【東京・千葉・神奈川・埼玉】「首都圏で働く!」~転職動向・平均年収など徹底考察|医師の現場と働き方

【東京・千葉・神奈川・埼玉】「首都圏で働く!」
~転職動向・平均年収など徹底考察

医師数や病院数が多い首都圏エリアですが、同じ首都圏でも、都市部と医療過疎地とでは、転職マーケットの性格が異なります。
エリアごとに異なる業界状況や平均年収・医療行政の特徴などを知ることで、自分の志向やスタイルに合った転職活動が行えます。

エリア別転職市場

病院数全国1位は東京、医師不足ワースト1位は埼玉

東京都の転職市場

DATA
  • ・医療施設の従事者数:40,769人
  • ・人口10万人対医師数:304.5人(全国2位)
  • ・平均年収:902万円(全国43位)
  • ・病院数:650施設
  • ・クリニック数:13,005施設

※『データ集』に参照元を明記

病院・クリニックの数は全国一で、転職市場も活発

医師数は40,769人で全国1位。人口10万人対医師数も、全国平均の233.6人を大きく上回る304.5人で、全国2位となっています。病院、クリニックの数も多く、病院数650施設、クリニック数13,005施設は、ともに全国一の数字。これは全国の病院の約7.7%、全国のクリニックの約12.9%にあたる数字でもあります。
東京都の病院は、その約65%が23区内に位置しているのが特徴。都内には国立の東京大学、東京医科歯科大学と、慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学といった私立11校に医学部が設置されていますが、こちらも杏林大学以外はすべて23区内にあります。
加えて、赤十字病院やがんセンター、済生会病院、都立駒込病院、都立墨東病院、都立広尾病院、聖路加国際病院、虎の門病院など、研究・臨床において日本の医療をリードする施設が多数立地。中央医科グループや徳洲会といった民間病院グループも都内全域で、急性期医療から回復期リハビリテーション、慢性期、老健などの施設を開設しています。
一方、都下のエリアは大学関連病院も少なく、都立病院、国公立病院立を中心に、数多くの民間病院が地域の急性期医療を支えています。また、療養病床や精神病床を持つ医療機関が多いのもこのエリアの特徴です。
いずれにせよ、医療機関数、医師数が多く、医師の求人案件も多い東京都は、全国的に見ても、転職市場が活発なエリアといえます。また、平成21年度からは「東京都地域医療支援ドクター事業」を開始。地域医療に対して意欲のある医師を「東京都地域医療支援ドクター」として採用し、医師が不足している市町村の公立病院などに期間限定で派遣するという試みも行われています。

<給料の特徴>
東京都における医師の平均年収は902万円(全国43位/47)。医師の供給が比較的多いため、埼玉県、千葉県などの医師不足のエリアに比べると低めの給与となっています。

<医療行政の特徴>
医療行政の特徴としては、『東京都保健医療計画』が挙げられます。これは、平成25年度から5カ年計画で行っている保健医療に関する総合的・基本的な取り組みで、①患者中心の医療体制の充実、②保健・医療・福祉の提供体制の充実、③健康危機管理体制の充実などが主要施策となっています。また、『救急医療の東京ルール』、『東京都地域医療支援ドクター事業』、『東京医師アカデミー』など、救急体制の整備、地域医療の支援、若手医師の支援にも力を入れています。

埼玉県の転職市場

DATA
  • ・医療施設の従事者数:11,058人
  • ・人口10万人対医師数:152.8人(全国47位)
  • ・平均年収:1,474万円(全国10位)
  • ・病院数:343施設
  • ・クリニック数:4,186施設

