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東南アジアの医療事情

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インドネシア

首都:ジャカルタ
人口:27,000万人(2020年)
面積:約192万平方キロメートル

一般の医療事情

首都ジャカルタでも熟練の医師や看護師などが少なく、質も含めて日本人が満足できるレベルの医療サービスは提供できていないといいます。また、全国各地にある国立病院の大部分は老朽化が進んでいるそうです。地方での医師不足が深刻化する一方で、都市部には富裕層向けの最新鋭の医療機器を持つ私立病院が次々と建設されているようです。

医療機関は提供できるサービスによってA~Dの4クラスにランク付けされており、広範囲にわたる専門的な診療が行えるA、Bクラスの医療機関は一部の都市に集中しているといいます。2020年時点で医療機関は2,985施設あり、1,000人当たりの病床数は1.4床です。

19年における国民の平均寿命は71.3歳で、5歳以下の乳幼児死亡率は1,000人当たり23.9人。妊産婦死亡率(17年)は10万人当たり177人とのことです。

発生の多い病気と死亡要因

都市部は大気汚染が深刻で、呼吸器系の病気が多いそうです。また、結核の高まん延国でもあります。消化器感染症による下痢は日常的な症状で、特に腸チフスはありふれた病気だといいます。蚊が媒介するウイルス性の感染症であるデング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱の発生も多いようです。マラリアの発生は都市部ではほとんどなく、東部地域で多いとのこと。HIVの推定有病率は成人人口の0.4%で、検査や治療の体制が不十分なため感染拡大が続いているといいます。

死亡要因(2019年)は非感染症が77.8%を占め、心血管疾患、がん、糖尿病・腎臓疾患、消化器疾患、慢性呼吸器疾患の順になっています。死亡要因の17.2%が感染症で、呼吸器感染症・結核の割合が最も多いそうです。

外国人医師の免許取得

2016年に「外国人医療従事者に関する規制」が施行され、原則として外国人医療従事者は医療行為ができなくなっているとのことです。ただし、教育、調査、研究などの目的で医療行為を行う場合は、1年間の有効期限で仮許可が出されるそうです。現地の大学病院や日本の厚生労働省から推薦状を出してもらうなど複数の書類をKonsil Kesehatan Indonesia(KKI:医学協議会)に提出する必要があるとのこと。

マレーシア

首都:クアラルンプール
人口:3,260万人(2022年)
面積:約33万平方キロメートル

一般の医療事情

医療水準は高いといわれています。大きな私立病院やクリニックは設備も充実しており、日本人も特に問題なく診療が受けられるレベルだそうです。国立医療機関の設備もそれなりに整っているとのこと。2、3次医療を提供する公的医療機関は、全国民の7割が車で30分以内にたどり着けるように全土に整備されているそうです。2019年時点で医療機関は343施設あり、半数以上が民間の医療機関です。1,000人当たりの病床数は1.7床だそうです。

19年における平均寿命は74.7歳で、5歳以下の乳幼児死亡率は1,000人当たり8.6人。妊産婦死亡率(17年)は10万人当たり29人とのことです。

発生の多い病気と死亡要因

腸チフスは一般的に見られるようです。また、蚊が媒介するウイルス性の感染症であるデング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱は多く発生しているそうです。ボルネオ島北西部のサラワク州では日本脳炎も多いといいます。森林地帯ではマラリアの発生もあるとのこと。また、インドネシアの焼き畑農業や山火事の煙などに含まれる微粒子が深刻な大気汚染を引き起こしており、4~10月は目や喉の痛みを訴える人が増えるそうです。

死亡要因(2019年)は非感染症が73.8%で、心血管疾患が最も多く、がん、消化器疾患、糖尿病・腎臓疾患、慢性呼吸器疾患の順に続きます。死亡要因のうち感染症は17.5%を占め、呼吸器感染症・結核が一番多くなっています。

外国人医師の免許取得

海外での臨床経験が2年以上あることなどを条件に、マレーシア以外で取得した医師免許で働くことができるそうです。ただし、人材が過剰である期間は、勤務許可を一時的に停止されることもあるといいます。政府から医師免許を得ても、日本人患者のみを診察できるなどの条件が付けられることがあるようです。

フィリピン

首都:マニラ
人口:10,903万人(2020年)
面積:29万8,170平方キロメートル

一般の医療事情

都市部と地方部では医療格差が大きいそうです。首都のマニラには最先端の医療機器を備えた私立総合病院があるといいます。一方で、地方部の医療機関は老朽化が進んで衛生状態も悪く、日本人が安心して医療を受けられるレベルではないといいます。2015年時点で総合病院と専門病院は計1,195施設あり、35%が公的医療機関だそうです。

19年における平均寿命は70.4歳で、5歳以下の乳幼児死亡率は1,000人当たり27.3人。17年の妊産婦死亡率は10万人当たり121人です。

発生の多い病気と死亡要因

7,000余りの島々から国土が成り立っており、流行する病気は各島や地域で異なるそうです。6~11月の雨期には食中毒や感染性腸炎が流行。蚊が媒介するウイルス性の感染症、デング熱は地方都市を中心に毎年10~20万人の感染者が発生するといいます。ジカウイルス感染症やマラリアも見られます。また、結核の高まん延国です。

