医療施設に従事する医師の人数が最も多い診療科が内科です。診療する病気の幅の広さや多岐にわたる業務が特徴ですが、内科医はどのような仕事を担当しているのでしょうか。今回は内科医の仕事内容と、やりがいや給与事情について詳しく解説します。
<この記事のまとめ>
- 内科医の代表的な仕事内容は、診察や検査を行い、患者さん一人ひとりに最適な治療法を決定すること。患者さんや家族に診断結果や治療法を説明して同意を得るインフォームド・コンセントも欠かせない。
- 慢性疾患や生活習慣病をかかえる患者さんには、日常生活全般にかかわる指導や助言、病気の予防指導を行う。
- 継続的に患者さんとかかわり、はたらきかけられるのが大きなやりがい。開業医として地域医療に貢献できるのも魅力。
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1.内科医の仕事内容
厚生労働省の「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、医療施設に従事する医師のうち、内科に属する医師が61,514人で、診療科別で最も多い人数となっています。具体的にどのような仕事内容に関わっているのか見ていきましょう。
1-1.内科に含まれる専門分野
内科医は、内臓、血液、神経などの病気について診断し、薬物治療をはじめ食事療法や運動療法など保存的治療を行います。「内科」とされていても、その中で細かい専門分野に分かれています。
厚生労働省医道審議会資料[平成30年度第5回]によると内科専門医は「総合内科専門医」とされています。日本専門医機構に認定されているサブスペシャルティ領域の内科領域には、循環器、消化器病、呼吸器、血液、内分泌代謝、糖尿病、腎臓、肝臓、感染症、アレルギー、老年病、神経内科、リウマチ、消化器内視鏡、がん薬物療法があります(2021年現在)。
1-2.主な仕事内容
内科医は、主に問診、視診、聴診、触診、打診を行い、患部の状態を確かめたうえ、必要に応じて血液検査、尿検査、超音波検査、心電図検査などの検査を指示し、それらを総合的に分析して診断します。その後にその患者さんに最適だと判断した治療法を決定し、投与する医薬品などを選択して処方を行うのが仕事です。
さらに、患者さんや家族に診察、検査、治療が必要な理由、診断結果や治療法を説明したうえで同意を得るインフォームド・コンセントも欠かせません。また、必要に応じて注射や吸入などの措置を行うなど、患者さんや診療科によってさまざまな個別対応を行います。
慢性疾患や生活習慣病の場合は、食生活や運動など患者さんの生活全般についての指導や助言、病気の予防指導を行うこともあります。
1-3.勤務先によっても異なる
内科医といっても、勤務先によって仕事内容は異なります。総合病院のように大規模な医療施設では、消化器内科、呼吸器内科など専門分野が明確に分けられている場合が多く、担当分野に分かれて専門的な治療を行うケースがほとんどです。
また、担当する入院患者さんの回診に加えて、当番制により外来患者さんの診療も担います。内科主治医はチームで動いている場合もあり、一人の患者さんに複数の主治医がいることがあります。
一方、開業医は、外来での医療活動が主な業務であり、診察と合わせて処置も行います。場合によっては、地域住民の健康診断や教育機関などでの校医、在宅医療の提供など、地域に密着した医療活動まで幅広く対応します。
自院での対応が難しい患者さんが来院された場合には、対応可能な病院などに紹介するのも大切な役割です。専科に分かれることが少なく、ジェネラリストとして幅広い対応を求められることも多いでしょう。クリニックでは、専門とする分野に特化した治療のほか、地域包括ケアシステムに加わって地域住民の健康を担います。
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1-4.内科医のやりがい・魅力
内科医は継続的に患者さんと関わることが多く、患者さんが健康を取り戻したり、自分らしい生活が送れるようになった姿を目にしたりするのは、大きなやりがいといえます。また、開業医など地域医療に携わる場合、地域住民に寄り添った医療を提供することで頼りにされ貢献できることも、内科医の魅力といえるでしょう。
2.内科医の1日のスケジュール
内科医の1日の業務の流れをみてみましょう。
