収入アップやスキルアップのためにアルバイト(以下、バイト)をしたいけれど、できるだけ負担が少ないもので、効率よく働きたいという人もいるのではないでしょうか。本業に影響がでにくい医師のバイトとしては、どのような種類があるのでしょうか。今回は、医師のバイトのなかでも心身ともに負担が少ない働き方やバイトの選び方、注意点などについて解説します。
- 負担が少ない医師のバイトの種類を知りたい
- 効率やスキルアップといった目的に応じたバイトの選び方を調べたい
- 負担が少ないバイトの注意点と考えるべきポイントを知りたい
目次
負担が少ない医師のバイトの種類

「負担が少ない」といっても、捉え方は人によって異なります。自分自身がイメージする働き方を踏まえて、どんなバイトが適しているかを考えてみましょう。まず「自分の希望する働き方と優先順位」を明確にしたうえで、できるだけ負担を軽減できるバイト先を探すことが大切です。条件ごとに、負担が少ないと考えられるバイトの種類をまとめました。
拘束時間が短めのバイト
長時間の拘束が負担に感じる場合には、「短時間勤務」のバイトを選ぶのがおすすめです。単発で業務を担う「スポット案件」や、勤務時間が数時間程度の「定期非常勤」など、さまざまな種類のバイトがあります。
スポット案件かつ短時間勤務のバイトは、比較的、高い専門性は求められにくいのが特徴です。未経験であっても、業務マニュアルや事前研修などがあり、チャレンジしやすいバイトと言えるでしょう。一方で、短時間で高単価のバイトを目指す場合には、ある程度の専門性や経験が求められます。条件を加味して検討しましょう。
例えば、以下のようなバイトは、拘束時間が短く、単発でのバイトとして代表的です。
バイトの種類 | 勤務形態 | 業務内容 |
---|---|---|
一般健診 | 日勤午前:8:00〜13:00など | 学校や企業での健康診断 保険加入時の健康診断など |
時短相談可能の往診待機 | オンコール待機(自宅待機) | 待機、必要時往診業務 |
訪問診療 | 日勤午後:13:10〜17:10など | 訪問診療 |
人間ドック | 日勤午後:12:00〜16:00など | 人間ドック・生活習慣病健診受診者の内科診察業務(一次読影・結果説明含む) |
一般外来 | 日勤午前:09:00〜12:30 日勤午後:15:30〜17:30 夕診:18:00〜20:00などでいずれか |
診療業務 |
スポット案件は、自分が働きたいときだけ働けるのがメリットです。働く施設や業務内容も案件ごとに異なるため、幅広い経験を得られやすいのも利点と言えるでしょう。定期非常勤と比べて、やや高額な単価が設定される傾向にあります。なかでも、心身ともに負担の少ない「ゆったり勤務」の案件は、人気が高く、倍率も高いため、求人情報はこまめに確認するとよいでしょう。
その一方で、スポット案件は、バイトをする回数や条件によって得られる収入が不安定になりやすい面もあります。安定した副収入を目指す場合や、落ち着いた環境で働きたい場合には、定期非常勤のバイトを探すことも考えてみましょう。
同じ施設で定期的に働くバイト
ある程度の安定収入を確保したい場合には、定期的に副業できる「定期非常勤」のバイトを検討してみましょう。同じ施設に、決まった時間帯でバイトをする働き方で、業務に慣れやすいのがメリットです。スポット案件と比べて、業務マニュアルや規則に変動がなく、安心して働きやすい傾向にあります。また、バイト先ごとに異なる機器や薬剤を覚える手間や負担も減らせます。
毎月、同じ場所、同じ勤務時間でバイトすれば、スケジュールも立てやすく、臨床経験を積む機会を得られるのもメリットと言えるでしょう。
定期非常勤のバイトとしては、以下のような種類が代表的です。
バイトの種類 | 勤務形態 | 業務内容 |
---|---|---|
画像診断(一次読影) 心電図解析 |
日勤午前:09:30〜12:30など | 放射線科:画像診断(一次読影)、その他 循環器系:心電図の解析 など |
訪問診療 | 日勤午前:08:30〜12:30など | 個人宅訪問診療 |
婦人科外来・検診 | 夜診:18:00〜21:00など | 一般外来、健診 |
美容皮膚科 | 日勤:10:00〜19:00など | カウンセリング、その他 |
眼科外来 | 日勤:10:00〜19:00など | コンタクト外来など |
一般健診・人間ドック | 日勤:09:00〜18:00など | 一般健診・人間ドック |
一般外来 | 日勤午前:10:00〜14:00など | 一般外来 |
心理的負担が少なめのバイト
心理的負担を少ないバイト先を選びたいなら、患者さんの病状が安定している、または健康な人を対象とするような業務のバイトを選ぶとよいでしょう。緊急度が低く、高い専門性が求められにくい業務なら、心理的にも安心してバイトしやすいのではないでしょうか。
具体的には、「一般健診」や「人間ドック」「施設訪問診療」などが挙げられます。「一般健診」や「人間ドック」は、一般的に健康な人が対象であり、問診が主な業務内容です。また、「施設訪問診療」は高齢者を対象に健康管理を行うのが主な業務で、比較的、ゆったりとした働き方が可能です。ただし、案件ごとに指定される勤務時間帯は異なります。
心理的負担が少なめのバイトの種類として、以下が挙げられます。
バイトの種類 | 勤務形態 | 業務内容 |
---|---|---|
献血カー、健診カー | 日勤:09:00〜18:00など | 献血カーや健診カーなどでの検診 |
訪問診療 | 日勤:09:00〜18:00など | 個人宅(訪問診療)、施設(訪問診療) |
当直 | 当直:08:30〜07:30など | 病棟管理 |
健診・人間ドック | 日勤午前:09:00〜13:00など | 一般健診・人間ドック、予防接種 |
待機 | 待機:18:00〜09:00など | 自宅待機OK |
肉体的負担が少なめのバイト
肉体的負担が少なめのバイトを選びたいなら、診療やカウンセリングなどを主な業務とするバイトを選ぶのがおすすめです。美容医療分野でのバイトの場合、実際の施術はスタッフが担当し、医師はカウンセリングや処方業務が中心というケースもあります。
ただし、カウンセリング中心のバイトでは、接遇面のスキルが求められます。肉体的な負担は軽減されても、心理的な負担を感じる可能性もあるため、適性を考えたうえで検討しましょう。
肉体的負担が少なめのバイトとして、以下のような種類が挙げられます。
バイトの種類 | 勤務形態 | 業務内容 |
---|---|---|
待機 | 待機:13:00〜16:00など | 院内待機 |
待機:18:00〜09:00など | 自宅待機OK、平日オンコール待機 | |
脱毛カウンセリング | 日勤:10:00〜19:00など | 脱毛や美容皮膚に関するカウンセリング業務 |
美容皮膚科 | 日勤:10:00〜18:30など | カウンセリング、レーザー治療、ニキビ治療、注入 |
カウンセリング | 日勤:10:00〜20:00など | 脱毛・医療痩身・AGA・ED等のカウンセリング業務(AGAのみ水光注射あり/施術によるやけどなどの診察 |
募集施設によっては、勤務時間の「時短勤務相談可」となっている場合もあるため、自分のライフスタイルや都合、体調によっても身体的負担がより少ない働き方を選択できるでしょう。
負担の少ないバイトを選ぶときのポイント

