一般企業のサラリーマンの場合、転職経験が多いと転職活動の際に不利になることがありますが、医師は過去に4、5回転職していても不利になることはほとんどありません。ただし、気軽に転職できるがゆえに安易に入職先を決めてしまい、失敗してしまうこともあります。なぜ医師は転職で失敗してしまうのでしょうか?
目次
転職に「失敗した」と感じた3つのポイント

医師が転職に失敗したと感じるポイントにはどのようなものがあるのでしょうか?
年収が下がった
このパターンの失敗で多いのが、過重労働が原因で転職した場合です。あまりにも忙しすぎる環境にいると、ワーク・ライフ・バランスを維持できる環境で働きたいと思うのは当然のことです。だからこそ、労働時間が比較的少ない転職先に飛びついてしまいます。
しかし、実際に働いてみると、残業時間が減ったぶん前職よりも年収が大幅に下がってしまった、という失敗が起こり得ます。年収が下がることを事前納得したうえで転職するのであれば別ですが、そうでないなら「労働時間を減らしつつ、現在の給与水準を維持できる転職先」を吟味するべきです。
知人の紹介なので不満が生じても辞めにくい
いざ転職をしてみると、病院内の人間関係が悪かったり、実は激務だったりと、転職前に想像していた就業環境と異なっている場合もあります。
こんなとき、「医師は転職しやすい職業なのだからまたすぐに転職をすればいい」と思うかもしれません。しかし、そう簡単にいかないのが知人の紹介で入職したケースです。ほとんどの場合、自分より上の立場の医師からの紹介でしょうから、紹介をしてもらった手前、簡単には辞められないでしょう。就業環境に不満があって前職を辞めたはずなのに、現職でも不満が生じるようならばその転職は失敗だったといえます。
イメージとのギャップが大きかった
現職への「大きな不満」を解消しようとすぐに内定をもらえるところに転職を決めてしまうと、下調べができていないぶんギャップが発生することがあります。とくに「人間関係」は転職前にはなかなかわからないものです。辞めることで「現職での人間関係」から離れることはできても、新しい職場でまた別の人間関係の問題が生じることもあります。
人間関係のみならず、「思ったよりも激務だった」「思ったよりも給与水準が良くなかった」など転職前に思い描いていた職場環境とは程遠い現実が待っている可能性があります。
転職に失敗する3つの理由
それではなぜ、転職に失敗してしまうのでしょうか。失敗が起こりやすくなる要因を挙げていきます。
要因①自己分析が不十分
自分はいったい職場に何を求めているのか、将来的にどうしたいと思っているのか――こうしたことは深く考えていないと案外わからないものです。
「過重労働が不満」「給与が不満」「人間関係が不満」など、現在不満に思っていることを解決することも重要ですが、一番大きな不満を解消することだけにとらわれると、どうしてもミスマッチが生じます。それは、不満ばかりに気をとられ「自分が目指す医師像」を明確にできておらず、別の不満が生じるためです。
年収や労働条件などの勤務条件面のみならず、どのような仕事をしてキャリアを積みたいかという業務内容面、人間関係や設備などの勤務環境面など、さまざまな角度から自分が何を転職で重視するかを考えておきましょう。
要因②転職先の情報収集不足
独力で求人に応募する、知人の紹介を頼るなど、独力で転職をすることによって失敗をするケースもあります。なぜなら、これらの方法では入職するまで病院内部の情報を知ることができないためです。病院のホームページに「ワーク・ライフ・バランスを大切にしています」と書かれていても、実態は過重労働が常態化している……ということもめずらしくありません。
要因③焦って転職をしてしまった
「一刻も早く現職を辞めたい」「今の職場じゃなければいいや」とすぐに転職してしまうと、あまり条件が良くない求人を選んでしまうこともあります。好条件、好待遇の求人が出るかどうかは運とタイミング次第です。待遇面を重視するなら、現職に不満があっても転職活動は焦らず慎重に進めましょう。
転職を成功させるためにするべきこと

転職活動を成功させるために重要なことは、転職先の情報を正しく把握しておくことです。その点で、転職をしたいと思い立ったらまずは転職エージェントを頼ることをおすすめします。転職エージェントは勤務環境や雰囲気など病院内の実情に詳しいため、事前に確認することができます。
条件面の交渉をしてもらえるという点も転職エージェントを活用するメリットです。勤務環境や給与面について直接病院に聞くのは印象が悪くなる可能性がありますが、転職エージェントを通してなら心配ありません。ささいな疑問や条件面の不安があればどんどん聞くようにしましょう。
また、余裕をもって転職スケジュールを決めることも重要です。現職での退職交渉には想像よりも時間がかかります。好条件の求人が出るのを待ちながら1年ぐらいかけて転職をするつもりでいると、余裕をもって進められます。転職エージェントに登録する場合は、面談をして自分の希望を伝えておくと、希望の条件の求人が出た場合に連絡をもらえます。
医師転職失敗に関するよくある質問
この章では、医師の転職失敗に関するよくある質問にお答えします。
医師が今の職場を離れる理由は、転職だけとは限りません。
「医師という仕事を辞める」もしくは、「系列の病院に転勤する」というケースもあります。
医師の平均転職回数についても、あわせて解説します。
医師が辞める理由は何?
