専門医と認定医の違いとは? なるために必要なこととメリットを解説|医師の現場と働き方

専門医と認定医の違いとは? なるために必要なこととメリットを解説

医師のなかには専門医の資格を取得、または更新すべきか迷われる人もいるのではないでしょうか。

転職市場で専門性が高い人材の価値は高く、専門医は引く手あまたになる可能性を秘めています。

今回は混同しやすい認定医との違い、専門医になるまでに必要な手順、資格取得によるメリット、2018年4月から新たに導入された新専門医制度について解説します。

専門医の資格の取得が医師のキャリアアップにどのように有利に働くか分かるので、ぜひご一読ください。

〈この記事のまとめ〉

  • 専門医は高度な技能、知識、経験を有するとして日本専門医認定機構の認定を受けた医師
  • 専門医の資格を取得すると転職やキャリアアップに有利
  • 制度の改正に伴い、カリキュラムの内容や認定機関に変更があった

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1.専門医とは

専門医とは高度な知識や経験、技術を有するとして認定を受けた医師です。日本専門医認定機構によって所定の期間研修を受けたのちに、資格審査の試験に合格することで取得できます。

専門医は各領域に精通した医師の総称で、内科や外科、小児科といった診療科ごとのほか、循環器や消化器、呼吸器などの部位ごと、漢方やレーザーなど治療ごとというようにさまざまな区分があります。

同様に専門性が高い医師である「認定医」と間違えないよう注意が必要です。

1-1.認定医との違い

端的にいうと専門医と認定医の違いは専門性の高さです。どちらも高度な知識や技術、経験を有した存在ですが、専門医のほうが高水準で、より厳格な審査を通過しなければなりません。

専門医になるための審査では診療経験の有無や講演会・学術大会への出席歴、研究・論文の発表歴なども加味して、総合的な判断が下されます。

キャリアアップを考えると、認定医になった後、より専門性を高めて専門医の道に進むのが一般的です。経験や実績が豊富な医師は、後進への指導を担う指導医になることもできます。

2.専門医になるためには何が必要?

専門医の資格を取得する場合、日本専門医機構による認定が不可欠です。取得プロセスとしては医学部を卒業後、2年間の臨床研修を受講し、進みたい専門領域を一つ選択します。

選考医の専門研修プログラムを納め、認定試験に合格することで資格を取得できます。

2-1.大学医学部に入学する

大学の医学部に入った後の4年間は座学中心です。医療に従事するために必要な知識を体系的に学びます。教養教育から生物や化学に代表される準備教育、解剖学や生理学等の基礎医学、臓器別の診療医学などが受講科目です。

5〜6年次に実施される診療参加型研修に参加するには、4年間のカリキュラム修了後に行われる共用試験に合格することが条件です。

2-2.卒業して医師免許を取得する

大学で6年間の履修課程を納めた後、医師国家試験に合格することで医師免許を取得します。試験は毎年2月中旬ごろに行われ、合格率は約90%です。

大学の医学部で正規過程を納めることが受験資格ですが、一般の四年制大学に進学した後でも、試験を受ければ2〜3年次から医学部への編入が可能な場合も。

医師免許を取得できたら、初期研修と呼ばれる2年間の研修へと移ります。

2-3.2年の臨床研修を受ける

実際に病院で研修医として勤務し、2年間の臨床研修を受けます。研修を受ける場所を決めるために、医師臨床研修マッチングが6年次の2月上旬ごろに実施されます。

参加者が希望のプログラムを選択し、希望順位を登録するという流れです。ランク付けは病院側でも実施し、さまざまな形で選考を行い、採用希望者を登録します。

自分が納得いく基準で優先順位をつけるためには、病院の見学や説明会の受講が必要です。

配属先での2年間の研修は必須です。「診療に従事する医師は指定の病院で2年以上の臨床研修を受ける必要がある」と医師法で定められています。臨床検証医の研修は専念義務があり、アルバイトとの掛け持ちは禁止です。

2年間の内訳として内科6か月以上と救急3か月以上、2年目の地域指定研修が必須です。また、科目別では外科・小児科・精神科・麻酔科・産婦人科のうち、2個以上の受講が求められます。

参考:厚生労働省「新旧制度の比較」

2-4.専攻医になり専門研修を3年以上受ける

2年間の研修医生活を終えたあとは各々の専門領域を決め、専門性を高めていきます。分野にかかわらず3年以上の期間にわたって研修を受ける形をとります。

選考医とは初期研修を終え、専門の研修プログラムを受ける医師のことです。従来まで後期研修医と呼ばれていましたが、制度の改正に伴い、名称が変更になったので留意しましょう。

