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チーム医療が生み出すメリットは? 進める上でのポイントも解説

「チーム医療」とは、医師だけではなく、看護師や薬剤師などのさまざまな医療専門職が連携し、患者さんに適切な医療を提供する体制を指します。チーム医療に取り組む医療機関は増えていますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

本記事ではチーム医療の概要やメリット・デメリット、円滑なチーム医療を行うためのポイントを解説します。チーム医療が一般的になりつつある今、医師をはじめとする医療従事者が現場で活躍し続けるためには、その仕組みや意義を理解しておくことが重要です。本記事を参考にして、円滑なチーム医療に貢献するために必要な知識を身に付けましょう。

こんな方におすすめの記事です!

  • チーム医療への理解を深めたい方
  • チーム医療で得られるメリットを知りたい方
  • チーム医療の取り組みに課題を抱えている方

目次

「チーム医療」の基本と重要性

まず「チーム医療」がどのようなものか、そしてなぜ今求められているのかを知っておきましょう。

厚生労働省も推進するチーム医療の定義とは

厚生労働省が示す「チーム医療の推進について」において、チーム医療は「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と定義されています。

すなわちチーム医療とは、医療に携わるさまざまなプロが連携を取りながら、それぞれの強みを生かして、ひとりひとりの患者さんに対して適切な医療を提供することを指します。チーム医療に携わるのは、主に以下のような医療専門職です。

●医師
●看護師
●薬剤師
●検査技師
●療法士
●管理栄養士
●臨床心理士
●精神保健福祉士
●言語聴覚士
●視能訓練士
●臨床工学士
●医療ソーシャルワーカー
●医療事務

参照:厚生労働省「チーム医療の推進について(チーム医療の推進に関する検討会 報告書)」

チーム医療が求められる背景と意義

では、なぜ今医療現場で「チーム医療」が求められているのでしょうか。

従来の治療法では、ひとりの医師がひとりの患者さんを診て治療を進めていました。しかし現在、医療技術は飛躍的に進歩し、高度かつ複雑な治療も行われるようになっています。それに伴って医療現場では膨大な専門知識や技術が求められるようになったため、医師がひとりで対応するには限界があるのが実情です。

この現状に対応するために、チーム医療が求められるようになりました。

チーム医療で治療を進めることにより、各医療専門職の専門性を生かして、患者さんに適切かつ質の高い医療を提供できます。また心理士やソーシャルワーカーなどとの連携により、患者さんの身体的なケアだけではなく、精神的なケアも行えるので、患者さんのQOLの向上にもつながるでしょう。

加えて、日本では高齢化が進んでおり、医療・介護・社会の連携がますます重要になっています。チーム医療の体制が整えば、患者さんやその家族が安心して療養・生活を続けられるよう支援を行うことが可能になります。

【徹底解説】チーム医療がもたらす多大なメリット

チーム医療は、患者さんにも医療従事者にもメリットをもたらす仕組みです。ここからは、具体的にどのようなメリットがあるかを見ていきましょう。

患者さんにとってのメリット:質の高い医療と安心感の向上

まずはチーム医療によって患者さんが享受できるメリットを4つご紹介します。

●専門性の高い包括的な医療サービスの提供

チーム医療で患者さんが得られるメリットのひとつは、専門性の高い包括的な医療サービスを受けられることです。

各分野の医療専門職が連携し、それぞれの専門知識や技術を生かすことで、より多角的かつ高度な治療やケアが実現します。チーム医療では、内科的・外科的な治療に加えて、リハビリテーション、栄養管理、服薬指導、メンタルサポートなども含めた統合的な支援が行われるため、患者さんは自身の症状や心理状態、状況、希望に応じた医療を受けられます。

●治療方針への納得感と満足度の向上

治療方針への納得感と満足感が向上することも、患者さんにとってのチーム医療のメリットです。

複数の専門職が協力して治療方針を提案することで、患者さんは異なる視点からの情報を受け取れます。多角的な視点からの総合的な説明を受けることで、治療方針への納得感が高まるでしょう。その結果、積極的な治療への参加も期待できます。

またチーム医療では医療従事者間で密な連携を取るため、患者さんに提供する情報や説明の不一致を減らすことが可能です。「医師と看護師の説明内容が異なっている」といった事態に陥りにくくなるため、医療への信頼感が増し、安心して治療に臨めるようになるでしょう。

