勤務医の年収を解説!年齢別の推移や診療科別の事情、年収を上げる方法を紹介|医師の現場と働き方

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勤務医の年収を解説!年齢別の推移や診療科別の事情、年収を上げる方法を紹介

勤務医の年収は、年齢や診療科、勤務形態、勤務地域などによって差がみられます。年収アップを目指して転職を考えている人は、条件によってどれくらいの差があるのかを知っておくとよいでしょう。今回は勤務医の年収事情と開業医との違い、勤務医が年収を上げる方法について解説します。

<この記事のまとめ>
・病院勤務医の平均年収は1,490万8,543円(「第22回医療経済実態調査報告」より)。
・勤務医の年収水準は、診療科や医療機関の経営母体などによって変わる。同一の医療機関内の場合、勤務形態や勤務時間の長さによって差が生じることが多い。
・勤務医が年収を上げるなら、勤務時間を増やす、専門的な資格・スキルを取得する、役職に就く、医師不足の地域で転職先を探すなどの方法がある。

1.勤務医の平均年収と開業医との違い

2019年に厚生労働省が発表した「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」によると、病院勤務医の平均年収(国公立・医療法人等、すべての経営母体を含めた全体の数値)は、1,490万8,543円(平均給料年額1,322万9,342円+賞与167万9,201円)でした。

一方、一般診療所の開業医の平均年収(個人・医療法人等を含めた全体の数値)は2,763万4,111円(平均給料年額2,747万3,134円+賞与16万977円)であり、大きな差があることが分かります。

ただし、上記の調査は、新型コロナウイルス感染症流行前のものであり、現在とは状況が異なるため、あくまで目安として比較しています。また、開業医の年収は、医療・介護の収益計から人件費等の経費を引いた差額であり、実際の開業医個人の収入とは差がある可能性が考えられます。

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2.年代・男女別勤務医の年収事情

続けて、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」の結果を参考に、年代別、男女別の勤務医の平均年収を見てみましょう。

■年代別・男女別の勤務医の平均年収

年代区分 平均年収
男性医師 女性医師
20~24歳 474万4,800円 435万7,500円
25~29歳 751万7,300円 638万9,500円
30~34歳 952万3,600円 1,008万4,400円
35~39歳 1,197万2,500円 1,011万1,900円
40~44歳 1,340万4,300円 1,184万8,200円
45~49歳 1,572万1,400円 1,309万6,300円
50~54歳 1,704万2,700円 1,640万6,400円
55~59歳 1,744万7,200円 1,463万9,300円
60~64歳 1,826万3,400円 1,205万1,400円
65~69歳 1,609万4,200円 1,399万9,200円
70歳~ 1,506万8,400円 990万3,500円

※「きまって支給する現金給与額」(基本給に加えて各種手当や超過労働給与額を含む)×12ヵ月+「年間賞与その他特別給与額」にて算出
参照:職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額|厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種

上記より、男性医師の平均年収のピークは「60歳~64歳」であるのに対し、女性医師の平均年収のピークは「50歳~54歳」と早い段階で迎えることがわかります。

また、男性勤務医全体の平均年収は1,226.94万円(平均年齢41.6歳、勤続年数5.5年)、女性勤務医全体では1,016.35万円(平均年齢38.2歳、勤続年数4.4年)で、男性医師の方がやや高い結果でした。

基本的には、医師の給与水準に男女差はなく、年収額の変化は勤務形態の変化による影響が大きいと考えられます。30代前半では女性医師の平均年収の方が高いものの、その後は男性医師の方が伸びています。これは妊娠、出産、子育て等のライフステージを迎えた女性医師が時短勤務となったり、当直を控えたりしたことが要因であるとも考えられるでしょう。

なお、男女合わせた勤務医の平均年収は、1,169.23万円(平均年齢40.7歳、勤続年数5.2年)でした。

3.診療科別・勤務医の年収事情

続いて、診療科ごとに勤務医の平均年収を見てみましょう。2012年に独立法人労働政策研究・研修機構が行った「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、平均年収がもっとも高いのは、「脳神経外科」で1,480.3万円であり、次いで「産科・婦人科」で1,466.3万円という結果でした。

