マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
2024年度から適用される医師の時間外上限規制の特例措置である「地域医療確保暫定特例水準」(B・連携B水準)・「集中的技能向上水準」(C水準)の対象となる医療機関の、労働時間短縮の実績や取り組みを分析・評価する「評価機能」の枠組みなどが提示された厚労省の中間とりまとめが公表されたことを受け、日医が12月23日に見解を表明。日医の松本常任理事は「地域医療提供体制維持のために大学や基幹病院からの医師の派遣は極めて重要。コロナ禍の状況ではあるが、兼業・副業を妨げることがないように医師の派遣機能はしっかりと維持する必要がある」と強調し、派遣縮小について慎重な議論を求めています。
日本医師会(日医)は、厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の中間とりまとめが公表されたことを受け、23日に見解を表明した。松本吉郎常任理事は同日の定例記者会見で、「地域医療提供体制維持のために大学や基幹病院からの医師の派遣は極めて重要」と強調し、派遣の縮小について慎重に議論するべきだとした。【吉木ちひろ】
今回の中間とりまとめでは、2024年度から適用される医師の時間外上限規制の特例措置である「地域医療確保暫定特例水準」(B・連携B水準)・「集中的技能向上水準」(C水準)の対象となる医療機関の労働時間短縮の実績や取り組みを分析・評価する「評価機能」の枠組みなどが示された。
これに関して、複数の医療機関に勤務する医師の労働時間は、本人からの自己申告に基づいて把握することになっている。複数の医療機関で働く医師に対しても、追加的健康確保措置や労働時間短縮の取り組みが必要とされた一方で、「医師の派遣縮小等による地域医療提供体制への影響に関して、各地域で確認を行うような枠組みを設けておく必要があるのではないかとの意見」があったことなども記載された。
松本常任理事はこの記載を取り上げ、「地域医療提供体制維持のために大学や基幹病院からの医師の派遣は極めて重要。コロナ禍の状況ではあるが、兼業・副業を妨げることがないように医師の派遣機能はしっかりと維持する必要がある」と強調した。その上で、B水準からA水準への中間的な基準である「連携B水準」でも、労働時間短縮は「まず自院から行うことが求められる」として、仮に副業・兼業先を含めた医師の時間外・休日労働時間が「960時間をもう少しで達成できる場合であっても、派遣への見直しは慎重に行っていただきたい」とも述べた。
また、評価機能やC-2水準の対象となる医師を認定する審査組織については「日本医師会として条件がそろえば手を挙げることを前向きに検討する」方針であることも表明した。
さらに、今後の検討については、医療機関が新型コロナウイルスへの対応に追われていることなどを理由に、「当初の予定通りに開始しようとあまり無理な拙速な議論になることだけは避けなくてはならない」として、現場の勤務医の意見などを検証・集積し、「地域医療提供体制や医師の働き方に影響が出た場合には柔軟に見直さなければならない」と主張した。
出典: 医療介護CBニュース