注射用抗がん剤の複数回使用「対象薬剤の検討を」~厚労省|業界ニュース

注射用抗がん剤の複数回使用「対象薬剤の検討を」
~厚労省

マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
安全性の観点から残液を廃棄することも多い注射用抗がん剤ですが、廃棄分の薬剤費は年間数百億円と試算されています。そこで1つの容器に入った抗がん剤を、複数の患者に分割使用するケースが増加していますが、その際の留意点を厚労省が各都道府県などに出しました。

厚生労働省は、注射用抗がん剤を複数回使う際の留意点を記載した事務連絡を都道府県などに出した。医薬品の取り違えといったリスクがあることから、各医療機関であらかじめ対象薬剤を十分に検討した上で複数回使用するよう呼び掛けている。【松村秀士】

2017年度の厚生労働科学特別研究事業「注射用抗がん剤等の適正使用と残液の取扱いに関するガイドライン作成のための研究」によると、医療機関へのアンケートで291施設のうち80施設(27.5%)が、1つのバイアル(容器)に入った抗がん剤を、複数の患者などに分割使用していたことが明らかになった。

こうした実情を踏まえて、厚労省は1つのバイアルに入った抗がん剤を分割使用(複数回使用)する際の留意点を示す必要があると判断した。

事務連絡では、注射用抗がん剤の複数回使用について、品質の安全性に加え、医薬品の取り違えや用量の誤りなど調製する際の過誤の防止に「最大限注意すること」と指摘。

その上で、こうした医療安全上のリスクを考慮して、高額な薬剤に限定するなど、各施設で対象薬剤を十分に検討して複数回使用するよう促している。

同研究事業の研究班がまとめた「注射用抗がん剤等の安全な複数回使用の要点」では、注射用抗がん剤を複数回使った場合の「懸念されるリスク」を記載している。

具体的には、▽患者ごとの調製・監査の手順の違いによって、従来の調製手順では発生し得なかった医薬品の取り違え事故や調製用量の過誤などが増加する▽曝露防止用閉鎖式薬物移送システムを利用している場合にはバイアルの視認性の低下が生じて取り違えが増加する▽採取量の過誤による過量・過少投与が増加する―といったリスクを指摘。その上で、安全性を確保する観点から、「最初に針刺しした当日内に使用する」ことを呼び掛けている。

注射用の抗がん剤の使用については、安全性の観点から医療機関がその残液を廃棄するケースが少なくない。しかし、廃棄分の薬剤費が年間で数百億円になるとの試算があるため、残液の解消への対応を求める意見が出ていた。

出典:医療介護CBニュース

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