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専門医を取りやすい科はある?取得状況・試験合格率・専門医を取るメリットを解説

専門医資格は、医師としての高い専門性を示す証明です。専攻する診療科や今後のキャリアを考える際、専門医資格の取りやすさを参考にしたい方もいることでしょう。

本記事では、取りやすさの参考として各試験の合格率を紹介するとともに、専門医を取得する際の注意点を解説します。

こんな方におすすめの記事です!

  • 専門医と認定医の違いや専門医制度の概要を整理したい
  • 専門医取得の現状や合格率を知り、取りやすい科を把握したい
  • 専門医を目指す際に注意すべきポイントを確認したい

目次

専門医とは?

専門医とは、各診療科で高度な専門知識と技術を備え、適切な治療を提供できる医師のことです。専門医になるには、2年間の初期研修(臨床研修)を修了後、自分がめざす基本領域を決め、専門研究プログラムに所属して、指導医のもとで3〜5年専門研修を受けます。その後、領域ごとに実施される認定試験を受験し、合格者だけが専門医を名乗ることができます

以前には、各学会が独自の方針で専門医制度を運用しており、例えば、皮膚科専門医であれば日本皮膚科学会が、眼科専門医であれば日本眼科学会が独自の制度で研修プログラム等を実施していました。しかし、学会ごとに基準や評価方法に差があり、制度の一貫性と専門医の質が懸念される点が問題視されていました。そうした課題を解消すべく、研修内容や評価基準を統一し、制度の質を担保する目的で、2018年より一般社団法人「日本専門医機構」が設立され、現在では「新専門医制度」として採用されています。

[こちらも合わせてお読みください]
新専門医制度 19基本領域まるごと図鑑

専門医領域の一覧

日本専門医機構が定める専門医資格は、基本領域(19領域)とサブスペシャルティ領域(29領域)の計48領域があります(2025年7月時点)

専門医取得の第一歩として、まず基本領域から1つを選び、3~5年間の専門研修を専攻します。その後、認定試験に合格すると専門医となり、以後、原則5年ごとに資格の更新を行います。

基本領域の専門医を取得した後は、関連するサブスペシャルティ領域の専門医を目指すことが可能です。サブスペシャルティ領域は、基本領域での専門医を取得していることが前提で、より専門性に特化した診療を身につけられる資格です。

<新専門医制度 領域一覧>

基本領域(19領域)サブスペシャルティ領域(29領域)
内科
小児科
皮膚科
精神科
外科
整形外科
産婦人科
眼科
耳鼻咽喉科
泌尿器科
脳神経外科
放射線科
麻酔科
病理
臨床検査
救急科
形成外科
リハビリテーション科
総合診療
消化器内科
循環器内科
呼吸器内科
血液
内分泌代謝・糖尿病内科
脳神経内科
腎臓
膠原病・リウマチ内科
消化器外科
呼吸器外科
心臟血管外科
小児外科
乳腺外科
放射線診断
放射線治療
アレルギー
感染症
老年科
腫瘍内科
内分泌外科
肝臟内科
消化器内視鏡
内分泌代謝内科
糖尿病内科
放射線カテーテル治療
集中治療科
脊椎脊髄外科
新生児
小児循環器

認定医との違い

認定医とは、各医師会や、各診療科学会が独自に定めている制度です。現在、専門医は、日本専門医機構が認定するプログラムを受講するのが前提ですが、学会独自の認定専門医も存在します。

認定医になるには、各学会が定める研修プログラムを終了し、求められる症例を経験するほか、学会・講習会などへの参加といった基準を満たしたうえで、認定試験に合格する必要があります。

認定医と比べて、専門医の方がより厳格な審査や条件になっていることが多く、認定医の取得後に専門医を目指すケースが一般的とされています。ただし、認定医も、診療科において一定以上の知識と技術、経験などが認められて取得できるものであり、臨床現場では専門医と同等に扱われるケースもあります。

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専門医の取得状況はどれくらい?