研修医が専門医になるには、専門医の登録・応募の手続きが必要です。日本専門医機構のHP、または専門研修学会のHPから選考医の登録サイトにアクセスし、氏名や生年月日、登録番号などの基本情報を入力します。

2-5.資格を取得する

資格を取得するには、研修プログラムで学んだ内容が問われる試験に合格しなければなりません。

旧来は診療科ごとに学会が定めた基準を満たすことで取得が可能でした。しかし2018年から施行された新制度の下では専門医試験への合格が必須条件になりました。

したがって、専門医になるには試験対策が欠かせないといえます。

3.専門医の資格を取得することのメリット

専門医の資格を取得することでキャリアアップに役立つほか、社会的な信頼を得やすくなります。専門医の研修プログラムは研修基幹施設の認定を受けた、高度な専門性・豊富な診療実績・指導医による盤石な指導体制の三拍子がそろった病院で実施されます。

指導するのは特定の領域で十分な実績と経験を積んだ能力が高い医師ばかり。普段の業務では身に付かない豊富な技術や知識を学ぶことが可能です。研修医から専門医へと昇格した暁には、収入アップが期待できます。

特定の領域で深い知見を有し、標準的な医療を提供できる専門医に対する信頼は強固なものです。旧来の専門医制度では学会ごとの選定の基準がばらばらで、専門医が提供する知識や技術にも差がありました。しかし新制度では試験内容や基準が統一されたため、医療の質の底上げが期待できます。

日本専門医機構は「すべての医師が専門医になることまで求めておらず、その取得は医師としての主体性に任せる」と述べています。とはいえ上述のメリットを考慮すると、資格を取得する意義は大きいといえそうです。

参考:専門医の資格を持つ医師が転職で有利になる理由とは?優遇される職場の特徴も

4.2018年4月から導入された「新専門医制度」とは

上で何度も述べてきたとおり、2018年4月から新専門医制度がスタートを切りました。従来の学会ごとの恣意的な基準を排し、国民や希望者に分かりやすい基準を提示するのが主な目的です。

従来の専門医制度からカリキュラムの内容が一新し、基本領域とサブスペシャルティ領域の2段階方式に変わりました。初期研修の終了後、基本領域から希望の科目を選択し、指導施設の認定を受けた病院群で研修を受けます。

希望者はより高次のサブスペシャルティ領域専門医(29領域)の研修や試験を受けることが可能です。研修方法はプログラム制ならびにカリキュラム制です。

プログラム制では年次ごとに研修プログラムに沿って学習を進め、マイルストーンのように目標をひとつずつ達成します。

地域医療を隅々までいきわたらせたいとの配慮から、研修は複数の研修施設をローテーションして行われるのが特徴です。カリキュラム制は、決められた到達目標を達成した時点で専門医試験の受験要件を満たす方式です。

原則として基本領域はプログラム制、サブスペシャリティ領域はいずれかの選択制となっています。また、新専門医制度の研修プログラムを受けられる機関は、地域の基幹病院に認定された大学病院や市中病院です。

つまり大きな病院と地域の医療機関が一丸となって病院群を形成して、専門医の教育を行います。基幹病院は症例が多彩で豊富な点が魅力です。一方で市中病院を基幹病院としたプログラムでは地域に特化した医療を経験できます。

民間の市中病院はプログラムの内容も自由度が高く、ユニークな特徴をもった研修を受けられるのも魅力です。新制度の施行によって、国立の大学病院でなくても、歴史のある民間病院が基幹病院の認定を受けることが可能になりました。

さらに新専門医制度の下では、中立的な第三者機関である日本専門医機構がプログラムの評価や認定を実施します。従来より客観的で公平な専門医の認定が可能になり、統一的な基準が実現したといえるでしょう。

参考:厚生労働省「新たな専門医制度の背景と現状」

5.なぜ、新しい専門医制度が必要だったのか

なぜ新制度を取り入れる必要があったのか、従来の制度では何が不十分だったのでしょうか。端的にいうと各学会に運用を任せていたため、専門医の数が乱立して質を担保できないという問題が生じていたのです。

日本の専門医制度は1961年に麻酔科学会が指導医制度をスタートさせたのをきっかけに、半世紀以上の歴史を持っています。医学の進歩に伴い、専門医の数はどんどん増え、現在ではゆうに100を超える個別の制度があります。