2-1.総合病院の常勤医
ここでは、総合病院の常勤医師が外来診察と病棟診察の両方を担当する場合のスケジュール例を紹介します。
■総合病院に勤務する内科医のスケジュール例
予約された患者さんや、来院された患者さんのカルテを確認し、外来の準備を進めます。
日によって、外来の前に病棟患者さんの診察を行うこともあります。
医局内、もしくは病棟などでのミーティングを行い、情報を共有します。
予約された患者さんを優先し、その他の時間で予約外の患者さんの診察を行います。
午前の外来が終了した時点で、休憩を挟みます。
担当する入院患者さんの病棟診察を行います。必要に応じて、検査などを行います。
病棟での診察が終了した後は、紹介状や返書、診断書などの書類を作成します。さらに必要に応じて、病棟診察を行います。
医局や病棟ごとに、カンファレンスを行い今後の治療方針などを検討します。
その後は、必要な書類を作成したり、検査報告を確認したりします。
21:00 業務終了
病棟診察や緊急対応などがなければ、明日の予約患者さんのカルテなどを確認し、業務終了です。
病棟の入院患者さんのみを担当する場合は、勤務スタートとともに、病棟担当のナースから申し送りを受け、その日の作業を確認します。入院患者さんの治療計画を立て、検査やその手配、診断などを行います。
一方、入院患者さんには対応せず、外来のみを担当するケースもあります。基本的に申し送りなどを受けることはなく、自身の管理のもと、外来業務を行います。外来診察の終了後は、院内で申し送りを行います。カルテを介しての申し送りをはじめ、医局内で対面しながら共有事項を伝えることもあります。
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2-2.クリニックの開業医
クリニックでの診療は外来が主となるため、外来を担当する勤務医のスケジュールと似ています。ただし、有床か無床か、また、在宅診療を行うのかによって細かい点が異なります。
一例として以下のようなスケジュールになります。
08:30 院内ミーティング
09:00 午前の外来診察開始
14:00 休憩
15:00 午後の外来診察開始
(もしくは、病棟診察、在宅訪問など曜日によって異なる)
18:00 外来診察終了。書類作成・病棟診察など
(19:30 カンファレンス)
20:00 業務終了
クリニックの開業医は、おおむね自身で患者さんを管理していることが多く、カンファレンスも毎日は行われないケースも見られます。無床で外来のみであれば、比較的早い時間に帰宅できるでしょう。施設によって診察受付時間が違うため、夜間診療や遅い時間帯の訪問診療を行っている場合には、勤務医以上に終業時間が遅くなることもあります。
3.内科医に向いている人
内科医に向いている人には、どのような特徴があるのでしょうか。詳しくみてみましょう。
3-1.新しい情報を応用できる
どの診療科においても、医師として新たな治療法や療養方法を学び続ける必要があります。特に内科医は、慢性疾患を抱える患者さんと長く関わる場合が多いです。そのため、最新の治療方法を取り入れながら、患者さん一人ひとりへの応用が求められます。慢性疾患が悪化しないようにするだけでなく、改善につながる治療を提案できる内科医は、患者さんからの信頼を得られやすくなります。
3-2.洞察力に優れている
患者さんのなかには、自身の病状やつらさを明確に伝えられない人もいます。見えない内臓からの不調をくみとるには、患者さんの反応を感じ取るスキルが求められます。そのため、洞察力を備えた人は内科医に向いているといえるでしょう。
3-3.コミュニケーション能力に優れている
患者さんに応じた治療や必要な検査を判断するためにも、患者さんの訴えに傾聴し、何を苦痛に感じているのかを理解するスキルも重要です。また、慢性疾患では、薬剤の処方や医療処置だけでなく、患者さん自身に、指導に沿った生活を送ってもらえるよう伝えることが欠かせません。
患者さんに治療や検査について説明できることはもちろん、生活習慣の改善についても理解を促し、「主治医とともに頑張ろう」と思ってもらえる存在になる必要があるでしょう。そのため、内科医には年齢や世代を問わずに関わることのできる高いコミュニケーション能力を備えた人が向いているといえます。
4.内科医の給与事情は?
