STEP.1 転職の準備
40代医師のキャリアの選び方は?年収、医局、開業、転職をどう決める?
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40歳の医師ともなればベテランであり、役職に就いている医師も少なくないでしょう。医局に残るかどうか、開業をするかどうかなど、40代はキャリアチェンジのタイミングでもあります。今回は、40代医師のキャリアの課題とキャリアに迷った際に考えるポイントについて紹介します。
この記事のまとめ
- 40代医師はキャリア選択の分岐点が多い。50代よりも40代のほうが希望のキャリアがかないやすいため、定年後を見据えたキャリア選択をするのがおすすめ。
- 40歳前後は医局に残るかどうかを決断する時期。民間病院への転職で給与は上がりやすい一方、医局は豊富な臨床経験や労働環境などのメリットもある。
- 開業がしやすいのも40代医師。資金やリスクに対して不安があれば、医院継承による開業を検討してみるのも一案。
この記事の目次
1.40代医師のキャリア・転職プランとは?
40代になりキャリアに迷う医師も多いのではないでしょうか。40代で迷うキャリアの選択肢のひとつが「医局に所属し続けるかどうか」です。
医局に属している医師にとって、40歳前後は節目の年となります。医局内での自分の立ち位置が分かるようになり、今後教授職になる可能性あるのか、出世の見込みがあるかなどといった予測が立つようになると思います。とくに人間関係のしがらみが多い世界ですから、出世の可能性が低いと感じた医師が民間病院へ転職をすることが多いでしょう。
民間病院へ転職する場合、好条件で転職できる可能性が高くなります。というのも、医局に所属していた医師は、民間病院からの評価が高い傾向にあるためです。まれに、転職時に部長職などの役職に就くケースがあります。
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一方で、出世の見込みがなくても医局に残ることで得られる利点もあります。例えば、社会的地位を確保できる点、豊富な臨床経験を積める点、人員充足による労働環境の良さなどは医局に在籍することで得られるメリットです。
ただし、大学病院や医局人事によって派遣される関連病院の給与水準は、民間病院よりも低い傾向にあります。そのため役職に就いていない医師は給与面で不満を感じるかもしれません。給与面に不満を感じるかどうかは、同居する家族の有無や、家を購入しているかいないかなどのライフスタイルによって変わる可能性もあります。給与面やスキル研鑽の環境をふまえ、自分がどのようなライフプランに進みたいかを検討したうえで、医局に所属し続けるか民間病院に転職するかを決めましょう。
ただし、外科系の医師の場合は転職時の年齢や役職に注意しましょう。応募先に在籍している部長職の医師よりもベテランの経歴をもつ場合、採用されにくいケースも中にはあります。そのため、外科系の医師は他の診療科の医師よりもキャリアの選択を早めにすることをおすすめします。
2.40代医師の年収事情
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに算出すると、40~44歳の医師の平均年収は約1,525.7万円、45~49歳の医師の平均年収は約1,748.6万円でした(男女計、小数点以下第二位を四捨五入、「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出)。
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子どもの教育費や住宅ローン、老後へ向けての貯蓄、親の介護など、40代は何かとお金が必要な年代です。そのため、医局に在籍していて年収水準をより上げたいと考える場合は40代から定年までは給与水準の高い民間病院に勤務し、貯蓄をしっかりとすることをおすすめします。
ある程度規模の大きい病院は、給与水準が高いだけではなく退職金制度なども整っているため、生涯賃金を考えるとメリットが大きいといえます。ご存じのとおり、退職金の額は勤務年数に比例して増加します。40代以降に転職を繰り返すと、退職金が少なくなり老後資金の準備に苦戦する可能性があることは念頭に置いておきましょう。
3.40代医師におすすめの転職先
40代から定年まで勤務することを考えると、具体的にどのような転職先があるでしょうか。定年まで働くことになるため、体力的に無理なく勤務できる環境が望ましいといえます。
介護老人保健施設(老健)やリハビリ施設など、体力的に比較的負担の少ない職場なら、生涯現役で勤務しやすくおすすめです。外科などの手技が中心の診療科の場合は、体力面を考慮して内科や皮膚科など手技をあまり必要としない診療科へのキャリアチェンジも一案です。外科から内科への転職は比較的スムーズに進むことがありますので、視野を広げて求人を探すことが大切です。
また、民間病院が臨床研修指定病院の認定を受けるために指導医が在籍していることが要件となるため(厚生労働省「臨床研修病院の指定基準及び指定基準の運用」より)指導医の需要が高く、指導医の資格を取得しているならば民間病院への転職の際には歓迎されるでしょう。
4.40代医師は開業にもベストな時期
また、40歳前後は開業に最もふさわしい時期でもあります。長年開業に向けて準備を進めてきた医師にとって、いよいよ夢が実現するタイミングです。高齢だと金融機関から融資を受ける際に不利になる可能性があるため、十分な融資を受けられる年齢のうちに開業するのがおすすめです。
もしも資金面で不安がある場合は、医院継承による開業を検討してみてはどうでしょうか。低コストで開業ができるうえ、医療スタッフや患者さんを引き継ぐことができるので、開業後も経営が軌道に乗りやすく、リスクをおさえられるというメリットがあります。
5.定年後を見据えてキャリアの選択をしよう
40代は医師にとってキャリアの大きな分岐点となる年代です。医局から離れるか所属し続けるか、転職をするかしないか、開業をするかしないかなど迷うことも多いのではないでしょうか。転職エージェントから転職・開業の市場動向の情報を得ながら、じっくり検討してみてください。
前述したように、50歳を過ぎてから転職をするよりも、40代のうちに長く勤務できる勤務先を見つけるほうが退職金などの面で利があります。また外科から内科や皮膚科への転科を検討する際にも、なるべく早いほうが採用がスムーズに進む傾向があります。ライフイベントやプライベートの事情などにより、キャリアを決定するタイミングは人によってさまざまだと思いますが、今回ご紹介した40代医師のキャリア動向を参考に、自分にあったキャリアプランを検討してはいかがでしょうか。
文:太田卓志(麻酔科医)