マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
介護保険外サービスと保険内サービスを同時に提供できる混合介護特区。それを豊島区に作ることを東京都が国家戦略特別区域会議に提案しました。
実現すれば、今までは別々の時間に全額自己負担で頼むことしかできなかった、介護対象者本人以外の家族の食事作りなどが同じ時間内にできるようになります。
また、東京都は特定技能を持ったヘルパーを呼ぶ場合、料金上乗せも考えています。多様なニーズに早く応えられるようになる一方、料金が必要以上に高額化しないか、保険外サービスが不当に保険内サービスとして扱われないか、などの問題が考えられます。
東京都は、介護保険のサービスと保険外のサービスを同時に提供できる「混合介護」の特区の創設を政府の国家戦略特別区域会議に提案した。提案では、多様なニーズに対応するため、特定の能力を持ったヘルパーを指定した場合の「指定料」を設けることなどが盛り込まれている。【ただ正芳】
従来の介護保険外サービスの利用としては、▽保険内のサービスではあっても区分支給限度基準額を超えるサービスの利用や時間の延長（上乗せサービス）▽配食サービスなど、介護保険外のサービス（横出しサービス）―といったスタイルの利用が全額自己負担で認められていた。
しかし、保険内と保険外のサービスを明確に区分する必要があることから、保険内サービスを提供している時間内に保険外サービスを同時並行で提供することは認められていない。例えば「保険内で本人分の食事を、保険外で家族分の食事を作る」場合、一度に家族全員分を作って取り分けることはできず、本人と家族の分とを別々に作らなければならない。その結果、担当者の業務時間が必要以上に長くなる傾向があった。また、特別養護老人ホームなどの施設では、保険外サービスの提供は原則として認められていない。
東京都の提案は、こうした状況の改善を目指したもの。具体的には都と豊島区とが連携し、「介護保険サービスと保険外サービスの同時・一体的提供」と「介護保険サービスに付加価値をつけた部分への料金設定」について、2018年度のモデル事業開始を目指し、準備を進めるとしている。
このうち、「介護保険サービスと保険外サービスの同時・一体的提供」では、例えば訪問介護サービスの提供時に同居している家族分の調理や洗濯なども行うことを想定。それにより、職員の業務時間短縮と介護家族の負担軽減の実現が期待できるとしている。
また、「介護保険サービスに付加価値をつけた部分への料金設定」では、看護師や栄養士、外国語の能力など、特定の技能を持ったヘルパーの派遣を依頼する場合、500円から3000円の指定料を設定することや、繁忙期における上乗せ料金や閑散期における割引料金の設定などを想定している。多様なニーズへの対応や介護スタッフの確保と処遇改善などの効果が期待できるという=図＝。
提案では、留意事項として以下の3点を提示した。
- 自由な選択と自己決定を担保する利用者保護の仕組み
- 職員の能力への付加価値として上乗せされた料金が、職員の処遇改善につながる仕組み
- 上乗せされた料金の負担が困難な低所得者への配慮
特区として認定された場合は、これらの留意事項への対応も検討する。混合介護の対象となるサービスや、指定料の対象となるヘルパーの技能などについては、今後、厚生労働省などと調整し、決定する方針だ。
出典：医療介護CBニュース
