美容外科の経営で失敗するケースとは?開業前にできる予防対策を解説|医師の現場と働き方

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美容外科の経営で失敗するケースとは?開業前にできる予防対策を解説

美容外科の開業は医療機器や内装をはじめ初期費用が高額になりやすく、事業が軌道に乗るまで上手くいかないこともしばしば。

クリニックの経営で失敗しないためには、資金計画の立案や独自の強みの発見、患者さんが足しげく通いたくなるような環境作りなど、多方面で工夫が必要です。

今回は美容外科の開業でよくある失敗パターンや事前準備で必要なポイント、失敗しないための注意点を解説します。

美容外科で開業したい人の悩みや不安の解決につながる内容なので、ぜひご一読ください。

〈この記事のまとめ〉

  • 美容外科は開業費用が大きく、競合との競争も激しいため、ハイリスク・ハイリターン
  • 資金計画を立てる際は開業費用と運転資金に分けて細部まで把握を
  • 立地や内装にもこだわって患者さんが通いたくなる環境が必要

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1.美容外科の経営が失敗してしまう3つのパターン

美容外科は単価が高く利益を挙げやすい側面がある反面、失敗に終わることも多いハイリスク・ハイリターンの業態です。とくに設備投資やらで生じた多額の資金融資を返済できず、倒産するケースが見受けられます。

美容外科の経営が失敗してしまう、よくある3つのパターンについて解説します。

1-1.開業資金がかかりすぎる

資金計画の見積もりが甘く、開業資金を必要以上にかけ過ぎてしまい、資金繰りが上手くいかなくなるパターンです。集客が想定通りにいかず、金融機関への返済に追われて黒字化できないと倒産に直結します。

必ずしも開業資金が多いのが問題ではなく、売上の予測値と現実との間にギャップがあり、借入金の返済が滞ると黄信号です。実現可能性が高い目標値を設定し、その利益を確保するために必要な単価や患者数まで考えましょう。中長期的な視点を持ち、数年後まで精度が高い計画を立てることが大切だといえます。

1-2.クリニックのコンセプトがあいまい

ふたつ目は自院の強みや売りがあいまいな状態で開業し、他院との差別化やブランディングが上手くいかず、失敗に終わるパターンです。美容外科は都市部に集中しやすく、競合との激しい競争に晒される業態です。

業種特有の事情もあるため、患者さんに選ばれるには自分たちだけのセールスポイントを打ち出す必要があります。コンセプトがあいまいな状態で広告を出稿しても、客足につながらずコストが利益を逼迫する場合も少なくありません。少なくとも事業計画を練る段階で、独自のウリを発見しておきましょう。

1-3.スタッフが定着しない

条件や待遇、人間関係等さまざまな理由で採用したスタッフが定着せず、経営が立ち行かなくなるのもよくある失敗パターンです。医師が経理や受付まで担うようだと本来集中すべき施術やカウンセリングに十分な時間をとれなくなり、結果的に顧客の離脱につながります。

とりわけ、開業時のオープニングスタッフの採用には注意を払いましょう。オペレーションの構築やクリニックの文化を一緒に作っていく存在でもあり、最初の段階で人離れが起きると、開業後すぐの倒産という悲惨な事態につながりかねません。近年は看護師に人手不足の傾向があり、優秀な人材を確保するには緻密な採用計画の作成が必要だといえます。

2.美容外科の経営を成功させるには開業時の計画が大切

美容外科の経営を成功に導くには、開業前の事前準備が非常に重要です。計画の策定において確認すべきポイントをまとめました。

2-1.開業資金と運転資金を分けて計画する

開業時の資金計画ではざっくりと開業資金ととらえずに、事業を始めるまでに必要な設備資金と、開業後の運転資金に分けて考えましょう。土地や物件の賃料・保証料、内装費、医療機器や医薬品の購入費のほか、昨今では電子カルテやオンライン予約システムの導入コストも発生する場合があります。

クリニックの立地を考えるうえでは、賃料の節約を目的に、駅から離れた僻地や田舎に構えるのは推奨できません。美容外科は近隣の通いやすい場所の医院を選ぶのではなく、満足いく治療を受けられるかどうかによってクリニックを選ぶ傾向があります。都心部のターミナル駅周辺に構える美容外科が多いのはエリアを広げて集患を狙っているためです。

