マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
地震に台風と災害ニュースばかりが続く日本列島に、明るくさわやかな風を届けてくれた京都大学高等研究院の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授(76)のノーベル医学生理学賞受賞のニュースですが、なんと本庶氏は賞金を活用して基金を設立し、生命科学分野の若手研究者を支援する考えを明らかにしました。
がん免疫療法につながるたんぱく質「PD-1」の発見で今年のノーベル医学生理学賞に選ばれた本庶氏は毎日新聞社の取材に応じ、賞金を活用して基金を設立し、生命科学分野の若手研究者を支援する考えを明かしました。詳細は未定ですが、PD-1を利用して開発された薬の特許使用料も加え、将来的に1000億円規模を目指すそうです。
賞金の900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)は共同受賞者の米テキサス大学のジェームズ・アリソン教授(70)と等分し、本庶氏は約5750万円を受け取ることになります。これを原資に京大内に基金を設立する構想で、本庶氏は「PD-1は京大で生まれたので、京大への寄付が望ましい」と説明しています。
また、本庶氏は、小野薬品工業(大阪市)が開発した抗がん剤「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の特許を共同保有しているため、同社から入る予定の特許使用料も基金に加えて規模を拡大するそうです。若い研究者を取り巻く研究環境は資金面などで悪化している現状があり、基金の対象は、生命科学分野で基礎研究に取り組む若手研究者とします。