3.求人理由(都道府県別)
「現員医師の負担軽減(患者数が多い)」が理由のトップ
「病院等における必要医師数実態調査」(厚生労働省、2010年)は、病院等における医師の求人理由も明らかにしています。関東の一都三県に注目すると、いずれも「現員医師の負担軽減(患者数が多い)」が求人理由のトップであり、ほかに「退職医師の補充」「現員医師の負担軽減(日直・宿直が多い)」「救急医療への対応」といった理由が上位に挙がっています。
求人理由(都道府県別)
埼玉県 | 千葉県 | 東京都 | 神奈川県 | |
---|---|---|---|---|
退職医の補充 | 14.80% | 17.40% | 17.10% | 17.70% |
現役医師の負担軽減(患者数が多い) | 30.70% | 26.20% | 27.90% | 31.30% |
現役医師の負担軽減(日直・宿直が多い) | 13.30% | 14.30% | 21.00% | 18.90% |
休診中の診療科の再開 | 1.20% | 3.50% | 0.60% | 0.60% |
休棟・休床している病棟・病床の再開 | 1.80% | 2.80% | 1.80% | 1.70% |
外部機関からの派遣等から医師確保へ | 8.90% | 9.50% | 4.50% | 4.10% |
救急医療への対応 | 15.60% | 13.30% | 18.80% | 12.00% |
正規雇用が望ましい | 10.90% | 9.30% | 7.00% | 11.40% |
近々医師の退職の予定があるため | 3.00% | 3.70% | 1.30% | 2.10% |
埼玉県 | 千葉県 | |
---|---|---|
退職医の補充 | 14.80% | 17.40% |
現役医師の負担軽減 (患者数が多い) |
30.70% | 26.20% |
現役医師の負担軽減 (日直・宿直が多い) |
13.30% | 14.30% |
休診中の診療科の再開 | 1.20% | 3.50% |
休棟・休床している病棟・病床の再開 | 1.80% | 2.80% |
外部機関からの派遣等から医師確保へ | 8.90% | 9.50% |
救急医療への対応 | 15.60% | 13.30% |
正規雇用が望ましい | 10.90% | 9.30% |
近々医師の退職の予定があるため | 3.00% | 3.70% |
東京都 | 神奈川県 | |
---|---|---|
退職医の補充 | 17.10% | 17.70% |
現役医師の負担軽減 (患者数が多い) |
27.90% | 31.30% |
現役医師の負担軽減 (日直・宿直が多い) |
21.00% | 18.90% |
休診中の診療科の再開 | 0.60% | 0.60% |
休棟・休床している病棟・病床の再開 | 1.80% | 1.70% |
外部機関からの派遣等から医師確保へ | 4.50% | 4.10% |
救急医療への対応 | 18.80% | 12.00% |
正規雇用が望ましい | 7.00% | 11.40% |
近々医師の退職の予定があるため | 1.30% | 2.10% |
4.考察
ハードワークな科は人が集まりにくい傾向に
診療科別の医師充足度を俯瞰したとき、医師不足に見舞われている科にはどのような特徴があると考えられるでしょうか。典型的には救急科や麻酔科、産科、小児科のように、ハードワークが求められ、訴訟リスクが高く、スキルアップの時間を作りにくいとされる科には人が集まりにくい――この現実は否定しづらいところでしょう。また、急速に膨れ上がるニーズに対して医師の供給が追い付いていない科も散見されます。ほかにも、いわゆるメジャー/マイナーの別や報酬の多寡など様々な要因が絡んでくるでしょう。ただし、現在医師不足に悩む科が20年後、30年後もそうであるとは限りません。現状を踏まえ、行く先々の時代の流れを見据えつつも、自らが志望するキャリアや使命感と相談しながら進路を定めたいものです。
文:太田卓志(麻酔科医)
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