開業する医院の診療科目は、医師としての経験やスキルをもとに決定すべきでしょうか? 診療科目は開業資金や診療報酬に関わるため、慎重に検討する必要があります。今回は、医療経営コンサルタント・平田二朗氏が診療科目を決定する際の考え方について紹介します。
目次
専門診療科を選択するときの要素とは

開業は自分だけでなく、家族にとっても大きな転機です。開業する診療科目や病院のコンセプトによって、開業資金や、開業後の診療報酬は変わってきます。では、開業する際にどのように診療科目を選べばよいのでしょうか?
研修医の時期は、それぞれの診療科を経験し、自分の専門科目を選択します。この専門診療科を選択するときの要素として、
- 1.自分の性格や特徴と診療科の相性
- 2.これまでの経験をもとにした志向
- 3.医師である親や親戚の専門科目を参考にする
- 4.それぞれの診療科がもつリスクや労働の特徴を参考にする
- 5.先輩や師と仰ぐ医師のすすめ
などが挙げられます。仮に45歳で開業して75歳まで働くとすると、勤務医時代は20年に満たない程度で、約30年間は開業医として過ごすことになります。長い医師人生をどう送るかを考え、自分の価値観をよく理解した慎重な選択が必要です。
長い医師人生を考え、中・長期的な選択を

自分や家族の将来設計を考える上で、診療科目の選択は非常に重要です。医師は仕事の特性上、ハイクオリティな質や達成度を求められます。約30年という長期間、高水準のパフォーマンスを発揮し続けるためにも、体力的、精神的、社会的に自分が責任を持って行える範囲、特性の診療科を選ぶようにしましょう。
たとえば、外科の場合、第一線でバリバリ仕事ができるのは、体力を考えると50歳ぐらいまでになるでしょう。そのあとは後進を指導する位置にあるか、管理者として機能するかということになります。また、開業医になる視点で考えたときに、眼科、産科を除く外科系は、開業ではつぶしが効かないという点も考慮しなくてはいけません。その点、内科系はプライマリケアでの初期診断や投薬や治療を得意とし、地域のプライマリケアの実情になじみやすく、長期間働き続けることができる診療科目といえるでしょう。
現役医大生に聞いた「将来専門にしたい診療科は?」
日医総研が2015年にまとめた「医学生のキャリア意識に関する調査」の結果によると、現役医学生が人気診療科トップ3は、内科(33.8%)、小児科(19.3%)、総合診療科(14.4%)となりました。
将来専門にしたい診療科・分野(2つまで選択)

こうした診療科・分野を選択する際に重視する要素として、7割以上が「内容的興味」を挙げています。次いで「漠然としたイメージ・憧れ」(31.0%)、「医局・診療科の雰囲気」(19.3%)、「生活のゆとり・家庭との両立可能性」(17.7%)、「親族の専門分野」(8.0%)、「先輩や教員の勧め」(4.3%)、「収入」(3.7%)と続きます。
専門分野を決める際に最も重視する(した)要素(2つまで選択)

記事の監修者
執筆/成田 亜希子(なりた・あきこ)
平田 二朗(ひらた じろう)
元病院を経営する公益財団法人の専務理事。
保険調剤薬局経営を経験し、医師開業支援を多数実施。病院法務セミナーや医療安全フォーラムなどを多数主催。スウェーデン医療福祉視察を7回実施。
「病院経営のしくみ」「クリニック開業ガイド」「スウェーデン精神科医療改革」(マイナビ出版)など著書多数。現在、一般社団法人医療法務研究協会副理事長、医療法人・社会福祉法人などの理事、(株)コメディカル代表取締役。
<著書>
