女性医師がライフイベントを迎えても働きやすい診療科とは|医師転職ナレッジ

女性医師がライフイベントを迎えても働きやすい診療科とは

医師の働き方や待遇は、基本的に性別の差はありません。しかし、女性は男性と比べて、ライフイベントの影響を受けやすい傾向にあります。女性医師のなかには、結婚・出産・育児などを機に働き方を見直したいと考えることもあるのではないでしょうか。今回は、女性医師がライフステージの変化を迎えたときに、安定して働き続けるためのヒントとして、働きやすい診療科について紹介します。

こんな方におすすめの記事です!
  • ライフイベントを見据えて働きやすい診療科を検討している
  • 家庭や育児と両立しやすい診療科を知りたい
  • ワークライフバランスを重視しながら医師として働き続けたい

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目次

  1. ライフイベントが及ぼす女性医師への影響と現状
  2. 家庭との両立を目指して、柔軟に働きたい女性医師におすすめの診療科
  3. ライフステージによる変化で女性医師が抱えやすい悩みと対策
  4. 働きやすい職場を見つけるためのポイント
  5. ライフステージの変化が生じても、自分らしく働き続けよう

ライフイベントが及ぼす女性医師への影響と現状

医師に限らず、女性全体の働き方の特徴として「就業率のM字カーブ」があります。これは、子育て世代の就職率が一時的に低下し、年齢を経て、再び就職率が上昇する様子を表す言葉です。医師の業務内容や労働報酬に性差はないものの、女性医師も同様にキャリアが中断しやすい傾向があります。その理由を詳しく見てみましょう。

参照:令和2年医師需給推計の結果|厚生労働省

女性医師が休職・離職を選択する理由

厚生労働省の資料「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」によると、女性医師が休職・離職をした理由として最も多かったのが「出産・子育て」または「子育て」と報告されています。

休職期間 休職理由1位 休職理由2位
1年未満 出産・子育て 84% 自分の病気療養・休養等
16%
1年以上
3年未満
子育て等 80% 夫の都合 18%
自分の留学・研究等18%
3年以上 子育て 74% 自分の留学・研究等 36%

参照:女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書(平成29年8月)|厚生労働省

上記のデータはやや古いため、現状では少し改善されている可能性もあります。とはいえ、医師の仕事は激務になりやすく、出産・育児と、医師としての業務を両立することに困難を感じる女性医師は少なくありません。特に女性医師が20代後半から30代で妊娠・出産を迎える場合、初期研修や専攻医として忙しい時期と重なりがちです。育児を分担するパートナーや家族などの存在があったとしても、産後の女性は肉体的な休息が必要です。女性医師が出産・子育てによる休職・離職を選択するのは、体力的な負担も大きいことが考えられます。

女性医師が従事する割合の高い診療科

では、実際に女性医師はどのような診療科で働いているのでしょうか。厚生労働省の資料「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(令和4(2022)年)」によると、女性医師が従事する割合の高い診療科は、以下の通りです。

診療科 総数に対する割合
(n=77380) 【単位:%】
内科 14.7%
小児科 8.4%
眼科 6.9%
皮膚科 6.6%
産婦人科 6.2%
麻酔科 5.7%

参照:1医師|令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(表4 主たる診療科別にみた医療施設に従事する医師数及び平均年齢)|厚生労働省

現状では、内科に所属する女性医師が最も多く、次いで小児科、眼科でした。なお、診療科ごとに働き方の傾向はあるものの、実際には勤務先の労働環境に大きく左右されます。とはいえ、日勤を中心に短時間・少ない勤務日数でも働ける環境の方が働きやすいでしょう。また、他の医師に業務を引き継ぎやすい、業務時間内にタスクを完了しやすい診療科を選択するのも有効です。

家庭との両立を目指して、柔軟に働きたい女性医師におすすめの診療科

女性の妊娠・出産は、少なからず仕事に影響します。ライフイベントによるキャリアの中断をできるだけ軽減したいと考える場合、働きやすさを考慮した診療科選びも検討してみましょう。仕事と家庭の両立に向けて、女性医師が安心して継続して働くことのできる診療科とはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な診療科目3つを紹介します。

