臨床研究医の仕事内容は?年収事情や「臨床研究医コース」についても解説|医師の現場と働き方

臨床研究医の仕事内容は?年収事情や「臨床研究医コース」についても解説

患者さんと直接関わる臨床医と異なり、研究を専門に行うのが「臨床研究医」です。新たな治療法や新薬の効果といった臨床に関わる研究に従事するのが主な仕事ですが、具体的にどのような働き方になるのでしょうか。今回は、臨床研究医の仕事内容をはじめ、年収事情や、臨床研究医に向いている人などについて詳しく解説します。

〈本記事のまとめ〉

  • 臨床研究に取り組む医師は「臨床研究医」と呼ばれ、現時点で治療法が確立されていない疾患の原因解明や、薬学や生化学などの分野での専門的な研究を行う。
  • 研究を楽しめる人、幅広い視野から考察できる人、粘り強く研究を継続できる人が向いている。
  • 臨床研究医の年収は703.9万円(厚生労働省の職業情報提供サイト「joptag(日本版O-NET)」より)。
  • 研究医の不足が課題となるなか、臨床研究やその教育おいて、中心的役割を担う専門医師を育成することが必要となっているため「臨床研究医コース」が設立された。

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1.臨床研究医とは?

臨床研究医とは、大学病院をはじめ国立病院や医療センター、研究施設、企業などで臨床研究に取り組む医師のことで、英語表記として、日本では「clinician scientist」と表現されます。まずは臨床研究医の種類や仕事内容について紹介しましょう。

1-1.臨床研究医が携わる2種類の研究

研究医が携わる内容には、大きく2つの種類があります。1つが基礎研究で、医療全般に関わるものです。基礎研究に携わる人の中には、医師以外にも薬学部や理学部出身者もいます。もう1つが臨床研究です。これは実際に患者さんに診療を行う「臨床」に携わるため、研究においても医師免許が必要です。それぞれの違いを詳しく見てみましょう。

「基礎研究」
基礎研究は、一般的には「特定の目的を定めずに行う研究」のことです。文科省によると、基礎研究の定義として以下のように示されています。

「基礎研究とは、特別な応用、用途を直接に考慮することなく、仮説や理論を形成するため、または現象や観察可能な事実に関して新しい知識を得るために行われる理論的または実験的研究をいう。」

参照:民間企業の研究活動に関する調査-用語の解説|文部科学省

具体的には「病気の原因などを解き明かす研究」のことで、主に細胞やマウスなどを用いて実験室で行われます。ただし、医療業界では臨床研修の対義語として「非臨床の研究」や「人間ではない、動物や細胞などに対して行われた研究」という意味で使われる場合もあります。

「臨床研究」
臨床研究は「実際に診察などに携わりながら治療法の確立などを進める研究」です。基礎研究と違い、人間の治療に関わる臨床ベースでの研究となるのが特徴です。厚生労働省の資料によると、臨床研究について以下のように定義されています。

「医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学系研究であって、人を対象とするものをいう」

参照:臨床研究に関する倫理指針|厚生労働省

1-2.臨床研究医の仕事内容

上記で紹介したとおり、臨床研究医は、臨床に関わる研究を行うのが仕事です。例えば、現時点で治療法が確立されていない疾患の原因解明を行ったり、患者さんにより良い医療を提供するために、薬学や生化学などの分野で専門的な研究を行ったりするなどが主な業務といえます。

研究内容は勤務先によって異なり、がんを専門に扱う医療センターでは、がん治療の研究を中心に行うことになるでしょう。また、企業に勤務する場合では、製薬の開発に関わったり、医療機器の開発に携わったりするなど、その企業が取り扱う医療品に関連した研究に携わります。

加えて、研究の成果を学会などで発表したり、論文を書いたりして、広く知見を広げるのも臨床研究医の大切な仕事の一つです。医学の進歩に貢献するような研究に携わるのが臨床研究医の役割です。

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2.新専門医制度の「臨床研究医コース」とは?

