STEP.1 転職の準備
30代医師の転職・キャリアの選び方とは?転職理由やキャリアの選択肢を解説
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医師は医学部を卒業後、2年間の初期研修と後期研修を受け、早ければ30歳頃には6年の経験を積んだ中堅医師の仲間入りをすることとなります。専門とする診療科も決まり、30代は将来的なキャリアプランを視野に入れて自分に合った職場を探すのに最適な年代といえるでしょう。結婚、出産、育児などのライフスタイルの変化に応じて働き方を変えたくなるかもしれません。今回は30代の医師に多い転職理由やキャリアの選び方を紹介します。
この記事のまとめ
- ライフスタイルの変化をきっかけに、ワークライフバランスを重視した働き方を選ぶ医師が増えるのが30代という年代。
- 30代医師が医局を離れる選択をするケースもあり、背景には給与水準を上げたい、症例数を増やしたいという理由や人間関係上の理由がある。
- 開業やフリーランス医への転向を選択するなど、30代は医師にとって働き方の選択肢が多様化する時期でもある。
この記事の目次
1.30代医師の転職とワークライフバランス
結婚や出産、育児、介護にともなうライフスタイルの変化は働き方に大きな影響を与えます。とくに30代医師の場合、当直やオンコール等による長時間労働により体力的な限界を感じたり、プライベート時間をしっかり確保したいという思いが生じたりして転職を考えるケースが増加します。
ワークライフバランスを重視したいという理由から転職を考え始めた場合、次のような選択肢が考えられます。
・福利厚生が充実した病院への転職
・比較的穏やかに働ける診療科への転職
・フリーランス医への転向
それぞれ働き方の特徴を詳しく見て行きましょう。
1-1.福利厚生が充実した病院への転職
福利厚生を重視する傾向は、医師としてのキャリアを積みながら仕事とプライベートと両立させたい医師に多く見られます。医師は体力的にも精神的にもハードな仕事ですから、職場のサポートなしに育児や介護と仕事を両立するのは至難の業です。
そのため、産休・育休制度や介護休暇制度に加え、プライベートを支える福利厚生が充実した医療機関への転職を希望する傾向があります。具体的には、病院内保育所や時短勤務などの制度などが挙げられます。
1-2.比較的穏やかに働ける診療科への転職
外科や麻酔科、産婦人科など手術が発生する診療科はハードワークになる傾向があります。ときには手術が深夜にまで及ぶこともあり、不規則な生活スタイルにハードさを感じ、ゆったりとした勤務を希望する医師もいます。比較的穏やかな環境で働ける診療科として、皮膚科や眼科、内科などが挙げられます。これらの診療科への転科を希望し、新たなキャリアを構築していくケースもあります。
2.30代医師が医局からの転職を考える理由
以前はほぼすべての研修医が医局に在籍することを選んでいましたが、現在では医局への在籍を選ばない医師が増えているといわれています。
教育環境や医療設備など、医局に在籍することによるメリットもありますが、現代社会では医局特有のルールにわずらわしさを感じる医師も多くいます。以下のような理由から医局に在籍することによる主なデメリットを感じて転職を考える医師もいます。
2-1.複雑な人間関係から離れるため
医局内で出世して教授職に就くためには、教授に気に入られるように行動するというような、政治的な手腕もある程度必要です。前時代的な慣習だと感じるかもしれませんが同じ医療従事者同士にもかかわらずギスギスしてしまうことがあります。殺伐とした人間関係にわずらわしさを感じ、医局を退局して民間病院に転職をする道を選ぶ医師もいます。
2-2.給与水準を上げるため
大学病院やその関連病院は、給与水準が低い傾向があります。人員が充足しているため、労働環境が比較的良い側面もありますが、民間病院と比較をすると差を感じることもあるでしょう。家庭の事情などによって将来的に資産を増やしたいと考える医師は、より高収入を得られる民間病院への転職を検討することがあります。
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2-3.より多くの症例を経験するため
大学病院やその関連病院では、医師数が充足しています。患者数に対する医師数に余剰が生まれるため、診療をしたいと思っていた症例を他の医師が担当するなど、自身が希望する経験ができなくなる事態が発生します。そのため、より多くの症例を経験できる民間病院を選ぶ医師もいます。
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3.開業やフリーランス医を選択する30代医師
30代前半ではまだ少数ではあるものの、30代後半を迎えると開業を検討する医師が増加します。医師は一般に社会的地位が高い職業と認識されているため、政策金融国庫や金融機関から融資を受けやすいという背景もあり、開業をすること自体は実はそれほど難しいことではありません。
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しかし、経営が軌道に乗るかどうかといえば、別の話です。個人で開業した医療機関の経営を軌道に乗せ、患者さんを安定的に診療できる医療機関へと成長させるためには、大きな病院との連携が必要です。
そのため、開業を検討している医師は、若いころから経験を積み、医師同士のコネクションをつくることを重視します。
将来的に開業をした際に患者さんの紹介をしてもらうことを視野に入れて、あえて医局に所属し、教授職の医師とのコネクションを構築する医師もいます。
また、開業医という選択のほかに、フリーランス医という働き方を選択する医師もいます。外科や麻酔科、産科などの常勤医は、手術時間が大幅に延びて慢性的に長時間労働となったり、昼夜を問わず病院から呼び出されて体力的なハードさを感じたりすることがあります。
このような背景から、働く日数や時間を自分でコントロールできるフリーランス医を選択する医師もいます。とくに、ワークライフバランスを重視したい医師におすすめの働き方といえるでしょう。
また、非常勤は給与水準は常勤医よりも高い傾向があるため、筆者の経験をもとにすると日給が8万~12万円程度で、働き方によっては年収が2000万円を超えることもさほど難しくはないでしょう(診療科によります)。ただし、もちろん退職金はなく、年金は国民年金となり、福利厚生はほぼないようなものだという点には留意しましょう。
ある程度の経験を積んだ30代医師の転職にはさまざまな可能性があります。自分のライフスタイルや仕事をするうえでの志向を整理し、ゆずれないポイントを明確にしたうえで自分に合ったキャリアプランを立てましょう。
文:太田卓志(麻酔科医)