フリーランス医師は常勤医とどう違う?年収や保険事情、メリット・デメリット|医師の現場と働き方

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フリーランス医師は常勤医とどう違う?年収や保険事情、メリット・デメリット

近年、医師の働き方の選択肢としてフリーランスが注目されるようになりました。フリーランス医は非常勤勤務をベースにした勤務形態で、自分の都合に合わせて働けるというメリットがあります。今回は常勤医とフリーランス医を比較しながら働き方の特徴や年収事情を整理し、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

<この記事のまとめ>

  • フリーランス医は、自分の都合に応じて勤務スケジュールを組めるというメリットがある。
  • フリーランス医には定期非常勤、スポット勤務、定期非常勤+スポット勤務などの勤務形態がある。診療科やスキルによって高収入の求人が出ることも。
  • フリーランス医は高収入を得ることが可能な一方、常勤医に比べて雇用が不安定であり福利厚生や社会保障の恩恵を受けにくいというデメリットがある。

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1.常勤医の働き方とその特徴

まずは、常勤医の働き方、給与、福利厚生などの特徴についてご紹介します。勤務医として働くうえでの長所と短所もあわせて確認しておきましょう。

1-1.常勤医の働き方

常勤医は特定の病院と雇用契約を結び、週のほとんどをその病院で勤務する就業形態です。厚生労働省医政局の「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」では、「常勤医師」の定義を「原則として病院で定めた医師の勤務時間の全てを勤務する者」(病院で定めた医師の1週間の勤務時間が32時間の場合は、32時間以上勤務している医師)としています。

一般的にいえば、正社員のサラリーマンに近い働き方です。勤務日数は契約によって異なりますが、週に4日以上で月に1回か2回程度の当直があるのが一般的です。

診療科にもよりますが、常勤医は非常に多忙な働き方であることが多いでしょう。しばしば勤務時間の延長が発生し、当直もほとんどのケースで存在します。また緊急事態に備えて待機するオンコールを担当することもあります。

医師の過重労働問題の対象となるのは、常勤医であることがほとんどです。医師という職業は社会貢献度が高く、常勤医の場合はとくに自分の意志で働く時間などをコントロールすることが非常に困難です。そのため、長時間労働が常態化している現実があります。

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1-2.常勤医の年収

まずは常勤医の給与水準の傾向を、サラリーマンと比較しながら見ていきましょう。30代の常勤医の年収は約1,060万円~1,280万円程度(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに、「きまって支給する現金給与額」×12カ月分+「年間賞与そのほか特別給与額」で年収を算出、下限値は30~34歳、上限値は35~39歳の男女平均)であることがわかります。

一方、国税庁の「令和2年民間給与の実態調査」によると、30代サラリーマンの平均年収は400.3万円~436.7万円(下限値は30~34歳、上限値は35~39歳の男女平均)です。医師は一般的な給与所得者に比べてはるかに高い年収を得ていることがわかります。

ただし、常勤医の給与は勤務先・診療科・役職・地域などの要素によって異なるため、医師一人ひとりで給与実態は大きく変わることを念頭に置いておきましょう。また常勤に加えて週に1~2日ほど非常勤勤務(アルバイト)をしプラスアルファの収入を得る医師もいます。

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1-3.常勤医の福利厚生

常勤医は病院と雇用契約を締結しており、社会保障によって手厚く守られています。厚生年金や健康保険、介護保険などの社会保険はフリーランス医と比べて手厚く、定年まで常勤医として働き続ければ老後に困らないだけの年金支給額となるでしょう。

また常勤医の場合、ほとんどの病院で退職金が支払われます。勤務した年数に比例して退職金額も大きくなり、基本給の高い医師ですからある程度まとまった金額を得られるでしょう。

常勤医は雇用関係が安定しているという特徴もあります。人員が充足したからといって突然雇用契約を打ち切られることもないので、長期にわたりひとつの勤務先で集中してキャリアを研鑽することが可能です。安定的に症例数や手術件数を確保できることから、専門医などの資格維持がしやすいという点や、学会への参加費などを病院に負担してもらえるという点も魅力でしょう。

