医師の定年後のキャリアプランは? 主な再就職先や準備しておくべきことも解説|医師の現場と働き方

医師の定年後のキャリアプランは? 主な再就職先や準備しておくべきことも解説

医師免許に年齢制限はないので、免許を持っていれば年齢にかかわらず働き続けることができます。生涯現役で医師として活躍することを希望される方も多いですが、医療機関によっては定年制度を設けているため、定年後にどのようなキャリアを選ぶのか、考えておくことは大切です。医師の定年後のキャリアプランには、どのような選択肢があるのでしょうか。

本記事では、医師の定年制度の基礎知識や定年後のキャリアプラン、人気の再就職先、定年を迎える前に準備しておくべきことなどを解説します。長く医師として活躍し続けるためには、若いうちから将来を見据えたキャリアプランを立てておく必要があります。ぜひ本記事を参考にして、ご自身に合った働き方を考えてみましょう。

こんな方におすすめの記事です!
  • 生涯現役で医師として活躍したい方
  • 現在勤務している病院に定年制度がある方
  • 定年後も働き続けるために準備を始めたい方

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目次

  1. 医師の定年制度の基礎知識
  2. 医師の定年後のキャリアプランは?
  3. 定年後の医師に人気の再就職先は?
  4. 医師が定年を迎える前に準備しておくべきこと
  5. 医師として再就職を検討している方へ

医師の定年制度の基礎知識

定年とは、一定の年齢に達したことを理由として退職する制度のことです。多くの一般企業では定年制度を設けていますが、国家資格である医師の場合、基本的に定年はありません。

ただし、国立病院で勤務する医師は「みなし公務員」に分類され、公務員と同様に扱われるため、定年は原則65歳と定められています。また、公的総合病院や国公立系大学病院でも、60歳や65歳での定年制度や、定年+5年間の継続雇用制度を設けているケースが多いです。

一方、民間病院の場合、定年制度を設けていないケースが多く見られます。独自に定年の年齢を定めている病院もありますが、定年後の再雇用制度を設けている病院や、幹部に昇格した医師に対しては定年制度を適用しない病院も存在します。

また医師免許には年齢制限がないため、開業医やフリーランス医師には定年という概念がそもそもありません。開業医の場合、体力的に診療の継続が難しくなった後は、診療は後進のスタッフに譲り、自身は経営者として働くケースもあります。

※参考:独立行政法人 国立病院機構「医師の処遇について 5.充実した医療活動を送るために」

医師の定年や定年後に抱えやすい問題などは、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

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医師の定年後のキャリアプランは?

医師の定年後のキャリアプランには、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なキャリアプランをご紹介します。

継続雇用

医師の定年後のキャリアプランの一つは、継続雇用です。

定年退職後、同じ医療機関で再雇用を希望する場合、継続雇用で雇用期間を延長できるケースがあります。前述した公的総合病院や国公立系大学病院の「定年+5年間の継続雇用制度」は、継続雇用の一種です。例えば、定年が65歳の病院の場合、継続雇用制度を活用すると、70歳まで働き続けることができます。

民間病院で定年が定められているところでも「再雇用制度」や「勤務延長制度」などを設けているケースは少なくありません。このような制度を活用すれば、定年を延長して医師として活躍できます。

定年退職後に同じ病院で再雇用される場合、嘱託医の扱いになることがあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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再就職

現在働いている病院に再雇用制度や勤務延長制度がなく、定年後も常勤医師として働くことを希望する場合は、再就職という選択があります。常勤医師として再就職すれば、定年後も安定した収入を確保することが可能です。

常勤医師といっても勤務条件や労働環境はさまざまなので、体力的に無理なく働ける再就職先をセカンドキャリアとして選ぶこともできます。特に外科医の場合、年齢を重ねるにつれて、手術を行うことへの不安を感じる方もいるでしょう。定年のタイミングで手術なしで勤務が可能な病院や、内科系診療科目への転科を選ぶのも一つの方法です。

