転職をする理由は人それぞれ。結婚や出産といったライフスタイルの変化、さらなるキャリアアップのため、もしくは労働条件や給与面などがあります。せっかく自分の希望に合う病院に転職ができたのならば、長く勤めたいですよね。そのためには各種条件はもちろん、病院内部の情報も大切です。
1.労働条件、給与、症例経験、専門医取得可
条件や待遇面も大切ですが、病院内部の実情や人間関係もとても重要です。まず、前提として医師の転職は比較的容易であるということがあります。売り手市場であることはもちろん、ほかの職業に比べて転職回数の多さがネガティブな要素となることはあまりありません。重視されるのは、本人の経験や資格などのスキル面になります。最初の勤務先が自分の条件にぴったりと合致して、長く勤めることができるなら、それに越したことはありません。しかしライフスタイルの変化や当初の労働条件と実情との乖離、さらなるキャリアアップなど、転職を考えるタイミングはほとんどの医師で存在すると思われます。
もちろん自分の希望する条件に妥協しないことが転職を成功させる重要なポイントですが、もう一点、病院の内部の情報も、よい転職をするためには必要不可欠です。しかし病院の採用サイトなどで得られる情報は限られており、労働条件や給与の条件、休暇やどのような職場かなどといったことくらいなのではないでしょうか?
実際に採用サイトだけで得られる情報はごくわずかです。病院の実際の状態と乖離がある可能性もあります。せっかく自分の希望する条件に見合う病院を見つけられても、そもそも希望条件と実態がかけ離れていたり、条件以外の面で重大な問題があることがあります。
本当に採用サイトなどに書かれている情報は正しいか、職場環境や人間関係などはどうなのかといった情報を得ることがよい転職につながります。
2.転職サイトや各病院のHPでは内部の情報が手に入りづらい
転職サイトや各病院の採用サイトなどは転職先の情報を収集する手段としては手軽です。多くの人が見て利用したことがあるでしょう。実際に採用を行っているか、どの程度の条件を出してくれるのかといった表面的な情報をたくさん得るためには、確かに有効な方法です。
しかし病院内部の実際の情報を得るためには、あまり適しているとはいえません。労働時間の負担が大きいためワークライフバランスを考えて転職をしたのに、実際に入ってみると前の病院とあまり変わらない忙しさだった、ということもありえます。転職先が自分の希望に合わなかったら、せっかくの転職が無駄になってしまいます。
確かに医師は転職回数の多さがネガティブな要素とされにくい職業です。それでも、多少は影響する可能性があります。短期間で繰り返し転職をする事態を防ぐためにも、病院内部の生きた情報が必要になります。しかしながら独力で病院内部の情報を手に入れる手段は非常に限られます。実際にその病院に勤務した経験のある人からの口コミを聞くくらいしかないのではないでしょうか? しかもその情報が過去のものなら、現在は変化している可能性があります。病院の生きた情報を手に入れ、転職を成功させるには、転職エージェントが役に立ちます。
3.転職エージェントは病院の内部の情報も教えてくれるため、ミスマッチが少ない
転職を成功させるには、転職サイトや病院の採用サイトなどを用いて独力で転職をするよりも、転職エージェントを頼ったほうが、成功率が高いといわれています。その理由として、まず転職エージェントは病院の内部の情報を詳しく教えてくれることが挙げられます。
転職エージェントは、自分たちを介して転職をした医師に、定期的なヒアリングを行っているはずです。「病院が働きやすいか」、「事前に提示されていた条件と極端に異ならないか」「働くうえで困っていることなどはないか」といったことを聞かれた経験がある医師も多いのではないでしょうか。
これらの情報はノウハウとして、転職エージェントに蓄積されていきます。そして新しく転職を希望する医師に対して、条件や病院の内情などを伝えることでより精度の高いマッチングをしてくれます。
転職エージェントには、さまざまな病院の膨大な情報が蓄積されています。「こんな条件は無理だろう」という条件の求人でも、ダメ元で相談してみると、あっさり見つかることもあります。また「これくらいの条件ならこの病院に決めたい」「労働時間を制限したい」といった場合にも、病院側と交渉をしてくれます。
医師は忙しい職業なので、独力で転職をしようと情報を集めても、転職エージェントが所持する情報量にはとても敵いません。よりよい転職を成功させるためには、しっかりとプロに任せることが重要です。
文:太田卓志(麻酔科医)