続いて、内科医の給与事情について紹介しましょう。
4-1.内科医の年収は平均よりもわずかに低い
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2012年に公表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、全国の内科医の平均年収は1,247.4万円です。これは、調査対象である全診療科の医師の平均年収1,261.1万円と比較すると、わずかに低い水準であることが分かります。
4-2.働き方次第で変わる
内科医は、総合病院など規模の大きい医療施設だけでなく、有床または無床のクリニック、産業医、介護施設保健施設、訪問診療などさまざまな施設で活躍できます。また、常勤医として1か所の医療機関で働くだけでなく、常勤と非常勤を組み合わせたり、嘱託として勤務したりするなど勤務形態の選択肢も幅広いです。さらに開業という選択もあります。
勤務先や勤務形態によって、年収にも差がみられると考えられます。
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5.外科から内科に転科できる?
もともと外科医として働いていたものの、内科に転身したいと考えることがあるかもしれません。医師法において、医師の転科に関する規定や制限はないため、努力次第で外科から内科へ転科することは可能です。
ただし、転科先の医療施設や専門分野によって難易度は変わります。
例えば、呼吸器外科から呼吸器内科への転科であれば、共通する知識も多く、比較的スムーズに業務に慣れることができるでしょう。一方で、呼吸器外科から精神科への転身となれば、基礎的な知識や経験が大きく異なるため難易度は高く、転科後に相当の努力が必要です。
また、外科医としてキャリアを積んだ後、地域の内科医や訪問診察医として開業するケースもあります。手術適応がある患者さんや手術を行った患者さんのフォローを行うなど、外科領域に関わりながら内科的な診療を行うような場合に、外科医としてのキャリアを活かしやすいといえます。
6.内科医への転職事例
内科医への転職を成功させた医師は、どのようなきっかけで転職を考え、どのような勤務先に転職をしているのでしょうか。マイナビDOCTORの転職サポートを利用して転職を成功させた医師の転職事例を紹介します。
6-1.医局関連病院から市中病院への転職事例
- 年代・性別:30代前半・男性
- 勤務形態:常勤 週5日
- 診療科目:一般外科
- 施設形態:大学病院(専攻医)→訪問診療
- 年収:1,000万円→1,800万円
- 業務内容:訪問診療
外科専攻医プログラムに参加していたが、残業も多く家族との時間が取れず、医師を続けられないと感じ転職を決意。当初は外科を死亡していたものの、キャリアアドバイザーと相談していくうえで自身の経験を踏まえ時間や休日を考え訪問診療に興味を持つ。訪問診療は未経験だったため、不安もあったが現場見学とサポート体制の説明を通じてやってみようと思う気持ちが強くなり、転職を決意した。
6-2.病院からクリニックへの転職事例
- 年代・性別:50代半ば・男性
- 勤務形態:常勤 週5日
- 診療科目:循環器内科
- 施設形態:病院→クリニック(訪問診療/外来)
- 年収:1,800万円→1,900万(別途手当)
- 業務内容:訪問診療/外来
将来のキャリアを考え、医局人事から離れ、急性期以外の働き方を検討。キャリアアドバイザーと数回の面談を経て、自身のやりたい事を見つめなおし「プレーイングマネジャー」として働くことを決意する。開業、院長、勤務医の選択肢から、地域の在宅医療と法人の理念に共感。さらに、収入維持と家族の支持も得られたため、転職に踏み出すこととなった。
6-3.フリーランスから自由診療クリニックへの転職事例
- 年代・性別:50代後半・男性
- 勤務形態:常勤 週5日
- 診療科目:内科 専門・循環器内科
- 施設形態:フリーランス→自由診療クリニック
- 年収:1600万円
- 業務内容:研究員としての業務、クリニックにおける外来診療
自身の携わっていた研究を広めたいという希望を持っており、研究と臨床を両立できる医療機関を求めている状況。希望と研究内容を基に、法人に対してオーダーメイドで枠を用意するよう調整。複数回の面談を通じて、法人が研究に対する理解を示し、会社の方向性とも一致。その結果、予定通りに研究を続けつつ臨床にも携わる環境が叶うかたちとなった。
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内科医の働き方は施設や専門分野によって異なり、それぞれに給与事情も変わります。内科医としての年収アップをしたい医師や、キャリアプランをかなえるうえで新たな勤務先を探している医師は、医師専門のエージェントに相談してみるのもおすすめです。よりやりがいを感じられる、自分らしい働き方を目指してみてはいかがでしょうか。
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