医師の定年は何歳?定年後に抱えやすい問題と定年後のキャリアを解説|医師の現場と働き方

医師の定年は何歳?定年後に抱えやすい問題と定年後のキャリアを解説

医師は、生涯働き続けることが可能な職業です。しかし、ライフプランのためにも定年の時期や、定年後のキャリアを考えておきたいところ。今回は、医師の定年といわれる年齢と定年延長の可否、定年後におすすめの働き方など、定年前に考えておきたいことについて詳しく解説します。

<この記事のまとめ>

  • 一般的に勤務医の定年は60歳または65歳と規定されていることが多い。だが、定年がない医療機関や再雇用制度のある医療機関もあり、60代以降も活躍の場が多い。
  • 定年後は、キャリアプランや心身面の負担、プライベートとのバランスなどを考慮して、自身にとって働きやすい勤務形態・業務内容・勤務先の検討が必要。
  • 定年後に常勤医として長く勤務したい場合は、50代のうちから実現できる医療機関を見つけ、準備を進めておくことが大切。

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1.医師の定年とは

医師は開業医や勤務医などさまざまな働き方が選択できます。そのため、定年の設定も働き方によって異なります。まずは、医師の定年事情について見てみましょう。

1-1.医師の定年は何歳から?

福利厚生や給与・待遇が公務員に準ずる、みなし公務員にあたる国立病院機構の医師の場合、その定年は65歳と定められています(国立病院機構ウェブサイトより)。同様に公的総合病院や国公立系大学病院も65歳あるいは60歳を定年として、その後5年間の継続雇用制度を備える形態が多く見られます。

一方で、民間の病院では医師の定年制度を廃止している場合や、定年後の再雇用制度を組み合わせた雇用を行っているところもあり、施設によって大きく異なります。

おおまかな目安として考えると、一般的に勤務医の定年は国公立、民間ともに60歳または65歳といえるでしょう。

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1-2.定年の延長はできるのか

勤務医として勤める場合は、定年の延長可否について理解しておくことも大切です。

例えば、国立病院機構では、シニアフロンティア制度などが設けられており、医師の確保が困難な施設などにおいて最高70歳(最高年齢は各グループに違いあり)まで、引き続き勤務できる仕組みが整っています。

シニアフロンティア制度とは、国立病院機構の独自の制度であり、医師の確保が困難な施設などで定年を迎えた後も常勤医として雇用される仕組みのひとつです。施設によって制度の詳細は異なりますが、定年の延長ではなく、定年後も引き続き同じ職場で勤務できる「継続雇用制度」や「再雇用制度」が設けられている施設が多く見られます。

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2.医師の定年後に直面しやすい問題

その後のキャリアに関わらず、定年後を安定して過ごすためにはさまざまな課題があります。続けて、定年後の医師が直面しやすい問題について見てみましょう。

2-1.定年後の年収が不安定になりやすい

定年後は収入事情が変化します。厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1,378.3万円前後であり、他の職種と比べて、安定して高い収入を得られることが明らかです。定年後も勤務を継続するなら、ある程度の収入を確保できるかもしれません。ただし、嘱託医などに立場が変われば収入の減少が考えられます。

また仮に、定年退職後は年金のみを収入源とした場合、大幅な収入の減少が想定されます。年金支給額を概算すると、公的年金と厚生年金を20歳から60歳までの40年間の満期納付した場合、65歳から月額220,496円(令和3年度4月時点における、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)。また、医師年金を基本年金のみ35年間納付した場合では、65歳から月額26,000円が支給される見込みです(医師年金「保険料からシミュレーション」にて、平成3年9月1日生まれ、2022年4月現在30歳の医師が基本年金のみ月払で支払うとして算出)。

条件によって異なるものの、シミュレーションで算出した前述の満額納付の公的年金と厚生年金、医師年金を合計すると、年金年額は2,966,352円(月額支給額247,196円×12ヵ月)と想定されます。あらかじめ備えをしておかなければ、定年前と同様の経済感覚で過ごすのは難しいかもしれません。

2-2.健康状態の変化による負担の増大

臨床現場の医師の業務には常に大きな責任がともない、さらに当直やオンコール、長時間労働などの過酷な労働条件のなかで勤務しています。心身への負担が積み重なり、定年に近づく頃には、加齢にともなう体調の変化も感じることでしょう。

健康状態に不安を感じることが増えるため、キャリアや年収を維持して勤務を継続するには、よりいっそう体調管理にも気を遣う必要があります。

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3.定年後におすすめの働き方は?考えておきたいこれからのキャリア

キャリアプランによっては、定年後も継続して働きたい医師もいるでしょう。定年後のキャリアを考えるにあたり、おさえておくべきポイントを紹介します。

3-1.常勤か非常勤か?勤務形態を考える

定年後も継続して働く場合、勤務形態をどうするかをまず考えてみましょう。体力に自信がある場合や比較的穏やかな勤務が可能な場合は、定年前と同様に常勤を続けることも可能でしょう。ですが、60代、70代になっても働き続けていくことを考慮して、非常勤や嘱託医として、勤務日数や勤務時間をセーブした働き方を選択するのも一案です。

業務内容や施設によっては、常勤で勤務を継続できる場合もありますので、自身のキャリアやプライベートとのバランスも考慮しながら、働きやすい方法を検討しましょう。

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3-2.健康状態やQOLを考慮した働き方がおすすめ

業務内容自体を見直すのも一案です。例えば、慢性期を中心とした現場への異動や後任の育成に関する業務への変更、プライマリー領域の診療に移り、心身の負担を軽減させることで長期間の勤務もできるようになります。

勤務先を、総合病院などの規模の大きい病院から変更する選択肢もあります。小規模な無床クリニック、特別養護老人ホームや老健などの介護保険施設、企業や保健所などといった医療施設以外の勤務先など、ハードワークになりづらい勤務先への転職を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、定年後に現在とは別の勤務先で勤務するキャリアプランを考えている場合は、50代のうちから準備をしておくことをおすすめします。再雇用制度があり、比較的穏やかに勤務できる医療機関の求人情報収集をするなど、転職準備を進めておきましょう。

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3-3.地域医療に貢献する

自身の知識や経験を役立てながら、地域医療に貢献する働き方もあります。例えば、今後さらに医師が必要とされる分野である在宅医療に取り組んだり、医師不足が深刻な地域に拠点を移して医療を提供したり、地方の医療施設に定期非常勤として通勤したりする方法もあります。

全国的に慢性的な医師不足である現在、地域医療へ貢献することで患者さんや家族とより近い距離で関わることができ、大きなやりがいや充実感を得られるでしょう。

4.定年後の働き方を視野に入れて計画しよう

医師は定年後も活躍できる職業です。キャリアプランやプライベートとのバランス、心身面の負担を考慮しながら定年後の選択を検討しましょう。定年後もできるだけ長く医師として勤務をしていきたい場合には、セカンドキャリアに備えて定年前から準備を進めておくことをおすすめします。先を見越したキャリアプランの立て方や働き方などに迷ったら、医師専門の転職エージェントに相談してみるのも一案です。

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