表しました。
チームはテクリスタマブに、自己抗体を産生する形質細胞やその前駆細胞を破壊する作用があることに着目。既存の治療法が効かない重度のSLEに苦しむ23歳の女性に対し、5週間にわたり5回投与しました。すると、わずか数週間で女性の腎臓機能や赤血球数が改善し、皮膚や関節の炎症は完全に消失したといいます。
治療開始から6カ月近くが経過した現在も、自己抗体は検出されておらず、女性は寛解状態を保っているそうです。ただし副作用として、免疫系を活性化させるサイトカインの大量放出によって起こる「サイトカイン放出症候群」を発症し、肺炎や副鼻腔炎などが生じたとのことです。
米国の産科医療が深刻な危機に直面しているようです。妊婦と赤ちゃんの健康増進を支援する米非営利団体「マーチ・オブ・ダイムス」が報告書を発表し、米CNNが報じました。
CNNによると、報告書は、米国で分娩を扱う医師の離職や産科病棟の閉鎖が増加していることを指摘しています。その背景には、職員の不足、診療報酬の低さ、出生数の減少などがあるといいます。また、2022年に連邦最高裁判所が中絶を認めた過去の判断を覆したことで、一部の州では中絶に関与する産婦人科医が免許を剥奪されるなどのリスクにさらされているそうです。
なお、南部や中西部の農村地域を中心に、全郡の35%以上(1104郡)で分娩設備または産科医がゼロの状態だといいます。ここには230万人以上の生殖可能年齢の女性が居住していますが、こうした地域に住むことで早産リスクが13%高まるとのことです。
報告書は、産科医療のアクセスを改善するために、助産師の活用を提唱しているそうです。
「乳幼児突然死症候群(SIDS)」のリスクの予測は、現状ではできません。しかし米国の研究チームが、既存の検査(新生児マススクリーニング検査)の項目に含まれる代謝産物を調べることで、そのリスク予想が可能になるかもしれないとの研究成果を、医学誌JAMA Pediatricsに発表しました。
新生児マススクリーニング検査は、新生児のかかとから血液を採取し、先天性疾患の有無を調べるもので、米国では全ての州で実施が義務付けられているといいます。チームは、SIDSで死亡した乳児354人とSIDSを発症しなかった乳児1416人について、この検査のデータを比較したそうです。
その結果、SIDSのリスク上昇に関連する8種類の代謝産物が特定されたそうです。この代謝産物から予測した「SIDS高リスク児」は、「SIDS低リスク児」に比べてSIDSを発症する確率が14倍高くなることが分かったといいます。高リスク児は、糖や脂肪の使用や分解に困難を抱えている可能性があるとのことです。
新型コロナウイルス感染症対策として行われたロックダウン(都市封鎖)による社会的交流の減少が、子どもたちの脳に悪影響を及ぼした可能性があるようです。米国の研究チームが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に論文を発表しました。
米国の研究チームが、9~17歳の男女160人を対象に調査を実施。2018年とロックダウン後の21年に、論理的思考や意思決定などの機能を制御する「大脳皮質」の厚さを、MRIの脳画像から測定して比較しました。大脳皮質は年齢を重ねるにつれて自然に薄くなり、慢性的なストレスも脳に同様の変化を引き起こす可能性があるといいます。
子どもたちの大脳皮質は3年間で予想よりもはるかに薄くなっており、男子は1.4年、女子は4.2年、脳の老化がそれぞれ早まったことが示されたそうです。特に女子は、脳の30の領域で厚さが薄くなる現象が確認されたといいます。こうした脳の変化が、うつや不安、行動障害の増加に関連している可能性があるとのことです。
前立腺がんの治療で行う、男性ホルモンのアンドロゲンの分泌を抑える「アンドロゲン除去療法(ADT)」は、アルツハイマー病(AD)リスクの上昇と関連しているといいます。米国の研究チームがそのメカニズムの一端を解明したと、科学誌Science Advancesに論文を発表しました。