数が多いうえに制度ごとの基準もまちまちです。仕組みを標準化して、専門医の分野にとらわれず質を担保するために本制度が導入されました。

また、旧来の制度は学会に出席し、学会ごとに定められたカリキュラムをクリアすれば、受験資格を得られる仕組みでした。制度改正の理由として、実績や能力を重視し、客観的にみて納得できる体制を敷きたいとの強い想いもあったようです。

新制度の下ではカリキュラムを受講しただけでは試験を受けられず、必ず3年間の研修プログラムを受けなければなりません。

研修を受ける施設にも厳格な基準が導入されました。専門医の質を担保するために必ず大学病院のような基幹施設内で受講し、必要に応じて施設群を形成し、複数の施設から協力を仰ぎます。

新制度への移行に伴い、厳しすぎると大きなハレーション(反対運動)が起きたのも事実です。議論が紛糾し収集がつかず、当初の予定から実施が1年間延期されました。

参考:日本専門医機構 理事長 吉村博邦氏が語る「医師のキャリアと新専門医制度の行方」

6.新専門医制度が導入されたことによるメリット

決して開始までが順風満帆とはいえない新専門医制度ですが、導入後しばらく経過し、メリットを少しずつ実感できています。医師と患者双方が恩恵を享受できている状況だといえるのではないでしょうか。

患者さんは標準的かつ信頼できる医療を受けたい、地域間の格差を小さくしてほしいとの希望を持っています。

その一方で専門医は自分の能力や技術に自信を持ちたい、充実した研修を受けたいとのニーズを有しています。厳格かつ統一的な基準を導入した新専門医制度は、両者の希望を満たす仕組みです。

これから医師を目指す人、またはすでに医師免許を取得済みで将来的に専門医の資格を取得すべきか迷っている人にとって新制度はメリットが大きい仕組みだといえます。転職や年収アップを狙う際に、専門員の資格は強固なアピールポイントになるからです。

資格取得を目指すうえで多数の症例に触れた経験は、臨床スキルの証明となります。資格の取得・更新には継続して学ぶ姿勢が必須なので、向上心や主体性なども評価の対象です。

専門医資格の存在が給与交渉に有利に働くほか、役職付きポジションへのキャリアアップにつながる可能性もあります。

専門医の資格を持つ人材の獲得は、採用側にもメリットがある行為です。外部に対して専門医が在籍していることを発信する行為は認められます。患者さんからの信頼獲得や、よき指導役がいる病院で学びたいと考える若手医師の呼び水となる期待が持てるためです。

専門職を求める傾向があるのは、規模が大きな病院や研修施設として認定を受けたいと考える病院、症例に合わせて的確な治療を行うスキルが求められる急性期の病院などです。大学病院や総合病院は診療内容ごとに科目が細分化する傾向があり、高度で専門的な医療が求められます。

専門医資格を持てるほどの知識や経験を有し、継続して自己研鑽できる下地があれば、採用の期待を持てるでしょう。

専門医資格の取得を目指す人材を受け入れて、研修施設への認定を試みる病院もしかり。実際に資格を持つ人材を受け入れることで、研修機関として恥じない体制を整備していると外部にアピールできます。

患者さんの出入りが激しく次々と入院してくる急性期病院でも、専門医人材が求められる傾向があります。多彩で豊富な症例を経験している専門医は高いスキルを有すると判断され、採用につながりやすいのです。

7.もともと専門医の資格を持っている医師はどうなる?

新制度への移行前に専門医の資格を取得していた者への措置としては、更新の機会を提供します。新たに専門医の資格を一から取り直すことまでは求めません。

専門医の資格は5年ごとに更新するルールです。新制度では更新基準も新しくして、制度の移行前後で人材の質に違いが出ないように配慮します。

新たな基準を把握してクリアする努力が求められますが、制度の移行前に資格を取得した専門医が不利に立たされる恐れはないでしょう。

8.専門医になれば活躍の場が広がる

専門医はスキルの高い意志だと証明する資格であり、取得すれば転職やキャリアアップなど活躍の場が広がることを期待できます。

専門医の資格を取得すべきか、取るにしてもどの領域が良いか悩んでいるならエージェントへの相談を検討されてはいかがでしょうか。

医療分野の知見が深いキャリアアドバイザーならば、業務経験やスキルを総合的にとらえて、今後の方向性に関する正確なアドバイスを受けられます。

マイナビドクターは医師の非公開求人が豊富です。好待遇な専門医求人をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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