医師の働き方にもいろいろな選択肢があります。その中でも、近年増えつつあるのが、非常勤医師という選択です。非常勤医師とはどのような働き方をする医師なのでしょうか。
本記事では、非常勤医師の基本情報や働き方の特徴、メリット・デメリットを解説します。非常勤医師は時間の融通が利くだけではなく、スキルアップや人脈形成にもつながる雇用形態です。自分に合った理想の働き方を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
こんな方におすすめの記事です!
- 非常勤医師で働くことを検討している方
- 常勤医師での働き方に悩みを抱えている方
- 非常勤医師のメリット・デメリットを知りたい方
目次
非常勤医師とは?

非常勤医師とは簡単にいうと、アルバイトで働く医師のことです。
正職員として働く常勤医師と異なり、非常勤医師は定期非常勤やスポットとして、医療機関で働きます。医療に携わりながら自分の時間も大切にできる働き方として、近年注目を集める雇用形態です。
非常勤医師は需要が高く、多くの医療機関・診療科目で求人が出ています。ひとつの医療機関で非常勤として勤務するケースもあれば、複数の医療機関を掛け持ちするケースもあります。
非常勤医師と常勤医師の違い
非常勤医師と常勤医師の大きな違いは、労働条件です。
常勤医師の場合「1日8時間程度の勤務を週に4日」など、医療機関ごとに定められた正職員の勤務日数・時間を満たして働く必要があります。非常勤医師の労働条件も医療機関ごとに異なりますが、正職員の基準を満たす必要はありません。そのため「週に2日だけ」「午前中のみ」といった柔軟な働き方が可能です。
また一般的に常勤医師は福利厚生の対象となるので、健康保険や雇用保険、年金などは、勤め先となる医療機関を通して加入します。一方で非常勤医師は福利厚生の対象外となるケースがほとんどのため、保険や年金の管理は自らが行い、確定申告も行わなければなりません。有給休暇や退職金といった制度も基本的に対象外です。
●医療法で定められている「週32時間」とは?
「常勤医師の32時間ルール」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
これは「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」で定められた基準で、都道府県の立入調査時に常勤医師として認めるかどうかを判断する目安です。この要綱では、”病院で定めた医師の1週間の勤務時間が、32時間未満の場合は、32時間以上勤務している医師を常勤医師とし、その他は非常勤医師として常勤換算する。”と定められています。
これはあくまで立入検査時に、常勤医師として認める医師の人数をカウントする基準です。そのため医療機関によっては、週32時間未満の労働でも常勤医師と見なすケースはあります。
ただし、この基準を常勤の条件として採用している医療機関は多いので、週32時間未満の勤務の場合は非常勤医師に該当すると認識している方も少なくありません。
出典:医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱の一部改正について|厚生労働省
非常勤医師の主な働き方

非常勤医師の働き方は、主に「定期非常勤」と「スポット」に分類されます。それぞれどのような働き方なのかを詳しく見ていきましょう。
定期非常勤
定期非常勤とは、あらかじめ決められた勤務日程に沿って働く非常勤医師のことです。
いわゆるシフト固定のような勤務で、毎週決まった曜日に決まった時間勤務します。非常勤医師でありながら、収入が安定しやすく、同じ医療機関で長期的に働く医師も多いです。
仕事を育児や介護などと両立したり、趣味の時間などを充実させたりしつつ、医師として働き続けたい方に選ばれている働き方です。
スポット
スポットとは、単発で特定の日に勤務する非常勤医師のことです。医療機関で特定の日時だけ人手不足が生じた際に、求人が出されます。スポットの場合、医師が主に担当するのは健康診断や予防接種、当直などです。
スポットは定期非常勤よりも時給が高い傾向にありますが、求人の数が必ずしも安定しているわけではないことは留意しましょう。
非常勤医師の主な業務内容