チームは、前立腺がんを持つADモデルマウスに8週間のADTを実施し、ADTとAD関連認知障害の関連性を分析しました。その結果、ADTによって、認知機能低下に関連する神経炎症が増進する可能性が示されたそうです。ADTが、脳の毛細血管にあるバリア機能「血液脳関門(BBB)」の完全性を損なわせ、免疫細胞の脳内への侵入が促されることが原因だといいます。
この際、AD関連のタンパク質アミロイドβの蓄積に変化は見られなかったとのこと。なお、免疫細胞の浸潤を阻害する既存薬「ナタリズマブ」をADTと併用すると、神経炎症が抑制され、マウスの認知機能が改善することも分かったそうです。
新型コロナウイルス感染症後の後遺症で認知障害が起こることがあります。米国などの研究チームが、これがアルツハイマー病(AD)による脳の変化と似たメカニズムで発生することを明らかにしたと、医学誌Alzheimer’s & Dementiaに発表しました。
チームは、コロナ感染後に起こる認知障害がADおよび関連認知症(ADRD)のメカニズムと重複するかどうかを調べるため、システマティックレビュー(系統的レビュー)を実施しました。その結果、コロナ後遺症患者に見られる脳波の異常が、ADRDの初期段階で観察されるものと類似していることが明らかになったそうです。
こうした脳波の異常は、脳の働きを助ける細胞であるアストロサイトの過剰な活性、神経炎症、低酸素状態、神経血管損傷などに起因する可能性があるといいます。チームは、認知障害を予防したり進行を緩やかにしたりすることができる可能性があるため、コロナ患者の脳波を測定することの重要性を強調しています。
子宮頸がんなどの原因となる「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が、男性の生殖能力に影響を及ぼす可能性があるようです。アルゼンチンの研究チームが、HPVワクチン未接種の18歳以上の男性205人の精液サンプルを分析し、その結果を科学誌Frontiers in Cellular and Infection Microbiologyに発表しました。
参加者の男性のうち19%に当たる39人がHPV検査で陽性となり、20人の男性がHPVの中でも子宮頸がん、肛門がん、中咽頭がんなどの悪性腫瘍を引き起こす可能性が高い「高リスク株」の感染者だったといいます。
これらの男性は、HPVに感染してない男性に比べて、精液中に死んだ精子の割合が高いことが分かったそうです。また、精子の損傷やDNAの変化につながる白血球の減少、活性酸素種の増加も認められたといいます。一方で、「低リスク株」が感染していた男性については、同様の関連は認められなかったとのことです。
米疾病対策センター(CDC)は6日、中西部のミズーリ州で動物との接触歴がない成人1人の鳥インフルエンザ(H5)感染が判明したと発表しました。鳥インフルの感染者は今年14人目で、養鶏や酪農の関係者以外が感染した事例は米国で初めてです。CDCがウイルスの型などを含め詳細の分析を進めているそうです。
米国では今年に入ってから、乳牛や家禽の間で鳥インフルエンザH5が流行しており、感染動物と接触した13人が感染したことが分かっています。今回感染が確認された患者は基礎疾患があり、8月22日に入院して抗ウイルス薬で治療を受けた後、回復したといいます。また、患者との濃厚接触者への感染は確認されていないとのことです。
ミズーリ州では、家禽や野鳥の鳥インフル感染が確認されていますが、乳牛の感染は報告されていません。なおCDCは、今のところ一般市民へのリスクは低いままだとしています。
「塩化ナトリウム(食塩)」が、がんに対する免疫応答の強化に役立つ可能性があるそうです。ドイツの研究チームが論文を科学誌Nature Immunologyに発表しました。
