内科専門医とは?なり方や試験の合格率、総合内科専門医との違いも解説|医師転職ナレッジ

内科専門医とは?なり方や試験の合格率、総合内科専門医との違いも解説

超高齢社会を迎えた日本において、内科を必要とする患者数も増える可能性があります。これから専門医取得を目指すにあたり、内科専門医のキャリアに将来性を感じている人もいることでしょう。今回は、内科専門医の資格取得方法や合格率をはじめ、総合内科専門医との違いについて解説します。

〈本記事のまとめ〉

  • 内科専門医とは、内科領域において幅広い知識と高度な技術を持つ臨床医と認定される専門医資格のこと。
  • 内科専門医になるには、内科専門医試験に合格する必要がある。内科専門医の合格率は約85%~95%で推移している。
  • 内科専門医になることで、内科医としての総合的な実力をつけることができるほか、総合内科専門医、サブスペシャルティ専門医も目指せる。

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1.内科専門医とは

内科専門医とは、内科領域において幅広い知識と高度な技術を持つ臨床医と認定される専門医資格です。2018年に導入された新専門医制度において、基本の19領域の1つである「内科」を専門とする医師として認定されます。

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新制度以前では、内科専門医に通じる資格として、一般社団法人日本内科学会による「認定内科医」があり、そのステップアップとして専門医や指導医の資格がありました。しかし、現在は、「内科専門医」を目指すためには、基本領域の内科を選択したうえで、新制度における取得条件を満たす必要があります。なお、一般社団法人日本専門医機構の資料によると、令和4年9月時点で、内科専門医の有資格者は1,733 名と報告されています。

2.内科専門医になるには

では、内科専門医になるには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。内科専門医になる方法について詳しく解説します。

2-1.内科専門医の資格取得に必要な条件

内科専門医になるには、内科専門医試験に合格する必要があります。「2016年以降」に医師免許を取得した場合は、3年以上のプログラム研修(J-OSLER)に参加し、病歴要約29症例を提出します。その後、内科専門医試験に合格すれば内科専門医として認められます。

研修内容の目安や内容は研修先の施設によって異なる点もありますが、経験すべき症例数は年度ごとに以下のように定められています。

1年目:カリキュラムに定める70疾患群のうち、20疾患群以上を経験
2年目:カリキュラムに定める70疾患群のうち、通算45疾患群以上を経験
3年目:カリキュラムに定める全70疾患群を経験し、200症例以上を経験することを目標

また、修了認定には、主担当医として通算で最低56疾患群以上の経験と計160症例以上(外来症例は1割まで含むことができる)が必要です。そのほか、教育活動や学術活動にも取り組まなければいけません。内科系の学術集会や企画に年2回以上参加することや、内科に通じる基礎研究を行い、筆頭著者として学会あるいは論文発表を2件以上することなどが、資格取得の必須条件となっています。

なお、「2015年以前」に医師免許を取得している場合、以下の3つの方法から内科専門医を目指すことができます。

1.すでに認定内科医取得済の場合
新専門医制度導入前に認定内科医を取得している場合、病歴要約提出が免除されます。セルフトレーニング問題を1回以上受講し、正解率60%以上取得の実績があれば内科専門医試験を受験できます。

2.プログラム研修に参加しない場合
指定されたプログラム研修に参加せず、「初期・後期等を含め5年以上の内科研修」を受ける場合は、病歴要約29症例を提出し、セルフトレーニング問題を1回以上受講します。正解率60%以上取得の実績があれば内科専門医試験を受験できます。

3.3年以上のプログラム研修(J-OSLER)に参加する
3年以上のプログラム研修(J-OSLER)に参加し、病歴要約29症例を提出すると受験資格を得られます。この場合、セルフトレーニング問題の受講は不要です。

2-2.内科専門医資格認定試験の実施時期と合格率の目安

内科専門医試験は、毎年5月に実施されており、出願は1月末を目安に開始されます。内科専門医の実際の合格率は約85%~95%で推移しています。

2-3.内科専門医試験の出題数と内容

内科専門医試験は、一般問題100問、臨床問題150問の計250題で構成されており、臨床問題に比重をおいた内容となっています。

一般問題(100/250題)では、内科の10分野について「専門医として必須の知識や判断力を問う問題」が出題されます。また、臨床問題(150/250題)は、「年齢、性別を記載して実施形式で症例を示し、設問に答える問題」となっており、体系的な思考が要求されます。

出題範囲は「内科専門研修カリキュラム(=出題基準)」における、到達レベルのグレード「A」を中心とする出題です。出題内容は原則として「標準的内科学教科書」、「日本内科学会雑誌」および「内科救急診療指針」に掲載されている内容と公表されています。

(参照:内科専門医試験_試験問題・合否判定 について | 専門医制度 | 日本内科学会

3.内科専門医の更新条件

内科専門医の更新は、5年ごとに行う必要があり、その都度、条件を満たして、審査を通過する必要があります。具体的な条件や審査要件について確認しておきましょう。

3-1.更新条件

一般社団法人日本内科学会が公表している、内科専門医の更新条件は以下のとおりです。

1.日本内科学会の行う一次審査と、日本専門医機構の二次審査を受けて認定される
2.日本内科学会更新料5,000円(税込)と日本専門医機構認定料11,000円(税込)を納付する
3.更新審査に必要なものは、①勤務実態の自己申告 ②診療実績の証明 ③更新単位の取得