臨床研究医を目指す場合、専門医制度の一部である「臨床研究医コース」を選択するのが近道です。近年、医学領域での研究医の不足が課題となっており、新専門医制度では「臨床研究医コース」が設立されました。

ではなぜ、研究医の不足が問題視されるのでしょうか。続けて、「臨床研究医コース」の設立背景や募集状況、今後の課題などについて解説します。

2-1. 「臨床研究医コース」設立の背景

以前より、医学の発展に貢献できる医育機関や研究所での研究・教育に必要な人員の確保や支援について、十分な配慮がなされていない点が課題となっていました。

全国的に医師の人材不足が続いていることもあり、臨床現場で活躍する医師の確保を優先される傾向にあり、臨床医がその経験を基盤とする研究・教育に携わることができていない状況にありました。

このままでは、国内の臨床医学の研究・教育の発展に大きな影響を与えかねず、臨床研究やその教育おいて、中心的役割を担う専門医師を育成する必要があるとの提言により、日本専門医機構を中心に「臨床研究医コース」が設立されました。

参考:厚生労働省 将来研究に従事する医師(臨床研究医)の養成

2-2. 「臨床研究医コース」募集状況

一般社団法人日本専門医機構(以下、機構)のホームぺージによると、2023年11月時点で、「臨床研究医コース」は51施設から募集があります。

なお、新設時の定員は「2021年度の40名から開始し、応募状況を見ながら増員を行うことを検討する。」とされています。しかし、採用数は2021年度26人、2022年度19人(後に1人辞退)、2023年度14人と低迷しているのが現状です。

この状況を受け、機構は基本領域学会にヒアリングを実施したところ、「期間の長さ、必要とされる論文の厳しさ、身分保障の難しさ」という懸念が、応募人数の低迷につながっていることが明らかになりました。そのため、機構は2024年度以降に募集する臨床研究医コースに関し条件緩和を決定しています。

参考:一般社団法人日本専門医機構 臨床研究医コース研修プログラム名及び施設一覧

2-3.臨床研究医コースにおける課題と対策

「臨床研究医コース」への募集が低迷している理由として、前述のとおり「期間の長さ、必要とされる論文の厳しさ」あり、継続して一定数の臨床研究医を育成することが難しいという課題がありました。そこで、機構は、以下のとおり条件を緩和して対策しています。

緩和前 緩和後(2024年度以降)
コース開始時期 2年間の専門研修の後から開始 1年間の専門研修の後から開始
コース通算履修期間 7年間
(2年間:専門研修+5年間:研究・臨床)
5年間
(1年間:専門研修+4年間:研究・臨床)
論文条件 英文雑誌においてfirst authorとして2本以上の論文発表を行う 2本のうち、1本は英文による症例報告か、和文による臨床研究に関する論文で代用可能

2-4.「臨床研究医コース」履修中の保障

加えて、懸念されている「臨床研究医コース」における「身分保障」はどうなるのでしょうか。機構が作成した「臨床研究医コース」の概要では以下のように明記されています。

①コース在籍中は、責任医療機関の規程に従い、給与などの身分が保障される。
②専攻医の募集は通常募集とは分離して行い、不採用となった研修医は通常募集に応募可能とする。

出典:専攻医の方 | 一般社団法人 日本専門医機構一般社団法人 日本専門医機構

加えて、臨床のみならず研究を本務とし、社会保険適用の労働条件をクリアすることが想定されており、研究フェーズにおける大学院在学中のアルバイトも不可ではありません(ただし、所属医療機関に相談が必要)。

以上から「臨床研究医コース」を選択する場合も、履修者は研究に安心して取り組める条件が保障されていることが分かります。

3.「臨床研究医コース」の専門医取得条件

■臨床研修医コースの流れとカリキュラム

臨床研究医コースでは、研修期間が最低5年、カリキュラム2年と、最短7年間の研鑽により、専門医資格を得られる内容となっています。ただし、2024年以降は研修期間を4年、カリキュラムを1年に短縮し、5年での専門医資格の取得を目標とすることを発表しています。