チームは、まず、乳がん患者の腫瘍においてナトリウムイオン濃度が上昇していることを発見。そして、ナトリウムイオン濃度が高い環境では、がん細胞やウイルス感染細胞を殺傷する「CD8陽性T細胞」が腫瘍に対して特に高い攻撃力を発揮することを突き止めたといいます。
ヒトCD8陽性T細胞を使った生体外実験では、塩化ナトリウムが糖やアミノ酸の取り込みを促進し、細胞内のエネルギー産生を増加させることにより、T細胞の代謝機能が向上することが示されました。そしてその結果、CD8陽性T細胞による腫瘍殺傷能力が強化されるといいます。
さらに、塩化ナトリウムで前処理したCD8陽性T細胞を膵臓がんマウスに注入したところ、腫瘍の縮小が確認できたとのこと。ただし、患者が塩分の多い食事を取ればいいということではないそうです。
携帯電話が発する電波は脳腫瘍リスクに関連しない――。WHO(世界保健機関)から委託を受けたオーストラリアなどの研究チームが、科学誌Environment Internationalに論文を発表しました。
問題の発端は、WHOのがん専門研究機関である国際がん研究機関(IARC)が2011年、観察研究から得られた限られた証拠を基に、電波への暴露を「ヒトに対して発がん性の可能性あり」に分類したことです。
これによって世界中で懸念が高まったため、WHOの委託を受けた研究チームが、5000以上の文献のシステマティックレビュー(系統的レビュー)を実施したといいます。そして、1994~2022年に発表された63の研究が最終的な分析の対象になったそうです。
結果的に、携帯電話の使用と、脳腫瘍をはじめとする頭や首のがんに関連性は認められませんでした。さらに、携帯電話を10年以上使用した場合でもがんとの関連性は見つからず、通話回数や携帯電話の使用時間も結果に影響を及ぼさないことが分かったとのことです。
ヒトの体細胞に由来するiPS細胞(人工多能性幹細胞)から分化誘導した「造血幹細胞(HSC)」で、白血病や骨髄不全症を持つ子どもたちの個別化医療が実現するかもしれません。
オーストラリアなどの研究チームが、ヒトiPS細胞からヒト胚のHSCに非常によく似た移植可能なHSCを作製することに成功したそうです。そして、このHSCを免疫不全マウスに投与したところ、臍帯血(さいたいけつ)細胞移植をした場合と同程度に、骨髄の中で血液を作り始める現象(生着)が確認されたといいます。
さらに、このHSCは、ドナーから提供されるHSCと同様に、凍結保存が可能であることも示されたとのことです。患者自身の細胞からHSCを作製できれば、ドナー不足や合併症の問題を解消できる可能性があるといいます。チームは、5年以内にヒトへの第1相試験を実施することを次の目標にしているとのことです。
論文は学術誌Nature Biotechnologyに掲載されました。
体外で受精させた胚(受精卵)の遺伝的異常を子宮に移植する前に調べる「着床前遺伝学的検査(PGT)」について、スウェーデンとオランダの研究チームが1回の検査で全ての既知の異常を調べる技術を開発したそうです。
PGTは、重い病気が子どもに遺伝するリスクや染色体異常による流産のリスクがある人が行います。PGTによるスクリーニングで異常をもつ可能性が低い受精卵を選択し、子宮に戻すことができます。これまでは、染色体と遺伝子を調べるには別々の検査が必要でした。しかし、研究チームが開発したPGTは、全ての染色体と遺伝子を一度の検査で迅速かつ正確に解析することができるそうです。
時間が短縮する上に、99%以上の確実性で異常が分かるといいます。また、ミトコンドリア病のMELAS症候群などで見られる「ミトコンドリアDNA」の異常の検出もできるそうです。
論文は科学誌Nature Communicationsに掲載されました。
膵臓がんの大半を占める「膵管腺がん(PDAC)」に対する新たな治療法が、マウスの実験で有望な結果を示したそうです。米国の研究チームが、医学誌Science Translational Medicineに論文を発表しました。
