マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
急性気道感染症で、生後6カ月以下では死亡率が高くなる百日咳。今までは小児科定点医療機関以外に保健所への届け出義務がありませんでした。しかし、2018年1月から厚生労働省は感染症法施行規則などを改正し、診断した医師による届出を義務付ける予定です。
あわせて、今まで7日以内の届け出義務だった風しんについても、即時報告に変更される予定です。
厚生労働省は19日、保健所への届け出が小児科定点医療機関(全国約3000カ所)に限定されている「百日咳」について、診断した医師による届け出を義務付けることを決めた。今後、感染症法施行規則などを改正し、5類感染症の「定点把握疾患」から「全数把握疾患」に変更する。来年1月の施行を予定している。【新井哉】
百日咳は、けいれん性の咳発作などが起きる急性気道感染症。生後6カ月以下では死に至る危険性が高い。生後3カ月から接種が可能な四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)が有効な予防方法となっている。
百日咳をめぐっては、定期予防接種の効果が減弱した成人の発病が問題となっている。2014年に新潟県で起きた集団感染では、成人が百日咳で肋骨を骨折したとの報告もあった。感染症発生動向調査では、小児科定点医療機関からの報告にもかかわらず、15歳以上の割合が増加している。
また、重症化しやすいワクチン未接種の乳児への感染の恐れがあるほか、思春期・成人層での集団感染が起きた場合、小児科定点医療機関からの報告では適切な把握ができず、対応が遅れる可能性も指摘されている。
こうした状況などを踏まえ、厚労省は、成人を含む患者の発生動向を正確に把握する必要があると判断。医療機関を受診した患者について、医師が百日咳と診断した場合、最寄りの保健所に届け出ることを義務付ける。
具体的には、医師が届け出る書類に、診断時の年齢や症状、診断方法、感染推定年月日、感染原因・経路に加え、幼稚園、学校、職場での流行やワクチン接種の有無を記載する。
出典:医療介護CBニュース