65歳以上の医師の転職事情については、以下の記事で詳しく解説しています。

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非常勤勤務

非常勤として働くことも、定年後の医師のキャリアプランの一つです。

非常勤医師の勤務日数や勤務時間は求人によって異なりますが「週1日から」「午前のみ」としている求人も少なくありません。年齢とともに体力的な自信がなくなっている方でも、非常勤勤務ならご自身のペースで無理なく働き続けることができるでしょう。非常勤はいわゆるアルバイト勤務に該当しますが、非常勤医師の時給は一般的なアルバイトと比べて高いので、ある程度の収入は得られるはずです。

ただし勤務時間が少ない場合、社会保険の加入条件である「週の勤務時間20時間以上」に満たないことがあります。また非常勤の求人は単発のものが多いため、安定した収入を確保するのは難しいかもしれません。

※参考:厚生労働省「社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」

開業

開業してご自身のクリニックを構えるのも、定年後の一つの選択肢です。

前述した通り、医師免許には年齢制限がないため、勤務医として定年を迎えた後に開業することも可能です。「開業は若いうちにするもの」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、これまでの経験と実績を生かし、定年が近付いたタイミングで開業する医師もいます。再就職や非常勤勤務で希望に合う求人がなくても、開業すればご自身の理想の働き方を実現できます。

ただし、体力的な懸念がある場合、開業は難しいでしょう。また開業に当たって融資を受けることを検討している場合、年齢によっては断られてしまう恐れもあります。

医療ボランティア

定年後に働く目的が、生きがいややりがいの場合、医療ボランティアというキャリアもあります。

医療ボランティアは、医師や看護師などの医療従事者が行うボランティアと、医療従事者ではない方が病院などで行うボランティアがあります。医師の場合、これまでの経験を生かして、地域社会に貢献することが可能です。海外派遣を行っている団体を通じて、海外派遣ボランティアとして活躍する医師もいます。

定年後の医師に人気の再就職先は?

定年後の医師に人気のある再就職先にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な4つの再就職先をご紹介します。

一般企業(産業医)

定年後の医師に人気の再就職先の一つは、一般企業で働く産業医です。

産業医とは、企業で働く労働者が、安全かつ健康で働けるようにアドバイスや指導を行う医師を指します。法律では、常時50〜3,000人の労働者がいる事業場では一人以上の産業医、3,001人以上の事業場では二人以上の産業医を選任しなければならないと定められています。

産業医の主な業務は予防医療で、基本的に治療は行いません。勤務日数は月1回や週1回などの低頻度なので、体力に不安がある方でも無理なく働けるでしょう。

ただし、産業医として働くには、以下の要件を満たす必要があります。

●厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
●産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
●労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
●大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者

介護老人保健施設

介護老人保健施設も、定年後の医師から人気が高い再就職先です。通称「老健(ろうけん)」と呼ばれ、介護を要する高齢者の自立支援を行う施設を指します。

介護老人保健施設での医師の主な仕事は、入居者の健康状況の把握や看護師・リハビリ専門職への指示などです。入居者に対して治療や処方、健康指導を行うことはありますが、一般的な病院やクリニックに勤務するのと比べると、負担を軽減して働くことができるでしょう。

また高齢者を対象とした施設ということで、人としても医師としても経験豊富なベテラン医師のニーズが高い現場です。施設長も兼任する場合、経営に携わることになるため、新たな知識やノウハウを身に付けることができます。

残業はほぼなく、土日祝も休みが確保できる施設が多いです。当直やオンコールが発生するケースもありますが、非常勤医師を雇用して、常勤医師の負担軽減を図っている施設もあります。

健診センター

健診センターも、医師の再就職先として人気が高いです。この場合、健康診断医として働くことになります。

健康診断医の主な仕事は、健康診断を受けた受診者の健康状態をチェックし、病気の早期発見や症状改善のためのアドバイスを行うことです。診断画像や既往歴、業務歴、自覚症状などから病気の疑いや健康状態を見極める必要があるため、データや病状を正確に把握し、適切な判断を下す力が求められます。また状況に応じて健康指導を行うので、分かりやすい言葉で指導できる能力も必要となるでしょう。

健診バスに乗って巡回するケースもありますが、健康診断を実施する時間は決まっているため、残業はほとんど発生しません。勤務日数や勤務時間も、自分のペースで決められるケースが多いです。