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2.フリーランス医の働き方とその特徴

続けて、フリーランス医の働き方、給与、福利厚生について解説します。勤務医と異なる点、フリーランス医として働く長所や短所、注意点についても確認しておきましょう。

2-1.フリーランス医の働き方

フリーランス医は非常勤勤務(アルバイト)を主とした勤務形態で働く医師のことです。複数の病院と雇用契約を結ぶなどして柔軟なスケジュールで勤務します。

勤務日数や勤務時間帯は、医師によって大きく異なります。例えば、ふたつの病院と契約して月・水・金曜日はA病院で勤務して木・土曜日はB病院で勤務する、というように毎週決まった曜日に勤務するという働き方もあれば、週に3日半日だけ勤務するという働き方もあります。

勤務時間などは契約により決められています。時間外労働が発生することもありますが、常勤医ほど長時間になることはほとんどありません。もちろん時間外労働や当直、オンコールをいとわない勤務形態を希望すれば、雇用先との相談により契約内容を調整することも可能です。

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2-2.フリーランス医の年収

医師の非常勤(アルバイト)の給与は日給制もしくは時給制であることが大半です。マイナビDOCTORの非常勤求人を見ると、時給は約1万円程度であることがわかります。医師が不足している地域や難易度の高い診療科などでは、時給が2万円近くなることもあります。

時給1万円で常勤医と同程度のフルタイム(1日8時間、週5日)で勤務と仮定すると、週40万円の収入、月収は40万円×4週間=160万円となります。さらに、月160万円×12カ月で想定年収額は1,920万円です。

前述の30代常勤医の平均年収は約1,060万円~1,280万円程度でしたから、計算上では、フリーランス医が常勤医を上回る数値に見受けられます。ただし、常勤医の場合、常勤先とは別の勤務先で非常勤(アルバイト)の収入を得ているケースもありますので、必ずしもフリーランス医の年収が常勤医の年収を上回っているとはかぎりません。

また、給与水準は職種によっても差があります。診療科のなかでも専門性と希少性が高く、アウトソーシングされやすい麻酔科の医師や、帝王切開を担うことのできる産科の医師は給与水準が高い傾向にあり、フリーランス医として活躍しやすいといわれています。

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2-3.フリーランス医の福利厚生

常勤医は厚生年金に加入し、年収が上がると支払額も増加します。多く支払えば支払うほど、将来的に受け取れる年金は多くなります。一方、フリーランスは国民年金への加入となり、収入に関係なく保険料は定額で、受給額は加入年数で決まります。受給額は加入年数にもよりますが、2021年4月1日現在、受給額の水準は月額約6万5000円となっています(日本年金機構より)。そのため老後の資金を考慮して、自分で資産を増やしていく必要があります。

フリーランス医の場合、雇用が不安定な傾向があります。病院で常勤医が不足しているときに雇われるため、常勤医が充足した場合、雇用が打ち切られる可能性もあります。事前に告知はありますが、新しい勤務先を探す必要があります。また、勤務先が安定しないことから、フリーランス医は専門医などの資格維持が難しい側面があり、学会参加の際の費用も自己負担となることがほとんどです。

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3.フリーランス医の勤務形態

フリーランス医の非常勤勤務(アルバイト)の形態について詳しく見ていきましょう。以下のような選択肢があります。

3-1.定期非常勤

代表的な働き方が、定期勤務を行う非常勤です。例えば、毎週決まった曜日に勤務する、月に8回勤務する、というように定期的な勤務が決められています。定期非常勤は、比較的安定した収入を得ることができるほか、条件を交渉しながら自分の都合に合わせて勤務時間を調整できるというメリットがあります。

また、放射線診断専門医であれば、在宅ワークでの非常勤勤務が可能、というように勤務先についても柔軟に交渉ができるケースがあります。

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3-2.スポット勤務

単発の案件ごとに勤務をする非常勤です。スポット勤務の場合、とくに即戦力となる経験やスキルを有している医師が求められます。突発的に人員が必要になり募集するケースもあることから、好条件の求人が出やすいという特徴があります。

育児や介護などを筆頭に、プライベートの時間を充分に確保しながら空いた時間で勤務をしたいという医師にぴったりの勤務形態です。

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3-3.定期非常勤+スポット勤務

定期非常勤として固定の曜日または時間帯で勤務しながら、空いた時間にスポット勤務をする働き方です。安定した収入を確保しながら、状況に応じて好条件スポット勤務をするという柔軟な働き方です。まとまった収入を得たいフリーランス医にとって、効率的な働き方ではないでしょうか。

