医師に必要なコミュニケーション力とは? 医療現場で求められる対応について解説|医師の現場と働き方

医師に必要なコミュニケーション力とは? 医療現場で求められる対応について解説

医師は専門分野の知識や技術のほか、コミュニケーション力も重要です。業務での関係者と円滑な意思疎通を交わし、良好な関係を構築する力がないと、患者さんの要望に応えられません。医師に必要なコミュニケーション力の定義や、医療現場で求められる対応について解説します。

〈この記事のまとめ〉

  • 医師の良好なコミュニケーションには非言語・言語の両方が重要
  • 医師のコミュニケーション力に不安があるとトラブルが勃発しやすい
  • コミュニケーション力を向上させる3つの法則は「ピンポンルール」「信号機ルール」「一時停止ルール」

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1.医師に求められるスキルとは?

患者さんに選ばれ続ける医師になるには技術の研鑽のみならず、高いコミュニケーション力が必要です。いかに優れた腕を持っていても、診察でのやり取りに問題があると、次回以降も来院したいと思われないためです。

もちろん患者さんはスキルや実績の豊富な医師にかかりたいとの希望を持っていますが、医療の提供を受ける側では当医師に技術力があるか判断しにくいでしょう。一般的には、診察時のコミュニケーションを通じて信頼に値する医師か判断します。

いかに適切な治療を提案できても、説明不足だったり、患者さんの話を聞かない姿勢が見受けられたりすると、顧客離れにつながります。診察ではたたずまいや仕草、表情や声のトーン、発言内容を総合的に鑑みて、現状や疑われる疾患を探りましょう。

患者さんが話す内容を整理して上手く伝えられないときでも、的確な判断を下すには会話中に感じる些細な変化も見逃さないことが重要です。現代は医師や看護師が一丸となって治療に当たるチーム医療の時代です。リーダーとなる医師は患者さん以外にも、編成するチームスタッフや行政とも良好な関係を築く必要があります。

同僚に対するコミュニケーションでは雑談が効果的だと言われています。休憩時間には看護師や共に働くメンバーに声をかけることで、良好な関係を作るのが大切です。合間の時間にタイミング良く雑談できるよう、日頃から会話のストックを仕入れておきましょう。

新聞やインターネットで時事ニュースを読む、旅行やグルメの雑誌を読むなどは誰でも取り組みやすい行為です。引き出しは多いほど、さまざまな人と打ち解ける可能性が高まるといえます。

2.そもそもコミュニケーション力とは?

ビジネスシーンにおけるコミュニケーション力は上司や同僚、取引先と円滑に意思疎通ができる能力です。単に報告・連絡・相談をスムーズに行うにとどまらず、他者と良好な関係を構築する力が求められます。

コミュニケーションの議論でよく使われる理論がメラビアンの法則です。印象を左右する要素を取り上げた重要な主張でありながら、誤った解釈で認識されがちな側面もあります。メラビアンの法則の真の意味に触れながら、仕事で必要なコミュニケーション力について解説します。

2-1.メラビアンの法則

メラビアンの法則は人同士でコミュニケーションを図る際、相手方が受ける印象は言語情報7%・聴覚情報38%・視覚情報55%の割合で決まることを示した法則です。メールや発話で伝わる言葉の意味より、表情や身振り、声のトーンなどが印象の形成では重要です。

メラビアンの法則は「対人関係の形成において交わす言語より非言語コミュニケーションが重要」と解釈する場合があります。確かに人の印象は聴覚と視覚が93%を占めますが、言語による伝達を軽視して良いのではありません。

メラビアンの法則は目と耳で矛盾した情報を感知したときの優先順位を示した理論で、研究室内で行った単純な研究結果がベースです。例えば、顔をしかめた状態で「ありがとう」と口にしたとき、感謝よりも疑念や不満のようなネガティブな感情を想起させると捉えています。

実際の仕事やプライベートでのコミュニケーションはより複雑な言葉を使い、ボディーランゲージも用いられます。得られる情報量も多いことから、必ずしもメラビアンの法則が当てはまるとは言えません。