非常勤医師は、常勤医師に比べて対応する業務の範囲が狭い傾向にあります。ここでは代表的な業務をふたつ紹介します。
外来対応
非常勤医師が担当する代表的な業務のひとつが、外来対応です。
多くの診療科目で、外来対応の求人が多く出ています。外来で来院する患者さんに対して診療を行い、必要に応じて薬を処方するのが仕事です。
救急対応
救急対応も非常勤医師が任されることがある業務です。
多くの非常勤医師の求人は勤務条件が緩やかな傾向にありますが、中には救急対応が求められることもあります。求人に応募する際は、勤務内容の詳細を確認した上で応募しましょう。
非常勤医師の一般的な勤務日数

ひとくくりに非常勤医師といっても、人によって働き方はさまざまです。
厚生労働省が示す「医師需給に係る医師の勤務状況調査 中間報告2」によると、非常勤医師の1週間当たりの勤務時間の平均は27時間でした。例えば、勤務日に1日8時間働く場合、1週間に3.5日程度働く計算になります。
ただし、求人には「週1日」「週2日」「土日祝のみ」といった勤務から「週5日」といったものまで幅広くあります。求人を厳選すれば、自分に合った勤務日数で働くことが可能です。
参考:「医師需給に係る医師の勤務状況調査」中間報告2|厚生労働省
非常勤医師の一般的な勤務時間
一般的に非常勤医師の勤務時間には、以下のような選択肢があります。
●日勤
●午前のみ
●午後のみ
●当直
また日勤の中でも、時間の幅は医療機関によって異なり、9〜18時の勤務条件のものもあれば、9〜15時といったものもあります。日勤で求人を探す場合は、どのような勤務時間が設定されているかを確認すると良いでしょう。
非常勤医師として働くのに必要なスキル
非常勤医師として働く上で求められるのは、即戦力として活躍できるスキルです。
どのような求人かにもよりますが、基本的には外来対応でも救急対応でも、即戦力として業務を行う必要があります。そのため、臨床経験が十分にない医師や該当の診療科目が未経験の医師は、採用されないケースが多いです。
ただし、中には未経験でも応募できる非常勤医師の求人はあります。代表的なのは、美容クリニックや在宅診療などの非常勤求人です。これから経験を積みたいという場合は、これらの医療機関の求人をチェックしてみると良いでしょう。
また複数の医療機関を掛け持ちして非常勤医師として働くことを考えているのなら、病院ごとに異なる方針やルールに適応して働く必要があるので、柔軟な対応力も欠かせません。
非常勤医師という働き方のメリット

非常勤医師として働くと、どのようなメリットがあるのでしょうか。5つのメリットをご紹介します。
仕事と家庭を両立しやすい
非常勤医師として働く大きなメリットは、仕事と家庭を両立しやすいことです。
正社員として働きながら子育てをしている方の中には、仕事と家庭の両立が難しくて、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。非常勤医師は、常勤医師と比べて勤務条件が柔軟なので、子育てと両立しながら、医師として活躍しやすい傾向にあります。
ライフステージの変化をきっかけに、非常勤勤務を選択する医師も少なくありません。例えば「午前のみ」といった勤務を選ぶことで、お子さんの送り迎えにも対応できます。
子育て中で仕事に充てる時間を短くしたいものの、キャリアは断絶したくないと考えている方におすすめです。
またご自身の趣味や仕事以外の活動と両立して働くこともできます。仕事だけではなくプライベートも重視させ、ワークライフバランスが取れた働き方をしたい方にとっては、適した選択肢といえるでしょう。
収入面の待遇が良い
収入面の待遇が良いことも、非常勤医師として働く大きなメリットのひとつです。
待遇は医療機関によって異なりますが、常勤医師よりも非常勤医師の方が、時給で考えたときの給与は高い傾向にあります。そのため常勤として働く医師の中にも、収入を補填するために、非常勤医師として働く医師も多くいます。
非常勤医師として働くことを選択すれば、時間を有効活用しながら、効率良く稼ぐことができるでしょう。
人脈を形成できる
医師や医療関係者との人脈を形成できることも、非常勤医師として働く魅力のひとつです。
定期非常勤としてひとつの医療機関で長期的に働く医師も多いですが、複数の医療機関を掛け持ちすることもできます。さまざまな現場で働けば、その分多くの医師や医療関係者と知り合うことができるので、将来に役立つ人脈を大きく広げられる可能性があるでしょう。
また複数の医療機関にスポットで入ることで、常勤先として望ましい職場環境や人間関係を見極めることもできます。
スキルアップを目指せる
非常勤医師として働けば、スキルアップを目指すこともできます。
診療科目によっては、複数の医療機関でさまざまな臨床経験を積めるため、常勤医師として働くだけよりも、豊富なスキルを身に付けることが可能です。特に内科系や泌尿器科はそのような求人が多い傾向にあります。なお前述した通り、外科の場合、非常勤では執刀できないことがほとんどなので注意が必要です。
また経験を重ねて管理職になると、常勤の職場では臨床に携わる機会が減ることもあります。そのような場合に現場で働き続ける選択肢として、非常勤を選ぶ医師も少なくありません。
オンコール勤務がない
オンコール勤務がないことも、非常勤医師になるメリットです。
非常勤医師の求人の多くはオンコールがなく、夜間や休日に急な呼び出しで対応する必要がありません。そのため、オンコールを体力的・精神的に負担に感じていた方でも、無理なく働き続けることができます。
ただし、中にはオンコール待機を業務内容に含む求人もあるので、応募の際は勤務条件をしっかり確認しておきましょう。
非常勤医師という働き方のデメリット