PDACの治療を難しくしているのは、腫瘍を取り巻く環境(微小環境)にあるといいます。血管の形成を阻害し、免疫系からの攻撃を防ぐためのバリアを作っているそうです。チームは、ある薬剤を微小環境まで届ける脂質ベースのナノ粒子を開発。薬剤は、免疫系を活性化させるタンパク質インターフェロン(サイトカインの一種)の放出を促すといいます。こうすることで、腫瘍細胞がウイルスに感染していると免疫系に「信じ込ま」せ、攻撃させることができるそうです。
既存のがん治療薬(トラメチニブとパルボシクリブ)を、このナノ粒子と併用したところ、PDACマウス9匹中8匹の腫瘍が壊死または縮小し、そのうち2匹の腫瘍は完全に消滅したとのことです。
米国の研究チームが、うつ病の患者一人一人に合わせた低レベルの電流で脳を刺激する治療法を開発したそうです。チームは研究成果を医学誌American Journal of Psychiatryに発表しました。
うつ病患者は、前頭前野の左右でアルファ波(8Hz以上13Hz未満の電気信号)と呼ばれる脳波のバランスが崩れ、左側ではしばしば過活性の状態が起きるといいます。そこでチームは、患者個人のアルファ波を測定し、その結果を基に低レベルの電流で脳を刺激することで、アルファ波のバランスを取るシステムを開発したそうです。このシステムは、対象者の脳波の情報をリアルタイムで解析し、個人に合った刺激を調整して与える「閉ループ」と呼ばれるものだといいます。
うつ病患者15人に対してこのシステムを1日1時間、5日間連続で使用したところ、80%の人がすぐにうつ症状の改善を経験したそうです。さらに、2週間経過後も症状の改善は継続したとのことです。
米国で承認されている片頭痛薬「ユブロゲパント」は、頭痛が始まる予兆の段階で服用すると、片頭痛に悩まされることなく日常生活を送れるような効果があるそうです。米国の研究チームが、医学誌Neurologyに研究成果を発表しました。
チームは、1年以上片頭痛に悩まされ、直近3カ月は月に2~8回の片頭痛発作に襲われた患者518人を対象に調査しました。患者はみな、頭痛が始まる数時間前から光や音に対する感覚過敏、だるさ、首の痛みや凝り、めまいなどの予兆を経験していたといいます。
片頭痛の予兆を感じてユブロゲパントを服用した人の65%が、24時間後の状態について「日常生活に全く支障がない」または「少しだけ支障がある」と回答したそうです。一方で、予兆後にプラセボを服用した人のうち同様の回答をしたのは、48%だったといいます。
なお、ユブロゲパントを服用した人はプラセボを服用した人と比べ、服用から2時間の時点で「支障なく通常の生活を送れた」と報告する可能性が73%高くなったとのことです。
ニシキヘビが捕食した後に起こる心臓の変化の研究が、ヒトの心臓病の治療法開発に役立つかもしれません。米国の研究チームが米国科学アカデミー紀要(PNAS)に論文を発表しました。
チームは、ニシキヘビを28日間絶食させた後、一方には体重の25%に相当する量の餌を与え、もう一方には餌を与えず、双方を比べました。その結果、餌を食べたヘビは、24時間後に心臓が25%大きくなることが判明。それに伴い、心臓の拡張と収縮に関わる「筋原線維」が柔らかくなり、心臓の収縮力が約50%増強したといいます。
また餌を食べたヘビは、エピジェネティック(DNAの塩基配列の変化なしに遺伝子発現が制御される現象)な変化が生じることも確認されたそうです。そして、遺伝子や代謝物の影響を受けて、ヘビの心臓が糖の代わりに脂肪をエネルギー源にしている可能性も示されました。心不全の心臓はこの切り替えができないといい、メカニズムを解明することで、心臓組織が線維に置き換わって硬くなる心筋線維化などの治療法につながる可能性があるとのこと。
有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を飲んで効果が出る「プラセボ効果」は、メンタルヘルスの改善に役立つ可能性があるようです。米国の研究チームが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、長期にわたるストレスを経験したという64人を対象に2週間の調査を実施し、明らかになったそうです。