まず、基本領域においてプログラム制研修で定められる全般的で幅広い疾患の症例を、同時に経験する必要があります。専攻医として基本領域が定めた知識、経験、技能における目標を達成した段階で、専門医試験の受験資格が与えられるため、結果として、その他の専門医資格取得と比べて、長い期間がかかる傾向にあります。カリキュラムでは専門医資格と博士号の両方の取得を目指すもので、具体的には以下のような流れで実施されます。

<「臨床研究医コース」概要>
①研修期間は最低5年とする(上図参照)。
②開始後1年間は臨床研鑽を行い、それ以後の4年間はエフォートの50%以上を研究に充てる。
③専門研修は責任医療機関が管理し、カリキュラム制で行う。
④研究は大学院などで行い、SCI論文2本以上を執筆する。ただし、1本の論文に関しては、英文による症例報告か、和文による臨床研究に関する論文で代用することが可能である。

4.臨床研究医に向いている人

臨床研究医を目指すとしても、専門医コースを選択する前に、適性の有無を確認しておいた方がよいでしょう。臨床研究医に向いている人の特徴を紹介します。

4-1.研究を楽しめる人

「探究心」や「観察力」の高さに加えて「好奇心があり、興味のある分野に特化して新たな発見を楽しめる人」も、臨床研究医に向いているといえるでしょう。

研究は、仮説と検証の繰り返しです。いつも期待した仮説どおりの結果を出せるわけではないため、自分の立てた仮説と検証を繰り返し、実証につなげる過程を楽しみながら実践できる人が向いているでしょう。

4-2.幅広い視野から考察できる人

研究は「物事を広く多角的な視点から柔軟に考察できる人」「論理的思考力がある人」に向いているといわれています。研究に取り組む際には、先入観や既知の考え方に縛られず、柔軟な思考で物事を考えられる姿勢も重要です。常に幅広い視野をもち、新たな視点から考察できる人が向いているでしょう。

4-3.粘り強く研究を継続できる人

研究を続けていくなかで、すぐに成果が得られない場合もあります。ときには、短期間で成果を得られないことに不安や不満を感じたり、モチベーションが維持できなかったりするかもしれません。そんなときに、すぐくじけてしまう人は臨床研究医には不向きです。臨床研究医は根気や忍耐力があり「研究成果が出るまで、諦めずに研究を継続できる人」が向いているといえるでしょう。

5.臨床研究医の年収

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「joptag(日本版O-NET)」によると、臨床研究医の年収は703.9万円となっています。これは、一般労働者(医師を含む)の全国平均である311.8万円を大きく上回る結果です(令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況より)。

しかし、病院勤務医の医師と比較すると、臨床研究医の年収は大きく下回ります。厚生労働省の資料「第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告(令和3年実施)」によると、病院勤務医の平均年収(国公立・医療法人等、すべての経営母体を含めた全体の数値)は、1,467万8,978円(平均給料年額1,314万7,020円+賞与153万1,958円)でした。あくまで目安ですが、倍以上の差が出る結果となっています。

臨床研究医は休日出勤や当直、オンコールなどの対応がなく、時間外労働やオンコール等への手当がないことが関係していると考えられます。ただし、お伝えした平均年収は参考であり、勤務先や研究内容によって収入が異なります。

[医師が収入アップするには?]
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6.効率よく臨床研究医を目指そう!

臨床研究医は、疾患の新たな治療法や新薬の開発だけでなく、医学の進歩にも携わることができる有意義な仕事の1つです。臨床研究医として活躍したい場合は、専門医資格や学位を取得しておくと研究に特化した経験や知識を役立てることができるでしょう。効率的に臨床研究医を目指すためにもキャリアパスをしっかりと立てることが大切です。キャリアパスの立て方が分からない場合は、医師専門のエージェントに相談してみるのもよいでしょう。

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PROFILE

監修/小池 雅美(こいけ・まさみ)

医師。こいけ診療所院長。1994年、東海大学医学部卒業。日本医学放射線学会・放射線診断専門医・検診マンモグラフィ読影認定医・漢方専門医。放射線の読影を元にした望診術および漢方を中心に、栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。女性特有の疾患や小児・児童に対する具体的な実践方法をアドバイスし、多くの医療関係者や患者さんから人気を集めている。

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