常勤医とフリーランス医、働くならどっち?|医師の現場と働き方

常勤医とフリーランス医、働くならどっち?

少し前までは医療界で医局が非常に強い力を持っていました。医局は医局に属する医師を関連する病院に派遣することが重要な役割のひとつで、医師のキャリアプランに大きな影響を与えるものでした。以前は大半の医師が医局に属していたこともありましたが、現在では医局に属することなく働くことも可能になっています。医師の働き方が柔軟になってきている現代の医療界では常勤医とフリーランス医、働き方にどのような違いが出るのでしょうか?

常勤医の働き方とその特徴

《働き方》

常勤医は特定の病院と雇用契約を結び、週のほとんどをその病院で勤務する就業形態です。一般的にいえば、正社員のサラリーマンに近い働き方です。勤務の日数は契約によって異なりますが、週に4日以上で月に1回か2回程度の当直が入るのが一般的です。

診療科にもよりますが、常勤医としての働き方は非常に多忙なものになることが多いでしょう。しばしば勤務の延長も発生し、当直もほとんどのケースで存在します。また夜間に呼び出されるオンコールを担当することもあります。

医師の過重労働が問題となるのは、常勤医であることがほとんどです。職業の中でも医師という職業は、社会貢献度が高く、常勤医として働いていると自分の意志で働く時間などをコントロールすることが非常に困難です。そのため、長時間労働が常態化しています。

《給与》

診療科や地域によっても異なりますが、医学部卒後10年目の医師年収は800万円~1200万円程度です。30代サラリーマンの平均年収が470万前後(国税庁「民間給与の実態調査」)なので、一般的な職業に比べると高いといえますが、忙しいわりに報酬が少ないと考えている医師は少なくありません。アルバイトは可能なので、週に1~2日ほどアルバイトを行うという医師も多く見られます。

《福利厚生など》

常勤医は病院と雇用契約を締結しているため、社会保障によって手厚く守られています。厚生年金や社会保険はフリーランス医と比べて手厚く、定年まで常勤医として働き続ければ老後に困らないだけの年金支給額となるでしょう。

また、常勤医の場合ほとんどの病院で退職金が支払われます。勤務した年数によって退職金の額も変化しますが、医師の基本給ならばそれなりの金額になるはずです。フリーランス医と異なり、人員が充足したからといって急に雇用契約を打ち切られることもないので、雇用面も非常に安定しています。さらに専門医などの資格維持もしやすく、学会への参加費などは病院が負担するケースも珍しくありません。

フリーランス医の働き方とその特徴

《働き方》

フリーランス医は複数(場合によってはひとつのことも)の病院と雇用契約を結び、1週間を複数の病院で働く就業形態です。一般的にいえば、アルバイト勤務に近い働き方です。勤務の日数は契約によって大きく変わり、週に3日を1つの病院で働き、残りの2日を別の病院で働くことや、週に3日・3カ所それぞれの病院で働くこともできます。

勤務時間などは契約によって決められており、多少の残業が発生することはあっても、常勤医ほど過重労働になることは稀です。もちろん契約によっては夜間の勤務や、夜間に呼び出しのある勤務形態にすることも可能です。

《給与》

常勤医と同じように診療科や地域によっても異なりますが、給与は日給制もしくは時給制であることが多く、ほとんどの場合は時給1万円を下回ることはありません。医師が不足している地域や難易度の高い診療科などでは時給が2万円近くなることもあります。

時給が1万円だとすると、1日8時間勤務で8万円、週に5日働いたと仮定して40万円です。これを基準に月収を算出すると、40万円×4週間=160万円、年収160万円、×12カ月=1920万円となり、水準自体は常勤医を上回るケースも見られます(常勤医の場合でも役職手当や残業代、アルバイトがあるため、必ずしも【フリーランス医の給料>常勤医】の給料というわけではありません)。

給与は高い傾向にあり、就業時間も比較的コントロールが効くことから、一見いいことずくめのように感じられますが、フリーランスは社会保障が薄いという点には注意しないといけません。

《福利厚生など》

厚生年金は年収によって支払う厚生年金保険料が異なります。基本的に、多く支払えば支払うほど、将来的に受け取れる年金は多くなります。一方、国民年金は収入に関係なく保険料は定額で、受給額は加入年数で決まります。フリーランス医は、国民年金で、受給額は加入年数にもよりますが月6~7万円程度(日本年金機構)です。そのため老後の不安が多少なりとも残るため、常勤医と比べて自分で資産を増やしていく必要があります。

雇用の面においては、病院側も常勤医が不足しているときにフリーランス医を雇うため、常勤医が充足した場合雇用が打ち切られる可能性もあります。もちろん事前に告知はしてくれますが、新しい勤務先を探す必要があります。また、フリーランス医では専門医などの資格維持が難しいこともあり、学会参加なども自己負担となることがほとんどです。

常勤医とフリーランス医、働くならどっち?

常勤医は医師としての知識、技術、経験を深め自己研鑽を続けたいときにおすすめできる就業形態です。難しい症例などにチャレンジすることもでき、学会参加や論文執筆などのための補助も出るため、専門医の取得や論文発表などに有利です。また雇用的にも安定しているため、金融機関からのローンもとおりやすいこともメリットです。ただし激務になる可能性があります。

非常勤医はワークライフバランスを重視したいときにおすすめできる就業形態です。就業時間をコントロールしやすいために、いろいろな働き方ができます。配偶者の転勤が多い場合、医業以外の活動がある場合、育児をしている場合などに適しています。

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