常勤・非常勤、どっちが働きやすい?働き方の違いやキャリアを継続するポイント|医師の現場と働き方

常勤・非常勤、どっちが働きやすい?働き方の違いやキャリアを継続するポイント

非常勤として働く中で、医師としてのキャリアアップを考えて常勤医師になった方がよいのではないか、と迷っていませんか。常勤、非常勤、どちらもライフスタイルに合わせて選択ができますが、今後のキャリアを検討するうえで、それぞれのメリット・デメリットを理解することが大切です。今回は、常勤・非常勤の違いや、キャリアを継続させるための働き方について解説します。

〈この記事のまとめ〉

  • 1つの職場に所属して就業規則で定められた時間をフルタイムで働く人が常勤、常勤先を持たずに一定時間で働く人が非常勤になる。
  • 常勤医師は、安定した収入や継続したキャリアアップなどがメリットだが、拘束時間が長く、オンコール対応などの負担も伴う。
  • 非常勤医師は、希望した勤務時間を選べ、プライベートと両立しやすい点はメリットだが、収入が不安定になりやすい。

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1.常勤と非常勤の違い

常勤とは、1つの職場に所属して、就業規則で定められた勤務時間をフルタイムで働く人を指します。一方で、常勤先を持たない非常勤は単発、もしくは契約先の職場に定期的に通勤し、一定時間で勤務する働き方といえます。それぞれの大きな違いは、労働時間にあります。

「常勤=正社員」、「非常勤=パート、アルバイト」と思われがちですが、実は、こうした雇用形態に当てはまるものではありません。労働基準法や労働契約法などの法律において、常勤・非常勤の明確な定義はなく、基本的には、それぞれの条件は各医療機関の就業規則によって決まります。そのため、パートとして雇用されていても、就業規則にある常勤の勤務時間を満たせば、常勤とみなされます。

なお、厚生労働省の区分では、医師の1週間の勤務時間が32時間以上の場合を常勤医師、32時間未満の場合を非常勤医師として換算しています。ただし、これは各都道府県が実施する立ち入り検査時に使用される区分で、算定のために用いられる数字です。週に32時間以上勤務する医師を常勤とするかどうかは、医療機関の就業規則によって判断が異なります。

出典:医療法第25条第1項の規定に基づく立ち入り検査要項の一部改正について97頁|厚生労働省

2.常勤医師として働くメリット・デメリット

常勤医師か、非常勤か、どちらの働き方が自分に合っているかを考える際には、それぞれのメリット・デメリットを知っておくとよいでしょう。まずは、常勤のメリット・デメリットを紹介します。

2-1.常勤医師のメリット

常勤医師のメリットとして、以下のような点が挙げられます。

●安定した収入が得られる
●継続したキャリアアップが望める
●健康保険や厚生年金などの社会保険に加入できる
●社会的な信用が得られる

勤務時間が長い常勤医師は、その分、収入も安定しているのが魅力です。収入が確保できることで学会や研修に参加し、自己研鑽にも励めます。奨学金の返済や、子供の教育費、住宅ローンなどの支払いがある場合にも、一定した収入を見込めることで家計が安定しやすくなるでしょう。また、同じ施設で継続して働くことで、昇給や役職に就くなど、キャリアアップの実現も目指せます。施設内では上級医として後進の育成に関わると、自分の役割を再認識でき、責任感や達成感を味わうこともできるでしょう。

加えて、常勤医となれば、社会保障が受けられる点もメリットです。出産手当金や傷病手当といった給付が受け取れるなど、国民健康保険と比べて保障が充実しています。保険料や年金、税金の支払いに関する手続きを自分で行う必要もないため、職務に専念できるのも利点です。社会保険に継続して加入できれば、老後に受け取れる年金額が多くなるという将来的なメリットもあります。

2-2.常勤医師のデメリット

一方で、常勤医師は、拘束時間が長く、オンコールの対応などの負担を伴います。患者さんごとの容態によっては業務時間以外でも診療を行い、終業時間は一定でないことがほとんどです。このため、少なからずプライベートにも影響があります。

また、常勤になると、医業以外に多くの業務を担う点もデメリットといえるでしょう。会議や研修、地域との連絡会への参加のほか、学会参加のノルマがあるケースもあり、いずれにしても勤務時間が長くなる要因となっています。

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法律上、原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えた労働は認められていませんが、労働者と医療機関の間で協定が行われている場合には、所定の時間を超えた労働が認められています。これが、通称「36(さぶろく)協定」と呼ばれているものです。近年では医師の働き方改革が進み、労働時間の上限やインターバルなどの実施が取り組まれていますが、非常勤と比べて、拘束時間が長くなってしまうのは避けられません。ただし、同じ常勤でも、施設によって勤務時間などの条件が異なるため、自分の働いている職場がどのような労働条件であるのかを十分に確認しておきましょう。

出典:労働基準法第三十二条|e-GOV法令検索
出典:労働基準法第三十六条|e-GOV法令検索

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3.非常勤医師のメリット・デメリット

非常勤医師は、各医療機関で定められた就労時間よりも短い時間で働きます。しかし、複数の医療機関で働くことができるため、トータルすると常勤よりも総合的な労働時間が長くなることもあります。柔軟な働き方ができる一方で、デメリットもあります。続いて、非常勤のメリット・デメリットを見てみましょう。

3-1.非常勤医師のメリット

非常勤医師として働くことで得られるメリットは以下の通りです。

●希望の勤務時間を選べるため、プライベートとの両立も叶えやすい
●時給で換算すると、常勤よりも高収入になることがある
●専門以外の分野にも従事しやすい
●医療以外の業務負担は少ない傾向にある