美容への意識が高い人や女性が客層の中心となるため、内装の高級感や清潔感にも気を配りましょう。受付や待合室のような患者さんが目にしやすい場所は費用をかけてでも、ラグジュアリーな印象を与える工夫が必要です。

美容外科の場合、他人に通院していることがバレたくないと考える患者さんも一定数います。院内設計ではプライバシーの配慮にも重視し、カウンセリング中の音声が外に漏れない空間を確保し、患者さん同士がすれ違わない動線を携える工夫が必要です。最新鋭の設備があることは、客足の増加に直結する決定的な理由のひとつです。

美容関連の医療機器は購入やレンタルに多大なコストが必要で、事業を立ち上げたばかりの経営を逼迫する可能性があります。一方で患者さんの呼び水となり、中長期的に見れば費用を回収できる場合もあります。最先端の医療機器の導入はブランディングや経営方針との整合性も意識して決められると良いでしょう。

運転資金で必要な項目は、従業員の給料(福利厚生費)、広告宣伝費、物件の賃料などです。手術を行う美容外科では、医療行為にも対応できる資格を持つ看護師の雇用が欠かせません。

福利厚生を充実させると高年収の条件を出さずとも、優秀な人材の確保に活かせる場合があります。とくに推奨したいのは、従業員が美容施術を安価で受けられる制度を導入することです。受付や接客に応じるスタッフの美が保たれれば、クリニックの技術力の高さを視覚的に示せるともいえるため、宣伝にも効果的な取り組みです。

美容外科の広告宣伝では従来のマスメディアやチラシの投函などの手法に代わって、Webの活用が主流になりつつあります。広告費をかけずに集客につながる費用対効果が高い方法が公式SNSアカウントの運用です。アカウントの作成は無料で、別途SNS広告を出稿しなければ、費用を抑えて運用できます。実際、施術やカウンセリングの様子を動画で公開し、医師自ら解説を加えるコンテンツが好評を博しています。

2-2.他院と差別化を図れるコンセプトを考える

競合との競争が激しい美容外科では、経営戦略においてブランディングや差別化が重要です。独自性を見つけるための考え方としては「専門性を打ち出す」「特定の顧客層に特化する」「幅広さをウリにする」の3パターンがあります。

二重施術や脂肪吸引、開業当初の資金的な余裕がない状態でも取り組みやすい施策です。近年男性向けの美容外科が注目を集めており、男性医師のほか、女性から見た美しい男性をイメージして女性医師が開業するパターンも見受けられます。ひげ脱毛やAGA治療のような男性特有の治療以外にも、美白やニキビ跡、ムダ毛処理なども人気です。

院内で複数の診療科目を手がける多角化経営も生き残りをかけての有効な戦略のひとつです。皮膚科や形成外科にも守備範囲が広がれば、患者さんの母数が増えて売上アップを期待できます。経営の多角化には医師の雇用を増やす必要があるため、後に人件費を回収する程の集客が見込めるか精査しましょう。

2-3.ターゲット層に合った立地や内装にする

美容外科で顧客の獲得やリピート率に影響を与えるのが立地や内装です。立地ではターゲットが多い商圏かどうか、内装では年齢層や年代を踏まえて趣味や嗜好に沿ったデザインを取り入れることが大切です。

厚生労働省の「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によると、クリニックを選んだ理由に「交通の便が良い」と答えた割合は27.9%に達し、医師の紹介に続く2番目の水準に達しています。美容外科の立地を決める際に意識したいポイントは次の通りです。

●潜在顧客は多いか
●坪単価は安いか
●ターミナル駅や商業地区、繁華街の周辺か

美容外科の種類にかかわらず、どのようなクリニックでも主たるターゲットは美容医療に関心が高い女性です。したがって立地選びにおいても、女性が通いやすい、または馴染みがある場所が適しています。

20〜40代の女性に人気のブランドが多数出店するファッションビルの周辺や、大型商業施設の近隣が代表的です。高めの年齢層をターゲットとする場合、渋谷や原宿のような若者向けのエリアではなく、落ち着いた大人の雰囲気がある街をいくつかピックアップするほうが適しています。

美容外科には女性の患者さんが多いことを踏まえ、内装で意識したいポイントは清潔感とプライバシーの保護です。また、心身の一部に手を加えるという治療の性質上、安心感や信頼感を抱かせるデザインも取り入れたいところ。美容外科の内装における具体的なチェックポイントは次の通りです。