●入院期間の短縮や早期の社会復帰

入院期間の短縮や早期の社会復帰が期待できることも、チーム医療で患者さんが得られるメリットです。

チーム医療では、医師や看護師、療法士、薬剤師などが連携し、患者さんの回復状況や生活状況に合わせた支援を提供できます。そのため、回復状況に応じて早い段階でリハビリをスタートしたり、退院後の生活に必要なサポートの準備を行ったりすることが可能です。こういったケアを提供することで、スムーズな回復を促し、結果として入院期間を短縮できる可能性が高まります。

またソーシャルワーカーなどの社会福祉の専門職や介護の専門職が連携を図ることで、復職や在宅療養へスムーズに移行でき、早期の社会復帰を目指すことも可能です。

●医療安全の強化とインシデントの防止

チーム医療には、医療の安全性を向上させ、インシデントを防ぐメリットもあります。

異なる医療専門職が連携して情報共有を活発に行い、治療やケアの方法をお互いが確認し合うことで、ヒューマンエラーによる医療ミスのリスクの軽減につながります。また異なる専門職の視点で治療やケアを行うことにより、医師と患者さんが一対一で行っていた治療では、見落としやすかったリスクにも気付きやすくなるでしょう。

医療の質や安全性の向上が期待され、患者さんもより安心して治療に臨みやすくなります。

医療従事者にとってのメリット:専門性の発揮と働きがいの向上

次に、チーム医療によって医療従事者が享受できるメリットを4つご紹介します。

●各専門職が能力を最大限に発揮できる環境

各専門職が能力を最大限に発揮できる環境を整備できることは、チーム医療で医療従事者が得られるメリットのひとつです。

前述した通り、チーム医療には、医師や看護師、薬剤師など、さまざまな専門性を持つスタッフが携わります。それぞれの専門性を生かして、役割分担を明確にした上で働けるので、強みを持つ専門領域で、個々の能力を生かして働くことが可能です。

自らの業務に専念できる環境が整備されれば、各スタッフがより高い専門性を追求できるようになり、チームとしても、より質の高い治療やケアが提供できるようになるでしょう。

●情報共有による業務負担の軽減と効率化

情報共有による業務の負担軽減と効率化を実現できることも、チーム医療で医療従事者が得られるメリットとして挙げられます。

チーム内で情報共有が積極的に行われれば、業務の重複や無駄な業務を減らせます。各スタッフの負担が軽減すれば、リソースを有効活用できるようになるので、チーム全体の業務効率化にもつながるでしょう。

例えば、これまで医師や看護師に集中していた業務を他の専門職に割り振ることで、特定のスタッフに過度の負荷がかかるのを避けられます。負担が軽減された分、その専門職にしかできない業務に専念できるため、より良い医療を提供できるようになるでしょう。

●多職種連携による知識・スキルの向上とキャリアアップ

チーム医療を行うと、多職種連携による知識・スキルの向上とキャリアアップも期待できます。

専門性が異なるスタッフと日々連携を取ることで、お互いに新たな知識やスキルを学ぶ機会が得られます。自分とは異なる価値観や考え方に触れることにより、視野が広がり、より柔軟に患者さんと向き合えるようにもなるでしょう。

チーム医療を通して得た経験やスキルを生かし、キャリアアップや資格取得などにつなげられる可能性もあります。各スタッフの知識やスキルが向上すれば、チームとしての底上げにもつながるでしょう。

●チームの一員としての達成感とモチベーション向上

チームの一員としての達成感を得られることも、医療従事者が得られるチーム医療のメリットです。

治療やケアを支える中で、患者さんの回復や社会復帰に立ち会えることは、医療従事者にとって貴重な経験となります。チームの一員としてその瞬間を共有できたときには、協力し合った仲間とともに達成感を味わえる場面もあるでしょう。そうした経験が、仕事へのやりがいやモチベーションにつながることもあります。

前述した各スタッフが能力を生かした環境で働けることも、モチベーションアップにつながる要因のひとつです。

チーム医療のデメリットと課題

患者さんにも医療従事者にもメリットがあるチーム医療ですが、円滑に取り組むには乗り越えなければならない課題もあります。

ここからは、チーム医療のデメリットと課題について見ていきましょう。

情報共有の難しさとコミュニケーション不足

チーム医療の課題として、情報共有の難しさとコミュニケーション不足が挙げられます。

前述した通り、情報共有が活発になることはチーム医療のメリットですが、多くの医療専門職が携わることになるため、情報共有が適切に行われなかったり、伝達する際にミスが発生したりするリスクがあります。同職種間では問題なかった意思疎通も、異職種間ではスムーズにいかないケースも珍しくありません。コミュニケーションが十分に取れていないと、医療ミスに発展する可能性が高くなってしまいます。

