転職を考えているものの、日々の仕事が忙しく、「転職活動にかける時間がない」とお悩みの常勤医師は少なくありません。十分な時間を確保するのが難しい医師が効率的に転職活動をするには、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。
本記事では、医師の転職活動を効率的に進めるポイントや、病院選びのポイントなどを解説します。多くの医療機関が医師不足という課題を抱えている今、転職すれば今よりも好条件で働ける可能性があります。転職を検討している常勤医師の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
- 転職を検討している常勤医師の方
- 転職活動に時間をかけられないとお悩みの方
- スムーズに転職を実現したい方
目次
なぜ医師は転職活動に時間をかけられない?

転職を希望するものの、転職活動のための時間を確保できず、泣く泣く断念してしまう医師は少なくありません。
医師が転職活動に時間をかけられない原因の一つは、多忙な日常業務と転職活動の両立が難しいことです。希望する条件を満たした転職をするには、まず情報収集を行う必要があります。数多くの求人からご自身に合った求人を見つけるのは時間がかかる上、気になった医療機関の情報をさらに深掘りするとなると、膨大な時間が必要です。
さらに、応募する求人が決まったら、履歴書や職務経歴書を作成する必要があります。書類選考後には、面接や見学なども行う必要があるため、多忙な日々の中から時間を捻出するのは、なかなか大変です。時間がない中で慌てて転職した結果、後悔してしまう医師もいます。
医師は仕事の責任が大きく、精神的な負担もかかるので、日々の業務を行いながら、転職活動を並行して行えるイメージが持てない方は多いでしょう。
医師の転職活動は在職中?退職後?

常勤で働いている方の中には「在職中の転職活動は難しそう」と、考えている方がいるかもしれません。一人ひとり状況が異なるため、在職中の転職活動と退職後の転職活動のどちらが良いとは一概には言えませんが、一般的には在職中の転職活動がおすすめです。
在職中であれば、収入が途絶える心配がないので、安心して就職活動に取り組めます。転職活動を始めたからといって、すぐに希望にマッチする求人が見つかるとは限りません。退職して転職活動をする場合、長期的に希望に合う求人が見つからないと、無職の期間が長引く恐れがあります。「早く仕事を決めなければ」という焦りから、希望とはかけ離れた転職になってしまう可能性も高いです。また離職期間が長くなってしまうと、採用面接の際に不利になる恐れもあるでしょう。
在職中に転職活動を始めれば、経済的な不安なく納得いくまで自分に合った求人を探せるので、より希望に合った転職先が見つかる可能性が高いです。また現在働いている病院に退職の意思を伝えると、引き留めに合うケースも少なくありませんが、転職先が決まっていれば、引き留められても断りやすいはずです。
時間がない中で効率的に転職活動を進めるためのポイント

時間がない中で効率的に転職活動を行うには、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。スムーズな転職を成功させるために、これから解説する4つのポイントを押さえておきましょう。
転職時期の目安を設定する
時間がない中で効率的に転職活動をするには、転職時期の目安を設定しましょう。
転職時期の目安を設定して自分なりのゴールを決めておくと、モチベーションを維持したまま転職活動を続けられます。ゴールに設定したタイミングから逆算すれば、転職活動のスケジュールも組みやすいでしょう。
逆に目安を設定せずに転職活動を開始してしまうと「仕事が落ち着いて、時間ができたら情報収集しよう」と、転職活動が後回しになります。その結果、なかなか転職活動に取りかかれず、ダラダラと時間だけが過ぎてしまうケースも多いです。
設定した目安通りに転職が実現するとは限りませんが、目標を設定しておくことで、効率よく転職活動を進めやすくなるでしょう。
希望条件に優先順位を付ける
効率の良い転職活動をするためには、希望条件に優先順位を付けることも大切です。
転職するに当たっては、希望の年収や勤務形態などがあるはずです。希望条件を網羅的にリストアップしておくことは大切ですが、条件を全て満たす求人はなかなか見つからず、転職に時間がかかってしまうかもしれません。
転職活動を始める前に希望条件に優先順位を付けておけば、「何が譲れないのか」「何が妥協できるか」が自分の中で明確になります。また優先順位を明確にしておくことで、転職後のミスマッチも防ぎやすくなるでしょう。
面談での質問事項を整理しておく
効率よく転職活動をするためには、面接で質問したいことをあらかじめ整理しておきましょう。
採用面接では、医療機関との面談が行われます。この面談を少しでも有意義なものにするには、疑問や不明点をクリアにすることが重要です。
質問事項を整理しておけば、限られた時間でも疑問や不明点が解決しやすくなるので、ご自身に合う転職先かどうかを判断しやすくなります。転職後の後悔を減らす上でも効果的です。
ただし、面談の時間には限りがあるため、質問事項を整理した上で、優先順位を付けておくことをおすすめします。
医師専門の転職サイト・エージェントを使う
医師専門の転職サイト・エージェントを使うことも、時間がない中でスムーズに転職活動をするポイントです。
転職活動を独力だけで行うことは可能ですが、日々仕事に追われている医師が、膨大な情報の中から必要な情報を収集し、ご自身に合った求人を見つけるのは大変です。医師専門の転職サイトやエージェントを活用すれば、登録先の担当者が面談で希望条件などをヒアリングし、その内容を基に、一人ひとりに合った転職先を提案してくれます。
非公開求人を多く抱えている転職サイトやエージェントも多いため、独力での転職活動では見つけられない好待遇の求人に出会える可能性も高いです。また医療機関に関する独自情報を持っている転職サイトやエージェントも多く、職場環境や人間関係などの内部事情も応募前に把握できる可能性があります。
以下の記事では、転職サイトと転職エージェントの違いの他、医師が転職でつまずくポイントや転職を成功させるコツも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
医師が転職する際の病院選びのポイント

