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【イベントレポート】医療・介護の最新の知見が得られる日本最大級の総合展

全国から医療・介護従事者が来場

6つの大規模な展覧会が一同に会する大商談会。全国から医療・介護従事者が集結します。

先週2月20日(水)~22日(金)の3日間、医療・介護業界関係者のための商談会「第5回 医療と介護の総合展[大阪]-メディカル ジャパン 大阪」がインテックス大阪にて開催されました。

本総合展は「ヘルスケア・医療機器 開発展」「医療IT EXPO」「病院運営支援EXPO」「医療機器・設備EXPO」「地域包括ケアEXPO」「介護&看護EXPO」の6展から構成され、計700を超える企業・団体が出展し、最新技術や最新機器を展示。

昨年開催された「第4回 医療と介護の総合展[大阪]」では2万1770名もの方が訪れたといいます。回を重ねるごとに盛況をきわめ、すでに2022年までの開催スケジュールが決定しています。

日本病院会 相澤会長「働く人が自分で判断して働ける場を」

「重要なのは人間力であり、コミュニケーションである」と話す日本病院会 相澤孝夫会長。

豪華講師陣による200にのぼる講演も、本イベントの見どころのひとつです。働き方改革、地域包括ケア、医療・ヘルスケアへのIT応用など、これからの医療・介護業の主要テーマについての講演が会場に点在する19のセミナー会場で開催されました。中でも編集部がとくに注目したのが、日本病院会 相澤孝夫会長による「病院に勤める人々の『やりがい』をどう作るか」をテーマにした講演です。

相澤孝夫会長は、この先病院が生き残るためには「自分の病院がどんな医療をするのかを決めるのが一番大事」だと強調しました。
しかしながら、超高齢化社会、地域偏在、医師の働き方改革など医療業界を取り巻く環境が急速に変化をしていく中で、病院がミッションやビジョンを明確にすることは「極めて大変」とも指摘します。さらに病院経営を考えるうえで重要なのはビジョンだけではありません。人手不足に悩む病院が多いなか、そこで働く人々の「やりがい」をいかに作るか、という問題です。

相澤会長は、仕事を強制的にやらせるのではなく、自分で決めさせることが大事だと強調します。相澤会長自身が経営する相澤病院・相澤東病院では、10段階の職能等級制度を導入し、等級ごとの職能を明示することで求められる職員像を明確に示しています。また等級ごとに総合職(マネジメントレベル)、高度専門職、一般職などのコース分けがされています。この職能等級を給与に反映させているので、職員が自分の能力を高めれば高めるほど、自分の給与を上げられるという仕組みなのだそう。

これほど「公正で透明度の高い」評価制度を実践している病院は、医療業界では非常にめずらしく、先進的だと感じる医師の方も多いのではないでしょうか。相澤会長は、この評価制度で重要なのは「足りないところをどのように埋めるかを自分で考えること」、すなわち自分で自分を管理することだといいます。

等級ごとに分かれた総合職(マネジメントレベル)、高度専門職、一般職のコースは、年次が上がるごとに自動的に上がるわけではありません。もしも総合職(マネジメントレベル)に就いていて、「もう少しペースダウンして働きたい」「技術研鑽に注力したい」などと考えたなら、上司との話し合いのもと、本人が希望するコースに変更することができます。必要な職能が明示されているのみならず、職員が自分の働き方を柔軟に選択できる点も魅力です。

医療業界が大変な時だからこそ、「人間力」が大切であり「病院が、働いている人が自分で判断していく場になればいい」と強調する相澤会長の姿が印象的でした。

「働き方改革の前にやらなければいけないことがある」

イベント初日の2月20日(水)は、ちょうど厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」の第19回が開催された日でもありました。同検討会では、とくに時間外労働の上限時間案をめぐっては議論が加熱し、医療業界のみならず一般の方の関心も高まっています。今年3月を目処に具体案が取りまとめられるということもあり、動向が気になる医師の方も多いのではないでしょうか。

