マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
これまで医師が直接診察せずに治療したり、処方せんを交付することは「医師法20条」に抵触するため、遠隔治療に関するルールはグレーゾーンとなっていました。今回、厚労省発の通知で「保険者が実施する禁煙外来」に限り、対面せずに診療を完結することが認められることになります。
厚生労働省は都道府県に通知を出し、テレビ電話などのICT(情報通信技術)を活用して医師が患者を診る遠隔診療のルールを明確化させた。同省はこれまでに、対面診療と適切に組み合わせれば医師法などに抵触しないとの考え方を示してきたが、今回の通知では、「保険者が実施する禁煙外来」に限り、対面せずに診療を完結させることを実質的に認めた。それ以外のケースでも、患者側の都合で診療を中断した場合は、結果として遠隔診療のみでも構わないとした。【佐藤貴彦】
通知は14日付。遠隔診療の取り扱いを明確化するもので、医師が対面診療と適切に組み合わせるつもりなら、初診が遠隔診療でも問題がないと強調した。その上で、患者側の都合で診療が中断し、結果として一度も対面で診療できなかったからといって、医師法などの規定に直ちには抵触しないとの解釈を示した。
「保険者が実施する禁煙外来」に限っては、定期的に健診を受けている患者が対象なら、「対面診療の必要性については柔軟に取り扱っても直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」とし、遠隔診療のみでの治療を実質的に容認した。
医師が自分で診察しないで治療したり、処方せんを交付したりすることは、医師法20条で禁止されている。厚労省はこれまでに、「疾病に対して一応の診断を下し得る程度」の情報を得られれば遠隔診療でも無診察に当たらず、医師が対面診療と適切に組み合わせて行うことは「差し支えない」といった解釈を示してきた。
また今回の通知では、テレビ電話や電子メール、ソーシャル・ネットワーキング・サービスなどを組み合わせて行う遠隔診療も、「対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報」が得られる場合は問題にならないとした。
通知は、先月に閣議決定された「規制改革実施計画」によるもので、へき地などに住む患者や、在宅酸素療法などを行う患者に限らず、さまざまな患者が遠隔診療の対象となることも改めて明示した。厚労省は2015年に出した事務連絡で、さまざまな患者が対象になることなどの明確化を図ったが、遠隔診療の関係者からは、地域によってルールの運用にばらつきがある状況の改善を求める声が上がっていた。
出典:医療介護CBニュース