死亡要因(2019年)の69.4%を占めるのは非感染症で、心血管疾患、がん、糖尿病・腎臓疾患、慢性呼吸器疾患、消化器疾患の順になっています。死亡要因のうち感染症は23%で、呼吸器感染症・結核が最も多く、腸管感染症も比較的多いようです。

外国人医師の免許取得

医師の雇用を受け入れる互恵協定や国際協定を締結している国の医師は、Professional Regulation Commission(PRC:専門家規制委員会)から許可を得た上で、フィリピンで働くことができるそうです。協定を締結していない国の医師も、特別な暫定的許可を得れば医療行為を行えるとのことです。

タイ

首都:バンコク
人口:6,609万人(2022年)
面積:51万4,000平方キロメートル

一般の医療事情

主要都市の公立基幹病院や私立病院の医療水準は高いといいます。首都バンコクの代表的な私立病院は日本の病院と同レベルの医療を提供できるそうです。日本の大学を卒業した医師や日本の病院で研修した医師・看護師が勤務している病院もあるとのこと。2020年には1,356の医療機関があり、病床数は1,000人当たり2.4床です。

19年における平均寿命は77.7歳で、5歳以下の乳幼児死亡率は1,000人当たり9人。妊産婦死亡率(17年)は10万人当たり37人だそうです。

発生の多い病気と死亡要因

蚊が媒介するウイルス性の感染症、デング熱、チクングニア熱、日本脳炎、ジカウイルス感染症は雨期(6~11月)に都市部でも流行するそうです。マラリアも一部の森林地帯などで残っているようです。

2019年の死亡要因の76.3%が非感染症で、心血管疾患、がん、糖尿病・腎臓疾患、消化器疾患、神経疾患、慢性呼吸器疾患の順になっています。感染症は死亡要因の14.1%を占め、呼吸器感染症・結核が最も多く、次がエイズ・性感染症とのことです。

外国人医師の免許取得

1年間の有効期限付きで、The Medical Council of Thailand(タイ医療評議会)から外国人向けの仮免許を取得できるそうです。ただし、評議会が認める国で臨床資格を取得し、タイの国家資格を持つ医師の管理下にあることが条件だといいます。また、タイ語でのコミュニケーション能力があればタイの国家試験を受けて無期限の免許を取得することもできるとのことです。

ベトナム

首都:ハノイ
人口:約9,946万人(2022年)
面積:32万9,241平方キロメートル

一般の医療事情

医療水準は、日本はもちろん周辺諸国に比べても劣るそうです。都市部と地方部の地域格差も激しいようです。また、公立医療機関は医療従事者や医療機器の数が不足しているといいます。一方で、首都ハノイやホーチミンなどの都市部には、先進医療機器を備えた私立の医療機関もあるそうです。日系クリニックや日本人の医療従事者が勤務する医療機関も増えてきているとのこと。2018年には1,420の医療機関があり、そのうちの84%に当たる1,192施設が公的医療機関だそうです。20年の1,000人当たりの病床数は3.4床とのこと。

群医療機関、省医療機関、中央医療機関の順に重症患者を高次医療施設に紹介・搬送するレファラルシステムが導入されていますが、富裕層はこれを無視して最初から中央医療機関を受診することが多いといいます。

19年における平均寿命は76歳で、5歳以下の乳幼児死亡率は1,000人当たり19.9人。妊産婦死亡率(17年)は10万人当たり43人です。

発生の多い病気と死亡要因

大気汚染が深刻で呼吸器系の病気が多いようです。また、急性胃腸炎や食中毒は日常的な病気だといいます。寄生虫による病気も珍しくないとのこと。蚊が媒介するウイルス性の感染症は、デング熱が全土で見られ、日本脳炎は農村部で多いそうです。マラリアは都市部や沿岸リゾート地では感染リスクが低いものの、農山村地帯では感染リスクがあるようです。狂犬病も全土で確認されているとのことです。

死亡要因(2019年)の80.4%が非感染症で、多い順に心血管疾患、がん、糖尿病・腎臓疾患、慢性呼吸器疾患、消化器疾患、神経疾患になっています。死亡要因の9.9%は感染症で、最も多いのが呼吸器感染症・結核です。

外国人医師の免許取得

医療行為を行うためには医療行為証明書を取得する必要があるそうです。取得には専門学位のコピー、医療行為の経歴証明書、ベトナム語が堪能であることの証明書、犯罪経歴の証明書、健康診断書、医療行為に際してベトナム語を使用しない場合は通訳者の資格証明書と労働契約書の提出が求められるとのことです。

※記事の情報は外務省の『世界の医療事情』(2022年10月1日現在)と経済産業省の『ヘルスケア国際展開ウェブサイト』を参照しています。

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