負担の少ないバイトを探すのには理由があるはずです。こちらでは、それぞれのバイトの目的に合わせながら、負担の少ないバイトを選ぶ際の4つのポイントを解説しましょう。
効率よく収入を得たいならスポットの高単価案件を探す
収入アップを目指したい場合は、負担の少ない「ゆったりめ勤務」のなかでも時給や単価の高い案件を選ぶとよいでしょう。なかでも緊急に代替の医師を必要とするスポット案件で、単価が高い傾向が見られます。ただし、専門性が求められることが多いため、条件をしっかり確認したうえで、無理のない判断をしてください。加えて、高単価案件は人気もあり倍率も高いため、求人情報をこまめに確認するのがおすすめです。
スキルアップを目指すなら、目標に沿ったバイト先を選ぶ
バイトを通じて、自身の専門性を高めたい、スキルアップをしたいと考えるなら、できるだけ症例が多いバイト先を選ぶ必要があります。本業と同じ専門分野であれば、「現在の常勤先では経験できないこと」を実践できる職場を検討することが大切です。業務内容や施設情報などに加えて、先輩医師の存在や症例数などもチェックしておきましょう。
ただし、負担が少なめのバイトとして、担当する業務範囲が限られていたり、希望する症例に携われなかったりする可能性もあります。優先順位を明確にしたうえで、どのような面での負担を減らしたいのかを考えてみましょう。
新しい専門分野に挑戦するなら、研修のあるバイト先を選ぶ
新しい分野に挑戦しつつ負担が大きい働き方は避けたい、という場合、マニュアルや研修制度があるバイト先を選んでみてはいかがでしょうか。人間ドックや健診といったバイトでは、総合診療に携わるきっかけとなる一方で、業務マニュアルが提供されるケースも多いため、働きやすいでしょう。また、美容医療で未経験の応募可能な案件では、研修制度が充実しているところもあります。将来的な転科や開業などを考える場合にも、そうした経験が役立つ可能性もあります。バイトを通して、新しい専門分野への挑戦を検討するのも一案です。
負担が少なめのバイトを選ぶ前に注意したいこと

