マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
上限オーバーな医師の時間外労働に対し、労基法の罰則が適用される2024(令和6)年まであと5年。国立大学病院長会議の山本修一会長は、これまで十分な議論の必要性を訴えてきた厚労省や文科省に対し「レスポンスが鈍い」と一刀両断。「各地の労基署と局地戦を演じなければならないのか」と危機感をあらわにしました。

国立大学病院長会議(会長=山本修一・千葉大医学部附属病院長)の常置委員会は24日、「働き方改革に関する緊急提言」を公表した。働き方改革を巡る対応のうち大学病院の医師が行う研究の労務管理上の取り扱いについて、さらなる検討の機会を求めている。併せて、タスクシフティングを進める上で必要になる医師以外の職種の雇用や特定行為研修の実施について財政支援を要望している。【吉木ちひろ】
緊急提言には、▽大学病院において研究を行う医師に対する労働時間制度の運用実態に鑑み、医師の研究を阻害しないよう、研究者のために必要な議論を早急に開始すべき▽働き方改革の実施に伴う時間外勤務手当増、タスクシフティングの推進のための看護師の特定行為研修の実施に係る経費および医師以外の職員の増員に係る経費について、財政支援を行うべき―の2点を明記した。
常置委員会の委員長でもある山本会長は24日の定例記者会見で、提言の内容に関連して、自らが構成員を務めた厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」をはじめ、同省や文部科学省に対し、大学病院の医師の労働時間の扱いについて十分な議論の必要性を繰り返し訴えてきたことを説明。その上で「レスポンスが鈍い」との認識を示した。さらに、全国の大学病院がそれぞれの方法で労務管理を行う現状のまま、上限を超えた医師の時間外労働に対して労働基準法による罰則が適用される2024年を迎えた場合、「各地の労基署と局地戦を演じなければならないのか」と危機感をあらわにした。
提言の公表で改めて関係省庁に働き掛け、今後の議論の足掛かりにする考えだ。
出典:医療介護CBニュース