チームは、32人に1日2回のプラセボ(植物繊維の錠剤)を処方し、残りの32人には治療に関わることは何もしなかったといいます。そして、プラセボを処方された群は、自分たちが有効成分を含まない偽薬を飲むことを知らされていたそうです。それにもかかわらず、プラセボを処方された群は何も治療を受けなかった群に比べてストレス、不安、うつのレベルが低下したといいます。
チームは、この結果について、明確な期待だけでなく、暗示的な期待や過去に受けた有効な治療の経験などが、こうしたプラセボ効果につながる可能性があると分析しています。
この研究成果は、学術誌Applied Psychology: Health and Well-Beingに掲載されました。
米国の研究チームが、血中の「LDL(悪玉)コレステロール」に加えて、脂質の一種である「リポ蛋白(a)<Lp(a)>」と炎症の指標である「CRP(C反応性たんぱく)」を測定すると、女性の心血管疾患リスクをより正確に予測できることを発見したそうです。米医学誌New England Journal of Medicineに論文を発表しました。
チームは、平均年齢55歳の健康な女性3万人近くのデータを分析。30年にわたる追跡調査の結果、約3600人(13%)が▽心筋梗塞(こうそく)や脳卒中を発症した▽動脈狭窄や動脈塞栓の手術を受けた▽心血管疾患で死亡した――のいずれかに当てはまったといいます。
調査開始時の血液検査でLDLの値が高かった人は、この値が低かった人に比べてこうした心血管疾患リスクが36%高くなることが分かりました。そしてリスクは、Lp(a)値が高い人で33%、CRP値が高い人で70%上昇することも示されたといいます。三つ全てが高かった人は、脳卒中リスクが1.5倍、冠状動脈性心疾患リスクが3倍超になったとのことです。
細胞内に存在する「ミトコンドリア」は元々「好気性細菌」だったと考えられています。その名残として、ミトコンドリアは独自のDNAを持っています。米国の研究チームが、ミトコンドリアがDNAを細胞核内に送り込む現象が脳細胞で起きており、そのことが人間に害を及ぼしている可能性があると、科学誌PLOS Biologyに発表しました。
チームは、死亡した高齢者1187人の脳組織サンプルを調査。ミトコンドリアDNAの断片が核ゲノム内に挿入される現象が、人の生涯で複数回起きている可能性が示されたそうです。
核ゲノムに挿入されたミトコンドリアDNAの断片は「NUMT」と呼ばれます。前頭前野にNUMTが多い人は、NUMTが少ない人に比べて早死にするリスクが高いことが明らかになったといいます。
さらに、ヒト皮膚組織を使って調査したところ、ストレスによって細胞内のミトコンドリアが機能不全になると、NUMTが4〜5倍の速さで蓄積することが示されたといいます。
週末に「寝だめ」をして平日の睡眠不足を補うと、心臓病リスクを抑制できる可能性があるそうです。中国の研究チームが欧州心臓病学会(ESC2024 Congress)で発表しました。
チームは、英国バイオバンクから抽出した9万903人のデータを分析。このうち5分の1が1日の睡眠時間が7時間未満の「睡眠不足」に分類されたといいます。チームは、睡眠不足を埋め合わせるために週末に取っている余分な睡眠時間を基に参加者を4群に分け、平均14年間の追跡調査を行いました。
その結果、週末の余分な睡眠時間が最も多い(1時間強~)群は、最も少ない(平日よりも少ない)群に比べて心臓病を発症するリスクが19%低くなることが明らかになったそうです。
NBC Newsによると、米調査会社ギャラップによる世論調査では、必要な睡眠時間を確保できている米国成人はわずか42%で、57%が「もう少し睡眠を取ることができれば、すっきりする」と回答したといいます。