●インテリアの数が必要以上ではなく、カラーやデザインにも統一感がある
●安心感を与える色味を基調にする
●極力人と会わずに済む動線を確保する
●ホテルライクの洗練された空間作りを意識する
●非日常を感じられるオシャレな空間を形成する

2-4.集患方法の戦略を立てる

競合が多く開業費用もかさむ美容外科で成功するには、集客戦略が不可欠です。「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」によると、日常的な医療機関にかかる情報の入手先として「医療機関が発信するインターネットの情報」が23.5%に上がっています。これは「家族・知人・友人の口コミ」に次ぐ数字で、ネット上の情報発信に取り組むべき根拠といえます。

Webを活用した集客方法は、上述したSNS以外にも、利用者の検索したキーワードに応じて広告を表示するリスティング広告も効果的です。治療意欲が高い顕在層に絞ってアプローチできる費用対効果の高さが特徴です。リスティング広告は比較的低予算から始められるため、美容医療のような高い商材と相性が良く、コストパフォーマンスの高さも期待できます。

※参考:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)結果の概要」

2-5.スタッフの採用計画を立てる

採用したスタッフの離職を防ぐには、採用人数÷応募総数で算出される採用率の改善を目指すのが効果的です。採用人数を増やすことで、万一急な退職が生じても事業に支障をきたさない人員の確保に努める方法がひとつの手です。

採用条件を見直して基準を緩和すると、比較的簡単に採用人数を増やせます。前回の雇用から時間が経過し、採用条件が同じままの状態が続いている時におすすめです。逆に条件を厳しく変更し、質が高い応募者のみ選考を通過するような仕組みを整える方法もあります。

応募数は多いながらもなかなか条件を満たす良い人材に出会えない時には有効な戦略です。採用が上手くいかない原因を特定し、自社に適した施策を実行に移しましょう。

3.美容外科の開業が失敗に終わらないための予防対策

美容外科の開業が失敗しないために取り組みたい対策を紹介します。

3-1.美容クリニックに特化した開業コンサルタントに相談する

クリニックの開業では技術力に自信があっても、経営に関する知識不足が原因で事業が上手くいかない場合があります。経営ノウハウの不足を実感しているなら、美容クリニックに特化した経営コンサルタントにサポートを依頼してはいかがでしょうか。一般的なコンサルティング会社の業務範囲は次の通りです。

●メニューの選定や料金の設定
●内装やレイアウトの決定
●採用計画の立案
●医療機器に関するアドバイスやあっせん

会社ごとに対応範囲に違いはみられますが、経営にかかわる幅広い内容を相談できます。コンサルティング会社選びではクリニック総合型のサービスではなく、美容医療に特化した会社に依頼をかけるのがおすすめ。蓄積されたノウハウの量や質を考えると、より上質なサポートを期待できるためです。

3-2.SNSで紹介してもらいやすい内装にする

患者さんが自発的にSNSで紹介したくなるような、オシャレな内装を意識するのも重要なポイントです。美容医療を検討するユーザーが最も参考にするのは、身近な人の意見です。つまり友人や知人に勧められたクリニックに足を運ぶ可能性は極めて高いといえます。

その証拠にクリニックのなかにはお友達紹介キャンペーンを実施し、紹介による割引制度を導入している医院も存在します。患者さんにInstagramで内装の写真を公開してもらえば、広告費をかけず効果的に新規の顧客を確保できますよ。

3-3.コンセプトに合わせた医師を採用する

押し出したい医療科目で実績がある、または専門性を有する医師の採用に努めましょう。合わない医師の選考に時間をかけないためには、応募の段階でミスマッチを防ぐ工夫が必要です。診療科目や重視する姿勢や考え方などはクリニックのホームページで積極的に発信しましょう。

カウンセリングを重視し一人ひとりに向き合うべきか、できるだけ多くの治療を診療時間内に終わらせるために効率性を重視するのか、クリニックの考え方や経営方針は多種多様です。医療や施術に対する考え方が近い医師を採用できれば、転職後のミスマッチは防げるでしょう。

4.開業時のポイントや対策を行い、美容外科の開業を成功させよう

美容外科の開業で失敗しないためには事前の準備・設計が重要です。差別化を意識したコンセプトの策定や、患者さんが来たいと感じる内装の仕上げなどが求められます。マイナビドクターは厳選した好条件の非公開求人が多数あります。開業を見据えて経験を積みたい人にも良い条件の求人を紹介できるので、ぜひご利用ください。

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