負担が少なめのバイトであっても、本業に影響する可能性もあります。バイトを選ぶ際の注意点をまとめました。
オンコール待機のバイトは緊急対応で延長する可能性がある
オンコール待機のバイトは、院内や自宅待機になるため、比較的負担が少なめな印象があります。しかし、待機中に緊急対応が発生すれば、心理的にも肉体的にも負担がかかります。また、緊急対応のために、予定よりも勤務時間が長くなることもあるでしょう。バイト終了後に本業の勤務を控えている場合、延長になれば、勤務先に連絡しなければいけません。待機のバイトは、何事もなければ負担が軽いと考えられますが、どんな状況でも対応できる余裕が必要です。
研修医のバイトはNG
負担が少ないバイトなら、研修医でも可能だと考えるかもしれません。しかし、厚生労働省は、医師臨床研修期間中の医師の副業は禁止としています。研修医は研修に専念するべきであり、バイトはできません。ただし、しかし、3年目以降の専攻医になると「研修施設に採用された医師とみなされる」ためバイトは許可されます。
総労働時間を確認しておく

2024年から施行された「医師の働き方改革」により、専攻医であっても「C-1水準」の時間外労働の水準が適用されます。バイトであっても「月100時間未満年960時間」の上限を超えないように、労働時間を調整しなければいけません。待機のみといった負担が少なめのバイトであっても、労働時間としてカウントされるため注意しましょう。ただし、バイト先が「宿日直許可」を得ている場合で、当直のバイトをする場合には条件が異なります。
「宿日直許可」とは、軽度または短時間の業務で、睡眠時間を確保できる場合などに勤務時間の延長が認められる制度です。待機時間を労働時間とみなさずに「診療時間のみ」がカウントされるため、想定よりも収入が減る可能性があります。
医師賠償責任保険への加入を検討する
負担が軽いバイトであっても、バイト先でトラブルが発生しないとは限りません。本業の勤務先では、医師を対象とする保険に加入しているケースもありますが、個人でバイトする場合には適用されないこともあります。個人でも医師賠償責任保険に加入しておくと、安心してバイトの選択肢を広げられます。
優先順位を考えながら、負担少なめのバイトを選ぼう
医師のバイトのなかでも、負担が少なめの案件は、倍率も高くなりがちです。年代問わず、働きやすいバイトもあれば、専門性を問われるバイトもあります。とはいえ、どのような点に負担を感じるのかは、人によって異なります。条件を明確にしたうえで、最適なバイトを探してみましょう。たくさんあるバイトのなかで、何を選べばよいのか迷うこともあるかもしれません。自分の希望するバイト先を効率よく見つけたい場合は、医師専門のエージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

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