マイナビDOCTOR 編集部からのコメント
4月にスタートした第7次医療計画に伴い、各都道府県が在宅医療の充実に向けた取り組みが急務となりますが、都道府県によりバラつきがあり、具体的な方策が示されていないため「何をやれば良いのか?」すらも分からないのが現状。そこで厚労省は実施状況の「見える化」など課題を提示しました。

厚生労働省は10日に開いた「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(WG)に、これまでの議論の整理案を示した。在宅医療の充実に向けて、実施状況の「見える化」など、都道府県が取り組むべき課題を提示。WGでは、この日の意見を踏まえ、年内に開催予定の次の会合で取りまとめ、都道府県へ通知する方針だ。【松村秀士】
2018年4月から始まった第7次医療計画に伴って、それぞれの都道府県は今後、在宅医療の充実に向けた取り組みを進める必要がある。しかし、都道府県が在宅医療を充実させるための必要な体制や具体的な方策が示されておらず、都道府県ごとに取り組みなどにばらつきがあった。そのため、WGで約2年間にわたり、方策などを検討してきた。
整理案では、在宅医療を充実させるために都道府県が取り組むべき課題として、▽在宅医療の取り組み状況の「見える化」▽都道府県全体の体制整備▽在宅医療の提供体制の整備▽第7次医療計画の改善▽在宅医療に関する人材の確保・育成▽住民への普及・啓発―の6つを挙げた。
このうち、在宅医療の取り組み状況の「見える化」については、都道府県が市町村や地域での在宅医療の提供体制をデータで把握する必要があると指摘。都道府県は市町村での在宅医療の取り組みを評価できるよう、情報の収集や共有の体制整備に取り組むべきだとした。
「見える化」の方法として、KDB(国保データベース)を活用した在宅医療の詳細の分析や、訪問診療や訪問看護の実施意向といった医療機関・訪問看護ステーションへの個別調査のほか、市町村や関係団体との情報共有体制の整備を挙げた。
都道府県全体の体制整備に関しては、各都道府県の医療政策部局と介護保険担当部局の連携や、在宅医療の推進に向けた「年間事業スケジュール」の策定、市町村への支援に努めることが求められるとした。
また、在宅医療の提供体制の整備では、患者を病院から在宅へ円滑に移行させるため、医療関係者や介護支援専門員らが協議し、在宅医療圏ごとに必要な入退院支援ルールを策定し、その支援を行う重要性を指摘。後方支援病院などとの連携ルールや、急変時の患者情報の共有ルールも作るべきだと提言した。
議論の整理案に関して、反対意見は特に出なかった。ただ、織田正道委員(全日本病院協会副会長)は、KDBのデータについて、「ほとんど使われていない。もっと見やすくするとかの方法はないのか」と指摘した。これに対して厚労省の担当者は、「予算要求の段階で確定的なことを言うのは難しいが、前向きに検討している最中だ」と応じた。
このほか、在宅医療を市町村が推進する「ボトムアップ」が重要だとの指摘もあった。
厚労省は会合で、今後の議論が必要な事項を提案。具体的には、「議論の整理」に基づいた都道府県の取り組み状況の確認や、第7次医療計画の中間見直しに向けた整理などを議論する方針を示した。
出典:医療介護CBニュース