※『データ集』に参照元を明記

「全国ワースト」の医師数を改善することが課題

埼玉県は東京のベッドタウンという性格が強く、医師が東京勤務を選択するケースも数多く見られます。そのため、人口に対しての医師数が追い付いておらず、医師数は4都県の中でもっとも少ない11,058人。人口10万人あたりの医師数も全国平均の233.6人を下回る152.8人で、これは全国ワーストの数字となっています。
一方、病院の数を4都県で比較してみると、埼玉県343、東京都650、千葉県286、神奈川県341。首都圏では東京に次ぐ2番目の数字です。また、人口10万対病院数でみても、埼玉県は4.7施設。全国平均の6.7施設よりは少ないものの、人口が密集する首都圏の中では東京の4.8施設と変わらない数字となっており、クリニック数は4,186施設となります。人口10万人あたりのクリニック数も57.5施設で、全国平均約79.5施設と比較すると22施設少なく、こちらも全国ワーストの数字です。
埼玉県では、埼玉医科大学、防衛医科大学校の2校に医学部が設置されていますが、首都圏の中では大学医局の影響が少ないエリア。公的病院や中央医科グループをはじめとする民間病院が地域の医療を支えており、さまざまな大学出身の医師たちが、互いに情報を交換し合いながら良質な医療を提供しています。
加えて、県出身の県外大学医学生に県が奨学金を貸与する「埼玉県医師育成奨学金制度」を実施したり(特定地域の公的医療機関または特定診療科等に一定期間勤務すれば、奨学金の返還は免除)、埼玉県として基幹型臨床研修病院の合同説明会を開いたりと、医師や医療関係者の確保・育成に力を入れているのも特徴的。求人募集も常勤、非常勤ともに活発です。

<給料の特徴>
医療従事者の確保、育成が求められている埼玉県の平均給与は1,474万円(全国10位/47)。4都県の中ではもっとも高く、全国でも10番目の数字となっています。

<医療行政の特徴>
県が提供する医療への信頼の確保、質の高い医療を効率的に提供する体制の確保などをめざした「埼玉県地域保健医療計画」が策定されています。
また、産科や小児科、救急科など、特定の診療科や地域による医師の偏在を解消するため、平成25年度から「埼玉県総合医局機構」を設置。若い医師の確保をめざして、魅力的な研修体制の確立や勤務環境の改善等に取り組んでいるほか、県内13の災害拠点病院に埼玉DMAT(災害派遣医療チーム)を置くなど、災害医療に関する取り組みにも力を入れています。

千葉県の転職市場

DATA
  • ・医療施設の従事者数:11,337人
  • ・人口10万人対医師数:182.9人(全国45位)
  • ・平均年収:1,388万円(全国17位)
  • ・病院数:286施設
  • ・クリニック数:3,768施設

※『データ集』に参照元を明記

慢性的に医師不足の地域が多く、求人には積極的

千葉県の医師数は11,337人。人口10万人対医師数をみても、182.9人と全国平均の233.6人を大きく下回っており、全国45位の数字となっています。県内には、千葉、東葛南部、東葛北部、印旛、香取海匝、山武長生夷隅、安房、君津、市原という9つの保健医療圏がありますが、それぞれの人口10万人対医師数を比較してみると、最多が安房の435.3人、2番目が千葉の281.8人。最少は山武長生夷隅の108.7人となっており、安房医療圏と山武長生夷隅医療圏の間には、320人以上の格差が生じています。
そのため千葉県では、平成24年に「千葉県地域医療支援センター」を開設。医師のキャリア形成支援、医師不足病院の医師確保の支援、医師確保に関する情報発信や相談対応の強化を行っています。
千葉大附属病院内に医師キャリアアップ・就職支援センターを設置し、後期研修医を中心に幅広く医師を確保する活動を実施。地域間の格差や医師不足の解消に力を入れています。
医療機関の数に目を移すと、県内の病院数は286施設、クリニックは3,768施設で、いずれも4都県の中でいちばん低い数字。保健医療圏単位で人口10万対施設数を比較してみると、最多が安房の12.0施設、最少が東葛南部の3.5施設となっており、医師数と同様、地域間に格差があります。
以上のことから、千葉大のある千葉医療圏や亀田総合病院(鴨川市)のある安房医療圏では医師、医療施設ともに多く、それ以外の地域では医師、医療機関の不足感が強いことがわかります。そのため、千葉県では広い範囲において医師求人は活発。年収も全国平均より高めとなっています。
なお、東京から近いために都内の大学医局の影響力が強いのも千葉県の特徴で、南部は千葉大学、東京女子医科大学、東葛北部は東京慈恵会医科大学、日本医科大学からの派遣が多くみられます。

