STEP.4 円満退職・内定準備
慰留されにくい医師の退職理由とは?言ってはいけない理由例も紹介

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医師が退職をする時に案外大変なのが退職理由を伝えることです。正直に自分の不満を伝えていいのか、それともあたりさわりのないことを言えばいいのか、悩むところだと思います。退職理由によっては慰留されてしまい、辞めにくくなってしまう場合もあります。今回は、慰留されにくく円満に退職しやすい退職理由の伝え方を紹介します。
この記事のまとめ
- 慰留にあいにくい医師の退職理由のひとつが、「スキルアップ」に関する理由。現職で経験できないような症例やスキルの向上を理由とすると慰留にあいにくい。
- 家庭の事情や遠方への引っ越し、結婚や出産、体調面の事情などのプライベートに関わる理由も慰留されにくい。
- たとえ本音であっても、勤務先への不満を退職理由にするのは避けたほうが良い。退職理由は複合的なことが多いので、その中で前向きな理由を選ぼう。
この記事の目次
1.医師が退職する時、嘘の理由を伝えてもいい?
退職理由を伝える時に嘘をついてもいいのか、それは難しい問題です。
たとえば人間関係などが不満で現職を退職する時、それを素直に伝えてしまうと「改善するから」といって慰留を受けたり、「この程度がストレスになるなんて」と悪印象を抱かれたりすることがあります。まったくの嘘は考えものですが、「嘘も方便」という言葉があるように、退職理由にほんの少しの嘘を混ぜるのも一種の処世術だと、筆者は感じます。
退職理由は正直に伝えて気持ちよく送り出してもらうことが理想ですが、慰留をされたら退職しにくくなりそう…と心配な医師の方は、次に紹介する慰留にあいくにい退職理由を参考にしてみてください。
2.医師が円満退職しやすい退職理由
慰留にあいにくい退職理由とは具体的にどのような理由でしょうか?ここでは5つの例を紹介します。
2-1.スキルアップのための退職
慰留にあいにくい退職理由のひとつ目はスキルアップのための転職です。例えば、現職である症例の経験を積むのが難しいならば、「その症例を経験できる病院で経験を積みたい」という理由は納得してもらいやすくなります。
「〇〇科の医師としてさらにスキルアップをするため、△△の症例を経験できる病院に移りたいんです」と言われて、病院側が厳格に慰留を申し出ることは難しいでしょう。かといって、その症例の診療を新しく病院でも始めることは難しいので、慰留がされにくい退職理由のひとつであると思います。
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2-2.家庭の理由
家庭の事情も慰留にあいにくい退職理由のひとつです。例えば、「家族の体調が悪く、実家の近くで働くことにした」という理由です。遠方であるならば確認する方法もまずありませんし、転職先を伝える必要もないので、現職に知られる可能性もほぼないといえるでしょう。
ただし家族や親族の体調というセンシティブな理由のため、すべてが嘘というのは避けたほうがよいでしょう。もともと家族、親族になんらかの持病がある場合にかぎり、理由とするにとどめておくことをおすすめします。
2-3.結婚、出産による退職
結婚や出産は女性医師だけではなく、男性医師にとっても大きく環境が変わる要因になります。女性医師にとっては妊娠や出産によって体調面でも今まで通り働くことが難しくなります。そのため、このタイミングは慰留を受けずに退職を申し出やすくなると考えられます。
男性医師にとっても、育児や妻の妊娠をきっかけに、より労働時間が短い病院に転職する必要が出たというのは退職する理由になります。環境が大きく変わるタイミングなので、女性にとっても男性にとっても退職の申し出を受け入れてもらいやすい時期と言えるでしょう。
2-4.遠方への引っ越し
結婚や家庭の事情などで遠方へ引っ越す、というのも慰留をされにくい理由です。プライベートな理由のため病院側も無理に慰留を通すことができません。ただし、現在住んでいる地域から離れた地域へ引っ越す際には有効ですが、比較的近い地域の場合は町で偶然会ったり、転職先の医療機関に前職の同僚医師がアルバイトにきてしまったりする事態になることがあります。
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2-5.体調の悪化
医師は肉体的にも精神的にもハードな職業なので、働いているうちに体調が悪化してしまうことがあります。体調の悪化は慰留されづらい理由のひとつと言えるでしょう。
近年では、どの病院でもコンプライアンスを重要視する傾向にあります。医師の働き方改革が進むいま、医師の健康状態が重要視されるようになっている背景もあり、体調面の理由は慰留されにくいでしょう。なお、この退職理由の場合、何らかの診断書があることが望ましいです。
3.言ってはいけない退職理由
たとえ本音であったとしても、正直に勤務先に伝えないほうがいい退職理由があります。もしも次に該当する退職理由の場合は、伝え方を工夫することをおすすめします。
理由①収入への不満
収入への不満を退職理由としてしまうと、慰留を受けやすくなります。医療機関と医師の労働契約の問題なので、「改善する」と言われれば退職者側に退職する理由がなくなってしまいます。
もちろん、収入への不満のみが理由で転職を決意する医師もいると思いますが、大半は収入のみならず過重労働や人間関係など複合的な理由で退職を決意することがほとんどだと思います。収入以外にも理由があるにもかかわらず、収入を理由としてしまうと、改善するという前提で慰留を受けかえって断りづらくなってしまいます。退職の意思が固い場合には、収入以外の理由を伝えるほうが良いでしょう。
理由②人間関係への不満
人間関係は、医師にとって退職の原因になり得る大きな要素です。一般企業に勤めているサラリーマンの場合、転職回数の多さが転職活動時にネガティブな評価になることがあるため、人間関係に不満があってもなかなか退職することができません。しかし医師の場合、転職回数が転職活動時の評価に影響しにくいため、人間関係が容易に退職する理由になり得ます。
しかし、人間関係への不満を退職理由として伝えると、医療機関や上司のマネジメント能力のなさについて言及したととらえられる可能性があります。医師のコミュニティは意外なところでつながっていたりするため、転職後の勤務先で良好な人間関係を築き業務をスムーズに行うためにも、ネガティブな理由を控えることをおすすめします。
4.前向きな退職理由を伝えて円満退職を目指そう
在職時の不満が大きいほど、退職時についつい思いをぶつけてしまいたくなるかもしれません。ですが、円満に退社をするためにも、社会人のマナーとしても、退職時には慰留されにくい理由を選ぶことをおすすめします。もしもプライベートな事情がとくにない場合は、経験やスキルの研鑽など、前向きな理由で該当するものがないか考えてみてはいかがでしょうか。
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文:太田卓志(麻酔科医)