■診療科目別・勤務医の平均年収

診療科 平均年収
内科 1,247.4万円
外科 1,374.2万円
整形外科 1,289.9万円
脳神経外科 1,480.3万円
小児科 1,220.5万円
産科・婦人科 1,466.3万円
呼吸器科・消化器科・循環器科 1,267.2万円
精神科 1,230.2万円
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 1,078.7万円
救急科 1,215.3万円
麻酔科 1,335.2万円
放射線科 1,103.3万円
その他 1,171.5万円

参照:勤務医の就労実態と意識に関する調査|独立行政法人労働政策研究・研修機構

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4.年収が高い勤務医の職場の特徴

診療科による違いだけでなく、職場環境によって給与額が異なります。年収が高い勤務医の職場の特徴について紹介しましょう。

4-1.地方にある医療施設

全国的に医師不足が続くなか、特に深刻なのが地方の状況です。高齢者の割合が大きいエリアほど、医師不足は深刻です。医療機関が少ない一方で受診する高齢者は多いため、医師の負担が増大しています。

近隣に医大がなく若手医師を確保しにくい、利便性の低い立地で人材が集まりにくいといった背景もあり、このような医療機関では医師を確保するため、高水準の年収を設定する傾向があります。そのため年収を上げたい勤務医は、都市部のみならず郊外や地方の求人に目を向けてみることをおすすめします。

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4-2.医療法人を経営母体とする職場

勤務医の年収は、経営母体の種類によっても異なります。一般的に、公立や国立病院よりも、民間の医療法人の方が給与は高い傾向にあります。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)によると、経営形態別では、国立、公立、公的、社会保険関係団体、学校法人、個人などに比べて、医療法人の勤務医の平均年収が最も高く1,414.0万円という結果でした。また、年収2,000万円以上となる医師の割合も、国立の勤務医は全体の1.5%であるのに対し、医療法人は全体の16.6%という結果でした。

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5.勤務医が年収を上げるには?

勤務地や診療科、経営母体など、収入に差が出る理由はさまざまです。勤務医が年収を効率よく上げるためには、どうすればよいでしょうか。

5-1.勤務時間を増やす

多くの勤務医は年俸制となっており、同一施設であれば、勤務形態や勤務時間によって収入に差が出ます。つまり、常勤で当直をこなし、勤務時間が長くなるほど、年収が上がると言えます。勤務医が現在の勤務先で年収アップを目指すなら、勤務時間を増やしたり当直やオンコールに対応したりすることが着実な方法です。

5-2.役職に就く

科長や部長などの役職に就くと、手当による年収アップが期待できます。施設によって役職手当の内容や割合には差があるため、勤務先の条件を確認しておくとよいでしょう。

5-3.資格や技術を修得する

資格や技術の取得を目指すのもひとつの手です。例えば、特殊な手術や内視鏡ができるといった強みがあれば、年収アップの交渉材料とできるでしょう。また、転職をする際にも、年収を上げる交渉材料として有利に働きます。今後は、単純に勤続年数の長さだけで年収が増えるとはかぎりません。専門的な資格や技術の取得が年収を上げるために大事な要素になると考えられます。なお、医師としてのネームバリューがあり、患者さんを集められる存在になれば年収額が考慮される可能性もあります。

5-4.スポット(単発)アルバイトや定期非常勤で働く

空き時間を有効活用して、スポット(単発)のアルバイトや定期非常勤で働くことも年収アップにつながります。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)によると、複数の勤務先で働く理由を問う質問に対し、「収入を増やしたいから」とする回答が最多でした。多くの医師が収入アップを目的に、非常勤を行っていることがうかがえます。

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6.勤務医でも効率よく収入アップを目指そう

勤務医の年収は、所属する診療科や経営母体などによって大きく異なります。また同一の医療機関内で比較する場合、勤務形態や勤務時間の長さが年収水準に影響していることもわかりました。年収アップを目指すなら、専門的な資格・スキルを体得する、役職に就くなどさまざまな方法がありますが、働き方やプライベートを加味しながら自分に合った方法を考えてみてはいかがでしょうか。効率よく収入アップを目指して転職を考えるなら、医師専門のエージェントに相談してみるのもおすすめです。

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PROFILE

監修/小池 雅美(こいけ・まさみ)

医師。こいけ診療所院長。1994年、東海大学医学部卒業。日本医学放射線学会・放射線診断専門医・検診マンモグラフィ読影認定医・漢方専門医。放射線の読影を元にした望診術および漢方を中心に、栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。女性特有の疾患や小児・児童に対する具体的な実践方法をアドバイスし、多くの医療関係者や患者さんから人気を集めている。

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