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東京都墨田区 井上耳鼻咽喉科
2023年4月、東京スカイツリーにほど近いエリアで井上耳鼻咽喉科を開業された井上雄一郎先生。その人生の軌跡と開業への思いを伺いました。
私の両親は名古屋市の耳鼻咽喉科開業医で、毎日のように数百人もの患者さんを診ていました。二人が懸命に働く姿をずっと目の当たりにし、喉が痛いときなどは両親の診療を受けてきた私にとって、医学を志したのはナチュラルな選択でした。名古屋市立大学医学部を卒業後、同大学耳鼻咽喉科に入局。それと同時に名古屋大学環境医学研究所でめまいの基礎研究にも取り組むことになりました。実は、高校時代に物理学者を夢見たこともあり、研究活動に従事したいという思いが人一倍強かったのです。そこでの研究テーマは「低重力状態におけるめまいの仕組み」で、国内外のさまざまな職種の方々と協働するエキサイティングな経験をし、フランスの国際学会で研究発表も果たしました。一方で、耳鼻咽喉科の臨床にも意欲を持って向き合い、二足の草鞋を履く生活の後、両親のクリニック（井上耳鼻咽喉科）を継承しました。
名古屋で両親のクリニックを引き継いでからは、連日多くの患者さんを診療し、28年間にわたり地域に貢献したと自負しています。ところが、建物や設備の老朽化で診療を継続することが難しくなり、60年近く続いた井上耳鼻咽喉科の歴史にピリオドを打つことを決意。2020年、閉院をきっかけに娘たちのいる東京へ移住し、勤続疲労を癒すように妻と悠々自適の生活を楽しみました。しばらくして仕事を再開しようと、新規開業のクリニックで勤務医として院長に就任したのですが、やがて私が大切にしてきた考え方との齟齬を感じるようになり、そこで長く働くのは難しいと感じました。クリニック開業の過程を学べたことをプラスにとらえ、心機一転して「自分でクリニックを開きたい」と考えるようになったのです。幸い、妻もとても協力的だったので、東京の地で新たに私たちらしく踏み出そうと決意しました。
本格的に動き始めてから開業までの1年間、準備したことは数えきれませんが、印象に残っているのが院内のレイアウトやデザインです。名古屋時代にクリニックを改装したときの経験を生かし、あれこれ考えるのは楽しいプロセスでしたね。壁紙やタイル、家具の一つひとつまで、全体のバランスを見ながら丁寧に選び抜きました。カフェのようにおしゃれで洗練された内装でありながら、スタッフの接遇は気さくという「ちょっとしたギャップ」を狙い、患者さんにとって居心地のよい空間をめざしたのです。例えば、待合室は使用色をホワイト、ブラウン、ブルーに統一し、木の素材感や間接照明を生かした落ち着きのあるデザインにしています。トイレもスペースを広く取り、車いすでもゆったり入れるように工夫しました。またベビーチェアとおむつ交換台を設置し、小さなお子さまと来院いただく時にも安心していただける空間づくりを意識しています。
クリニックの院長歴は長い私ですが、名古屋では両親から継承したかたちなので、「経営」には慣れていても「開業」のことは経験が無く、東京に来て多少はノウハウを学べたものの、実際に自分でやるのは初めて。一から始めることは想像以上に大変で、正直、開業直前はかなり神経質になっていた気がします。本来であれば数十の関係先を相手にしてさまざまな交渉を進めていかなければなりませんが、そうした部分を担当コンサルタントがサポートしてくれたのは大きかったですね。そして、何より欠かせなかったのが家族の存在です。多忙な中、妻が「楽しいわ」と前向きに支えてくれたことが本当にありがたく、IT関係のことは長女も手伝いに来てくれました。開業は独力でできることではなく、多くの方から力添えをいただいて初めて実現できるのだと実感しました。
耳鼻咽喉科の通常診療はもちろんですが、やはり「めまい」の診療に特に力を入れていることが特徴で、遠方から多くの患者さんが来院されます。臨床経験に加え、基礎研究を重ねてきたことが私の財産となり、日々の診療にも生かせているのではないでしょうか。また、「医学は原則的に科学である」という認識から、私には「原因あっての結果である」という信念があります。だからこそ、患者さんに対しても「なぜそうなったのか」という原因の説明をしっかりと行い、納得感を得ていただくことを重視してきました。質問されたことに分かりやすく答えられるよう勉強してきた結果、患者さんに喜んでいただけることが多く、医療的な観点からのクレームは一度もなかったことが誇りです。今回開業したクリニックでもこうした点を大切にして、患者さんに笑顔で帰っていただけるような医療を実現したいと思います。