病院やクリニック(非常勤)

定年後、非常勤として働くことを希望している医師から人気なのは、病院やクリニックです。

人手不足の課題を抱える病院やクリニックが多い今、非常勤医師を求める医療機関は少なくありません。常勤で働くことに自信がない方でも、非常勤なら自分の希望するペースや時間で働くことができます。

基本的に業務内容は常勤医師と変わらないため、これまでの経験を十分に生かすことができるでしょう。65歳以上の医師を募集している病院やクリニックの多くは「日勤のみ」「週1勤務」といった条件を提示している傾向にあります。

医師が定年を迎える前に準備しておくべきこと

定年を迎えた後にキャリアを考えると、出遅れてしまう可能性が高いです。キャリアを断絶することなく、定年後も医師として働き続けたいと考えているのなら、定年を迎えるまでに準備しておきたいことがあります。

生涯現役で働きたいと考えている方は、これからご紹介する4つのポイントを押さえておきましょう。

何を重視するのかを明確にしておく

定年後も医師として働き続けたいのなら、何を重視して働きたいのかを明確にしておきましょう。

働く上で何を重視するかによって、どういった業務内容、労働条件の職場が適しているかは変わってきます。定年後に働き続ける目的を「収入の確保」とする方の場合、安定した収入が確保できる継続雇用や常勤医師が適しています。「ある程度収入を得ながら、自分の時間も大切にしたい」という方は、非常勤勤務や開業が適しているでしょう。「お金ではなく、生きがいややりがいを感じるため」という方は、さらに診療や研究に邁進する選択肢の他に、ボランティアという選択も出てくるはずです。

医師として活躍してきた方は、定年まで生活の大半を仕事に費やしてきたのではないでしょうか。これから先の人生を充実させるためには、これまでと同じ働き方にこだわるのではなく、何を重視してセカンドキャリアを歩みたいかを明確にしておくことが大切です。

経済状況を把握し老後資金を用意しておく

医師に限ったことではありませんが、定年を迎えるまでに、経済状況を把握し老後資金を用意しておくことも大切です。

2019年に金融庁が示した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書によると、老後に2,000万円の資金が必要になると試算されました。この金額は、平均的な高齢夫婦の支出と収入の平均を基に試算されており、人によってはさらに多くの資金が必要になる可能性があります。

現在の資産や退職金、予想される年金額などを確認し、どの程度の老後資金が確保できるかを把握しておきましょう。医師の退職金の相場は1,000〜2,000万円といわれていますが、退職金の額は勤務先の医療機関の規模、在籍年数、月額報酬などによる差が大きいです。就業規則を基に退職金がどの程度あるのかも試算しておくと良いでしょう。

併せて、現在の生活を維持する上で、どの程度の支出があるのかも試算しておくことをおすすめします。

※参考:金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

人脈を維持・拡大しておく

定年後に医師として働き続けるためには、人脈を維持・拡大しておくことも重要です。

退職後は、これまでとは異なる働き方を希望する方も多いはずです。人脈を維持・拡大しておけば、その分仕事を紹介してもらえるチャンスが増え、定年後の仕事の選択肢が増える可能性があります。

学会などで同業者とのつながりを持っておくことはもちろん、他職種の方との人脈も広げておくことをおすすめします。また定年前に非常勤での勤務を経験し、さまざまな医療機関で働いてみることで、新たな人脈を開拓できるかもしれません。

必要な資格やスキルを習得しておく

必要な資格やスキルを習得しておくことも、医師が定年前にしておきたい準備です。定年後に現在とは異なる診療科目や分野でのキャリアを考えている場合、資格やスキルの取得が必要になる場合があります。

例えば産業医として働く場合、指定の研修を受ける、労働衛生コンサルタント試験に合格するなどの要件を満たす必要があります。また、介護老人保健施設のように常駐する医師が少ない施設へ再就職する場合、幅広い医療知識を身に付けなくてはなりません。

ご自身が定年後にどのようなキャリアを選択するのかを今のうちから考え、キャリア実現のために必要な資格やスキルを早めに習得しておきましょう。

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