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医師の平均年収(給料)はいくら? 男女別・年代別・診療科別のデータを紹介

医学部での厳しい勉強や過酷な研修医生活を送る中で、「将来、医師として独り立ちしたときにはどれくらいの収入が得られるのだろう」と疑問に思うことは自然なことです。また、初期研修を終えて専門とする診療科を選んだり、将来のキャリアプランを立てたりするにあたって、収入の目安を知っておくことは非常に重要です。

本記事では、公的統計や各種調査データをもとに、医師(勤務医)の平均年収を男女別、年代別、開設者(病院の経営母体)別、診療科別、そして都道府県別に詳しく紹介します。医師や医学生の方は、将来のライフプランやキャリア選択の参考として、ぜひ最後までお読みください。

目次

医師(勤務医)の平均年収はいくら?

日本国内で働く勤務医全体の平均年収を、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」のデータから見ていきましょう。

同調査によると、医師(勤務医)の平均年収は1512万2500円(平均年齢45.7歳、平均勤続年数7.8年)です。この金額は、「決まって支給される現金給与額」(各種手当・残業代を含む)の12カ月分に、「年間賞与その他特別給与額」を合算して算出しています。

一般的な給与所得者の平均年収が400〜500万円前後とされる日本において、1500万円超という数字は極めて高い水準です。これは人命を預かる重い責任、高度な専門性の習得、そして夜間当直など負担の大きな勤務実態の対価といえます。

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男女別の平均年収

同じく「令和7年賃金構造基本統計調査」のデータを基に算出すると、男性医師の平均年収は1594万1600円 (平均年齢47.2歳、勤続年数8.3年)、女性医師の平均年収は1274万5300円(平均年齢41.5歳、勤続年数6.6年)です。

男女の平均年収に約320万円の開きがある理由としては、主に「平均年齢の違い」と「働き方の違い」が挙げられるでしょう。

まず、女性医師の平均年齢は41.5歳と、男性医師の47.2歳に比べて若く、キャリアの初期段階にある医師の割合が大きいことが見て取れます。女性医師は結婚、妊娠、出産、育児といったライフイベントを迎えるタイミングで、当直のない日勤帯のみの勤務や時短勤務に移行したり、常勤から定期非常勤(アルバイト)へと働き方を変えたりするケースが少なくありません。

医師の給与において、時間外労働手当や当直手当、休日出勤手当が占める割合は大きいため、長時間労働をセーブする働き方を選ぶことで、結果として統計上の平均年収に差が生まれていると考えられます。

ただし、近年は院内保育所や復職支援制度の整備が進み、ライフステージに応じた柔軟なキャリア形成が可能になりつつあります。

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年代別の平均年収

同じく「令和7年賃金構造基本統計調査」のデータを基に算出した、医師の年代別の平均年収は以下の通りです。

年代平均年収キャリアステージの目安
20代前半592万2700円初期研修医1年目
20代後半757万1600円初期研修医2年目〜専門医取得前
30代前半1086万2700円専門医取得前後/役職なし常勤医
30代後半1469万7400円中堅医師/医長などの役職が付き始める時期
40代前半1746万2100円 
40代後半1703万4000円指導医クラス
50代前半1779万9200円科長クラス
50代後半1889万1600円部長・副院長クラス
60代前半1981万4600円 
60代後半1818万9100円定年後の嘱託勤務など
70代以上1589万5600円 

主に初期研修医1年目の20代前半は平均年収が500万円台ですが、専門研修(後期研修)に進み外来や当直バイトなどをこなすようになると、年収の水準も大きく上がります。

スキルアップや専門医資格の取得に取り組む30代、医長や部長などの役職に就くことが増える40〜50代と、年代が上がるごとに平均年収も高くなり、50代後半から60代前半にかけてピークを迎えます。

60代後半以降は、定年退職や体力的負担を考慮した当直のない嘱託勤務、療養型病院への移行などに伴い、平均年収は緩やかに下がっていきます。

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開設者別の平均年収

勤務医の給与体系は、勤務先医療機関の「経営母体(開設者)」によっても大きく異なります。厚生労働省が公開している「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」を基に、それぞれの平均年収を紹介します。