「めまい」の悩みを抱えている患者さんはもちろん、耳鼻咽喉科一般に関連する症状を抱えている方に、幅広く来院していただきたいですね。また、先にも申し上げた通り、当院では患者さんへの説明や対話を重視した診療を行っています。他院を受診したものの説明不足で分からないことがあったり、納得いかない点があったりした患者さんも大歓迎なので、ぜひ気軽にご来院ください。ここ墨田区は、東京スカイツリーを抱える有数の観光地でありながら人情味溢れる下町の風情を残しており、私が生まれ育った名古屋の下町とよく似ています。この魅力的な街で地域貢献しながら医師人生の集大成を迎えられるとすれば、これほどうれしいことはありません。
東京に来てから仕事を探そうと考えたとき、いくつか医師向け転職支援サービスに登録をして、その中の一つがマイナビDOCTORでした。当時、担当者がとても親身になって対応してくれたことが印象に残っており、就職先が決まった後も何くれとなく相談していたのです。その流れの中で、開業を検討していることを話したとき、マイナビに開業医支援サービスがあると教えてもらい、利用することを決めました。すでにお互いの信頼関係が築けている状態でしたし、この業界に精通していることが十分に分かっていたので、迷いはありませんでしたね。
まずは希望エリアの中からさまざまな物件を紹介してもらいました。データ上で100件以上をチェックし、現地訪問も数十か所ほど行った結果、色々な条件にマッチするだけでなく、私のフィーリングにもぴったりのところが見つかったと思っています。その後、事業計画の策定、資金調達、内装工事、医療機器の選定と一気に物事が進んでいくのですが、全体のスケジュール管理、書類の準備、業者との調整などを一手に担ってもらった感覚です。オープン予定日が近づくにつれてどんどん忙しくなりますが、スタッフの採用面接に同席してもらったり、広報面のアドバイスをもらったりと、担当者が常に伴走してくれました。オープン前の数か月間は、ほぼ毎日のようにやり取りしていた記憶があります。
今回思い描いたクリニックを開業することができたのは、担当コンサルタントのおかげだと思っています。とにかくよく勉強しているし、かゆいところに手が届くサービスが素晴らしかったです。彼自身の親身なサポートはもちろんのこと、紹介してくれた業者や専門家にも安心して相談することができました。例えば、クリニック開業に関して実績豊富で信頼の置ける税理士や社労士の先生を紹介してもらい、とても満足度が高かったです。しかも、こちらの思いや状況を尊重しつつ必要なときに的確な情報提供をしたり提案したりしてくれる、さりげない姿勢がありがたかったですね。仮にマイナビDOCTORからのサポートがなければ、開業準備のどこかでつまずいていたかもしれません。マイナビDOCTORには本当に感謝しています。
大学病院などに勤めているときと異なり、開業医になると一人ひとりの患者さんと長くお付き合いすることが多くなります。赤ちゃんのころから知っている患者さんが成人して以降も診療するケースも珍しくなく、医師として学べることは数知れません。また、幅広い患者さんを受け入れるからこそ成長できる側面もあり、私が耳鼻咽喉科のジェネラリストとして自信を持てるようになったのは、開業医として経験を積んだからこそだと感じています。開業するとなれば、医師と経営者という2つの視点が必要になります。採算を取ることは大切ですが、決してそこだけに目を向けるのではなく、医療従事者としての倫理観を高く保ち続けることも極めて大切だと思います。60歳からの開業という私のチャレンジが、少しでも多くの方の参考になれば幸いです。
| 住所 | 東京都墨田区横川1-1-10 すみだパークプレイスⅡ 2階 |
|---|---|
| 診療科目 | 耳鼻咽喉科 |
| URL | https://www.inouejibika.com/ |
担当コンサルタントからのコメント
開業医として豊富な経験をお持ちの井上先生ですが、新規開業は初めてということで、必要な部分をサポートさせていただきました。奥さまと二人三脚で精力的に活動され、ご自身がイメージする「理想のクリニック」を見事に実現されていく様子に、私個人としても大きな喜びを頂きました。マイナビDOCTORの開業医支援サービスは、自社が展開するサービスだけを売り込むようなものではなく、フラットな目線で適切と思われる業者や専門家を紹介したり、準備をお手伝いしたりすることに主眼を置いています。自由な選択で理想の環境をつくり上げたいとお考えの皆さまに、自信を持ってお勧めできるサービスです。