医師は給与水準が高い職業ですが、いったい退職金はどのくらいの金額なのでしょうか。将来的に開業をする場合や子どもが後継ぎを目指して医学部に進学する場合、老後に備えたい場合など、資金形成のために退職金事情を知っておくことは大切です。今回は医師の退職金事情と、退職金を増やす方法を紹介します。
- 退職金がもらえるケースを知りたい方。
- 退職金を増やす方法が知りたい方。
- 退職金をもらえない場合の資産形成が知りたい方。
目次
医師の退職金規定

現在勤務する施設の退職金が、どのように規定されているか知っていますか?もしかすると、退職金規定があるかどうかさえも知らない医師の方もいるかもしれません。
常勤医であれば、医局を通して2~3年ごとに病院を転々とするケースもあり、とくに若い医師ほど転職回数も多い傾向にあります。そして40歳を超えたころから、1カ所の医療機関に勤務し続ける医師が増え始めます。
定年制度は施設によって異なりますが、一般的には65歳とされています。40代から勤務したとすると在籍期間は、おおよそ15~20年程度。在籍期間が長くても勤務する医療機関の規定や基本給、役職によって退職金の金額が変わることが多いため、早めに確認しておくとよいでしょう。
医師が退職金をもらえるケースと、もらえないケースがある

老後の資金形成に役立つ退職金ですが、医師として働けば必ずもらえるかといえば、そうとも限りません。もらえるケースともらえないケースについて見てみましょう。
2-1.退職金をもらえるケース
退職金制度のある施設で勤務し、制度の条件を満たす場合は退職金が支給されます。一般的に、勤続年数が長くなるほど、支給額が増える傾向にあります。ただし、退職金制度には法的な規制がないため、勤務施設によって制度の有無や算出方法、金額が異なります。
2-2.退職金をもらえないケース
勤務する施設に退職金制度がなければ退職金はもらえません。また、複数の非常勤(アルバイト)で勤務するフリーランス医も基本的に退職金はなく、開業医は医院そのものが自身の資産にあたりますので基本的に退職金がありません。
フリーランスや開業医が医師としての勤務から離れる際に退職金代わりとなる収入を得たいなら、「小規模企業共済」に加入するなど、事前に備える必要があるでしょう。
退職金をもらえるのは常勤医のメリット

退職金を得られるのは、退職金制度のある施設で働く常勤医のメリットといえます。常勤医は1日あたりの勤務時間が長く、給与水準はフリーランス医と比較すると低いと感じることがあるかもしれませんが、在籍期間に応じて退職金を受給できる常勤医は長期的に見れば恵まれた環境だとも言えます。
キャリア形成を考える中で常勤か非常勤か迷ったら、「常勤医は退職金を得られる」という点を判断基準のひとつとしても良いかもしれません。
なお、退職金制度の内容は施設によってさまざまです。退職金を受給できる転職先を探すなら、退職金規定があるかどうかの確認はまず欠かせません。また、自分が入職して定年まで働いた場合、退職金がどのくらいの金額になるのか、過去の支給実績をふまえて具体的な金額を算出してもらうのも一案です。医療機関の人事担当者に直接お願いしにくい場合は、転職エージェントなどを通じて確認するとスムーズに情報を得られます。
医師が退職金を増やすには?

一般的には勤続年数の長い常勤医ほど退職金の金額が上がるといわれています。勤務先の規定にもとづき退職金額の目安を確認したのち、もっと退職金を増やしたい場合はどうすればよいのでしょうか。勤務医として働きながら、退職金を増やす方法について考えてみましょう。
4-1.勤務先と交渉する
退職金を増やしたい時は、勤務先と交渉するのも一案です。交渉前に、契約書を確認したり、総務課などに退職金制度の詳細について確認したりと、入念に準備しておくとよいでしょう。
4-2.転職する
勤務先で退職金を増額するための交渉が上手くいかない場合は、退職金制度の充実した施設に転職する方法もあります。医師専門の転職エージェントなら、希望する条件を伝えながら、転職先探しをサポートしてくれます。また、給与や退職金の交渉も任せられるので、交渉が苦手な人も安心です。
もし20代、30代から1ヵ所の医療機関で働き続ける意志がある場合は、公務員として働ける施設がおすすめです。公務員として勤務する医師は、各種退職金制度の規定により、基本的に、退職手当が受け取れます。退職金の支給額については、国家公務員か、地方公務員かで異なり、さらに職場や業種によって差があります。詳しくは、入職時に確認してみましょう。
4-3.地方公務員として勤務し「定年前早期退職特例措置」を利用する
公務員医師の場合、「定年前早期退職特例措置」の制度を利用する方法もあります。あくまで一例ですが、岩手県市町村総合事務組合の規定では、「職員の定年年齢から15年を引いた年齢以上であることに加えて勤続20年以上」であり、「勧奨及び応募認定等により退職」する場合に利用することができるとされています。
早期退職者に対して、定年年齢と退職時点の年齢の差分に応じてインセンティブが付与される仕組みです。
自治体によって差が生じる可能性もありますが、条件を満たす人は退職時期を早めることで増額させる方法を検討してみてはいかがでしょうか。
退職金をもらえない医師は資金形成をどうすればいい?

退職金制度がない施設に勤務していたり、フリーランスや開業医として働いたりしている場合の資金形成はどうすればよいのでしょうか。
5-1.長期の積み立てをする
開業医やフリーランスとして働き、退職金を受給できない場合は、働いている間にしっかりと貯蓄したり、毎月の掛け金を積み立てられる「小規模企業共済」に加入したりして、時間をかけて準備を進める必要があります。また、開業医として医療法人化した場合には、保障・損金処理・退職金積立を兼ねた保険への加入を検討するのもよいでしょう。共済金や保険料は経費として計上できるため、節税にも役立ちます。
5-2.資産運用で備える
現在の収入を生かして、資産運用するのもひとつの方法です。具体的には金融商品への投資などが挙げられます。例えば、不動産投資では所有する不動産に入居者がいるかぎり、継続して安定した家賃収入を得ることが可能です。その他の投資についても、経験者などから情報収集して備えるとよいでしょう。
医師の退職金について理解を深め、備えよう

超高齢社会を迎える現在、年金制度が今後どのように変化していくのか見通しが立たない状況にあります。早い段階から老後資金について考え、自分に合った方法で資産形成していくことが大切です。まずは、現在勤務する施設の退職金制度について確認し、退職金制度がなかったり、支給額が少なかったりする場合は、退職金制度の充実した医療機関への転職を検討するのも一案です。退職金制度の充実した医療機関について情報収集をしたい時は、医師専門の転職エージェントに相談してみましょう。