経営母体
(開設者)
平均年収一般的な給与体系の傾向
公立1550万7048円基本給の伸びは緩やかですが、地域手当や当直手当などの各種手当が手厚く、経営基盤の安定性が特徴です。
国立1290万224円公立病院と同様に安定していますが、若手のうちは給与がやや抑えめで、年功序列の傾向が見受けられることもあります。
医療法人1576万7114円給与体系の柔軟性が高いのが特徴です。医師不足の地域や、個人の診療実績・手術件数などに応じて、相場より高い年収やインセンティブが提示されることが多々あります。

また、一般診療所(クリニック)に関しては、経営している「院長(開業医)」と、そこで働く「勤務医」で収入が大きく分かれます。

クリニックの院長(経営者)になると、病院の勤務医に比べて責任や経営リスク(物価高や人件費の高騰など)を背負う分、平均年収は2800万円台と一気に跳ね上がります。

一方で、クリニックに雇われている勤務医の平均年収は1100万円前後で、一般病院の勤務医よりは低めの水準にとどまっています。

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診療科別の年収ランキング

どの診療科を選ぶかは、将来の働き方やライフプランに直結します。労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を基に、主な診療科別の平均年収をまとめました。

なお、この調査は2011年に実施されたもので、近年の年収相場とは異なる可能性があります。診療科ごとの相対的な傾向を知る上での参考としてください。

順位診療科平均年収業務の特徴と傾向
1位脳神経外科1480.3万円高度な手術技術が必要。脳卒中などの急患対応や24時間オンコールが多くハード。
2位産科・婦人科1466.3万円出産対応で夜間・休日の緊急呼び出しが多い。医療訴訟リスクが高い。
3位外科1374.2万円長時間の手術が多く、術後管理や救急対応など肉体的・精神的負担が大きい。
4位麻酔科1335.2万円手術室の安全管理を担う。大病院からの需要が高く、非常勤の時間単価も高め。
5位整形外科1289.9万円高齢化でニーズが絶えない。当直や救急の多い急性期病院では特に高水準。
6位呼吸器・消化器・循環器科1267.2万円カテーテルや内視鏡を扱う急性期対応の多い科は、手技手当などで年収が高い傾向にある。
7位内科1247.4万円最も医師数が多いベースの科。慢性期や在宅など勤務先により幅がある。
8位精神科1230.2万円緊急手術や突発的な呼び出しが少なくワークライフバランスを保ちやすい。指定医資格が影響。
9位小児科1220.5万円夜間救急など時間外の負担は大きいが、診療報酬上の制約もあり業務量の割に年収水準は控えめ。
10位救急科1215.3万円シフト制が多くオン・オフが明確な反面、勤務中の業務密度は高い。
11位放射線科1103.3万円画像診断や治療が専門。遠隔読影の普及や当直の少なさでワークライフバランスを保ちやすい。
12位眼科・耳鼻・泌尿器・皮膚科1078.7万円超緊急事態が比較的少なく当直負担も軽いため、ワークライフバランス重視派に人気。

金額が高い診療科ほど、夜間呼び出しや緊急手術などで身体的・精神的負担が重い(ハードワークである)傾向にあるのが特徴です。上位の科は、時間外手当や緊急呼び出し手当が積み重なることで年収が高くなっていると考えられます。

一方で、下位の眼科や皮膚科などは比較的当直が少なく、ワークライフバランスが保ちやすいというメリットがあります。また、これらの科は将来的に美容医療などの自由診療クリニックへ転職したり、自身で開業したりした際に、高収入を得られるポテンシャルも秘めています。

給与水準の高さを重視するか、私生活を大切にするか、将来の開業を見据えるか。自分の価値観に合わせて診療科を選択することが大切です。

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都道府県別の年収ランキング

医師の給与は、大都市圏(東京・大阪など)よりも、地方や医師不足に悩む地域のほうが高くなりやすいという特徴があります。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」のデータから、医師の平均年収が高い上位の都道府県のトップ10を抽出すると、以下のようなランキングになります。