仕事では関係者に与える印象も大切ですが、より重要なのは伝達する内容です。相手の理解しやすさを考慮して、端的に分かりやすく、業務の指示をまとめられるかが重要です。仕事では非言語コミュニケーションと同等に言語コミュニケーションの質も意識すべきだと心に留めましょう。

3.医師にコミュニケーション力が求められる理由

チーム内で連携が取れていれば、業務上の指示や伝達がスムーズに進み、致命的なトラブルに発展する前に問題の芽を摘むことが可能です。逆に医師のコミュニケーション力がないと対応や態度に不信感を抱かせ、患者離れにつながります。

また、昨今はコロナ禍の外出自粛でリモート診療の要請が高まっています。医師と患者さんが非対面で行われる遠隔診療では入退室時の動きや雰囲気、表情などの情報がありません。視覚・聴覚では読み取れない情報をいかに会話で引き出すかが大切で、従来の診療と比べて高いコミュニケーション力が求められます。

画面を通してでも症状や悩みを聞き出すヒアリング力を伸ばす必要があります。日々の診療で意識することでヒアリング力をブラッシュアップしましょう。

医師の職業柄、他人の痛みや悩みに寄り添う姿勢は大切なコミュニケーションの一つです。

患者さんの考えや行動を認めたり、患者さんの立場に立って理解するように努めたりすると、患者に共感している姿勢を示すことができ、コミュニケーションが取りやすくなります。

このように医師は医学的な知識や流暢に説明する力以外にも、ヒアリング力や共感力の技術を身に付け対応できるようになれば信頼へとつながるでしょう。

4.医師に求められる対応とは?

患者さんは技術や知識の有無以上にコミュニケーション力が高い医師を望んでいます。たとえ診察時の会話に不満を抱いたとしても、面と向かって伝えるのは憚られるでしょう。たとえコミュニケーションに難ありと不評でも、医師本人はその評価に気付けないため、正す機会にも恵まれません。

常日頃から患者さんにとって心地良いやり取りを心掛ける必要があります。業務上のコミュニケーションで、医師に求められる対応は次の通りです。

4-1.患者さんの声を聞く姿勢

第一に意識したいのが患者さんの声に耳を傾ける傾聴力です。立て板に水のごとく話しても、知識の証明にはなっても、必ずしも信頼や安心感の獲得にはつながりません。傾聴の基本姿勢は一方的に話し過ぎず、適度に相槌を交えて話を聞いていると態度で示すことです。
傾聴でもう一つ意識したいのは気まずい沈黙が訪れた時、無理に話そうしないことです。会話が途切れるには、話すことが無くなった場合と伝えるべきか迷う場合の2パターンに分かれます。患者さんが葛藤に迫られ、言葉を発するべきか逡巡しているときは、沈黙に耐えて相手の言葉を待つのがお勧めです。

医師の対応や態度に不満があると患者離れを引き起こします。近年ではSNSなどのインターネットによって悪い噂はすぐ広まるため、それ以降の集患も難しくなるでしょう。メラビアンの法則にもある通り、表情は伝える言葉以上に相手へ与える印象を左右します。患者さんが気持ちを話しやすい雰囲気作りのため、接する際に柔和な表情を心掛けるのは一つの手です。

医師が怒った顔や気難しい顔をしていると不安やストレスを感じさせてしまいます。逆に穏やかな表情で診察に臨めば、患者さんは落ち着いて本心や症状を打ち明けられるでしょう。

4-2.患者さん視点での思考

医師と患者さんの関係のみならず、相手の目線に立った対応はコミュニケーションの基本です。診察で病院を訪れる人は、痛みの原因や検査の目的、治療方法について十分な説明を求めています。患者さんの不安に寄り添い、忙しいなかでも丁寧で心のこもった対応を心掛けると良いでしょう。

