内科は最も医師数が多い診療科です。診療分野は多岐にわたり、医師は幅広い知識と豊富な診療経験が求められます。内科医のニーズは常に高く、比較的安定した年収を得ることが可能な一方で、働き方によっては平均水準を下回ることも。内科医全体の年収を俯瞰してみると「ピンキリ」になるのも大きな特徴です。今回は、内科医の働き方と年収事情について解説します。
- 勤務先や働き方での年収差に興味がある方。
- 診療科の枠を超えた知識や経験を求める方。
- 内視鏡スキルの重要性を知りたい方。
目次
内科医の年収事情

「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省、2022年)によれば、医療施設に従事する全医師数32万7,444人のうち内科医は6万1,149人であり、全体の18.8パーセントを占めています。主たる診療科の中で圧倒的に人数が多く、平均年齢は59.1歳と比較的高め(全体の平均は50.3)であるという特徴があります。人数が多いからこそ厳しい競争にさらされているのではないか、と考える医師の方もいらっしゃると思いますが、実状はどうなのでしょうか。
「必要医師数実態調査」(厚生労働省、2010年)では、内科医は常勤・非常勤合計でさらに約4,000人が必要であるとの結果が示されており、主たる診療科の中で最多となっています。また同調査で算出された求人倍率は1.14倍と比較的高水準です。すでに内科医は全医師の中でも多くの割合を占めているにもかかわらず、依然として高い求人ニーズが潜在的にあることがわかります。
高い求人ニーズは内科医の年収に反映されているのでしょうか。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(労働政策研究・研修機構、2012年)を見ますと、内科医の平均年収は1,247.4万円。調査対象となった全診療科の医師の平均年収である1,261.1万円に比べて、若干低い水準となっています。
■診療科別・医師の平均年収
順位 | 診療科目 | 平均年収(万円) | (計n=2,876) |
---|---|---|---|
1 | 脳神経外科 | 1,480.3 | (n=103) |
2 | 産科・婦人科 | 1,466.3 | (n=130) |
3 | 外科 | 1,374.2 | (n=340) |
4 | 麻酔科 | 1,335.2 | (n=128) |
5 | 整形外科 | 1,289.9 | (n=236) |
6 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267.2 | (n=304) |
7 | 内科 | 1,247.4 | (n=705) |
8 | 精神科 | 1,230.2 | (n=218) |
9 | 小児科 | 1,220.5 | (n=169) |
10 | 救急科 | 1,215.3 | (n=32) |
11 | その他 | 1,171.5 | (n=103) |
12 | 放射線科 | 1,103.3 | (n=95) |
13 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078.7 | (n=313) |
(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)
全診療科の平均年収と比較すると内科医の平均年収はやや下回りますが、前述の調査結果の詳細を見ますと、内科医で最も多い年収帯は1,000~1,500万円未満で29.2%が占めており、年収2,000万円以上を得ている医師も10.9%いることがわかります。一方で、年収帯が500万円に満たない医師も10.6%存在しており、これは調査対象の診療科の中で3番目に高い数値となっています。以上見てきたような調査結果から、内科は高水準の年収を得ている医師とそれほど年収を得ていない医師の年収格差が大きい診療科であることが推察されます。
■内科医の年収階層別の分布
主たる勤務先の年収 | 割合(%) |
---|---|
300万円未満 | 3.5 |
300万円~500万円未満 | 7.1 |
500万円~700万円未満 | 7.4 |
700万円~1,000万円未満 | 13.5 |
1,000万円~1,500万円未満 | 29.2 |
1,500万円~2,000万円未満 | 28.4 |
2,000万円~ | 10.9 |
(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年をもとに作成)
年収格差は医師の不満の種となる傾向がありますが、「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(労働政策研究・研修機構、2012年)を見ると、意外な結果が示されています。「自身の給与額に対する満足度」の質問に対し42.5%の医師が満足寄り(「満足」または「まあ満足」)の回答をし、31.9%の医師が不満寄り(「少し不満」または「不満」)の回答をしています。満足寄りの回答をした医師の割合は平均水準ではあるものの、不満寄りの回答をした医師の割合は、脳神経外科に次いで2番目に低い数値でした。このことから、労働内容と給与のバランスに納得をして業務に取り組んでいる医師が多い傾向があると言えるでしょう。
内科医の働き方と給与の特徴
内科医の診療範囲は呼吸器、消化器、循環器、血液、内分泌、膠原病など多岐にわたり、幅広い疾患の診察・治療にあたります。診療科の枠を超えた知識や経験も必要であり、いわゆる「ジェネラリスト」としての資質が求められる場面も多いでしょう。このように内科医は他科の医師よりもバラエティに富んだ働き方をします。したがって、給与も勤務先の業態や特徴に左右されやすいと言えるでしょう。ここでは代表的な業態ごとに、内科医に求められる役割と給与の傾向について解説します。
有床医療機関