順位都道府県名平均年収
1位岩手県2107万1500円
2位埼玉県1896万7400円
3位鹿児島県1885万7700円
4位徳島県1832万3500円
5位山形県1766万8900円
6位神奈川県1745万3800円
7位青森県1717万4600円
8位広島県1711万2500円
9位大分県1700万1300円
10位新潟県1694万3700円

地方の年収が高くなる理由は、主に需要と供給のバランス(市場原理)にあるといえます。東京や大阪などの大都市圏は、大学病院や有名病院が集中しており、医師が集まりやすいため、勤務医の年収は1000〜1200万円程度に抑えられがちです。

一方、医師不足が深刻な地方の病院では、地域医療を維持するために「地域手当」や「医師確保手当」などを支給し、好条件で医師を招くことがあり、中には30代でも「年収1800〜2000万円+宿舎無償貸与」といった条件で迎えられるケースもあります。

「短期間で集中的に貯蓄を造りたい」「豊富な症例を任されて一気に経験を積みたい」と考えるのであれば、地方の基幹病院を選択肢に加えることはリターンの大きい戦略といえます。

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医師が年収アップを目指すには?

医師は元々の給与水準が高い職種ですが、キャリアの積み方や働き方次第で、さらに年収を上げていくことが可能です。主な四つの方法について解説します。

医長・部長・科長などの役職に昇進する

最もオーソドックスな方法は、現在の勤務先で実績を積み、管理職へ昇進することです。

一般的には「医員」から「医長」「部長」「院長」と役職が上がるにつれて基本給がベースアップするとともに、高額な「役職手当」が支給されるようになります。

大病院の部長クラスになれば年収1800〜2000万円、院長クラスになれば2500万円を超えるケースも珍しくありません。ただし、役職が上がるほど、部下の指導や業績管理などマネジメント業務の比重が大きくなります。

専門医や指導医の資格を取得する

専門医資格の取得は、医師としての市場価値を高める最大の武器です。多くの病院で月数万円程度の「専門医手当」が支給されます

また、専門医や上位の「指導医」を保持している医師は、病院側が診療報酬を高く請求するための「施設基準」を満たすことができるため、転職や給与交渉の際に有利になります。できるだけ若手のうちに専門医資格を取得することが、生涯年収を増やすための投資となるでしょう。

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給料水準の高い職場へ転職する

医師の給与は、勤務先の経営母体や地域によって大きく相場が異なります。現在の職場で業務量の割に給与が低いと感じる場合は、医師専門の転職エージェントなどを活用し、給与水準の高い民間病院や地方の基幹病院へ転職することで、年収アップを実現できるケースがあります。

給与以外の面を重視して転職する場合についても、「当直なし・残業なし」の療養型病院や健診クリニックへ移り、私生活を充実させつつ効率よく収入を得るなど、希望の働き方に合わせた選択が可能です。

ちなみに、米国の医師の年収は近年上昇傾向が続いており、 2024年における年収の中央値は23万9200ドル(1ドル160円換算で3827万2000円)以上とされています。

参考:Physicians and Surgeons : Occupational Outlook Handbook – U.S. Bureau of Labor Statistics

米国をはじめとした世界に目を向けてみるのも、高収入を得る一つの方法といえるかもしれません。

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副業やアルバイトで収入を得る

年収アップのために多くの勤務医(特に大学病院の若手など)が実践している方法の一つが「副業・アルバイト(外勤)」です。

医師のアルバイトは時間単価が高いのが特徴といえます。例えば、一般外来や病棟管理などの定期非常勤(週1回などの固定)の場合は日給4〜8万円程度、健診・人間ドックの問診、夜間当直などの単発・スポットアルバイトであれば夜間当直1回で4〜10万円程度が相場です。

副業が禁止されていない病院であれば、週に1〜2回のアルバイトを組み合わせるだけで、本給に加えて年間数百万円の副収入を無理なく得られるケースもあります。

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医師の年収に関するQ&A

医学生や新人医師の皆さまから特によく寄せられる三つの疑問について、データを基に回答します。

Q1. 開業医の平均年収はいくら?