続けて、数ある専門医のなかで、特に取得者の多い領域を確認してみましょう。

厚生労働省「2022年(令和4年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、学会認定を含む61の領域のうち、「総合内科専門医」の取得者が最も多く、27,644 人(8.4%)でした。

ただし、総合内科専門医は、日本内科学会が独自に認定する資格であり、日本専門医機構が定める基礎領域やサブスペシャリティ領域には含まれません。あくまで全体像を把握するための参考情報として示しました。

なお、医療機関に勤務する医師のうち、取得者が多い専門医資格の上位5つは以下のとおりです。

取得者が多い順専門医人数全体の割合
1位総合内科専門医27,644人8.4%
2位外科専門医22,288人6.8%
3位内科専門医20,299人6.2%
4位消化器病専門医19,708人6.0%
5位整形外科専門医17,466人5.3%

参照:1医師 4)取得している広告可能な医師の専門性に関する資格名、麻酔科の標榜資格及び医師少数区域経験、認定医師(複数回答)別にみた医師数 表7(P12)|厚生労働省

試験合格率からみる専門医を取りやすい科

専門医資格には、領域ごとに異なる難易度があり、「取りやすさ」を一概に比較することはできません。受験資格を得るまでの条件にも診療科ごとに差があり、それぞれの症例登録数や学会発表数などのハードルは簡単に比較できないからです。

そうしたなかで、あくまで参考ではありますが、試験合格率が取りやすさの判断材料の1つになるかもしれません。続けて、日本専門医機構の資料から、2020年〜2022年度の3年間において、専門医試験での合格率が高い診療科を紹介します。

基本領域専門医試験の試験合格率

2020年〜2022年度の3年間において、基本領域の専門医試験の平均合格率上位5領域は、以下のとおりです。

合格率が高いランキング領域合格率
1位外科専門医93.7%
2位整形外科専門医93.4%
3位泌尿器科専門医93.0%
4位内科専門医92.2%
5位放射線科専門医92.1%

外科、整形外科、内科に加え、泌尿器科と放射線科も合格率の平均が高いことがわかりました。一方で、合格率の平均が最も低かったのは、精神科専門医(71.4%)でした。

なお、基本領域すべての合格率の平均は以下のとおりです。

専門医名称試験合格率(3年間の平均値)
内科専門医92.2%
小児科専門医80.1%
皮膚科専門医81.4%
精神科専門医71.4%
外科専門医93.7%
整形外科専門医93.4%
産婦人科専門医86.9%
眼科専門医78.8%
耳鼻咽喉科専門医85.3%
泌尿器科専門医93.0%
脳神経外科専門医81.9%
放射線科専門医92.1%
麻醉科専門医75.7%
病理専門医85.8%
臨床検査専門医83.8%
救急科専門医87.6%
形成外科専門医89.6%
リハビリテーション科専門医89.6%
総合診療専門医89.0%

参照:令和5年度版日本専門医制度概報|一般社団法人日本専門医機構

サブスペシャルティ領域専門医試験の合格率

サブスペシャリティ領域は、基本領域の選択によって進路が異なるため、単純な比較はできません。引き続き、「合格率の平均」という視点から、参考情報として紹介しています。

サブスペシャルティ領域の専門医取得試験では、基本領域と異なり、専門性の高さや対象症例の特徴によって難易度に差が出やすい傾向にあります。2020年〜2022年度を平均し、合格率の高い上位5領域は以下のとおりです。

合格率が高いランキング領域合格率
1位脊椎脊髄外科専門医99.4%
2位老年科専門医97.0%
3位腎臓専門医95.1%
4位アレルギー専門医94.4%
5位血液専門医92.3%

上位のなかでも特に、脊椎脊髄外科専門医は高い合格率であり、次いで老年科専門医、腎臓専門医は合格率95.0%を超える結果となりました。

なお、すべての領域における合格率の平均は以下のとおりです。

専門医名称試験合格率(3年間の平均値)
消化器病専門医87.10%
循環器専門医89.20%
呼吸器専門医82.10%
血液専門医92.30%
内分泌代謝科専門医90.30%
糖尿病専門医73.00%
腎臓専門医95.10%
肝臓専門医90.40%
アレルギー専門医94.40%
感染症専門医81.00%
老年科専門医97.00%
神経内科専門医80.00%
リウマチ専門医82.20%
消化器内視鏡専門医82.70%
がん薬物療法専門医76.90%
消化器外科専門医79.00%
呼吸器外科専門医83.40%
心臟血管外科専門医84.80%
小児外科専門医75.10%
乳腺専門医78.80%
内分泌外科専門医78.90%
放射線診断専門医89.30%
放射線治療専門医89.20%
放射線カテーテル治療専門医79.60%
集中治療科専門医83.60%
脊椎脊髄外科専門医99.40%

