施設管理医になるには資格やスキルが必要?仕事内容とやりがい|医師転職ナレッジ

施設管理医になるには資格やスキルが必要?仕事内容とやりがい

日本では65歳以上の高齢者が人口の3割弱を占めており、今後も高齢化が加速するとみられています。一方で、医学の進歩により平均寿命が長くなり、様々な疾患を抱えながら介護を必要とする人が増加するなかで、介護施設入所者の健康管理を行う「施設管理医」の重要性が増しています。施設管理医になるにはどのようなスキルや資格が必要なのか、ポイントを解説します。

<この記事のまとめ>

  • 施設管理医になるために特別な資格は必要ないが、内科、外科、整形外科、皮膚科などでの臨床経験をもつ医師はよりニーズが高い。
  • 良い条件で施設管理医に転職したい場合は、総合診療・プライマリ領域の専門医資格や老人保健施設管理認定医資格を保持していると有利。
  • 地域の高齢者の健康を見守り、最期を支える業務には病院とはまた違うやりがいがある。

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1.施設管理医とは

施設管理医とは、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設に入所している高齢者の健康管理を担う医師のことです。施設の規模や分類に応じて医師の配置基準が定められています。施設管理医は、入所者の日常的な健康管理と治療を行う役割を担うほか、施設によっては急変対応や看取りなどの業務を行うこともあります。

医師・歯科医師・薬剤師統計」(厚生労働省、2018年)によれば、介護老人保健施設に勤務する医師は全国で3,388人です。全国的に介護施設の需要が高まっているにもかかわらず、医師の総数32万7,210人のうちわずか1%にとどまっており、施設管理医として働いている医師は現状かなり少数だとわかります。

2.施設管理医になるには

では、施設管理医になるにはどうすれば良いのでしょうか?

施設管理医になるために必要なキャリアや資格などが、特別に定められているわけではありません。2004年以降に医師免許を取得した医師については初期臨床研修の修了を前提とするケースがほとんどですが、保持していなければならない専門医資格や参加必須の研修などはなく、不可欠なのは医師免許のみ。医師であれば、誰でも施設管理医になることができます。

とはいえ、施設管理医として活躍するには入所者の幅広い疾患や外傷などに対応できるほどの知識と経験が必要です。また、様々な基礎疾患を抱える入所者に思いもよらない急変が生じるかもしれませんので、施設内では対処できない緊急事態を見抜いて適切な医療機関へ迅速に紹介するという、的確かつスピーディーな判断力も求められます。そのため、施設管理医には、内科、外科、整形外科、皮膚科など様々な診療科に関する基本的な診断・治療を確実にこなせる力を持った医師のニーズが高いでしょう。

さらに、施設管理医へより良い条件で転職するためには、総合診療やプライマリケア領域の専門医資格、日本老年医学会が定める老人保健施設管理認定医資格などを保持しておくと有利になります。また、幅広い疾患を扱う急性期病院などでのキャリアもアピールポイントとなります。募集要項に「施設管理医として望ましい資格やキャリア」などを明示している施設もあるので、内容を確認して自身にマッチした職場を探すのもひとつの方法です。

3.施設管理医の仕事内容

施設管理医の主な業務は、回診と、軽度な感染症や外傷などの治療を通して入所者の健康管理を行うことです。施設内の医療資源は限られるため、より高度な治療を必要とする場合には、適切な医療機関へ紹介することも施設管理医の大切な役割となります。そのほか、食事、リハビリテーション、レクリエーションなど入所者に対して行われる様々なサービスに対して医学的な助言を行ったり、適切な感染対策を指示したりするなど、入所者が安全で快適な生活を送ることができる環境作りに尽力することも求められるでしょう。

具体的な業務内容は施設により異なりますが、一般的には1日に1度は入所者の回診を行い、発熱などの症状がある場合は施設内で可能な治療を行います。小規模な施設では診療に携わらない時間も多くなりますが、回診時以外に体調に異変がある入所者の診療を行うこともあるため、日によって業務量の変動が大きいことが特徴です。

また、施設管理医の多くは日当直やオンコール業務を課せられます。医療機関のように急患が来院するわけではないため、著しく多忙になることは考えづらいですが、いつ体調を崩すか分からない入所者への対応や看取りに24時間体制で備える必要があります