眼科

残業や宿直が比較的少ない診療科として代表的なのが「眼科」です。

日本医師会「女性医師の勤務環境の 現況に関する調査報告書(平成29年8月)」によると、1週間あたりの平均労働時間が48時間以内におさまっている割合が高い診療科は、「精神科(81%)」、次いで、「眼科(72%)」でした。これらの診療科では、多くの医師が勤務時間内に業務を終えている傾向にあります。また、同調査において、宿直のない割合が60%以上を占める診療科として、「病理・検査科」に次いで、「眼科」が挙げられています。

眼科でも手術や処置などの業務があるものの、緊急対応の必要な患者さんは、他の診療科と比較して少ないのが特徴です。残業や宿直が少ない診療科であれば、帰宅後の時間を確保しやすいでしょう。宿直やオンコールの対応を避けたい場合は、病床のない施設での勤務が可能です。他の診療科よりも、比較的仕事とプライベートを両立しやすいと考えられます。

参照:女性医師の勤務環境の 現況に関する調査報告書(平成29年8月) |日本医師会

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皮膚科

上述の資料「女性医師の勤務環境の 現況に関する調査報告書」において、眼科同様に、1週間あたりの労働時間が48時間以内に収まる割合が高く、宿直のない割合も60%以上を占めていたのが「皮膚科」です。

皮膚科の手術や処置も日帰りで予定されるケースが多く、病床のない形態で運営されている施設も多く見られます。オンコール待機の可能性も低いため、比較的ワークライフバランスを取りやすい診療科といえます。

参照:女性医師の勤務環境の 現況に関する調査報告書(平成29年8月) |日本医師会

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麻酔科

麻酔科の業務内容は、主に手術中や、前後の管理が中心です。施設によっても異なるものの、他の診療科と比べて、働き方の予測がしやすい傾向にあるでしょう。チーム医療に欠かせない存在である一方で、主治医になることがないため、当直やオンコール待機がほとんどありません。そうした点で、比較的働きやすい診療科といえます。

ここまで紹介した3つの診療科は、上述したとおり、女性医師が従事する割合が高い傾向にあるのが特徴です。女性医師として、同様のライフイベントを経た先輩や同僚との交流も取りやすいと考えられます。妊娠・出産・育児による仕事への影響に関して、女性医師が多い診療科は、理解を得やすく、同僚に協力をお願いしやすいと考えられます。

また、学会開催時に託児ルームを取り入れている領域もあります。例えば、日本外科学会や内科学会、日本疫学会、日本神経学会、放射線医学会などでは、託児ルームや託児所が設けられています。今後のキャリア形成を考えるうえで、診療科ごとに異なる育児支援の状況も確認しておきましょう。

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ライフステージによる変化で女性医師が抱えやすい悩みと対策

厚生労働省の資料「令和3(2021)年 社会生活基本調査」によると、一般的に、女性が担う育児や家事の時間が多いことが分かっています。2016年の調査と比較すると、男性の育児参加も増加していますが、十分ではないのが現状です。そうした状況もふまえて、ライフステージによる変化が影響し、女性医師が抱えやすい悩みと、その対策について紹介します。

参照:令和3(2021)年 社会生活基本調査|総務省統計局

ライフプランとキャリアプランの両立

一般的に医学部を現役・最短で卒業した時点で24歳、その後2年間の初期研修を終えるころには26歳となります。専門医取得には3年以上がかかるのが一般的で、一人前の医師として活躍する頃には30代を迎えます。

令和5年(2023)年 人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)」によると、女性の平均初婚年齢は29.7歳となっており、結婚や妊娠・出産などがキャリア形成の真っただ中にある女性医師も多いと考えられます。そうしたキャリアプランの過程でライフイベントが重ると、両立の難しさに悩むことが増えるかもしれません。

こうした状況を見据えて、ライフプランとキャリアプランのどちらを優先するか、事前に考えておくことが大切です。

参照:令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

なお、臨床研修を長期で休止、中断する場合、厚生労働省は以下のようなルールを示しています。

▶当初参加した研修プログラムにおいて、90日までの休止期間があった場合には、所定の期間(2年)で臨床研修を修了できるが、90日を超えて休んだ場合にはその分の日数を延長する必要がある。
▶パートナーの勤務地の都合など、やむを得ない場合には臨床研修病院に申し出て、当初の研修プログラムを中断という扱いにし、「臨床研修中断証」を交付してもらうことができる。これにより研修を再開する病院でも、それまでの研修内容を考慮した研修を受けることができる。