非常勤医師という働き方には、メリットがある反面、デメリットもあります。最後に非常勤医師の5つのデメリットを見ていきましょう。
手当や福利厚生がない場合がある
手当や福利厚生がない場合があることは、非常勤医師のデメリットです。
医療機関にもよりますが、手当や福利厚生の対象を常勤医師に限定している医療機関は多いです。一般的にはボーナスも対象外で、有給休暇も付与されません。
また中には非常勤医師に対し、交通費の支給をしていない医療機関もあります。
社会保険や納税の手続きを自分で行う必要がある
福利厚生の対象外となる場合、社会保険の加入手続きは非常勤医師が自分で行う必要があります。また確定申告をして、納税も自身で行わなければなりません。
特に確定申告と納税に関しては、適切な手続きを行わなければ、脱税と見なされるリスクがあります。診療以外の部分で事務的な負担が発生するのは、非常勤医師のデメリットといえるでしょう。
退職金の支給がない場合が多い
退職金の支給がないケースが多いことも、非常勤医師のデメリットです。
医療機関にもよりますが、大抵の場合、非常勤医師に退職金は支払われません。また厚生年金の加入対象外の場合、将来に受給できる年金も少なくなってしまうので、老後の備えは自分で管理する必要があります。
社会的信用を得にくい
社会的信用が得にくいことも、非常勤医師のデメリットといえるでしょう。
非常勤医師の給与水準は高いといえますが、常勤医師と比べると安定性に懸念があると見なされがちです。クレジットカードを作る際やローンを組む際なども、不利になってしまう恐れがあります。
非常勤だけでは専門性を伸ばしにくい
非常勤だけでは、専門性を伸ばしにくいこともデメリットのひとつです。
さまざまな臨床経験に触れる機会があるいうという意味では、多様なスキルを身に付けることが可能ですが、常勤医師に比べると研修や勉強の機会が限られるため、専門性を磨くチャンスが少なくなります。まだ経験の浅い医師が非常勤だけで高度な専門性を身に付けるのは難しいでしょう。
非常勤医師と常勤医師の違いを理解して、自分に合った働き方を選択しよう
非常勤医師にはメリットもデメリットもあり、常勤医師としての働き方とどちらが良いのか判断することは難しいです。大切なのは、双方の特徴を理解し、自分のキャリアや理想のライフスタイルに合った働き方を選ぶことです。医師としての今の働き方に悩んでいる方は、医師専門の求人サービス「マイナビDOCTOR」にご相談ください。
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