マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
厚生労働省は、血液製剤の使用指針改定を予定していますが、日本産婦人科医会・日本産科婦人科学会・日本母体救命システム普及協議会は、使用指針の「大量出血等」の項目の後に産科危機的出血の項目を設ける必要があると主張しています。
日本では年間40~60人の妊産婦が死亡しており、そのうち約3割が子宮破裂や産道裂傷、常位胎盤早期剥離などによる、産科危機的出血が理由と見られています。
日本産婦人科医会などは、血液製剤の使用指針に関する意見書を厚生労働省に提出した。改定が予定されている指針に、妊産婦の主な死亡原因となっている出産時の大量出血に関する「産科危機的出血」の項目を新設するよう求めている。【新井哉】
周産期管理の進歩に伴い、妊産婦の死亡率は低下しているが、子宮破裂や産道裂傷、常位胎盤早期剥離などによる産科危機的出血が原因で死亡に至るケースは現在でも絶えない。全国で年間40-60例ほどある妊産婦の死亡事例のうち、約3割が産科危機的出血による死亡とみられている。
こうした状況などを踏まえ、日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会、日本母体救命システム普及協議会は、厚労省が改定作業を進めている血液製剤の使用指針の「大量出血等」の項目の後に、産科危機的出血の項目を設ける必要性を挙げている。
その理由として、分娩時に異常出血を発症した後、早期の段階(1-2時間)で心肺停止に陥っていることや、少量の出血でも凝固障害などの「産科DIC(播種性血管内凝固症候群)」が発生することなどを挙げている。
また、凝固障害が起きると、子宮からの出血が増加し、生命の危険にさらされる恐れがあることに触れ、「先制的な新鮮凍結血漿(採血後に遠心分離で得られた血漿を凍結したもの)の投与は、母体救命のためにも必要な管理方法」としている。
出典:医療介護CBニュース