A. 年間約2500~3000万円前後の損益差額(実質的な院長収入)が期待できます。

厚生労働省が公開している「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」によると、一般診療所(個人)の平均損益差額(収益から人件費や経費などの費用を差し引いた金額)は約2656万円です。

これを院長の収入のベースと考えると、勤務医の平均年収(約1512万円)の2倍近い高収入が期待できるといえます。

ただし、開業医は経営者でもあるため、億単位にのぼる開業資金の返済、スタッフの労務管理、集患競争といった重い経営リスクやプレッシャーを背負う覚悟が必要です。

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Q2. 医師の年収の中央値はいくら?

A. 賞与や残業代、各種手当を除いた金額で約1207万円が目安です。

年収の相場を知る上では、一部の超高収入層に引き上げられる「平均値」に対し、より実態に近い「中央値」を知ることも重要です。「平均値」は国別や業種別といった比較をするのには適していますが、年収分布がいびつに偏っている場合には、中央値のほうが一般的な水準を表す指標として適していることがあります。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」における医師の「所定内給与額」の中位数の12カ月分を算出すると、約1207万円になります。

ただし、この金額には賞与の他、毎月の残業代や当直・休日手当などが含まれていません。実際の勤務医はこれらの手当が月数十万円に上ることが一般的であり、これに賞与が加わることを鑑みると、実質的な年収の中央値は数百万円程度高くなると考えられます。

Q3. 医師の生涯年収はいくら?

A. 勤務医を65歳まで全うした場合の生涯年収は、約6億円に達します。

前述した「令和7年賃金構造基本統計調査」の年代別の平均年収データを基に、24歳で研修医となり、65歳の定年まで41年間勤務医として働き続けた場合の総収入をシミュレーションした結果は以下の通りです。

  • 20代(研修医・専攻医):4400万円
  • 30代(専門医取得・中堅):1億2800万円
  • 40代(ベテラン・医長):1億7200万円
  • 50代(管理職・部長):1億8300万円
  • 60代(定年前後・嘱託):約9900万円

合計目安:6億2600万円

一般的な大卒会社員の生涯給与(2億〜3億円前後)の約2倍に匹敵します。さらに、ここに週1回程度のアルバイト副収入が加わったり、途中で開業して成功したりした場合は、生涯年収が10億円を超えることもあり得ます。

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まとめ:確かなスキルを磨き、納得のいくキャリアと収入を手に入れよう

本記事では、官公庁などのデータを基に、医師の年収の実態をひもといてきました。平均年収が1500万円以上、生涯年収5億円という数字は魅力的ですが、これらはすべて「絶え間ない学び」と「命と向き合う責任」の上に成り立つものです。

医学生や新人医師の皆さまにお伝えしたいのは、キャリアの初期段階において、目先の給与の高さだけで勤務先や診療科を選ぶのは得策ではない、ということです。20代~30代のうちは、まずは何よりも確かな臨床スキルを身に付け、専門医などの資格を確実に取得することに集中してください。

ここで築いた専門性の土台こそが、将来の昇進、好条件での転職、あるいは開業といった、あらゆる年収アップの選択肢を自由に手繰り寄せる原動力となります。

皆さまが一人前の医師として成長し、理想の医療を実践しながら、それにふさわしい報酬と豊かな人生を手に入れられることを心より応援しております。

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記事の執筆者

秋谷 進(あきたに・すすむ)
たちばな台クリニック小児科・児童精神科

秋谷 進(あきたに・すすむ)
たちばな台クリニック小児科・児童精神科

小児科医・児童精神科医・救急救命士
1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て2025年3月から現職。著書に『児童精神科医二十五年目のエッセイ』ほか。

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