専門医を目指す際の注意点

専門医を取得するまでには、ある程度の労力や費用がかかります。取得するメリットがある一方で、取得時の注意点もチェックしておきましょう。

目的やキャリアプランを明確にしておく

専門医の取得には3〜5年にわたる研修や、学会・講演会への参加、規定数の症例提出などが必要です。これらの条件を満たすには、相当の努力が欠かせません。

モチベーションを維持し続けるためにも、「なぜ専門医を取りたいのか」「専門医として、どんな働き方を目指すのか」「どのような領域に特化していきたいのか」など、取得後の目的やキャリアプランを明確にしておきましょう

転科をする場合には、ゼロからのスタート

途中で診療科を変更(転科)する場合は、原則として、専攻医の応募からやり直すことになります。例えば、似ている印象がある診療科同士(内科と総合診療科など)であっても、基礎領域が異なるため、それぞれの研修を受講する必要があります。途中で研修を中断することも可能ですが、転科後の新たなプログラムへの参加は、原則として翌年度からになります。

加えて、日本専門医機構の研修プログラムにはない、学会独自の専門医制度もあります。

例えば、将来的に「内科指導医」を目指す場合、基礎領域の「内科専門医」取得後、学会認定の「総合内科専門医」の資格を取得することになります。キャリアパスを考えた後は、情報収集をしっかりと行い、効率の良い取得方法やプランを検討するといいでしょう。

研修プログラムの中断・休業は可能だが、条件がある

ストレートに医学部を卒業した場合(24歳)でも、1つの専門医を取得できるのは最短で29歳です。研修期間中は、複数の地域・医療機関を移動するケースもあり、多様な経験を積むことができます。そうしたなかで、結婚、出産、育児などのライフイベントが重なり、研修を中断せざるを得ないこともあるでしょう。

中断期間が6か月以内で、必要な症例数などの条件を満たせば、研修期間を延長せずに、試験資格を得られます。6ヵ月以上の中断であっても、中断前の研修実績は有効です。

ただし、90日までの休止期間があった場合には、所定の期間(2年)で臨床研修を修了できるものの、90日を超える場合には、その分の日数を延長する必要があるなど、細かい条件が定められています。

事情に合わせて、カリキュラム制(単位制)の研修プログラムを選ぶことも可能です。通常よりも研修期間が長くなる可能性はありますが、万が一の中断や休止に備えて、対応策を知っておくと安心です。

参照:臨床研修・専門研修を中断する場合|公益社団法人 日本医師会 女性医師支援センター

更新のために、常に学び続ける必要がある

専門医資格は、原則5年ごとに更新が必要です。更新には、学会への参加など所定の単位数を満たすほか、診療実績の報告や、症例登録が更新条件となる場合もあります。専門医資格を維持するためにも、常に研鑽し続けるだけでなく、積極的に単位を取得するなど、計画的に進めておくとよいでしょう。

キャリアパスを考えた専門医を目指そう

専門医資格の取得は、医師としての信頼性が高まるだけでなく、自身のキャリアを広げるチャンスにもなります。診療報酬での加算や、待遇面にも良い影響を及ぼすケースもあり、勤務医としての市場価値を高める強みの1つです。

一方で、取得には多くの時間、労力、費用がかかります。合格率や取得状況といった客観的なデータを参考にしつつ、自身の求めるキャリア、将来性などの主観的な軸を大切にしながら、専攻する診療科や領域を検討しましょう。

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記事の監修者

小池 雅美(こいけ・まさみ)

小池 雅美(こいけ・まさみ)

医師。こいけ診療所院長。1994年、東海大学医学部卒業。日本医学放射線学会・放射線診断専門医・検診マンモグラフィ読影認定医・漢方専門医。放射線の読影を元にした望診術および漢方を中心に、栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。女性特有の疾患や小児・児童に対する具体的な実践方法をアドバイスし、多くの医療関係者や患者さんから人気を集めている。

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