履歴書の作成は、転職先で業務を行う十分な能力があることを示す重要な書類です。しかし、日々の業務で忙しい医師は、転職活動のために履歴書を購入し、過去の業務や実績を振り返りながら記入する……という作業を面倒くさいと感じるかもしれません。そこで、労力をかけずに完成度の高い履歴書を作成するコツを紹介します。
1.パソコンで作成するのが効率的
「履歴書は手書きのほうが、誠意が伝わるので効果的」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、実際はパソコンで作成してもマイナスにはなりません。テキストデータで一度作成をすれば、日付などを変更するだけで複数の応募先への履歴書を簡単に作成することができるので、効率的に履歴書作成をしたいという医師におすすめの方法です。検索エンジンで「履歴書」と検索すると、無料でダウンロードできるテンプレートが見つかりますので活用しましょう。
ただし、なかには手書きの履歴書のほうが好印象をもたれる病院があることも事実です。転職エージェントを利用する場合は、手書きの履歴書のほうが好まれるかどうか、応募先の病院の傾向について確認しておくとスムーズです。
また「手書きのほうが好き」「きれいな字であることをアピールしたい」というときはもちろん手書きで問題ありません。
2.履歴書作成の7つのコツ
① [写真]なるべく質にこだわる
写真は応募者の印象を大きく左右する重要なポイントです。ジャケットを着用するなど、清潔感のある格好を心がけるだけでなく、できれば写真の質にもこだわりましょう。駅などに設置されているスピード証明写真を利用する方法もありますが、写真館などで撮影すると色調を調整してもらえるので、明るい印象に仕上がります。
②[学歴・職歴] 略称を使わない
学歴・職歴欄を記入する際、つい平成を「H」と書いたり、高等学校を「高校」と書いたりしていませんか?
面倒に感じるかもしれませんが、省略せずに正式名称を記載しましょう。
履歴書は病院が最初に受け取る医師の情報です。履歴書にきちんと正式名称が記載されているかどうかで、正確性や仕事への真摯な姿勢が感じられるかが判断されるでしょう。日常生活では住所欄のマンション名を省略して部屋番号のみを記入することのほうが多いと思いますが、履歴書では正式なマンション名を記載するほうが無難です。
③ [学歴]高校から記入する
学歴欄を記載する際、いつまでさかのぼって記載するべきか迷うかもしれません。どの大学の医学部出身かが重視される医師の世界ですが、履歴書では高校卒業から書くほうが丁寧です。高校名や(学部名を含めた)大学名が長い場合は、無理やり1行におさめようとせず、適宜改行し2行使用しても問題ありません。読みやすさを優先しましょう。
④ [資格]医師番号まで明記する
履歴書の資格欄には、もちろん医師国家試験に合格したことを記載します。その際、医師番号を併記しましょう。応募者が本当に医師免許を取得しているのか、名前と合格年から検索をすることもできますが、医師番号を履歴書に記載しておくと、病院側の作業が減りスムーズに確認ができます。
また認定医、専門医、指導医などを取得している場合も記載しましょう。これらの資格は、年収やポジションにも大きくかかわります。
⑤ [業績]代表的なものを記入する
一般的な履歴書には業績・実績がありますが、職務経歴書に詳しく記載する場合は、代表的な実績のポイントを記載するだけで問題ありません。どのような学会でどのような発表をしたか、どんな論文を執筆したかなど、アピールしたいポイントを記載しましょう。
⑥ [志望動機]病院ごとに変える
志望動機、自己PR欄は履歴書の中で最も重要な項目です。「なぜその医療機関で働きたいのか」を軸に書きましょう。パソコンで履歴書を作成する場合でも、この項目だけはそれぞれの病院に合わせて書き直しをします。
「どんなことを書いたらいいかわからない……」という方は、応募先の病院がどのような診療方針か、どのような取り組みをしているかなどをホームページで調べるなどして、共感できる点について記載をするのがおすすめです。
⑦ [趣味]面接で役立つことも
趣味欄は基本的に書類選考にあまり影響を与えませんが、面接時に役に立つことがあります。面接担当者との共通点があると、印象がよくなり話が弾むようになります。共通の趣味ならなおさらです。
医師の面接はスキルや雇用条件を確認する場というよりは、一緒に働きたい人間性かどうかを確認する場という意味が強いため、話のネタを増やすという意味で記載する価値がある項目です。
3.添削で完成度を高める
以上見てきたようなポイントに気をつければ、履歴書作成で迷うことも少なくなるでしょう。一つひとつの項目に記入する内容は、実はそれほど多くありませんので、コツさえおさえれば時間や手間をかけずに質の高い履歴書を完成させることができます。「志望動機に何を書いたらいいかわからない」「この書き方で良いのか心配」という方は、転職エージェントに相談をすると添削してもらうこともできますので、うまく活用しましょう。
文:太田卓志(麻酔科医師)