引用:臨床研修・専門研修を中断する場合|公益社団法人日本医師会 女性医師支援センター

また、専門研修中は、中断期間が6ヵ月以内であれば、症例数等を揃えることを条件として期間延長なしで継続できます。6ヵ月以上の中断後の復帰も、研修実績は引き続き有効とされているため、キャリアプランを考慮しながら産休・育休期間を検討してみましょう。

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子育て中の女性医師は、育児と仕事を両立することに不安を抱えることがあるかもしれません。ときには、当直業務を担うことに難しさを感じたり、長期的なキャリアプランに不安を感じたりすることもあるでしょう。今回は、子育て中の女性医師が抱える悩みを紐解き、育児と仕事を両立する具体的な方法や勤務実態などについて詳しく解説します。

ワークライフバランスの維持が難しい

勤務先によっては、当直、オンコール対応、休日出勤、長時間勤務などがあり、育児や介護といった家庭との両立が厳しい場合もあります。診療科の選択によって解消される場合もありますが、いずれにしても勤務先の医療機関がどのような支援を行っているかを知っておくことが大切です。例えば、出産後の時短勤務やワークシェアリング、フレキシブル勤務、院内保育園などを導入している施設では、家庭と仕事の両立がしやすい傾向にあります。

一方で、自身で家事や育児に関する負担をアウトソースする方法もあります。家事代行やベビーシッターなどのサービスを利用しながら、キャリアを維持するのも一案です。何を優先したいのか、明確にしたうえでワークライフバランスを考えてみましょう。

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体調を整えるのが難しい

心身に大きな変化をもたらす妊娠・出産は、女性ならではのライフイベントであり、産後も妊娠前と同様に働き続けられるとは限りません。肉体的な回復のために産休は必須であり、母乳育児を選択する場合、女性が育児に関わる割合はどうしても増えてしまいます。夜間授乳などが続けば、睡眠不足に陥りやすく、体調を整えることが難しいと感じるかもしれません。ホルモンの影響によって、心身の変化が生じ、以前のような気力や体力が維持できないこともあるでしょう。

心身への大きな負担を抱えたまま、無理に復帰すると、仕事にも悪影響が出てしまいます。キャリアの中断を不安に感じたとしても、長期的な視点で考えると体調の回復を優先した方がよいでしょう。

働きやすい職場を見つけるためのポイント

ワークライフバランスを考慮し、自分が納得できる働き方を目指すには、転職を検討するのも1つの方法です。働きやすさにおいても、求める優先条件は人によって異なります。以下の3つの項目において、チェックしておきたいポイントをまとめました。希望を明確にしたうえで、求める支援が得られる職場を探してみてはいかがでしょうか。

【ポイント1】労働環境
▶勤務先の診療科において十分な医師が採用されている(休みがとりやすい)
▶複数主治医制度が導入されている
▶短時間正社員制度が導入・拡充されている
▶フレックス制度導入
▶働きやすい部門への配置転換が可能かどうか

【ポイント2】子育て支援
▶施設内(事業所内)の託児所・保育園などが整備されている
▶施設内で病児保育に対応している
▶保育施設やベビーシッターの斡旋とベビーシッター利用の際の費用補助がある
▶保育施設利用の際の保育料が助成される
▶放課後の学童施設が整備されている

【ポイント3】復職支援
▶在宅研修制度
▶出産・育児休業取得者への職場復帰支援など

ライフステージの変化が生じても、自分らしく働き続けよう

妊娠・育児中といったライフイベントの影響を受けやすい女性医師にとって、働きやすい診療科や職場選びはとても重要です。医師としての誇りややりがいと同時に、母としての愛情も両方を大切にできる働き方を考えてみましょう。自分の経験が活かせる転職先やキャリアアップを見据えた転職先選びに悩む場合は、医師専門のエージェントに相談してみるのもおすすめです。

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記事の監修者

小池 雅美(こいけ・まさみ)
小池 雅美(こいけ・まさみ)

医師。こいけ診療所院長。1994年、東海大学医学部卒業。日本医学放射線学会・放射線診断専門医・検診マンモグラフィ読影認定医・漢方専門医。放射線の読影を元にした望診術および漢方を中心に、栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。女性特有の疾患や小児・児童に対する具体的な実践方法をアドバイスし、多くの医療関係者や患者さんから人気を集めている。

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