チーム全体で適切な情報共有と円滑なコミュニケーションを図る仕組みを作ることは、チーム医療において必要不可欠といえるでしょう。

役割分担の曖昧さと責任所在の問題

チーム医療には、役割分担や責任の所在が曖昧になりやすいというデメリットがあります。

業務範囲が明確に定まっていないと「誰かがやるだろう」という思い込みによって重要な業務が抜け落ち、ミスにつながる可能性が高いです。また複数のスタッフが同じ業務を重複して行い、効率が悪くなる恐れもあります。さらに、誰が責任を担うべきかが曖昧になると、トラブルやミスが発生した際に迅速な対応が取れません。

患者さんが安心して治療を受ける体制を整えるには、各スタッフの役割を明確にし、責任の所在を明らかにすることが重要です。ただし、役割分担は患者さんの状況や治療方針などに応じて、柔軟に変更しましょう。

チーム内での意見対立

チーム内での意見対立が起こりやすいことも、チーム医療のデメリットといえるでしょう。

チーム医療では、それぞれが専門知識を持ち、異なる視点を持つスタッフでチームが構成されます。そのため、ひとりの患者さんの治療やケアに対しても、異なる意見が生じやすく、それによって円滑な支援が難しくなる可能性も高いです。

自分と異なる意見も尊重し、患者さんの回復のためにより良い方針は何かを、冷静に話し合うことが大切です。

チーム医療を円滑に進めるための5つの重要ポイント

最後にチーム医療を円滑に進め、成功に導くための5つのポイントを解説します。

明確な目標設定と共有:チーム全員が同じ方向を向く

チーム医療を円滑に進めるには、明確な目標を設定し、スタッフ全員で共有することが大切です。

チーム全体で目指す目標を明確にすると、全員が同じ方向を向いて、業務に取り組めます。また患者さんにも目標を共有することにより、治療への積極的な参加を促せるでしょう。

効果的なコミュニケーション戦略:情報伝達と意思疎通の鍵

効果的なコミュニケーション戦略を立てることも、チーム医療の成功には欠かせません。

どのように情報伝達や意思疎通を行うかをルール化しておけば、情報漏れや伝達ミスを防げます。定期的なカンファレンスや情報共有ツールの活用、意見交換がしやすい雰囲気作りも大切です。

各職種の役割理解と相互尊重:リスペクトの精神を育む

チーム医療を円滑に進めるには、各職種の役割を理解し、お互いを尊重する意識を持つことが大切です。

職種ごとに担う役割や専門性は異なりますが、そのどれもがチームにとって必要不可欠であり、優劣は存在しません。それぞれの役割分担を明確にした上で、自分以外のスタッフがどのような役割を担当するのかを理解し、お互いの業務に対して敬意を払いましょう。

リーダーシップとフォロワーシップ:チームを動かす両輪

チーム医療を成功させるには、リーダーシップとフォロワーシップのバランスを取ることも欠かせません。

複数の医療専門職がひとつの目標に向かって協働するには、チームの方向性を示し、全員をまとめるリーダーの存在が必要です。一般的には医師がその役割を担うことが多いですが、状況や治療内容によっては他の職種がリーダーシップを発揮する場面もあります。

一方、その他のスタッフは、リーダーの方針を理解した上で、自らの専門性を生かして積極的に行動することが求められます。必要に応じて意見やアドバイスを伝えるなど、リーダーを支える意識を持つことも重要です。

役職や立場に関係なく、全てのスタッフがチームを動かす歯車として協力することが、質の高いチーム医療につながります。

定期的なカンファレンスとフィードバック

チーム医療を成功させるためには、定期的なカンファレンスを実施し、フィードバックを行うことが大切です。

定期的にカンファレンスを実施すれば、職種が異なるスタッフ間での情報の認識違いが生まれにくくなります。また実施した治療やケアに対してフィードバックを行い、必要な改善を行うことで、より良い医療を患者さんに提供できます。

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記事の監修者

眞鍋 憲正(まなべ かずまさ)

眞鍋 憲正(まなべ かずまさ)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

【監修医コメント】
チーム医療は各専門職の知見と視点を融合することで、診断・治療の精度向上や医療安全の強化、患者満足度の向上を実現します。多職種での意見交換や患者・家族参加型の意思決定プロセスはアドヒアランス向上にも貢献します。

異なる職種間での言葉の使い方や優先順位の相違がコミュニケーションギャップを生むことがありますが、役割の明確化と信頼関係の醸成、リーダーシップの発揮によって障壁は乗り越えられます。結果として、スタッフの臨床スキルが向上し、より質の高いケアが提供できるのがチーム医療の醍醐味です。

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