更新が認定されれば、日本専門医機構から、日本内科学会および日本専門医機構の連名で更新認定証が発行されます。

参照: 内科専門医の認定と更新|一般社団法人日本内科学会

3-2.更新審査の要件

内科専門医の更新審査は、①勤務実態の自己申告 ②診療実績の証明 ③更新単位の取得をもって行われると定められています。

1.勤務実態の自己申告
更新年度1年間の勤務実態を、勤務実態自己申告書で申告します。

2.診療実績の証明
専門医としての診療実績・診療能力を、セルフトレーニング問題による合格をもって証明します。合格には原則として、60%以上の正解が必要です。

3.更新単位の取得
認定医資格の期限内の5年間で、以下ⅰ~ⅳの必須単位を含めた50単位以上の取得が必要です。
以下ⅰ~ⅳの項目、各単位の設定は、全領域共通の基準として日本専門医機構が定め、それに準拠した内容となっています。

 

項目 取得単位
診療実績の証明(上記2に該当) 10単位(必須)
専門医共通講習 最小3単位(必須)~最大10単位
内科領域講習 最小20単位(必須)
学術業績・診療以外の活動実績 最小2単位(必須)~最大10単位

 

参照: 日本専門医機構専門医制度に於ける更新基準(内科専門医)|一般社団法人日本内科学会

4.内科専門医と総合内科専門医の違いとは?

内科専門医と混同しがちな資格に「総合内科専門医」があります。総合内科専門医は指導医となる資格であり、内科専門医とはキャリアや試験の難易度が異なります。内科専門医と総合内科専門医の違いについて解説します。

4-1.キャリアの違い

上述したように、新専門医制度以前の体制では、「認定医→専門医→指導医」という3段階のステップアップ制度が採用されていました。その後、制度改革に伴い「専門医→指導医」という2段階のステップアップ制度に変更されています。

内科専門医は、最初のステップとなる「専門医」に該当し、総合内科専門医は、その上級資格となり、「指導医」として活躍できるようになる資格です。内科専門医は、あくまで基礎領域の範疇であり、総合内科専門医とは異なります。

4-2.試験の難易度の違い

内科専門医と総合内科専門医では試験の難易度が大きく異なり、総合内科専門医の合格率は概ね60~70%となっています。まず内科専門医を取得しなければ、総合内科専門医を目指すことができないというハードルに加え、上級資格である総合内科専門医の方が試験の難易度も高く、より高度な資格といえます。

4-3.指導医として活動できるかどうか

先にもお伝えしたとおり、内科の指導医を目指すなら、総合内科専門医資格を取得しなければいけません。内科専門医だけでは指導医としての活躍が難しいという点で、両者は大きく異なります。また、内科専門医は内科領域全般に関わりますが病状がより複雑な症例である場合は、より高度な知識と経験をもち、指導医としての実力がある総合内科専門医の活躍が求められるでしょう。

5.内科専門医を取得するメリット

これから専門医取得を検討するうえで、内科専門医を取得するメリットとは何でしょうか。代表的な3つの例を紹介します。

5-1.内科医としての総合的な実力をつけることができる

内科専門医は、内科全般にわたる知識や経験を持ち、標準的な病気に対する治療の知見や技術があるとして認定される資格であり、資格取得を通して総合的な実力を身につけることができるでしょう。

一般社団法人日本内科学会では、内科専門医制度の理念と使命を、以下のように述べています。
「標準的かつ全人的な内科的医療の実践に必要な知識と技能を習得する」
「それぞれの場において最新の医療を提供し、臓器別専門性に著しく偏ることなく、全人的な内科診療を提供すると同時にチーム医療を円滑に運営する使命がある」
(参照: 専門研修プログラム整備基準|一般社団法人日本内科学会

内科専門医を取得することで、たとえば「内科医だけど、循環器は専門外だから対応できない」「アレルギーは専門外だから対応できない」という事態を低減させ、市民の健康に積極的に貢献できる医師として活躍できます。

5-2.指導医として活躍できる総合内科専門医を目指せる

内科研修を担う施設には、一定数の内科指導医が必要になります。現状において、内科指導医は、「認定内科医+臓器別専門医」の資格保有者が多いものの、今後は新制度に基づく「内科専門医」を取得しなければなりません。「認定内科医+臓器別専門医」の資格で指導医をしていた医師は、2025年までに総合内科専門医の資格を取得しないと「内科指導医」を退くことになります。

これから内科の指導医として活躍したい場合には、総合内科専門医を目指す必要があり、そのためには内科専門医を先に取得する必要があります。将来的に指導医として活躍したい医師にとっては、まず内科専門医を取得し、総合内科専門医へのステップアップを目指すのもよいでしょう。

5-3.内科のサブスペシャルティ専門医を目指せる

内科のサブスペシャルティ領域で活躍するためにも、内科専門医の取得が必要です。内科の領域は幅広く、さまざまな分野で活躍できる可能性があります。今後のキャリアを考えるうえでも、内科専門医の取得は大きなメリットがあるでしょう。将来的に、内科を専門とする地域密着型のクリニック等を開業しようと考えている場合には、「循環器内科」「内分泌代謝・糖尿病内科」などサブスペシャルティ領域の専門医資格が大きなアピールポイントになることがあります。

6.明確なキャリアプランを立てて、内科専門医を目指そう

内科専門医は、総合的な内科の診療知識と技術を身につけた医師として認定される資格です。将来的に、内科の指導医を目指したり、より専門的なサブスペシャルティ領域に進んだりするといったキャリアプランがある場合、土台となる内科専門医の取得が欠かせません。内科領域でどのようなキャリアを目指すにしても、しっかりとキャリアプランを立てて、必要な臨床経験を効率よく積めるように計画的に行動することが大切です。

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