医師が転職先の病院を選ぶ際、どのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか。病院選びでチェックしたい8つのポイントをご紹介します。
病院の規模
転職先の病院を選ぶ際は、病院の規模をチェックしましょう。
例えば、大病院の場合はさまざまな症例に触れられる可能性が高く、幅広い臨床経験を積むことができます。医療機器も充実している傾向にあり、先端の知識・技術を身に付けられる可能性が高いでしょう。
ただし、在籍している医師の数が多く、派閥が存在する場合もあり、人間関係でトラブルが起きるケースは珍しくありません。診療に加えて、研修医の指導や研修への参加なども求められるため、多忙を極めるケースも多いです。当直やオンコールも多く、ハードな勤務形態を強いられることもあります。
地域密着の小規模な病院の場合、幅広い世代の患者さんと関係を構築しながら、かかりつけ医として健康をサポートできます。大病院と比べると指導や研修の機会は少ないので、診療に専念しやすいでしょう。働きやすさを重視している病院が多いため、ワークライフバランスを取りやすい傾向にあります。
ただし、大病院と比べると、先端医療や最新の医療情報に触れる機会は圧倒的に少ないです。また人間関係が狭く深いので、一度トラブルが起こると、働きづらさを感じてしまうかもしれません。
診療科目
転職先選びをする際は、ご自身が希望する診療科目があるかどうかもチェックしましょう。
転職に伴い、転科を検討している方もいるかもしれません。診療科目によって特性が異なり、年収や働き方も変わってきます。未経験でも受け入れが可能か、これまでの経験を生かせる可能性はあるかなどを確認することが大切です。
また転科をしない場合でも、病院によってどの程度の専門性を高められるかが異なります。加えて、専門医を目指す場合は、必要な症例経験が積めるかどうかも確認しておきましょう。
実現したいキャリアプランを明確にした上で、それらを叶えられるかどうかを見極めてください。
勤務体制
勤務体制も転職時の病院選びで外せないポイントです。
前述した通り、一般的に大病院は当直やオンコールが多い傾向にありますが、どのような勤務になるかは病院によって異なります。また勤務日数や勤務時間も、病院によってさまざまです。ご自身が理想とする働き方や、今後のライフステージを考え、無理なく働ける勤務体制かどうかを確認しましょう。
一方、小規模な病院は、プライベートを重視した働き方がしやすい傾向にあります。しかし、診療科目や病院の方針などによっては、当直やオンコールが発生するかもしれません。実際に勤務している医師がどのような働き方をしているか、調べておくと安心です。

労働環境
転職する病院を選ぶ時は、労働環境も確認しておきましょう。
業務量に対して、十分なスタッフが配置されていれば、医師一人当たりの負担が軽減されます。反対に人員不足の場合、過酷な労働を求められる可能性が高く、心身ともに疲弊してしまうかもしれません。専門医を目指す場合、業務負担が多いと、資格取得のために必要な学習時間や学会に参加する時間が取れない恐れもあります。
また人員不足の病院では、休暇が取得しづらいケースも多いです。有給の取得率も、併せて確認しておくことをおすすめします。
労働環境は、働きやすさを大きく左右する要素の一つです。短期間で転職を繰り返さないためにも、その病院で働く医師から情報を集めたり、転職エージェントに相談したりして、労働環境の実態を把握しておきましょう。
病院の理念
転職する際の病院選びでは、病院の理念も確認しましょう。
病院の理念と、ご自身が理想とする医師のあり方や働き方などがマッチしないと、入職後にミスマッチが起こる可能性が高いです。ご自身の価値観となるべく近い理念を掲げている病院に転職すれば、目指す医師像が実現しやすくなります。
教育体制
どのような教育体制になっているかも、転職する際の病院選びで重要なポイントです。
教育体制の充実度によって、身に付けられる知識やスキルには大きな差が生まれます。スキルアップやキャリアアップを目指して転職する場合は、教育体制が整った病院を選ぶことが大切です。
専門医を目指す場合は、指導医が数人在籍しており、1・2学年上の先輩医師がいる病院を選ぶと良いでしょう。年齢の近い先輩医師がいれば、ささいな疑問点についても相談しやすいです。
教育体制の充実度は、研修医の受け入れ数からある程度予測することができます。
人間関係
転職時の病院選びをする際は、人間関係に問題がないかも確認しましょう。
医師に限った話ではありませんが、人間関係を理由に転職を希望する方は多いです。待遇や条件が希望にマッチした病院だったとしても、人間関係が悪いと、気持ちよく働くことができません。
求人票から人間関係の良し悪しを判断するのは難しいですが、院内見学をすれば、雰囲気を知ることができます。またその医療機関で働いている医師が身近にいるのなら、人間関係について質問してみるのも一つの方法です。病院に関する内部情報を把握している転職エージェントなら、人間関係に関する情報も提供してくれるかもしれません。
通勤のしやすさ
通勤のしやすさも、転職する病院を選ぶ際に押さえておきたいポイントです。
いくら条件の良い病院だとしても、通勤にかなりの時間がかかってしまうと、それだけで毎日疲弊してしまいます。自宅から通いやすい病院を選べば、通勤時間をプライベートの時間に回せるので、ワークライフバランスが取りやすいです。
どの程度の通勤時間が望ましいかは人により異なりますが、ストレスなく通える距離にある病院を選ぶと良いでしょう。また、電車やバスでの通勤の場合、乗り継ぎのしやすさを確認しておくこともおすすめします。
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