医師として将来的な独立開業を目指しているのであれば、早い段階から入念な準備が必要です。開業を成功させるためにも、プランを持って行動しましょう。今回は、医師が開業するメリットをはじめ、開業を成功させるためのポイントや開業医の年収事情について詳しく解説します。
- 医師が開業をするメリットとして、収入アップやプライベート時間の確保、自身の思い描く医療を展開できることが挙げられる。
- 開業を成功させるには、入念な準備が欠かせない。診療方針・経営基本計画書の作成や資金調達、開業エリアの選定、集客プラン策定など準備が山積みなため早期に情報収集を始めることがおすすめ。
- コストをおさえて開業したいなら「医院継承」による開業も検討の価値あり。
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1.医師が開業をするメリットとは?
開業までにはさまざまなハードルがありますが、成功すればさまざまなメリットが得られます。まずは、医師が開業をするメリットについて見てみましょう。
1-1.高水準の収入を得られる可能性
開業して経営が軌道に乗れば、勤務医と比べて高水準の収入を得られる可能性があります。ただし、病院・クリニックの売上すべてが自分の収入すべてになるわけではありません。経営に必要な資金やスタッフの人件費などが発生しますので、必要経費を考えたうえで自身の収入を想定する必要があります。
1-2.プライベートの時間が確保しやすくなる
開業をすると、施設の代表者として診療時間や休診日を自由に設定できるメリットがあります。診療内容にもよりますが、無床のクリニックであれば、夜間や休日のオンコールの対応や宿直を行うことなく診療が可能な場合も多いでしょう。そのため、勤務医時代よりもプライベートの予定が立てやすく、自分の時間を十分に確保できる可能性があります。
1-3.自分の描く医療を展開できる
総合病院のように規模の大きい病院では、基本的な医療方針が決まっています。そのため、自分が理想とする方針で診療や治療を行うのが難しいと感じた経験があるのではないでしょうか。希望を訴えても、上司や経営者の同意を得られないケースも多いでしょう。こうした悩みも、開業によって解消ができます。開業した施設では、自身が大切にする医療観や診療方針を掲げて、実践しやすい環境を作ることができます。
1-4.地域医療に貢献できる
地域密着型の施設を開業することで、地域住民への医療の提供に貢献することができます。とくに医師不足が深刻な地域では、かかりつけ医のニーズも高まっています。地域住民と近い距離感で接し医療を提供することで、地域への貢献を体感できるのではないでしょうか。
2.医師が開業を成功させるポイントと失敗要因
医師免許があれば開業はできますが、開業したからといって必ずしも成功するとはかぎりません。経営者としての知識を身につけ、事業計画を作成するなど事前準備が必要です。近年では、新型コロナウイルス感染症の影響やオンライン診療の普及などによって医療ニーズの変化も起こっていますので、地域との連携をより強化させた経営プランも重要です。医師が開業を成功させるためのポイントと、気をつけたい失敗要因について解説します。
2-1.成功させるポイント
医師が開業を成功させるポイントは、確実に準備を行うことです。
開業するには、資金調達や開業予定地域の調査、物件の選定、スタッフ確保、医療機器等設備の手配など、準備をすることがたくさんあります。そのうえ公的機関への申請や手続きも行わなければなりません。経営プランを考慮すると、開業には、数年単位の準備期間が必要になります。無理なく着実に準備を進めるためにも、余裕をもって準備を進めることが重要です。
勤務医時代から開業準備に着手するとなれば、効率良く進められる方法がないかも検討してみましょう。日常の業務と並行してすべてのリサーチや準備を自分ひとりで進めることは難しく、相当の時間がかかってしまいます。スムーズかつ確実に準備を進めたいのであれば、医師専門の開業支援サービスなどを利用するのもおすすめです。
開業を検討している医師のトータルサポートを実施している、マイナビDOCTORの開業医支援サポートのサービス概要は「開業医支援サポート」の紹介ページからチェックできます。
2-2.開業の失敗要因
開業したからには、安定した経営を続けられるようにリスクを避けることも大切です。失敗の要因はさまざまですが、代表的な4つの要因を紹介します。
