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医師がアルバイト(非常勤)をする理由は?

一般的なサラリーマンとは違い、勤務医では複数の勤務先で働く「複数就業」の割合が高くなっています。もちろん、金銭的な事情も絡んでいるのですが、それだけが理由ではありません。ここでは、勤務医の複数就業について掘り下げ、実態を見ていくことにしましょう。

目次

アルバイトや非常勤などをしている医師は半数以上!

全国の病院(20 床以上)に勤務する24 歳以上の医師3467人を対象とした「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(労働政策研究・研修機構、2012年)によると、「前月に勤務した病院の勤務先数」は「1カ所」が最多(47.9%)でしたが、「2カ所」(20.9%)、「3カ所」(14.4%)、「4カ所」(7.6%)、「5カ所以上」(9.2%)という回答も少なからずありました。つまり、半数超の52.1%が2カ所以上の勤務先で複数就業していたことになります。「非常勤・アルバイト」で「3カ所以上」(「3カ所」「4カ所」「5カ所以上」の合計)とする割合に大きな差がみられ、「男性」が 69.6%「女性」が 36.1%でした。

 計(n=3,467)男性(n=3122) 女性(n=345)
勤務先数1カ所47.9%48.0%46.7%
2カ所20.9%20.4%25.8%
3カ所以上31.2%31.6%27.5%

参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

医師がアルバイトや非常勤をする理由は?

なぜ複数の勤務先で働くのか理由を尋ねると、「収入を増やしたいから」が 48.1%ともっとも多く、次いで「勤務先からの指示があるから」が36.5%、「1 つの勤務先だけでは生活自体が営めないから」が34.4%、「不足している専門科の病院から要請があったから」が33.4%と続きました。全体としては、必ずしも金銭的な事情だけが複数就業の理由でないことも分かります。

1位収入を増やしたいから48.1%
2位勤務先からの指示があるから36.5%
3位1つの勤務先だけでは生活自体が営めないから34.4%

参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

ただし、年収別に見ると、当然のことながら年収が低くなるほど「1つの勤務先だけでは生活自体が営めないから」の割合が高まっていく傾向にあります。また、勤務先数別に見ると、「1つの勤務先だけでは生活自体が営めないから」「収入を増やしたいから」の割合は勤務先数が多くなるほど高まっていきますが、勤務先数4カ所の層で頭打ちとなっています(「勤務先5カ所以上」では割合が下がる)。

すべての勤務先を含めた全年収額平均は1421.2万円

主たる勤務先とその他の勤務先(4カ所目まで)を合わせた全年収を見ると、平均年収金額は1,421.2万円となりました。分布としては「1,000~1,500万円未満」が 35.7%でもっとも割合が高く、次いで「1,500~2,000万円未満」が31.5%「2,000万円以上」が14.4%の順でした。

1位1,000~1,500万円未満35.7%
2位1,500~2,000万円未満31.5%
3位2,000万円以上14.4%

参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

主たる勤務先における勤務形態別で見ると、「常勤」1,461.5万円、「非常勤」927.9万円、「アルバイト」658.8万円であり、当然のことながら常勤の医師がもっとも高くなります。

1位常勤1,461.5万円
2位非常勤927.9万円
3位アルバイト658.8万円

参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

また、勤務先数別に見ると、「2カ所」で働いている層が1,469.1万円でもっとも高く、全年収1,000万円以上の割合も「1カ所」(84.9%)または「2カ所」(83.0%)で働いている層が3カ所以上で働いている層よりも高くなっています。

考察

医師という職業の特性上、ほかから求められて複数就業している(「不足している専門科の病院から要請があったから」)、あるいはほかから指示されて複数就業している(「勤務先からの指示があるから」)ケースは少なくありません。また、「自分が活躍できる場を広げたいから」「複数の病院で知識・技術を習得したいから」「現在の仕事で培った能力を活用したいから」「様々な分野の人とつながりができるから」というように自らのスキルアップを目的とした前向きな理由もあります。一方で、幼い子を持つ女性などフルタイム勤務が難しく、アルバイトを含めた複数就業をせざるを得ないケースもあります。医師の複数就業には金銭的な事情以外にも様々な要因が絡み、一般のサラリーマンの場合と同列に語ることはできませんが、労働力というリソースも無限ではないだけに、自らのキャリアと経済のバランスを取りながら働き方を考える必要があるでしょう。

文:ナレッジリング

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