入院施設がある医療機関では、外来診療のみならず入院患者さんの管理や日当直の業務まで担うことがほとんどです。多忙を極め、時間外勤務も多くなりますので、「プライベートの時間を十分に確保できない」と感じる医師も多いかもしれません。ただ、時間外手当や日当直手当が発生するぶん平均水準以上の給与を得られるでしょう。
無床クリニック

近年では、開業医の高齢化などにともなって入院施設を持たないクリニックの求人も増えています。前述したように内科医のニーズは高く、求人も全診療科の中で最多件数であるため、入院施設を持たない医療施設の求人も容易に見つかるでしょう。
業務内容としては主に外来診療を担いますが、医療機関によっては往診などを行うケースも少なくありません。時間外勤務を行わなければならないことはほとんどなく、当然ながらオンコールもありません。そのため、育児中の女性医師などワークライフバランスを重視する医師から人気です。時間外手当や日当直手当がほとんど発生しないため給与水準は若干低い傾向にありますが、クリニックの後継者候補として採用される場合は年収2,000万円以上の好待遇が保証されることもあります(※)。
介護保険施設

高齢化が進行している日本では現在、介護保険施設も増加の一途を辿っています。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは医師の配置が義務づけられており、近年はこれらの施設に勤務する医師も多くなっています。幅広い知識や多彩な経験を有する内科医は、介護保険施設でも重宝されるでしょう。
業務内容は施設によって異なり、日当直や利用者の急変時に対応するためのオンコールが必要となる場合もあります。介護保険施設での勤務はワークライフバランスを確保できる可能性は高いものの、転職する際は事前に条件を吟味する必要があります。内科医として勤務してきた筆者の経験上、年収は1,000~2,000万円程度と、業務内容に応じて設定されている金額が幅広いように思います。
健診業務の給与水準