なお、フリーランスの麻酔科医は非常勤の需要が高いことを前述しましたが、スポット勤務のみの実施は難しいことが考えられます。というのも、新専門医制度への移行により、麻酔科専門医更新の要件として「週3回以上同一施設で勤務すること」が追加されたためです(日本麻酔科学会より)。フリーランスの麻酔科医の場合、定期非常勤で週3回働きながら更新資格を維持しつつ、都合に応じてスポット勤務するといったスタイルが一般的になるでしょう。

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4.フリーランス医のメリットとデメリット

ここまで、常勤医とフリーランス医の特徴を比較してきました。続けて、フリーランス医になることによるメリットとデメリットを見てみましょう。

4-1.フリーランス医のメリット

フリーランス医になる最大のメリットは、自分の希望に応じて仕事や生活の予定を立てられる点です。ワークライフバランスを維持しやすく、プライベートな時間を確保できます。安定的な収入よりも症例数・手術数を経験できる環境でスキルアップを目指したい人、子育てや介護などで家庭を優先したい人、趣味や健康維持などを重視したい人にメリットが多い働き方といえます。

学会への参加をはばむような勤務条件もなく、論文執筆に集中したいという際には勤務を一時的にストップするといった時間の使い方も可能です。子育てや介護などの理由により常勤医としての勤務継続が難しい場合でも、フリーランス医としてキャリアを維持できるのも利点でしょう。

そのほか、さまざまな勤務先を経験できるため、人脈を広げたいという人にもメリットがあります。将来的にクリニック開業を考えている場合、非常勤勤務を行うことで総合的な診療経験を積んだりクリニック経営のイメージをつかんだりする際にも役立ちます。

加えて、組織のなかでの役割・責任や人間関係のトラブルが発生しにくく、周囲のしがらみから解放されて働けるのもメリットでしょう。

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4-2.フリーランス医のデメリット

フリーランス医は一見いいことずくめのように感じられますが、一方で、収入が不安定になるリスクもあります。

先にもお伝えしたように、フリーランス医は勤務先の都合で雇用がストップすることがあります。新たな求人を探すとしても、自分の希望する働き方と雇用者側の需要が合わなければ、採用につながらず、一時的に収入が途絶えてしまうかもしれません。

さらに、フリーランス医の場合は、契約時に収入相場が決まっているため、どんなに高い能力があっても給与(時給)に反映されにくい傾向にあります。収入アップを考える場合、労働時間や案件数を増やすことになるでしょう。

また、社会保障が薄いという点にも注意しないといけません。フリーランスは個人事業主となるため、国民健康保険料や医療保険料、研究費、学会参加費、交通費などの諸費用を自身で負担することになります。加えて、確定申告などの手続きや、契約先との交渉、医療保険などの契約等にかかる事務作業なども自身で行います。

税理士や代理人を雇う方法もありますが、その分コストがかかります。高収入になりやすいと同時に、必要経費も膨らみやすいことも覚えておきましょう。そのほか、医療事故などのトラブルが発生したときに守ってもらえる後ろ盾がないことも大きなデメリットです。

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5.常勤医とフリーランス医、働くならどっち?

以上見てきたように、フリーランス医、常勤医それぞれにメリット・デメリットの両面があります。

フリーランス医はワークライフバランスを重視したいときにおすすめできる就業形態です。就業時間をコントロールしやすいために、いろいろな働き方ができます。配偶者の転勤が多い場合、医業以外の活動がある場合、育児をしている場合などに適しています。

また、常勤医は医師としての知識、技術、経験を深め自己研鑽を続けたいときにおすすめできる就業形態です。難しい症例などにチャレンジすることもでき、学会参加や論文執筆などのための補助も出るため、専門医の取得や論文発表などに有利です。また雇用的にも安定しているため、金融機関からのローン審査などの際もスムーズです。ただし、ハードワークになる可能性がある点は念頭に置いておきましょう。

それぞれの利点とリスクをふまえつつ、ライフプランに応じて自分に合った勤務形態を選択しながら満足度の高いキャリアを実現していきましょう。

文:太田卓志(麻酔科医)

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