コミュニケーションでは細やかな気配りも大切な要素です。相手の名前を呼ぶ、目を見て話すなど些細な心遣いに注意するだけで、相手からの反応が変わる場合があります。初めて顔を見合わせる患者さんは緊張を感じやすい傾向にあることにも注意が必要です。上から目線の対応は慎むのはもちろん、話を聞き入れずに断定口調で話すのも避けましょう。

医師が十分に情報を伝えたと思っても、想定通りに患者さんが理解したとは限りません。認識が食い違うのは診察時間が不十分なことや、診察環境に問題があると考えられます。限られた時間のなかで必要な情報を聞き出し、適切な治療法を示すには情報の伝え方に注意が必要です。

検査の案内は紙で渡して要点だけ口頭で伝えると効率的です。また患者さんの発言後、受容する一言を告げる意識を持つと、安心して話しやすくなるでしょう。工夫を施しても診療時間が足りない場合、上長や病院側と話し合いの機会を設けるのも一つの手です。

安心感を与えるためには、一度来院した患者さんが再度訪れたときに前話していた内容をさりげなく伝えるのも良いでしょう。医師が覚えていてくれたことに嬉しく感じるはずです。日々いくつもの診察をこなす医師にとって目の前の相手は大勢の一人ですが、患者さんにとってはたった一人の存在といえます。

患者さんの視点を考えると、声のボリュームにも注意を払う必要があります。医師がボソボソと小さな声で話すと、患者側は信頼して大丈夫なのかと不安を抱きます。診療方針や処方箋の説明をする際は、はっきりと相手に届くように伝えましょう。

5.コミュニケーション力向上の方法

コミュニケーション力を向上させるにはいくつも方法がありますが、比較的簡単にできるのは好印象を与えるルールを意識することです。ここでは「ピンポンルール」「信号機ルール」「一時停止ルール」の3つを紹介します。明日から実施できるシンプルな法則なので、定義や実践方法を確認しましょう。

5-1.ピンポンルール

ピンポンルールは会話時に自分4:相手6の割合で話す意識を持つことです。4:6は黄金比で、自分が一方的に話す恐れが無くなるほか、相手の話も引き出しやすい比率だといわれます。この基準からぶれてしまうと、相手方は話をする行為への興味を失ってしまいます。

話し過ぎず黙り過ぎない絶妙なバランスを保つことは、患者さんに心地よい対応だと思わせるために重要です。ピンポンルールから学びを取り入れ、診察時のコミュニケーションでは話す・聞く両方を大切にしましょう。

5-2.信号機ルール

信号機の色に例えたルールで、会話をはじめてから最初の30秒は青、30〜60秒の間は黄、60秒以降は赤を意味します。人ははじめの30秒間は会話を意識して聞けますが、徐々に集中力が途切れていき、1分経つと興味を失うようです。

自分が聞き手だと仮定してなかなか相手が話すのを止めない場合、30秒ごとに相槌を打つと良いとされています。裏を返すと30秒以上話し続けるのは、役立つ話でもない限り、聞き手にくどいと思わせてしまいます。

楽しい会話はテニスのラリーのように、発話の主体が変わりながら進行するのが常です。医師の診察では話を盛り上げる必要はありませんが、症状の原因や診療方法を伝える際には30秒以内を意識しましょう。

5-3.一時停止ルール

1秒ルールは相手の話を聞き、返答が思い浮かんでも、1秒間は黙る意識を持つことです。即座にリアクションを返すと、話し手は話を遮られたと感じ、不快感を抱きやすくなります。

返答のタイミングが速すぎると、相手に「受け流された」という印象を与え、以降の会話がギクシャクするでしょう。緊張や動揺から焦ってリアクションしてしまう人もいますが、逆効果です。相手が話し終わったら一度立ち止まり、間を置いて返答をしてください。

6.相手の立場に寄り添うコミュニケーションを大事にしよう

医師が患者さんや医療スタッフと良好な関係性を築くには、相手に寄り添うコミュニケーションが大切です。医学的な知識・技術を用いて行う診察などの対応とあわせて、患者さんの話に耳を傾け理解や共感を示すことが大切です。

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