医師の仕事は、患者さんをはじめ同僚や看護師、コメディカルスタッフなどさまざまな人と関わります。なかには相性が合わず、コミュニケーションにストレスを感じる人もいることでしょう。命に関わる現場では、そうした人間関係のストレスが治療に影響してしまうと取り返しのつかない事態になってしまうことも考えられます。今回は、医師を取り巻く人間関係を考えながら、できるかぎりストレスを減らすためのポイントについてお伝えします。
- 良好な人間関係でストレスを軽減したい方。
- 信頼関係を築きながらタスクをシフトしたい方。
- 感謝の気持ちを伝えてコミュニケーションを図りたい方。
目次
医師の人間関係は複雑になりやすい
医師は、臨床の現場で多くの人と関わります。同じ医師の立場でも、医局内での付き合いがあり、上下関係に加えて、「内科医と外科医」、「麻酔科医と外科医」、「第一○○科と第二○○科」など各診療科との関係もさまざまです。お互いが誇りをもって専門分野を担当するからこそ、考え方や方針が相反してしまうこともあるでしょう。
加えて、看護師やコメディカルスタッフ、患者さんとの人間関係もあります。医師はさまざまな価値観を持つ人と関わることになるため、相手の立場や考え方に配慮するうちに疲弊してしまうこともあるでしょう。このように、医局内外を問わず、医師の人間関係は複雑になりやすく、ストレスを招きやすいのも当然と言えるかもしれません。
ストレスの少ない人間関係を保つにはコミュニケーションがカギ
職場内の人間関係において、すべてのストレスをなくすことは難しいでしょう。しかし、人間関係のストレスを最小限に抑えて、できるだけ働きやすい環境になるのが理想的です。良好な人間関係を保つことができれば、ストレス回避だけでなく仕事のパフォーマンス向上も期待できます。そこで、意識したいのがコミュニケーションのとり方です。ちょっとした工夫をすることで、より良い人間関係が築けます。ここでは、ストレスの少ない人間関係を保つために意識したいコミュニケーションのポイントについてまとめました。
2-1.会話や雑談が苦手であれば、まずは挨拶から
仕事が忙しく周囲の人とゆっくり話す機会がないと、事務的な関係になりがちです。雑談の機会を確保するのが難しかったり、雑談が苦手だったりする場合には、まず挨拶の仕方から見直してみてはいかがでしょうか。あまり親しくない相手であっても、出勤時や帰宅時に挨拶するだけで、コミュニケーションをとる良いきっかけとなります。ポイントは、できるだけ相手の顔を見て挨拶すること。

最初は挨拶を返されないことがあるかもしれません。こちらはせっかく相手の顔を見ているのに、相手が見返してくれない場合もあるでしょう。そうであっても、相手の反応を期待するのではなく、まずは自分自身が前向きにコミュニケーションをとっているという意識を持つことが大切です。自然に挨拶を交わせるようになると、お互いの顔を見る機会も多くなり、良好な関係を築きやすくなるでしょう。
2-2.感謝の気持ちを伝える
感謝の気持ちを伝えることも、とても大切です。代診で自分の担当患者さんを診てもらった医師や雑用を頼んだ看護師・医事課のスタッフなどには、その都度、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。「他の医師が診るのは当然」「業務上の指示だから当たり前」と考えてしまうと、コミュニケーションをとる絶好の機会を逃してしまいます。仕事の一部であれば、大げさなお礼をする必要はないでしょう。しかし、日頃のねぎらいを込めて、簡単な声掛けをされるだけでも相手は気持ちがいいものです。そうした小さなコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を築くきっかけになります。
2-3.上司への報連相はこまめに
上司との人間関係に悩んでいるのなら、「報連相」のタイミングでコミュニケーションのきっかけを作ってみましょう。気難しいタイプや好き嫌いのはっきりしたタイプの上司の場合、雑談をしようと思っても、なかなかきっかけがつかめないかもしれません。そういった場合は上司への報連相をこまめに行うこと自体を、コミュニケーションの一環と考えてみましょう。仕事の報告は、雑談に比べるとハードルが低くなりやすく、相談ごとをしやすい雰囲気を作りやすくなります。
また、上司とのコミュニケーションは、業務のサポートを得られるきっかけにもなります。日頃からこまめな報連相を意識することで、上司は部下の状況を把握しやすくなり、信頼度が高まるものです。ときには、アドバイスをもらえたり、自分が不在の時に起こった問題を代わりに対応してくれたりするかもしれません。そういったサポートを受けた時はコミュニケーションの機会と捉え、感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
2-4.チームワークを大切に
医療現場はチームワークが欠かせません。2017年に厚生労働省医政局が公表した「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」では、1日で5つの業務に費やした平均約240分のうち、20%弱(約47分)が、看護師や事務職員などのコメディカル職種との分担が可能な業務だったとしています。

一人で仕事を抱え込んでしまうと精神的にも肉体的にも疲労が蓄積してしまうので、分担可能な業務はできるかぎりタスク・シフティングしたいところでしょう。他職種と仕事を分担するためには、良好な人間関係を築いておく必要があります。そのためにも、日頃からコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことが大切です。結果として、お互いに助け合えるチームワークづくりにつながり、医療の質の向上も望めます。チーム診療が気持ちよく行えるように、チームワークの意識を持ち、積極的に他職種との連携を図りましょう。
人間関係が改善しないのであれば転職も方法の一つ
人間関係のストレスで、メンタル不調に陥ったり、仕事へのモチベーションが下がったりしてしまうと、医師としての業務にも影響を与えかねません。人間関係を改善しようと自ら積極的に行動しても効果が感じられないのであれば、環境を変えるために転職を検討するのも一つの方法です。施設の風土やチームワークの考え方、治療方針などが違えば、どんなに努力しても、壁ができてしまうことがあります。人間関係が原因で転職を行う場合には、どんな点で周囲と相違があったのかを明確にし、次の職場選びに活かしましょう。
医師が人間関係のストレスを回避するためには
医療の現場にはさまざまな分野のプロフェッショナルが集まります。それぞれが自分の仕事にプライドを持って働いている以上、時には意見が合わないこともあるでしょう。良好な人間関係が築けていれば前向きな意見交換が可能ですが、そうでない場合は対立してしまうこともありえます。日頃から意識してコミュニケーションをとることを心がけ、できるだけストレスを減らすような工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。
<参考URL>
メンタルヘルスを正しく|損害保険労働組合連合会