この日、医師の働き方改革についての特別講演「働き方改革①両立できるか。働き方と地域医療」を行ったのは、厚生労働省 医政局医事課 山科雄志課長補佐と医療法人社団 恵仁会 なぎ辻病院の小森直之理事長です。

厚生労働省 医政局医事課 山科課長補佐は、まさに議論が進んでいる「医師の働き方改革に関する検討会」で話し合われた議論の概要やこれまで可視化されてこなかった「医師の労働時間」の考え方について解説。とくに産科、外科、診療研修医の時間外労働時間が長くなる傾向にあるなど診療科目によっても差がある現状に触れつつ、「一気に労働時間を減らすのが難しい現状もある」としています。

働き方改革の実現性について講演するなぎ辻病院 小森直之理事長。

また「病院は医師を増員しなければ診療体制を維持できない」と、現場目線での窮状を切実に訴えたのは、なぎ辻病院の小森理事長です。働き方改革を実践するのは医療現場であり、そこで働く医師です。改革の実現性について小森理事長はリアルな目線で切り込みます。

小森理事長が課題のひとつとして挙げたのが「医師の責任感と責任」の問題です。医師の負担を軽減する方策として、タスク・シェアリングや看護師の特定行為研修などが検討されていますが、その責任の所在について議論が必要だといいます。「タスク・シェアリングをして医療事故が起きた時に誰のせいになるのか? 医師の指示を受けて看護師が特定行為を行った場合、医療事故が起きたら看護師の責任になるのか? 指示をした医師に責任はないのか?」——現場レベルで方策の実現性を考慮すると、そこにはいくつものハードルがあることがわかります。

また当然ですが、病院は医師だけで成り立ってはいません。看護師や看護アシスタント、理学療法士、薬剤師などさまざまな医療職種の職員が連携して医療を提供しています。だからこそ、「医師ひとりが残業したら、他の複数人の職員も残業しなければならない」(小森理事長)ことを理解し、働き方改革は病院全体で考えなければならない問題だと指摘します。

さらには、医師国家試験で落とされる学生もいることを問題視。数年間かけて懸命に勉強し、大学が責任をもって卒業をさせたなら医師にするべきではないか、と指摘し「働き方改革の前にやらなきゃいけないことがある」と、医師不足への早急な対応を訴えました。

介護現場の人手不足を補うロボット「Pepper」

タッチパネル式のディスプレイではクイズや脳トレなども楽しめます。

展示ブースでひと際目をひいたのが、近年介護事業にも注力するソフトバンクブースに展示された介護ロボット「Pepper(ペッパー)」です。「Pepper」のロボット自体はソフトバンクショップの店頭や飲食店などで見かけたり、触ってみたりしたことがある人も多いかもしれません。

本総合展で紹介された「Pepper for Biz 介護施設向け」は、なんと介護施設利用者と一緒にレクリエーションを提供してくれるという優れもの。「認知症」「軽度者(介護度1~2)」「重度者(介護度3~5)」というように、利用者の方の身体の状況に合わせた体操や歌のプログラムが搭載されています。

例えば、「認知症」の利用者には、動作が簡単な上肢・下肢運動を中心にしたプログラム、「軽度者(介護度1~2)」の方へは運動のほかに歌を追加したプログラム、「重度者(介護度3~5)」の方へは上半身が中心の運動と歌、といった形です。「Pepper」には顔認証プログラムが搭載され、顔認証すると利用者の名前を呼んでくれるという機能も付いています。

一時期は稼働台数の落ち込みも報じられた「Pepper」ですが、慢性的な人手不足に悩む介護業界の救世主となり得るかもしれません。

大盛況のうちに幕を閉じた「第5回 医療と介護の総合展[大阪]-メディカル ジャパン 大阪」。次回は今年2019年10月23日(水)~25日(金)の3日間、幕張メッセで東京展の開催が予定されています。今回、残念ながら訪れることができなかった方は、東京展に足を運んでみてはいかがでしょうか。

文:マイナビDOCTOR編集部

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