【医師の年収事情】産婦人科医が「激務・高給」という噂は本当か?|医師の現場と働き方

【医師の年収事情】産婦人科医が「激務・高給」という噂は本当か?

生命誕生の瞬間に立ち会うことのできる産科・婦人科は、医師としてやりがいが大きい診療科の一つです。しかし、訴訟リスクが高く、激務でもあることから深刻な医師不足が全国的に続いており、分娩の取り扱いを中止せざるを得ない医療機関もあります。一方で、高水準の給与を保証されるケースが多く、働き方にも様々な選択肢があります。今回は、産科・婦人科医の働き方と年収事情について解説します。

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目次

  1. 産科・婦人科医の年収事情
  2. 産科・婦人科医はなぜ高給与なのか?
  3. 産科医の働き方と給与動向
  4. 婦人科医の働き方と給与動向
  5. まとめ

産科・婦人科医の年収事情

一般的に、産科・婦人科は他の診療科よりも日常の勤務時間が長く、産泊当直やオンコールなど時間外勤務も多いため、「高給」というイメージが強い診療科の一つです。

「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(労働政策研究・研修機構、2012年)によると、全国の産科・婦人科勤務医の平均年収は1,466.3万円でした。これは調査対象となった全診療科の中で、脳神経外科の1,480.3万円に次ぐ高い水準です。

■診療科別・医師の平均年収

順位 診療科目 平均年収(万円) (計n=2,876)
1 脳神経外科 1,480.3 (n=103)
2 産科・婦人科 1,466.3 (n=130)
3 外科 1,374.2 (n=340)
4 麻酔科 1,335.2 (n=128)
5 整形外科 1,289.9 (n=236)
6 呼吸器科・消化器科・循環器科 1,267.2 (n=304)
7 内科 1,247.4 (n=705)
8 精神科 1,230.2 (n=218)
9 小児科 1,220.5 (n=169)
10 救急科 1,215.3 (n=32)
11 その他 1,171.5 (n=103)
12 放射線科 1,103.3 (n=95)
13 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 1,078.7 (n=313)

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)

また、年収階層別の割合では、1,500~2,000万円未満が最多の29.2%で、2,000万円以上も20.8%に上っています。この2,000万円以上の割合は調査対象となった全診療科の中で最多となっており、高水準の給与を保証する医療機関が多いことがうかがえます。さらに、1,000万円以上の割合は77.7%であり、若手医師も含めて他の診療科より給与に恵まれる傾向にあるといえます。

■産科・婦人科の年収階層別の分布

主たる勤務先の年収 割合(%)
300万円未満 0.8
300万円~500万円未満 2.3
500万円~700万円未満 5.4
700万円~1,000万円未満 13.8
1,000万円~1,500万円未満 27.7
1,500万円~2,000万円未満 29.2
2,000万円~ 20.8

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)

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産科・婦人科医はなぜ高給与なのか?

学生時代や研修医時代にキャリアを選択する際、どのような点に重きを置くかは人によって様々ですが、高水準の給与を第一に望む医師にとっては、産科・婦人科は大いに検討に値する診療科だといえるでしょう。

しかし、特に分娩を扱う産科は、どのタイミングで始まるか分からない分娩のためにオンコールや当直などが多く、産科医数の少ない医療機関ではかなりの激務を強いられることも少なくありません。また、医療訴訟が増えている昨今、分娩に係るトラブルで訴訟リスクが高い産科は若手医師が敬遠しがちな診療科の一つでもあります。このような社会的背景から、産科は全国的に深刻な医師不足にあえいでおり、その結果として医師を確保するため高給を保証する医療機関が増えているのです。

一方、婦人科は分娩を扱わないものの、子宮や卵巣など婦人科系器官に関連する病気を幅広く診療するため、確かな知識と技術を要します。また、晩婚化などの影響で不妊に悩むカップルが増えており、産科と連携しながら様々な不妊治療を行っていくことも婦人科の大切な役割となっています。

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産科医の働き方と給与動向

妊娠・分娩管理が主な業務となります。全国的に分娩を扱う医師や医療機関は不足しており、妊娠・分娩管理の経験がある医師は引く手あまたの状況と言ってよいでしょう。転職を希望する場合も、採用条件に特別なこだわりさえなければ、全国各地で転職先を探すことが可能です。

一般的に、当直やオンコール、時間外勤務などが多い医療機関では高水準の給与を得ることができます。また、都市部よりも産科医不足が深刻な地方で給与水準が高くなる傾向にあり、中には4000~5000万円の年収を提示する医療機関もあります。しかし、破格の給与を提示する医療機関では、産科医1人体制で年間300件以上の分娩をこなさなければならないなど労働条件が厳しいことが多いため、給与だけではなく、どのような働き方が求められているのかしっかりと確認してください。

また、産科医が比較的充足している都市部の産科クリニックなどでは、平均的な給与ではあるものの時間外勤務や当直、オンコールなどの業務を免除する求人もあり、育児中の女性医師などに高い人気があります。

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婦人科医の働き方と給与動向

婦人科は診療範囲が広く、中規模以上の医療機関でがんなどの治療に当たる場合は、産科医と比べて勤務時間が短くなる分、給与水準も低くなるのが一般的です。一方で、近年ニーズが増大している不妊治療に携わる場合は、一般的な医療機関と不妊治療を専門に扱うクリニックで給与水準に大きな差がみられます。一般的な医療機関で不妊治療に携わる場合は他の婦人科医と同程度の給与ですが、専門クリニックでは熟練した治療技術を持つ医師に高い給与を保証するケースも多く、中には時間外勤務がほとんどないにもかかわらず年収3,000万円以上という求人もみられます。

また、確かな技術を持つ医師が開業をめざすケースが産科よりも多く、他県からも患者さんが殺到するような人気クリニックになれば、当然ながら並外れた収入を得ることができるでしょう。

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まとめ

産科・婦人科では、全診療科の中でも高水準の給与を得ることが期待できます。しかし、勤務時間や拘束時間が長いケースも多く、給与だけでなく労働条件などもしっかりと把握した上で、自身の望むワークライフバランスに合った勤務先を選ぶことが大切です。また、産科と婦人科とでは業務内容や働き方、給与水準などが異なるので、キャリア選択においては様々な動向をチェックするようにしましょう。

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記事の監修者

執筆/成田 亜希子(なりた・あきこ) 
執筆/成田 亜希子(なりた・あきこ) 

医師・ライター。2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会日本感染症学会日本公衆衛生学会に所属。

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