給与は?残業は?医師がクリニックに転職するメリット|医師転職ナレッジ

給与は?残業は?医師がクリニックに転職するメリット

全国の医師の9割以上は医療機関で臨床医として勤務しています。医療機関には病院と診療所があり、医療法では入院ベッドが20床以上の医療機関を「病院」、19床以下の医療機関を「診療所」と定義しています。ここでは一般的に「クリニック」と呼ばれる診療所で働くメリットについて詳しく説明します。

1.クリニックの求人数が増えている?

従来の臨床研修制度では、厚生労働省から指定を受けた病院での2年間以上の初期研修が義務付けられています。また、2018年4月から研修プログラムがスタートした新専門医制度においても、多くの学会は指導医の数がそろい、たくさんの症例数が見込める大規模な医療機関での訓練を必須としています。これまでも初期研修を修了した後は、大学病院や地域の基幹病院などで経験を重ねていく医師がほとんどでした。

勤務医の大多数は病院で働いており、「クリニックといえば開業医」というイメージがある人も多いでしょう。しかし、近年ではクリニックも慢性的な人手不足に陥っているケースが少なくなく、勤務医需要の増加によりクリニックの求人数も増えてきています。開業医の高齢化が進んでいること、特定分野の治療に特化したクリニックが多くなってきたことなどが大きな要因と考えられます。

2.病院とクリニックの働き方の違い

医師の職場として、病院とクリニックにはどのような差があるのでしょうか。

まず、病院勤務の場合は入院患者を担当し、さらに外来診療や日当直、オンコールなどの業務のほか、感染症や医療安全委員会などの委員を務める医師が大半です。病院勤務医の多くは長時間労働が常態化し、その中でさらに知識や技術を磨くための勉強時間を確保しなければなりません。病院勤務は多忙を極めますが、最新の治療法を学んだり重症患者の治療に携わったりする機会が多く、その中にやりがいを見出すことが可能です。

一方、クリニック勤務の場合、業務内容は無床クリニックか有床クリニックかにより異なります。無床クリニックの場合は外来診療や日帰り手術などの業務がメインとなり、当直やオンコールがないため時間的にゆとりのある勤務が可能です。有床クリニックの場合は当直やオンコールの必要がある勤務もあります。しかし、重症患者はより高度な治療を受けるために病院へ搬送されるケースがほとんどであり、入院患者は状態が安定した人が多いため、産科クリニックなどを除いて夜通しの治療が必要になるケースはほとんどありません。やはりゆとりを持って働くことができると言えるでしょう。

3.クリニックの給与水準は?

厚生労働省「第21回医療経済実態調査」によると、2016年度の勤務医の平均年収(賞与を含む)は約1488万円でした。ただし、勤務地や診療科により金額差が大きく、一般的には医師が少ない僻地へ行くほど高く、また緊急的な治療が必要になる科や自由診療の多い科のほうが高い傾向にあります。

クリニックの給与も、無床・有床、オンコールの有無、診療科などにより大きな差があります。クリニックにおける勤務医の年収は1200~1500万円ほどが平均的ですが、時間外勤務やオンコール・当直がない条件では1000万円を下回る場合もある一方、美容外科やレーシック手術を行う眼科などでは同様の条件でも3000万円を上回る求人がみられます。また、特定分野の治療に特化したクリニックでは、その道のエキスパートを高年俸でヘッドハンティングするケースもあり、治療実績に応じた歩合制の給与体系をとる場合もあります。

病院勤務医の給料は1200~1500万円ほどが相場で、部長クラスになると1700万円を超えるケースもありますが、病院とクリニックで給与水準に大きな差はありません。とはいえ、勤務時間当たりの時給に換算すると、クリニック勤務のほうが恵まれた待遇だと考えられます

4.病院からクリニックへの転職する6つのメリット

以上のように、病院とクリニックでは業務内容や働き方、待遇などに差があります。また、多くの医療従事者を抱える病院と、固定した少数のスタッフのみのクリニックでは、職場の雰囲気や働きやすさも異なります。転職を考える際に病院とクリニックで悩んだ場合は、次のようなクリニック勤務のメリットを参考にしてみましょう。

(1)時間的・精神的なゆとりを持つことができる
(2)基本的にオンコールや日当直がない
(3)アットホームな雰囲気の医療を提供できる
(4)専門分野に特化した治療を行うことができる
(5)職場の人間関係に煩わされることが少ない
(6)病院勤務に比べて時給換算の給与が高い傾向がある

かつてに比べて医師の働き方は多様化しており、近年求人数が増えているクリニックでの勤務も医師の魅力的な働き方のひとつだと言えます。特に、育児との両立や自分の時間を大切したいというワークライフバランス重視の医師にはおすすめです。求人条件はクリニックによって差があるので、しっかりと見極めて納得できる転職先を見つけてください。

PROFILE

成田 亜希子(なりた・あきこ) 
 
2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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