高齢化社会を迎え平均寿命も健康寿命も延びていくことが予測されるいま、「高齢期をすこやかに過ごす方法」は日本社会全体、ひいては世界的にも重要な議題となっています。そんななかで地域の高齢者の健康を見守り、最期を支えていくことには病院とはまた違ったやりがいがあります。病院でさまざまな経験を積んできている医師ほど、新たな医療の可能性を感じられる職場といえるのではないでしょうか。また介護の現場にはさまざまな課題が山積みであり、施設の経営面も意識しながら看護師や介護職員など他職種と連携し、解決につなげていくことも大きなやりがいといえそうです。

4.施設管理医の給与事情

施設管理医の給与水準は、施設の規模や業務内容、役職などにより大きく異なります。「勤務医」として働き、時間外労働や日当直などがない条件であれば、筆者の肌感覚では年収1,000万円程度が相場と考えられます。一般的な医療機関で働く医師の平均年収より低くなるかもしれません。

一方、休日・夜間を問わないオンコール対応や看取りなどを求められたり、施設の「雇われ経営者」として採用されたりする場合は、高水準の年収が期待できます。年収が高い求人は多忙な業務をこなさなければならないケースも多いため、転職先を探すときは、具体的な勤務条件や他の医師によるバックアップ体制などを合わせて確認することをおすすめします。

5.施設管理医のワークライフバランス

介護施設に勤務する医師について、「一般的な臨床医よりもゆとりある労働環境で高収入を得られる」というイメージがあるかもしれません。たしかに、オンコール対応や日当直業務が免除となる勤務条件ならゆとりをもった勤務が可能です。このような求人は子育てや介護など家庭の事情がある医師やワークライフバランスを重視する医師から人気が高い傾向があります。ワークライフバランスを大切にして施設管理医として働くことを希望するなら、他の応募者の一歩先を行くアピールポイントを用意して転職活動の準備をすることをおすすめします。

「3.施設管理医の仕事内容」で紹介したように、施設管理医の多くは日当直やオンコ―ル対応が求められます。予期せぬ急変の対応のため休日や夜間でも稼働するケースがありますが、日常的には急患も受け入れる急性期病院ほどの過酷な勤務環境下にはならないのではないでしょうか。

社会的な意義が大きく、今後ますます活躍の場が拡大することが予測される施設管理医。これまでに病院や診療所で積んだ臨床経験を活かして新たなキャリアステージに挑戦したい方にぴったりの仕事です。キャリアの選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

6.施設管理医への転職事例になるには

施設管理医への転職を成功させた医師は、どのようなきっかけで転職を考え、どのような勤務先に転職をしているのでしょうか。マイナビDOCTORの転職サポートを利用して転職を成功させた医師の転職事例を紹介します。

6-1.施設管理医への転職事例①

  • 年代・性別:70代・男性
  • 勤務形態:転職前 開業医/週5日
  • 診療科目:眼科
  • 施設形態:クリニック→老健
  • 年収:2000万円→1,200万円
  • 業務内容:施設管理者としての業務 等

元々開業医であったが閉院を決定した後も、生涯を医師として過ごしたいという強い意志があり、勤務医としての再就職を決めました。眼科専門の背景から、内科的な技術や経験に不安があったものの、病院併設型の老健施設であるという点が魅力的に感じられ、応募を決定しました。また、地域的には想定以上に遠方でしたが、医療過疎エリアで医師の重要性と需要を実感し、自身の生涯を医師として捧げるという原初の志と共鳴する点が見つかり、転職を決心しました。

6-2.施設管理医への転職事例②

  • 年代・性別:60代・男性
  • 勤務形態:非常勤/週1日→常勤/週4日(当直なし/OCなし)
  • 診療科目:耳鼻咽喉科
  • 施設形態:老健
  • 年収:1,200万円
  • 業務内容:施設管理者としての業務 等

ご子息にクリニックを承継したタイミングで転職活動を開始しました。当初の希望は週に1日の非常勤勤務でした。外来患者とのコミュニケーションには以前からやりがいを感じており、未経験の老健業界でもコミュニケーションと健康管理という観点で親和性を感じ、応募を決定しました。

具体的な業務内容については面談を通じて詳しく説明。また、現地を訪れて実際の状況を見ることで、郊外での対応数を含む安定した業務運営をイメージすることができました。未経験からの転科となるため、法人からのサポート体制、特に前任者との引継ぎについて十分に調整することができ、納得の上で入社を決定しました。

 

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PROFILE

執筆/成田 亜希子(なりた・あきこ)

医師・ライター。2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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