非常勤医師の労働時間は常勤医師より短く、プライベートを優先した働き方が可能です。特に、女性医師は、妊娠や出産などの事情があっても、非常勤医師としてキャリアを中断させずに働きやすいというメリットがあります。子育て中の医師も、短時間勤務や日数を制限した働き方により、医師としてのキャリアを継続できます。また、非常勤として働きながら大学院に進学するなど、自身のスキルアップにも十分な時間が確保できるようになるでしょう。

また、厚生労働省によると医師の短時間労働者は、1時間あたりの所定内給与額が12,225円となっており、常勤の給与を時給換算した時よりもやや高い結果です。そのため、少ない時間で、希望する収入を確保しやすくなっています。非常勤であっても、専門的なスキルがあれば高単価での契約になることもあり、その場合、常勤よりも年収が高くなることもあります。例えば、内視鏡外来を曜日ごとに違うクリニックで請け負う、血管造影や血管内手術を行うなど、時間の融通を利かせながら専門スキルを発揮して活躍することも可能です。

そのほか、将来的に開業を予定していたり、仕事の幅を広げたりする目的で柔軟な働き方を選択し、複数の医療機関で経験を積みながらキャリアアップしたい人にとって、より働きやすい勤務形態といえるでしょう。

加えて、短時間勤務の非常勤には、職場での役職や雑務を免除される傾向があるため、医療業務に専念しやすいのもメリットです。

出典:短時間労働者の職種(小分類)別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|e-Stat

3-2.非常勤医師のデメリット

一方で、非常勤のデメリットは以下が挙げられます。

●収入が不安定になりやすい
●社会保険に加入できない可能性がある
●確定申告などを自身で行う必要がある
●主体性をもった自己研鑽が求められる

日給や時給で支給される非常勤医師は、収入が不安定になりやすいのがデメリットといえます。例えば、平日の日中のみ勤務で契約している場合、祝日があると週の勤務日が減ってしまうため、収入も減ってしまいます。また、常勤とは違い、施設から支給される役職手当やボーナスなどもないため、働いた分だけの収入で計算しなければいけません。

また、1週間の労働時間と1ヵ月の労働日数が条件を満たさない場合は、社会保険に加入できないケースがあります。勤務先の医療機関が社会保険の適用事業所か、加入できる労働条件を満たしているのかの確認が必要です。なお、2024年10月からは、短時間労働者における社会保険の適用対象が拡大されるようになりました。社会保険に加入できない場合には、医師のための国民健康保険に位置づけられる、医師国保に加入すると充実した給付が受け取れる場合もあります。

さらに、常勤の場合には、年末調整によって年間の所得税などが計算されますが、非常勤の場合、基本的には自身で確定申告を行わなければいけません。税理士に依頼することで事務作業の負担が軽減されますが、費用がかかります。

加えて、非常勤になると、院内の症例検討会やカンファレンスに出る機会が少なくなります。学ぶ機会も減ってしまうため、専門性の維持やスキルアップに向けて、意識的な自己研鑽が求められるでしょう。

4.常勤、非常勤にとらわれない医師の働き方

働き方を見直す際、常勤・非常勤だけで考えるのではなく、さまざまな制度を利用したり、キャリアプランを振り返ったりすることでよりよい方法が見つかるかもしれません。

例えば、以下のような選択肢が挙げられます。

●短時間勤務制度を利用する
●フリーランスとして働く

育児・介護休業法に基づいた要件を満たす人は労働時間の短縮や、子の看護休暇・介護休業などが認められます。法改正により、適応がさらに拡大される予定であり、仕事と育児や介護の両立が支援されています。こうした制度を利用しながら、ライフステージに応じた働き方を選択することでキャリアの継続を目指すのもよいでしょう。

また、病院や企業に所属せず、非常勤や単発のアルバイト、在宅業務などに従事するフリーランスも選択肢に挙げられます。非常勤の一環ではありますが、オンラインで完結する在宅業務も増えており、フリーランスとしての働き方も広がってきました。働き方の多様性が進む中、自分のスケジュールに合わせて仕事を請け負うフリーランスは、より自由度の高いライフスタイルを可能にするでしょう。

ただし、単発で働くとしても、希望通りの日時や、自分の専門領域で働けるとは限りません。また、診療科によっては、在宅業務がない場合もあるでしょう。フリーランスに転向する際には、自分に合った働き方ができるか、十分な情報収集をしたうえで検討してみましょう。

5.常勤・非常勤の特徴を知り、自分に合った働き方を選ぼう

常勤医師は、医療機関の就業規則に定められた時間を勤務します。安定した収入が得られますが、長時間の拘束やオンコール対応などを行うため、プライベートへの影響は避けられません。一方の非常勤医師は、時間の融通は利きますが、社会保険に加入できないケースや、収入が不安定などのデメリットあります。育児をしながら、キャリアの継続したいのであれば、短時間勤務など制度を利用するのもひとつの方法です。いずれの場合でも十分な情報収集をしたうえで、自分に合った働き方を選択することが大切です。

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PROFILE

監修/小池 雅美(こいけ・まさみ)

医師。こいけ診療所院長。1994年、東海大学医学部卒業。日本医学放射線学会・放射線診断専門医・検診マンモグラフィ読影認定医・漢方専門医。放射線の読影を元にした望診術および漢方を中心に、栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。女性特有の疾患や小児・児童に対する具体的な実践方法をアドバイスし、多くの医療関係者や患者さんから人気を集めている。

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