1つめの失敗要因は、開業地の選択ミスによるものです。開業地域における医療の需要と供給が見合っていなければ、経営を継続させるのは難しくなります。医療への需要があったとしても、同じ診療科が開業地域に集中してしたり、有名な専門病院が近くにあったりする場合には、患者さんが集まりにくいかもしれません。開業を検討する際には、マーケティングの意識を持ち、徹底した情報収集によって適切な地域を選ぶ必要があります。
2つ目の失敗要因は、経営スキルによるものです。医療施設を存続させるには、確実な会計管理が欠かせません。将来的な収支を見越して、設備投資を行ったり、そのための借入額を決定したりするなど、経営者としての知識が必要です。医師としての経験が豊富でも、経営者としてのスキルが未熟であれば、残念ながら失敗に終わる可能性があります。
3つ目の失敗要因は、人材育成の不備や人間関係で問題を抱えてしまうという点です。開業医は、スタッフを雇い、人材を育成して管理していくことも重要です。しかし、コミュニケーションがうまくいかず、スタッフのモチベーションを把握できない場合や、労使関係のトラブルが発生することがあれば、よい人材を維持できず人手不足に陥ります。信頼関係を築けるスタッフを確保できない状況では、長期的には経営の存続が難しくなるでしょう。
4つ目の失敗要因は、医学的知識や技術の不足によるものです。勤務医の場合は、判断が難しい場面に遭遇しても上司や同僚に助言を求めることが難なくできます。また、研修や事例などを通して新しい知見を得ることも可能です。しかし、開業医の場合はすべてを自分で判断しなければならず、さらに研修などを受ける時間を確保することが難しくなります。スキルアップを怠れば、治療にも影響し、患者さんの来院数が減ってしまうかもしれません。
3.開業医の年収事情
開業医は勤務医と比べて収入が上がる傾向にあります。
厚生労働省の「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」によると、病院勤務医の平均年収(国公立・医療法人等、すべての経営母体を含めた全体の数値)は、1,490万8542円(平均給料年額1,322万9,342円+賞与167万9,201円)でした。これに対し、開業医の平均年収(個人・医療法人等を含めた全体の数値)は2,745万3672円(平均給料年額2,736万4,022円+賞与8万9,651円)で、比較すると2倍近くの差があります。
ただし、上記の結果は新型コロナウイルス感染症流行前のものであり、現在の状況とは異なります。今後の調査に注目するとともに、新型コロナウイルス感染症の流行が開業医の収入にも影響を及ぼしている可能性を念頭に置いてきましょう。
4.医師が開業のために準備したいこと
開業の準備は多岐にわたります。その中でもまず、以下のような準備から進めてみましょう。
4-1.診療方針・経営基本計画書を作成する
経営するにあたり、地域のニーズを適切に把握し、経営方針を策定することは非常に重要です。開業の動機を明確にし、「誰」に対して「どんな医療」を「どのように」提供するのか、「診療方針・経営基本計画」に明文化しましょう。
4-2.開業場所を検討する
開業場所は「診療方針・経営基本計画」に基づいた開業形態かつ集客を見込める場所を選ぶことが大切です。先にもお伝えしたように、開業場所を誤ると失敗につながります。効率よく開業場所の選定を進めたい場合は、開業支援サービスを頼ることをおすすめします。
4-3.開業資金
開業時には、施設や内装工事費用、医療機器の購入費用、初期運転資金などさまざまな費用がかかります。資金融資を受けたり、自己資金を貯蓄したりして備えておくことが大切です。
開業資金の調達が心配な場合は、コストをおさえて開業ができる医院承継を検討してみてはいかがでしょうか。低コストで開業ができ、医療スタッフや患者さんを引き継ぐこともできるため経営が軌道に乗りやすく、近年注目されている開業方法です。
5.開業成功には、事前準備が大切
医師の開業を成功させるには、事前にしっかりと計画を立てることがとても大切です。将来的に開業を目指す場合には、勤務医時代から目標達成に向けたキャリアプランを描いておくことをおすすめします。開業に向けたキャリアパスを築くためにも、情報収集が欠かせません。焦らず、丁寧にキャリアを築きながら、理想の経営方針に沿った開業を成功させましょう。
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