<給料の特徴>
常勤、非常勤とも求人ニーズは高く、平均年収も1,388万円(全国17位/47)と全国平均より高め。週4日、当直なしなど、条件面の相談ができる医療機関が多いのも特徴です。

<医療行政の特徴>
すでに紹介した「千葉県地域医療支援センター」のほか、県内の36医療機関・病院が参加する千葉県医師臨床研修制度等連絡協議会のもとで「NPO法人 千葉医師研修支援ネットワーク」を設立。①質の高い医療の提供体制の構築を図り、②地域住民の健康の維持・増進に資することを目的に、県内で働く専門医の養成・確保に関する事業を行っています。
また、医学を学ぶ大学生を対象に、将来、千葉県で医師として働くことを目的とした修学資金貸付制度も実施(一定期間、千葉県内の医療機関に勤務すれば返還が全額免除)。若い医師の確保に努めています。

神奈川県の転職市場

DATA
  • ・医療施設の従事者数:18,349人
  • ・人口10万人対医師数:201.7人(全国45位)
  • ・平均年収:1,165万円(全国34位)
  • ・病院数:341施設
  • ・クリニック数:6,669施設

※『データ集』に参照元を明記

アクセス良好な横浜市、川崎市は転職市場の人気エリア

横浜市、川崎市、相模原市という3つの政令指定都市を持ち、約915万人(平成27年「国勢調査」より)の人口を抱える神奈川県。しかし、県内の医師数は18,349人と、全国平均の296,845人を下回っています。さらに、人口10万人対医師数でも全国平均の233.6人を下回る201.7人。全国的にみた場合、医師数は「西高東低」の傾向にあるといわれますが、人口ランキング全国2位の神奈川県のこうした状況はその象徴といえるでしょう。
病院数は341施設で埼玉県とほぼ同数ですが、人口10万対病院数は全国平均の6.7施設よりもはるかに少ない3.7施設。4都県の中で最低の数字となっています。その一方で、『医療施設動態調査』(平成28年1月)によると、クリニック数は6,669施設と多め。これは東京都(13,005施設)、大阪府(8,348施設)に次ぐ全国3番目の数字で、埼玉県や千葉県のおよそ1.5〜2倍弱にあたります。
病院やクリニックは横浜市、川崎市に集中していますが、この2都市は相模原地域や湘南地域、小田原市等の県西地域はもちろん、東京都内からのアクセスも良好。そのため、転職市場においては東京都内にひけを取らない人気エリアとなっています。
県内には、横浜市の横浜市立大学、川崎市の聖マリアンナ医科大学、相模原市の北里大学、伊勢原市の東海大学という4つの大学があり、大学医局とのつながりが比較的深いエリアといえますが、急性期から療養型、クリニック、在宅医療、老健施設までさまざまな医療機関、診療科目において求人は豊富。医師の転職も活発です。また、神奈川県は人口が多いことから、今後、全国平均を上回る早さで高齢化が進行し、高齢者医療の需要が高まると予想されています。

<給料の特徴>
高度医療機関から一次医療を担う診療所まで多様な医療機関がそろう神奈川県。医師の平均年収は1,165万円(全国34位/47)で、全国平均の1,098万円よりやや高めとなっています。

<医療行政の特徴>
特徴的な医療行政として、平成25年から5年計画で実施されている「神奈川県保健医療計画」の策定が挙げられます。これは、地域における保健医療の基盤づくりや、生涯を通じた健康づくりに関する取り組みで、①保健医療圏の設定と基準病床数の設定、②事業別の医療体制の整備・充実、③疾病別の医療連携体制の構築、④医療従事者の確保対策の推進、⑤医療の情報化の推進、⑥総合的な医療安全対策の推進 、⑦患者の視点に立った質の高い医療体制の整備が主要施策となっています。

RECENTLY ENTRY