医師のなかには、収入アップやキャリアアップのために副業を検討している人もいることでしょう。しかし、医師として副業ができるのか、また、副業するとなれば税金や確定申告などはどうなるのかと、悩んでいる人もいるかもしれません。今回は、医師の副業について、その可否とおすすめの副業、注意点などについて解説します。
- 副業を始める際の準備を確認したい方。
- 医師の資格を活かした副業の選択肢を知りたい方。
- 副業や投資による収入増加時の確定申告を確認したい方。
目次
医師の副業は可能?

近年、企業では働き方改革が進み、副業を解禁するところが増えています。医療業界においては、人材不足が続くこともあり、以前と比較して医師の副業をOKとするケースが増えてきています。ただし、副業を禁止する規定がある場合や、公的施設で働く公務員扱いの医師については、副業ができない場合があります。ルールを無視して副業を始めた場合、発覚後にトラブルになりかねません。副業を始める前に、あらかじめ就業規則や院内のルールを確認しておきましょう。
医師におすすめの副業

では、医師が行う副業には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、おすすめの副業とその仕事内容、メリットやデメリットについてお伝えします。
2-1.スポット(単発)アルバイトとして施設勤務
勤務医のように継続的に同じ施設で働くのではなく、一日だけ、一定期間だけ勤務する単発(スポット)アルバイトがあります。主な仕事内容は、外来や当直、長期休暇期間などの代診が中心で、日給もしくは時給制で契約して働きます。お盆や年末年始などの休暇期間など、人手不足になりがちな時期はスポットでの求人が増加しやすい傾向にあります。
そのため、休日や空き時間を活用して副業できるのが大きなメリットです。また、さまざまな現場を体験できるため、スキルアップにもつながります。ただし、働きたいときに好条件の案件がない可能性や、都合の合う日程に募集がない場合があります。
2-2.定期非常勤
定期非常勤は、常勤先とは別の施設で定期的に勤務する働き方です。仕事内容は勤務先によって異なりますが、基本的に通常の診察業務を担当します。定期非常勤は安定して副業を継続できるのがメリットです。
加えて、幅広い症例に出会える機会があり、単発での副業同様に、スキルアップにつながるでしょう。ただし、同施設で1週間32時間以上勤務すると常勤医師扱いとなるため、勤務時間に配慮しなければいけません。
2-3.医療系のセミナー講師
特定分野の専門的な経験や実績がある医師は、医療系のセミナー講師を副業として働く方法もあります。論文や書籍などの著作物がある、最新医療の研究をしているといった注目度の高い情報がある場合、一般企業や製薬会社から講演の依頼が入り、多額の謝礼を得られる可能性もあるでしょう。さらに知名度が上がり、キャリアアップにつながるというメリットがあります。ただし、ある程度の実績が求められます。
2-4.医療や健康をテーマとした記事の執筆や監修
ネット上では、医療や健康をテーマとしたさまざまなコラムが紹介されています。しかし、信憑性の低い情報は読者に悪影響を与えかねません。近年では、医療・健康記事において、コラムの信憑性と信頼度を高めるため、医師による記事の執筆や監修のニーズが高まっています。
自身が記事を執筆することは難しくても、監修者として記事をチェックする業務を請け負えば、副業としての収入を得られるでしょう。その他、商品開発の監修などもあります。知名度アップや実績となる点はメリットですが、人脈等からの依頼が多く、自ら仕事を探すのが難しいのが難点です。
医師の資格にこだわらず収入源を増やす方法

医師の資格を生かす副業に限らず、収入源を増やす方法もあります。医師は安定収入が得られやすいものの、近年の感染症拡大により外来が閉鎖になったり、自身が陽性と診断されて収入が減ってしまったりするケースも見られます。そうしたときでも、収入につながる方法を考慮しておくと安心です。副業以外での収入アップの方法を見てみましょう。
3-1.不動産、株式等への投資
勤務医としての収入を土台として、資産運用をするのも一案です。副業禁止の施設でも、資産運用は副業とみなされない場合があります。資産運用として代表的なのは、不動産や株式への投資、保険、金融商品などへの投資です。投資にはリスクがあるものの、近年ではiDeCoやNISAなど少額からスタートできる非課税の制度もあります。
実際に投資を考える勤務医は少ないかもしれませんが、万が一に備える場合、医師免許に頼らない収入源として、資産運用を取り入れるのもよいでしょう。
3-2.施設運営
手軽にできる副業ではありませんが、老人福祉施設、薬局、駐車場などを経営し、副収入を得る方法もあります。初期投資は必要なものの、運営が軌道にのれば、安定した収入源となるでしょう。副業の場合には自分自身が主体となって運営するのが難しいため、共同経営をしている医師もいます。
医師が副業する際の注意点

副業によって収入を得ると、確定申告を行う必要があります。医師が副業する際の注意点について確認してみましょう。
4-1.税金について
単発や非常勤のアルバイトだけでなく、研修講師としての講演やコラムの執筆などの副業で収入を得た場合、勤務医としての年末調整と別に、雑収入として確定申告を行います。ただし、副業が中心となるような働き方の場合には、開業届を提出し青色申告事業者として「個人事業主」になった方が節税になります。勤務医でも個人事業主になることが可能です。ただし、勤務医としての収入(給与所得)と混同しないように注意しましょう。
4-2.確定申告の手続き
副業をしない勤務医であれば、確定申告をせずに年末調整のみで申告が済んでしまいます。しかし、副業で収入を得た場合、確定申告が必要です。確定申告をしないまま収入を得ていると、後で税金の徴収を受けるなどペナルティが課せられます。
確定申告が必要とされる具体例は以下のとおりです。
・複数の勤務先で非常勤を行い、年末調整されない金額とその他の収入額の合計が年間20万円以上
・講演活動や執筆、メディアへの出演などにより、年間20万円以上の副収入がある
・主な勤務先から得る収入が2000万円以上である
・不動産収入(家賃収入など)が年間20万円以上ある など
(参照:確定申告が必要な方|国税庁)
確定申告が必要な場合について詳しく知りたい方は国税庁のサイトで確認しましょう。
効率よく好条件の副業を探そう!
副業の選び方次第で収入アップやキャリアアップに大きな差が生じます。とはいえ、もしも副業をするならば勤務医の本業に支障をきたさないよう十分に計画したうえで取り組む必要があります。自分に合った働き方を見つけながら、納得できる副業先を探してみましょう。好条件の副業を効率よく見つけたいなら、医師専門のエージェントに相談してみるのもよいでしょう。
参考URL
確定申告が必要な方|国税庁