医師が辞める主な理由は、以下の4点です。
- 過酷な勤務状況
- 職場の人間関係
- 給与および待遇面での不満
- 患者とのトラブルや医療訴訟リスク
それぞれ解説していきます。
過酷な勤務状況
医師の退職理由として第1にあげられるものは、過酷な勤務状況です。
ここで、厚生労働省の資料「医師の勤務環境把握に関する研究」調査概要のデータを紹介します。
令和4年(2022年)のデータによると、病院・常勤勤務医の17.5%が、時間外・休日労働時間年960時間換算を超える労働状況でした。
これは1カ月に換算すると、月80時間を超える状況です。
一般的に「過労死ライン」と呼ばれる残業時間は月80時間なので、2割近い医師が過労死ラインを超えた労働状況にあると言えるでしょう。
また、時間外・休日労働時間が年1,920時間換算を超えた医師の割合は9.7%でした。
いずれも前回調査時(令和元年・2019年)より減少していますが、過労死ラインを超えるような過酷な勤務の医師は一定数存在しています。
職場の人間関係
職場の人間関係によるストレスも、医師が退職する理由の1つです。
主なものとしては、医師同士の人間関係、看護師や薬剤師など他職種との人間関係が考えられます。
また、上級医師からのパワーハラスメントに耐えられずに退職するケースも存在します。
給与および待遇面での不満
時間外労働や休日労働が多く、長時間勤務であるにもかかわらず、残業代が支払われない、休みが取れないといった状況も少なくありません。
このような待遇面での不満から退職するケースもあります。
患者家族とのトラブルや医療訴訟リスク
医師が患者正しく診断し、適切に治療しても容体が改善しない場合、患者もしくは家族から責められたりトラブルになったりするケースも少なくありません。
また、患者が亡くなった場合、医療訴訟に発展するリスクもあります。
医療訴訟の場合、医療機関が訴えられることが一般的でしたが、近年は医師個人を訴えるケースも増えています。
このようなトラブルやリスクが、医師の精神的ストレスを増大させ、退職に発展すると言えるでしょう。
医師が転勤を命じられる理由は?
医師の転勤事情は、大学の医局に所属しているかどうかで異なります。
医局とは、教授を筆頭する医師の組織で、教授、准教授、講師、助教、医局員で構成されています。
医局に所属している医師の場合、基本的に転勤は避けられません。
転勤を命じられる主な理由は、関連病院の医師不足解消(地域医療の安定)や医師の教育などです。
医師の教育という側面があるため、若手の医師ほど転勤が多い状況にあります。
若手の医師の転勤スパンは1~3年程度が一般的です。
若いうちに多くの病院で経験を積むことが医師の成長や人脈形成につながるという考えが、短いスパンでの転勤理由です。
転勤の辞令は医局により決められることが多く、断れないと考えて差しつかえないでしょう。
転勤を断れる理由としては、健康状態や親の介護、妊娠出産などがあります。
なお、医局に所属せず、病院と直接雇用契約を結んでいる医師の場合は、基本的に転勤がありません。
医師の転職回数は何回が適切?
医師の転職回数は、平均4~5回といわれています。
大学病院では医師の転職が比較的少なく、反対に民間病院や診療所の医師は転職回数が比較的多い状況です。
また転職先の採用担当者は、医師の転職回数を問題視することが少ないといわれます。
一般的にネガティブにとらえられがちな、短期間での転職や平均よりも多い転職回数がある場合は、その理由を明確にかつ、前向きに伝えることが求められるでしょう。
医師の転職回数については、転職回数が多い医師は印象が悪いのか?でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
事前の準備で後悔のない転職を
過酷な勤務状況や人間関係など、さまざまな理由で転職を考える医師も少なくありません。
実際に医師の転職は平均4~5回程度と、他職種よりも比較的多い状況です。
しかし、転職先選びや転職目的の明確化などの事前準備が不十分であると、転職が失敗する可能性が高いでしょう。
失敗や後悔のない転職を進めるための方法として、医師専用転職エージェントの活用が有効です。
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