内科医が行う代表的な業務のひとつに「健診業務」があります。アルバイトで健診業務を行った経験のある医師や後期研修医の方も多いのではないでしょうか。
健康診断やがん検診などを行うには医師の診察が不可欠であるため、健診を担う医師の需要は高く、特に春や秋には多数の求人が出てきます。また、非常勤勤務や単発アルバイトのみならず、健診センターなどの常勤医の求人も少なくありません。
しかし、いずれも給与水準は平均に比べて低い傾向にあります。筆者の経験上、常勤医の場合は年収1,000万円台前半程度、単発バイトでは半日5万円程度が相場ではないかと思います(※)。ただし、健診の求人では内視鏡が扱えると非常に重宝され、給与水準も高くなる傾向にあります。内視鏡関連の経験や資格を持つ医師の方は、健診業務の求人に応募する際アピールすると好待遇が期待できる可能性があります。
内科医への転職事例
内科医への転職を成功させた医師は、どのようなきっかけで転職を考え、どのような勤務先に転職をしているのでしょうか。マイナビDOCTORの転職サポートを利用して転職を成功させた医師の転職事例を紹介します。
医局関連病院から市中病院への転職事例
- 年代・性別:30代・男性
- 勤務形態:常勤 週5日→週4日
- 診療科目:消化器内科
- 施設形態:医局関連病院→市中病院
- 年収:1,000万円→1,200万円
- 業務内容:外来・病棟管理・内視鏡検査 等
専門医の資格取得後、年収UPと家庭の時間の両立を目指して転職を検討。内視鏡については今後も継続して磨いていきたいと考えており、そのキャリアプランを考慮して病院勤務を選択する。複数の選考後、好条件のもと入職が決定。現在も転職先で活躍中です。
大学病院からクリニックへの転職事例
- 年代・性別:30代・女性
- 勤務形態:常勤 週5日→週4日
- 診療科目:呼吸器内科
- 施設形態:病院(大学病院)→クリニック
- 年収:1,100万円→1,300万円
- 業務内容:外来
専門医の資格取得後、自身の専門以外の勉強もしたく転職を検討。専門科目での勤務(常勤4日)+専門以外での勤務(非常勤1日)の確保、当直・オンコールの無い働き方を希望。希望通り、ライフワークバランスを重視できる環境マッチし、転職を決断した。
医局関連病院から市中病院への転職事例
- 年代・性別:40代・男性
- 勤務形態:常勤 週5日
- 診療科目:内科(専門医:循環器内科)
- 施設形態:医局関連病院→市中病院
- 年収:1,200万円→1,600万円
- 循環器内科診療に関する業務全般
循環器内科業務を継続しながら、仕事と家庭のバランスが取れる勤務先を探すため転職を検討。弊社サービスの登録と相談を経て、「夜間対応なし」「年収アップ」の条件が提示され、初期の希望を大きく上回る結果に。その後、医局を退局し転職を決意。
内科医の年収に関するよくある質問
この章では、内科医の年収に関するよくある質問を紹介します。
内科医で開業した場合の年収は?
第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)によると、開業医(一般診療所(個人・青色申告者のみ)の損益差額(医業収益+介護収益-医業・介護費用)は2,759万5,000円と算出されます。
これは、新型コロナウイルス感染症関連の補助金(従業員向け慰労金を除く)を除いた金額です。
収益の内訳は、以下のとおりです。
- 医業収益:8,907万3,000円
- 介護収益:32万6,000円
収益合計は、8,939万9,000円になります。
経費の内訳は、以下のとおりです。
- 給与費:2,134万5,000円
- 医薬品費:1,377万4,000円
- 材料費:212万4,000円
- 給食用材料費:3万4,000円
- 委託費:384万8,000円
- 減価償却費:370万円
- その他の医業・介護費用:1,529万9,000円
経費合計は6,012万4,000円になります。
勤務医の場合は、法律や勤務先医療機関の経済状況などの影響により、年収に上限がありますが、開業医には上限がありません。
勤務医の場合は、法律や勤務先医療機関の経済状況などの影響により、年収に上限がありますが、開業医には上限がありません。
そのため「開業医は勤務医よりも高い収入を得ている」、「開業すると年収が上がる」と思われがちですが、必ずしもそうとは限らない現状があります。
開業医の場合は、人件費や医療材料費の支払い、借入金の返済などの各種経費が伴います。それが開業に伴うリスクとなり、開業後数カ月は収入が上がらず、逆に赤字になるケースも少なくありません。
実際の開業医も、年収面を理由とした人より、自分の目指す医療や自分に合った働き方を実現させるために開業した人が多いとされています。
次の見出しで、開業以外の年収アップ方法を紹介します。
内科医として年収をアップさせる方法は?
ここでは、内科医として年収アップさせる方法を3点紹介します。
アルバイトをする
内科医の年収アップ方法として一般的にあげられるものが、他医療機関でのアルバイトです。
主なアルバイトとしては、特定健康診査やがん健診といった各種健診、訪問診療、当直などがあげられます。
各種健診業務の場合、問診や診察が主な業務ですが、消化器科内視鏡検査に従事する可能性もあります。そのため、内視鏡に関する知識や経験があると採用されやすいでしょう。
訪問診療は、在宅療養中の患者宅を訪問して診察や処置などを行うもので、在宅医療推進との関係により、アルバイトの求人も増加傾向にあります。
当直は大きく分けると、緊急搬送患者の治療にあたる「救急当直」と、病棟回診や緊急時対応、死亡確認・死亡診断書作成などを行う、いわゆる「寝当直」の2種類です。
Uターン就職もしくはIターン就職をする
Uターンは自分の生まれ育った地域に戻って就職することであり、Iターンは生まれ育った地域から他の地域に移って就職することです。
UターンやIターン先が医師不足の地方であれば、医師の需要が高いため年収が高めに設定されている可能性が高いでしょう。
転職する
現在より高年収が見込める医療機関に転職することも、1つの方法です。
医療法人である民間病院や、循環器内科や呼吸器内科など医療ニーズが領域への転職などが選択肢として考えられるでしょう。
民間病院は基本的に年収水準が高く、医療ニーズが高い領域は患者数に対して医師数が足りないため、高い年収を設定している可能性があります。
転職を検討している場合は、医師専用転職エージェントの利用をおすすめします。
内科医の年収アップにはさまざまな選択肢がある
内科医は求人のニーズが高い状況ですが、年収格差が大きい診療科です。
勤務医の中には開業する人もいますが、開業に伴うリスクも少なくありません。
開業以外の年収アップ方法としては、アルバイトやUターン就職およびIターン就職、転職などがあります。
医師専用転職エージェントのマイナビDOCTORでは、アルバイトやUターンおよび
Iターンも含めた、希望の勤務先探しをサポートします。
年収を上げたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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