マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
厚労省が公表した臨床研究中核病院(12病院)の2018年度業務報告書の、特定臨床研究に関する不適正事案で、千葉大医学部附属病院のみが全ての概要を黒塗りにして公開したことが明らかになりました。医療法において公表が義務づけられている部分だけに、是正措置が求められる事案であることが予測されます。

厚生労働省は20日、臨床研究中核病院(12病院)の2018年度業務報告書を公表した。特定臨床研究に関する不適正事案が報告書に記載されているが、千葉大医学部附属病院(山本修一病院長)だけが概要の全てを黒塗りで公開した。不適正事案の対応状況の欄には「外部者のみの第三者調査委員会を設け、再度、調査を行う事を執行部会で決定」などと記載されており、是正措置が求められる事案であることがうかがえる。【新井哉】
日本発の革新的医薬品・医療機器の開発に必要となる質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院を臨床研究中核病院として位置付けている。一定の基準を満たした病院について、厚労相が社会保障審議会の意見を聴いた上で承認している。
医療法(第十二条の四)で、臨床研究中核病院の開設者が業務に関する報告書を厚労相に提出することが義務付けられている。報告書の内容についても、厚労相が「公表しなければならない」とされている。
不適正事案の概要などに関しては、被験者や研究者などが特定される恐れがあるため、18年度の報告書からは病院側の裁量で黒塗りにできるようになっている。ただ、今回の報告書で不適正事案を記載した9病院については、千葉大医学部附属病院を除いて、概要を全て黒塗りとしてはいなかった。
千葉大医学部附属病院は、不適正事案の概要を全て黒塗りにしたほか、不適正事案に関する対応状況の項目についても、臨床研究基盤整備推進・管理委員会で調査報告書を承認したり、病院監査委員会に調査結果を報告したりした日にちとみられる部分を黒塗りにしていた。
18年度の報告書では、不適正事案の概要を全く黒塗りとしていない病院が半数近くを占めており、千葉大医学部附属病院の対応は、結果的に情報公開に最も逆行している形となった。同病院に対しては、今後、黒塗り部分の一部開示などが求められそうだ。
出典:医療介護CBニュース